我こそが「味」
世の中にはいろいろな味がある。
しょっぱい、あまい、すっぱい、からい……けれど海苔に言わせれば、あの甘しょっぱい醤油味こそが“味”だというのである。
大丈夫か海苔よ。そんなに大きく出て怒られないか。なんかTwitterとかで。
心配しながら、そんな味付け海苔の味とは何なのか改めて調べ作っていきたい。
クラシックな味付け海苔を買ってきた
味と海苔である
改めて食べてみる
味つけ海苔、私にとっては旅館などでしか食べないスペシャルな食材だ。
あらためて食べてみると記憶よりもグッとパンチの効いたピリ辛だった。
こうして改めて食べるまでは味付け海苔の味(味付け海苔の味!)というのは、単にめんつゆの味なんじゃないかと思っていたのだが、めんつゆが複雑なやわらかい味なのに対し、味つけ海苔は味として超ストレートである。
なるほど、これは味だ。
市販の多くのめんつゆと違い、味付け海苔は出汁も昆布だけでカツオは使わないことが多いようだ。
原材料を参考に調合していってみよう。
我が家のめんつゆとはあきらかに違う味
調査のため私が買った味付け海苔の原材料に書かれていたのは以下のとおりだ(そのほか、スーパーで何種類か確かめたがどのメーカーも微妙に違う程度でだいたいは同じようだった)。
海苔、醤油、砂糖、昆布、みりん、清酒、唐辛子、エビエキス、食塩、調味料、甘味料
海苔をのぞいたすべてをあわせたものが味、というわけだ。
味の原料たち
だし汁をとったら、そこへ料理の基本「さしすせそ」の法則に従い少しずつ調味料を加えることにした。
食品のラベルにある原材料表示は、量の多いものから順に書いてあると聞いたことがあるので、表記の順に従って量を調節していく。
全調味料を混ぜ、ひと煮立ちさせる
ポイントは唐辛子と味の素
思いのほか辛いな、というのがじっくり味わって食べた味つけ海苔の感想だった。唐辛子は輪切りのものを思い切った量入れることにしよう。
さらに、原材料にある「調味料」は「(アミノ酸)」とあったのでいわゆる うまみ調味料のことだろうと踏んで味の素を投入。
写真の量入れたあともう少し足した
このへん、適当です
できました!
料理は足し算、いったん加えてしまうと引き算はできない。調味料は超微量をちまちま足していった。
辛味を入れたため、だんだん味わいが分からなくなるのに参りつつ「あれ、これずいぶん近いんじゃない?」という味まで到達した!
味付け海苔と食べくらべ、言葉通り「味見」。おお、味だ! できたじゃん!
これが、味か……。
感慨しきりである。地球上で多くの人々が様々な味つけを料理に施す中、私はまさにいま「味」を手にしているのだ。ほとんど神様といって差し支えないのではないか。
早速、晩の食卓に出して色々な食材に“味”を付けてみよう。今回作成した“味”の配合レシピもあわせてお送りします。
味が、できました
我が家に味がやってきた
さて、テーブルに並べたのは全て味をつけていない食材だ。
なんてったって、今日うちの食卓には味があるのだ。気持ちが荒ぶる。いろいろな食べ物を味付きにして食べていこうじゃないか。
味のある食卓
はりきってはけを用意した。私のうかれぶり、察してほしい。
味、つけちゃうよ~!
味付き肉!
味付きキャベツ!
味、おいしいよ
味…!
おまえ……うまいじゃん!!
旧知の友の肩をゆする思いである。味付け海苔の味はうまい。海苔が味としてみとめただけある。
肝心のレシピなのですが、制作時じわじわ調味料を加減したため(一応メモをとりながら作ってはいたのだが)、やや記録が曖昧なのだ。
使っているのは基本調味料だけということで、味のレンジは広いと思われる。どう間違えてもだいたいは美味しくなるのではと思いますので、以下に恐る恐る今回の配合を書いてみます。
味のつくりかた
醤油 大さじ3
砂糖 大さじ2
昆布のだし汁 大さじ2
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
唐辛子 乾燥のもの輪切りひとつまみ
塩 ひとつまみ
味の素 ひと振り
だし汁に砂糖、みりん、酒、唐辛子を入れる。砂糖が溶けたら醤油を加える。味を見ながら塩をふる。仕上げに味の素。
味付きパン
味付き刺身
味付き油揚げ
味付きクラッカー
売った方がいいと思う
すごい。何に付けても美味しい。
味は海苔だけの味じゃなかったのだ。
味付け海苔を出している海苔の会社はこれは今すぐ商品化すべきなんじゃないか。商品名はやはり“味”でお願いします。