ダウンタウンも食べた尼崎の山里食品へ
まず最初に向かったのは、尼崎市にある山里食品。関西の人には有名な話らしいのだが、ダウンタウンの同級生がこの店の子なのだとか。
ダウンタウンの出身地というくらいだから、かなりディープな下町なんだろうなと想像しつつ、JR尼崎駅を出てみるとと、広い道路と巨大なショッピングモールが現れた。
勝手に想像していた尼崎のイメージとちょっと違う。
ここは本当に尼崎なのだろうか。後日、尼崎市出身の友人である岡野さんにメールで聞いたところ、以下のような答えが返ってきた。
岡野さん。佐渡のイベントで知り合った時、ずっと柿の渋をとるための焼酎を飲んでいた。
「昔はビール工場しかない寂れた駅でした。そこが廃業して、ずっと空き地だった場所が再開発され、普通電車しか止まらなかったJR尼崎駅が、快速、新快速の止まる一大プラットホーム化したことにより、今のような栄えた駅になりました」
岡野さん、しゃべりはバリバリの関西弁なのに、メールの文章は丁寧な標準語だった。
ダウンタウンが子供の頃から何十年も経っているので、街並みは変わっていて当然なのだろう。
ダウンタウンの聖地めぐりをしている訳ではないのだが、ちょっと残念。
JR尼崎駅から、見覚えのあるチェーン店が並ぶ通りを北に進むと、全体がオレンジ色の派手なお店が見えてきた。
これが目的の山里食品なのか。お肉屋さんと沖縄食品店のせめぎ合い。看板には牛や豚ではなく、シーサーとハイビスカスが描かれている。
なるほど、こういう店なのか。
大阪色の強いホルモン焼きを探しに来たら、なぜか沖縄に辿りついた。
岡野さんによると、尼崎は大正区と並んで沖縄の人が多いのだとか。
沖縄は豚肉をよく食べるというが、その流れで豚のホルモンを中心に扱っているのだろうか。
これが山里食品のホルモン焼だ
ちょっと肩すかしを食らった感もあるのだが、とりあえずはこの店のホルモン焼きを食べてみなければ。
メニュー表記は「ホルモン焼」と送り仮名を削ったタイプで、お値段は100グラム200円。買い食いに適正な量がピンと来ないのだが、はるばる尼崎まできて200円分だけというのも虚しいので、200グラムの400円分でお願いした。
100グラム200円!
ホルモンを前に「写真撮っていいですか?」と聞いている自分が、遠くから来たダウンタウンマニアっぽくてちょっと恥ずかしい。いや好きですけど。
「爪楊枝、入れときますか?」とおねえさん。お願いします!
沖縄系のお店らしく、豚の耳や足も売られている。ならば豚足も買っておくか。
肉屋っぽい王道の揚げ物もある。しからばミンチカツもいただこう。関西ではメンチカツじゃなくてミンチカツ、ヒレカツじゃなくてヘレカツというのが普通らしいよ。
お金を払って商品を受け取り、近くにあったベンチでさっそく。
爪楊枝が挟まっている方がホルモン焼、もう一方が豚足である。
新聞紙に包まれている食べ物、すごい久しぶりのような気がする。
新聞紙を開くと、薄い紙の蓋越しにたっぷりのホルモンが透けて見えた。内臓シースルー!
そしてドーン!包まれている中身を知っていたけど、やっぱり興奮してしまう。
うおー、濃そうだ。さすがは南国の沖縄で生まれて、この尼崎の地で磨かれたホルモン焼である。見事に茶色い。
部位は豚の腸と肺あたりだろうか。バレンタインのプレゼント、チョコが苦手な人にはこれがいいんじゃないだろうか。
まずは全体の八割を占める腸部分をいただこうか。
入れてもらった爪楊枝で指して、その濃厚な匂いで我が胃酸を呼び出しているホルモン焼をいただく。
濃い!すごく濃い!濃いだろうなとは思っていたけれど、その予想よりもさらに濃い!だがそれがいい!もう後戻りのできない濃さだ!
この一口に、これぞホルモンという強いエネルギーを感じる。タレの味が濃いのもあるが、臭みは全く気にならない。爪楊枝で指して食べるものといえばタコ焼きだったが、それと並ぶ刺し心地といえるだろう。
こっちの茶色い部位も歯ごたえがあってうまい!
ここまでの濃さは、東京の五反田に勤めていた時、ランチ営業をしているスナックが出すカレーの金曜日版に似ている。その店は月曜にカレーを作って、それを金曜まで温め直し続けていたのだ。それくらい濃い。
甘いとかしょっぱいとかではなく、とにかく濃い。そんな味付けなんだけれど、これが全然飽きない。白飯かビールでも買っておけばよかった。
ミンチカツは安心のうまさ。
豚足は冷たいので、買い食いには向いていないようだ。
もしかして沖縄の肉屋では、このようにホルモンを店頭で焼くスタイルが当たり前なのかと思い、以前沖縄に住んでいたことがある編集部の安藤さんに聞いたところ、そんな店は見たことないとのことだった。
豚足は宿に持ち帰って温めたところ、柔らかくてとてもおいしかったです。プルンプルン。
阪神尼崎駅へ移動する
続いて訪ねる店も尼崎市内なのだが、最寄りはJR尼崎駅ではなく、阪神の尼崎駅。同じ尼崎なんだから徒歩圏内かと思ったら、東京でいうところのJR小岩駅と京成小岩駅みたいに遠い場所だった。いや、もっとか。
尼崎駅で待ち合わせをして、JRと阪神でそれぞれ待っていて会えなかったというのは、きっと関西ではあるある話なのだろう。
JR尼崎駅からバスで阪神尼崎駅へと向かう。ロータリー内のバスの行き先に、阪神と阪急が混ざっていて混乱した。
ちなみに岡野さんの話だと、尼崎市は北側がアップタウン(山の手)、南側がダウンタウン(下町)で、南側に位置するJR線や阪神線を使っている市民に住んでいる街を聞くと、「尼ですわ~」と答え、北側の阪急沿線の住民は「武庫之荘です」や「塚口です」と、尼崎という地名ではなく駅名で答えるのだとか。
もちろん岡野さんは南側である。
そういえば阪神って野球のチームだけではなく鉄道会社だった。
駅からアーケードの商店街に入ると、さすがは阪神沿線だけあって、タイガース色がさっき食べたホルモンくらいに濃かった。
六甲おろしが当然のように流れている商店街。冗談でも巨人軍の帽子とか被ってこなくてよかった。
阪神カラーの鳥居。
「え、優勝!」と驚いたが、間違いさがしのように「祈願」と書かれていた。
国産牛ホルモンの店、かごもとへ
目指す店は、国産牛のホルモンを専門に扱う「かごもと」というお店である。牛のホルモン専門店が店頭で売るホルモン焼きとは、一体どんなものなのだろうか。
ここでライターのスズキナオさんと合流。本当は1軒目の山里商店から一緒に来てもらうはずだったのだが、私の連絡が雑なこともあり、阪神の尼崎駅にきてしまうというベタな展開となったのだ。
東京出身で大阪在住のライター、スズキナオさん。
「いやいや、まさかJRと阪神の尼崎駅がこんなに離れているとは」と照れくさそうなナオさん。
かごもとは国産牛ホルモンの専門店というだけあって、親しみやすい店の多い商店街の中で、ちょっと高級感のある佇まいをしていた。
ショーケースに飾られたキラキラのホルモンが、この場ですぐに食べられるのである。なんて幸せなシステムなのだろう。
国産牛専門店ではなく、国産牛ホルモンの専門店なのだ。
さすがは専門店、私の知らない部位がたくさん売られている。
タケノコとは心臓近くの血管だそうです。へー。
肉の宝石箱、それがかごもとのホルモン焼き
店頭で売られているのは、これらのホルモンをミックスして鉄板で焼いたもの。なにが入っているかは日によって微妙に違うが、常時7種類くらい入っているそうだ。
お値段は100グラム300円。さっき豚ホルモンを食べたばかりということもあり、2人分として200グラムを注文した。
「ほら、トッピングとかありますよ!」と気づいたナオさん。
「すみません、このトッピングできますか?」「これはね、持ち帰って家でやるとおいしいやつ!」だって。確かに焼きそばとかチャーハンにしたらうまそうだ。
おっと、ここにもダウンタウンが。二軒連続で東京からやってきた大ファンみたいになってしまった。
お店の横に食べるスペースがあるとのことのなので、そこでいただかせてもらうことにした。
イートインというかイートアウトなベンチに腰かけて、鉄板で仕上げてもらった国産牛のホルモンをじっくりと眺める。
やばい、絶対に最高のやつだ。
ベンチでの飲食が似合うスズキナオさん。
七味唐辛子をたっぷりと掛けてもらった牛ホルモン焼き。やー、これはやばいよ。
フルフル、コリコリ、クニュクニュと、見た目から食感が想像できる多彩な部位。爪楊枝をどこに刺すか迷うのが楽しい。こんなに楽しい盛り合わせが、この世の中にあっただなんて。
とりあえず上から適当に食べてみると、程よいタレの甘さに続いて、脂の旨味がジワーッと滲んできた。さすがは国産牛、どこの部位かはわからないけど、味の高級感がすごい。
「うめー、まじうめー」
私が牛ホルモンに関して詳しくないこともあり、一口ごとに新鮮な驚きがやってくる。味わい、食感、どれもこれもが初体験。タレの味で全体がまとまっているものの、素材の持ち味はまったく失われていない。理想的なチームプレイだ。
この中でどの部位が一番好きかという質問は、小学生の自分におニャン子クラブから一人だけを選べと問うようなものである。
同じタレで焼かれている牛のホルモンに、これだけの個性があるなんて。これはホルモンの宝石箱、ホルモンのマキシマムやー!と、心の中のリトル彦摩呂が叫ぶ。
全部位がうまい!
これはさすがに酒がないとやってられん。お店の人にちょっと飲んでもいいか聞いてみたら、お好きにどうぞとの嬉しい返事。
早速、目の前のコンビニで氷結を購入。ビールでも日本酒でもなく氷結である。なんだか日本に来た外国人旅行者になった気分だ。
氷結を飲んで、「あー、氷結!」と、そのままの感想をいうナオさんがかわいかった。
これが俺たちの肉フェスだ!
ここがうまい、こっちもうまいと、二人して小声で小騒ぎしていると、社長らしき方がお肉の差し入れをしてくれた。それも2回。今思えば、ホルモン焼きも明らかに200グラム以上あった気がする。
この時点では取材だという話をしてないので、純粋な好意である。そういえばスズキナオさんと一緒にどこかへいくと、誰からともなくなにかをもらいがちだ。こういう力を大切に生きていきたい。
「ちょっとこれも食べてみて」と、牛の顎肉をポン酢で和えたものをいただく。
「これも食べてね。あと酒やったら、コンビニより先の酒屋が安いよ」と、顎肉の燻製もいただいた。
こうして俺たちの肉フェスが始まった。
酒のつまみが全部和牛なんて、こんな贅沢はないよね~と盛り上がる二人。コッテリとしたホルモン焼きに、サッパリとしたポン酢和えという組み合わせも嬉しい。
もったいなすぎて、燻製は大切に持ち帰らせていただいた。これももちろんうまかった。
これがタケノコという部位だろうか。確かに食感がタケノコっぽいかも。
もはやどの部位かまったくわからないけど、でもそこがいい!
このフワッフワな脂がたまらん!
肉と酒でお腹を満たしたところで、商店街をちょっとプラプラして、またこの街に来ようと言い合った。岡野さんの話では、この辺りにあと何軒かホルモン焼きを出すお肉屋さんがあるらしい。
でもたぶん、またJRと阪神でお互いが待ち合わせる駅を間違える気がする。それもまたよしだ。
向かいの帽子屋さん。ナオさんがDJホンダの存在に反応していた。
機関車トーマスの集合シーンみたいな商店街入り口。
私の知らない阪神のマスコットがいた。
傘が無料の商店街、いいね。
千鳥橋駅のみのやへとやってきた
関西ホルモンツアーの2日目は、尼崎駅から阪神なんば線で大阪市側へちょっといった千鳥橋駅近くにある、
シカクという同人誌屋さん(良いお店)をやっているご夫婦に案内をしてもらった。
「おいしいというか、おもしろい店だけど、大丈夫ですか?」
美味しさは昨日の2軒で堪能しているから大丈夫。ここは大阪のおもしろいを味わわせていただこうではないか。
このバラエティーミートショップみのやの斜め向かいがお目当ての店。
連れてきていただいたのは、シカクのすぐ近くにあるみのやというお肉屋さん。ホルモンだけにミノ屋なのか、それは聞きそびれた。
この斜め向かいにある、歴史を感じさせる支店(もともとはこっちが本店)で、ホルモン焼きやチヂミなどを売っているのだ。
招き猫のような牛の看板がキュート。
「おもしろいやろ?」と何回も念を押される
みのやのおばちゃんは26歳からずっとホルモンを焼いているそうで、なんというかテレビの向こう側に存在するような、コテコテの大阪のおばちゃんだった。
「取材?こんなオバちゃん撮ってどないすんねん!」と爆笑された。
ここの看板は牛だが、焼かれているホルモンは豚の小腸と脾臓(チレ)。150グラムで300円だ。
ホルモンの味よりも、おばちゃんの存在が名物になっているようで、大阪のテレビ局は一通り来ているのだとか。
150グラム300円。ええと、100グラムあたり200円か。
関西の方には有名なあの番組が取材に!
値段も素材も、山里商店に近いタイプかな。
作っている様子を見せてもらおうと思ったら、「にいちゃん、いいことさせてやるわ!」と店内に呼びこまれた。
これはどういう展開なんだとたじろいでいると、「かまわん、かまわん、ここは関西や!おもしろければええねん!」と畳み込まれる。
ならばと婿に入った気持ちで鉄板の前に立ち、ホルモンを焼かせてもらおうじゃないか。
「ほら、はよタレをかけて!こんなことさせるのは芸能人くらいやで!」
「にいちゃん、なかなかやるな!おもしろいやろ?」
自らの手で仕上げたホルモン焼きは、臭みも無くとてもおいしかった。
味はもちろん濃いのだが、鉄板の上で煮詰まった濃さではなく、タレ自体が完成された濃さを持っている。
このたっぷり掛かったテリッテリのタレがうまいのよ。
「遠くからお客さんも来てくれて、こっちでもお店ださへんか~っていってくれるけど、『うるさい!わしの体は一つや!』って断るんや。あと夏は暑くて大変やろ?っ心配されるけど、『うるさい!こっちは商売じゃ!』いうてやるねん」
これが大阪のおばちゃんの会話なのか。
「そのほうがおもろいやろ?素直に返すと思うか!ここは大阪やで!それも昭和や。平成なんかいらん!」
「ね、おいしいじゃなくておもしろい店でしょ」と、教えてくれたシカクの二人。
タレの作り方も教えてもらった
このホルモン焼き、タレが抜群にうまいですねーなんて話をしていたら、おばちゃんがタレの入った大きな寸胴を見せてくれた。
「この量を一度に炊くから、あの味になるんよ。ちょっとメモして」と紙とペンを渡されると、秘伝であるはずのタレの材料を暗唱し始めた。いいのか。
「ええの、全部教えたる。おばちゃん、中途半端嫌いやねん!」
「それぞれの量は好きにしたらええ」
二回目の醤油に、「醤油さっきもいった!」と全員からツッコミが入った。
「ワインが隠し味や」と、隠れているはずの味を見せてくれる。
「こっちで煮ているのは豚足な。もう少しで煮えるから、またおいで」
これが大阪のおばちゃんかーと感心していたら、シカクの二人が「いやいや、普通ではないよ」と否定した。なるほど、東京のラーメン屋に必ず泉ピン子がいる訳ではないのと同じか。
「うちは豚やけど、牛のホルモンなら向こうにいい店があるよ」と教えてもらった。
よく見ると、おばちゃんはへそだしルックだった。
「ははは。こういう服、昔から好きやねん」
以下はおばちゃんに教えてもらった牛ホルモンの店に寄ってからの話だが、ややこしいのでここでまとめて記載しておく。
茹で立ての温かい豚足がとにかくうまかった。
「ここで食べる人には包丁で切ってやるねん。居酒屋のは冷たいやろ、ここのはぬくいんや」
水と塩だけで2時間半煮込んだ豚足がうまい。「まかしなさい!いうたやろ、中途半端はイヤやて!」
ついでにキムチチヂミもいただいた。
「おばちゃんB型やろ?大きさバラバラに切るんや」 血液型、しらんがな。
話の流れで裏メニューのホルモンうどんも焼いてもらった。麺を持参すると作ってくれるらしい。
特製のタレで染まったうどん、もちろんうまい。
「お互いに元気をもらえるやろ?」と、通りがかる知り合い(ほぼ全員)に挨拶をするおばちゃん。
「おもしろみあったやろ?大阪来てよかったな!」と、自信満々なおばちゃん。ありがとうございました。
おばちゃんのインパクトに、大阪でのすべての記憶が上書きされそうになった。
もう一軒の牛ホルモンの店へ
みのやのおばちゃんのパワフルなトークを後にして、教えてもらった牛ホルモン焼きの店へと向かう。
尼崎もそうだったが、この街も商店街が楽しい。ホルモン焼きと元気な商店街、旅行者にとっては最高の観光だ。
カラフルな缶チューハイ。
大分出身の奥さんが揚げる、日本一おいしい唐揚げ棒を買い食い。
商店街を抜けた先に、教えてもらった店はひっそりとあった。
店名はリキホルモン店。あのおばちゃんの紹介だし、こわもてのおじさんが豪快にホルモンを焼いているのかと思ったら、上品なおねえさんの店だった。
焼肉店などへの卸がメインと予想される静かな店構え。
このあと豚足とチヂミが待っているので、160グラムでお願いしました。
うおー、うまっそー。
ここは昨日のかごもとと同じく、牛ホルモンの専門店で、そのミックスを店頭で焼いてくれるスタイル。
お値段は160グラムで400円。この時はまったくわからなかったが、今になって冷静に計算してみると、100グラム250円のようだ。しかも500グラムなら1000円と超お得になっている。
この店が近所に欲しい。
もしこの近所に住んでいたら、ここで500グラムのホルモン鉄板焼を買って、友達の家に遊びに行きたい。最高の家飲みだ。
いやいやいや、生のホルモンを買っていって、焼肉パーティーも楽しいだろうな。いっそ河原に七輪をもっていっちゃう?
そんな妄想が止まらなくなる店なのである。
もちろん生のホルモンも充実。焼肉パーティーしたい。
「お、さいぼしあるやん!これうまいよ!」とシカクの店長が反応した。
色鮮やかなフクにタチ。肺と脾臓だそうです。
どの部位も一番うまい
デパ地下風の食べやすいカップに入れて出された牛ホルモン鉄板焼きは、タレをまとってテリッテリに輝いていた。
特上の海鮮丼くらい、どこから食べるか迷ってしまう。絶対にハズレのない、幸せだけの選択肢だ。
入れ物が違うと印象も変わりますね。
「おれ、牛で一番うまい場所を食べたかも!」
「いやいや、こっちの方がうまいかもよ?」
どこか女性らしさを感じさせる優しい味のホルモンは(焼いている人が女性だから)、もちろん臭みなんてまったくなく、牛ならではの深い味わいで我々を楽しませてくれた。
「このタケノコがうまいんだよね」と、昨日仕入れたばかりの知識を披露。
どこもうまい。ホルモンの部位、もっと勉強したい。
ホルモンを二日で4軒食べて、多少胃がもたれた感もあるのだが、次は自分で料理してみたいという欲が出てきた。
知っているようで全然知らなかったホルモンの世界、今度はじっくりと足を踏み入れてみたいと思う。
尼崎も千鳥橋も、豚ホルモンも牛ホルモンも、どれも違っておいしかった。一堂に並べて甲乙をつけるよりも、それぞれをその場で食べるのが正解だろう。もし地元にあればそれが一番だ。
大阪ならどこの肉屋でもホルモンを焼いているという訳ではなく、ごく限られたお店でのサービスらしいのでご注意を。4軒も回れてとっても幸運だった。
「疲れた時に見るようにオバちゃんと写真撮っとき!」