機長からのアナウンス
車掌じゃなかったら安易に飛行機である。離陸してシートベルト着用サインが消灯した後にやおら始まる落ち着いたアナウンスだ。
飛行機のゴーという音を想像しながら読んで下さい。
文字だらけになってしまった。
機長によっては「この先、足摺岬上空を通過し」などと地上のポイントを言う人もいる。かなり前に、「ただいま猪苗代湖の上空です」などと湖の上を通るたびにアナウンスする機長の飛行機に乗ったこともあったがあれはレアだった。
実際にカラオケとしてしゃべってみるとこのようになる。
中央林間は僕にとってその名前を目にしたことはあるけど降りたことはないという点ではヘルシンキと同じである。どんなところなんだろう、中央林間。
音声のない素のカラオケバージョンの動画はこちら。存分に機長気分を味わって欲しい。
慣れてきたら歌詞通りではなく、「スターアライアンスメンバーDPZ3便」と言ってみたり、気流のところで「昨日の台風の影響で」とアレンジするのも楽しいはずだ。(おれが)
新幹線の券売機(デュエット)
カラオケになっているからにはデュエット曲が必要である。デートでアナウンスカラオケやってみようかという展開だってあるだろう。
デュエットになっているアナウンスと言えばJRの新幹線や特急の切符が買える券売機だ。
ずっとアナウンスは女性の声で続くのだが、お釣りのお札があるときだけ急に男の声があらわれるのだ。
急に男性の声がするのでびっくりする。
たぶんびっくりさせるためにこうなっているのだろう。
ちなみにカードで買った場合は「カードをおとりください。カードをおとりください」になる。
文字で説明しても分かりにくいので実際にうたっている(しゃべっている)映像である。
「お札をおとりください」でなるほどと思った人も多いと思う。新幹線の切符買うと急に男が現れますよね。
ぜひ恋人同士で自動販売機アナウンスを楽しんで愛を育んで欲しい。
気象通報
この企画、静岡に
五味八珍の取材に行った帰りにライター西村さんと歩きながらブレストをした。なんのアナウンスをしてみたいか。
「それだ!」「いいね!」と二人でまんが道のように盛り上がったのがこれである。気象通報だ。
天気図を書くための放送である。キングオブホビーだ。
気象通報を聞いているとインターネットがない時代の静かな夜を思い出す。グーグルマップもないのでロシアの地名を聞いても地図帳を眺めるだけである。
画像はその土地のパブリックドメイン画像を使っているがカラオケビデオにありがちな感じの映像も入れてある。
そして気象通報は後半ほど盛り上がる。
天気不明がたまらない。そこだけマイクを客席に向けてコールアンドレスポンスしたいほどだ。南鳥島では!天気不明!それが一体何のステージなのかわからないが、そういう未来が見える。
最後に低気圧、高気圧の場所を緯度経度で説明するのだが、そのときに枕詞がある。
「日本のはるか東」や「アリューシャン近海」である。
気象通報は科学なのに「はるか」という文学的な表現が現れるのがいい。こういう違和感を感じたときにきっと人はロマンとか思ってしまうのだろう。
ちなみに北緯41度、東経160度はこのあたり。みごとなはるか東である。
このアイデアで盛り上がった西村さんにカラオケをお願いした。
カラオケで上手い人の歌を聞いたときのような気持ちになる。もっと聞いていたい。少年時代の自分の部屋のしんとした空気が蘇るようだ。
カラオケ版の動画もあるのでぜひ気象通報をエンジョイしてもらいたい。
時報
伴奏があるアナウンスもある。時報だ。「◯時◯分◯秒をお知らせします」のあとに「ピッピッピッ ピーン」である。ピッが3回入る。そして◯分ちょうどのBメロでは「ピッ」の音が低い。
これは編集部の橋田に挑戦してもらった。
「わけもなく高層ビル」「木の後ろから女が顔を出す」「デニムの上下の男がシャボン玉で遊んでいる」というカラオケビデオあるあるも入っているのも注目してもらえたら幸いである。
そうでないと本気でださいビデオだと思われてしまうので。
こちらは短いアナウンスなので時間はないけど何かアナウンスしておきたいなという場合にぴったりである。気軽に楽しんで欲しい。
物言い
最後にどうしても僕がやりたかった職業アナウンスである。相撲の物言いだ。軍配があがったあとに親方衆がわらわらと集まる緊張感、そして迫力のある声での説明、そのあと取り直しになると最高である。
その一連の流れをカラオケにした。
自分で作っておきながら少し間違えているのがかわいいところである。
親方になるためには弟子入りして相撲でかなりの成績を残さないといけない。気が遠くなるほどの道のりである(しかも成功の確率はかなり低い)。でもこのアナウンスなら気分だけ味わえる。
タイトル風のださいタイトルにしています
職業アナウンスカラオケがブームになる!
いやーこれは流行る、流行るね!とほくほくしているがむかし本で読んだことを思い出した。
カラオケが登場したときに「シバオケ」というものがあったらしい。それは芝居のセリフを読み上げるものだったが、すっかり廃れてカラオケだけが生き残っている。(確か丸山圭三郎「人はなぜ歌うのか」)
職業アナウンスカラオケって廃れたシバオケなのでは…という気はしなくもないが、今年の忘年会は職業アナウンスカラオケで盛り上がれるようにもっとビデオを作っていこう。
80年代ディスコDJとかいいなんじゃないですかね。