「夏を制する者は受験以外も制するのか」
「夏を制する者は受験以外も制するのか」
これを確かめるためには、一旦夏を制する必要がある。
無茶だ。
そこがそもそも難しいのだ。
心身ともにキレッキレの受験生が、一日中自習室や勉強部屋にこもって相手にしている「夏」なのだ。
ちょっと思いついたので休日を利用して、なんてスタンスではできるわけがない。
ではせめて、夏を制したであろう受験生のコスプレをさせてもらいたい。
形から入って身につくことだってあるだろう。
というわけで今回は、「夏を制した受験生」を自らに憑依させて、他のことも制するかどうか、検証していきます。
きっと制する。
こうなった
こうなった。
受験生になるべくアイテムを揃えたら、マンガでしか見ない容姿ができあがった。
誰がどう見ても受験生だが、どの予備校をいくら探したってこんな受験生はいないんじゃないか。
なんて言ったってこのメガネとハチマキはドン・キホーテのパーティーグッズ売り場にあったのだ。
「Let's Party」じゃないよ、と思う。
合格への意気込みが伝わってくるハチマキも、同じコーナーにあった。
パーティーと受験。
喜びと悲しみ、ぐらいはっきり対極にいやしないか。
希望と絶望、愛と裏切り、パーティーと受験。
生きていると、ごく稀に相反する矛盾したものが一斉に降りかかってくることがあるのだ。
受験を、社会の中で立ち向かう最初の試練と考えると、良い人生経験かもしれない。
そういうわけなので、来年度受験生となる学生には、まずドン・キホーテのパーティーグッズ売り場に行くように勧めておきたいと思った。
過酷な夏を思い描きながら「Let's Party」と書かれたメガネを買い求めてほしい。
あとは、レッドブルやブラックのコーヒーを飲んで受験生気分を演出したい。ハチマキの下には冷えピタを貼っている。
さっきから色々写真に写り込んでいるが、検証は、鎌倉にあるちょっと変わったレンタルスペースで行った。レトロな小物がたくさんあって楽しい。
検証① 夏を制する者は受験を制すし、マリオカートも制すか
さて、今回は4つの検証を行う。
レーシングゲーム、マリオカートは「心技体」で言うと、「技」の部分だろう。
受験生になって、マリオカートのタイムは上がるのだろうか。
まずは、夏を制していない普段の自分のタイムを計る。
ゲームもテレビも部屋にあった。自由に遊んでいいらしい。
終わった。5周して、1分25秒50。すごくもたもたした。夏を制していないからだろうか。
ではいよいよ、夏を制した受験生のタイムを計る。
今まで勉学でしか己の能力を評価されてこなかった受験生である。
マリオカートでどんなプレイを見せてくれるか、期待が持てる。
なんて言ったって夏を制しているのだ。
レッドブルをグビリと飲んだ。受験生もやる気十分である。
おもむろにスタートした。
なんてダメな画だ。ゾクゾクする。
カップラーメンや眠眠打破が、寝ないでマリオカートやってる感じを演出している。ダメな画だ。
タイムは、1分26秒73。夏を制していない人間に比べて1秒遅くなった。
理由は、視界がこんなんだから。
受験生は、一般人に比べて視界が大きく制限されている。
そうやって他の感覚を研ぎ澄ませているのかもしれない。
現に、かなりの悪条件の中、たった1秒のビハインドで済んだのだ。
修行を重ねて本当に夏を制すれば、目をつぶったまますごい記録が出せるのかもしれない。
検証① の結果
夏を制する者は受験を制すが、マリオカートは制さない
検証② 夏を制する者は受験を制すし、野球盤も制すか
もう一つ「心技体」で言うところの「技」の側面を見てみたい。
野球盤だ。ほぼ初めてやる。
ぶんぶん空振りした。
バッターで挑戦したのだが、思っていたより球が速くて全然当たらない。
「ピッチャーが有利なゲームですね!」とか言い訳していたのだが、これも夏を制していないからだろう。
受験生にやってもらおう。
受験でも野球でもなく、野球盤に夏をかける。
ダメだ!空振りしてメガネが落ちた。
負けたけど校歌を歌う。ダメな画だ。
ハチマキやレッドブルの効果で気持ちはシャキッとするのだが、ダメなものはダメだ。
ぶんぶんバットを振ってあっという間に負けてしまった。
受験生になって感覚が冴えてくるような気がしたのだが、勘違いだったのだろうか。
検証② の結果
夏を制する者は受験を制すが、野球盤は制さない
なんか分からないけど、他の撮影で来ていたライターの江ノ島さんが主審を務めてくれた。写真はプレイボールを宣言した直後。
検証③ 夏を制する者は受験を制すし、視力検査も制すか
レンタルスペースに視力検査のボードがあったので使ってみた。
受験生の冴え渡った勘で、視力検査に挑んでみよう。
「心技体」で言うところの「心」の部分だ。
これがあったのだ。
片目をふさいで答えていく。
夏を制していない人間の視力は0.5であった。
そう、ちょっと目が悪いのだ。
普段は裸眼だが車を運転するときはメガネをかける。
夏を制した受験生の挑戦。やる気はあるようだ。
だが、立ち位置に来て笑ってしまった。
何も分からないのだ。
かろうじて一番上の輪っかだけ方向が言えるが、下の方になってくるとどこに輪っかがあるのかすら分からない。
今光っているところにも、黒い輪っかがあるのかどうかすら疑わしいのだ。
困ったことになった。
でもしょうがないのでやる。レッドブルを握る手にも力が入る。
目を細めたり開いたりしながら、それでも見えなかったらもう勘で答えていく。
そう言えば、センター試験はマークシート方式である。
複数の選択肢から正解を選ぶ作業なら受験生の得意分野なのだ。
ここは譲れまい、そんな思いから、レッドブルで目をギンギンに開いて黒い輪っかを探した。
すると、全く見えないゾーンを指示されてもなんだか当たるのだ。
「…上?」「正解!これは?」「……右下」「正解!これは?」「…………………左?」「…見えてないんですよね!?」
結果は0.6だった。
視力が上がったのだ。
視界はぼやぼやだったが「こっちな気がする」だけで0.6。
夏を制した力がいよいよ発揮されたのかもしれない。
検証③ の結果
夏を制する者は受験を制するし、視力検査も制する
検証④ 夏を制する者は受験を制すし、反復横跳びも制すか
いよいよ「心技体」の中の「体」の部分である。
受験生と縁遠いジャンルである反復横跳びだが、夏を制した力で記録を伸ばせるだろうか。
まずはこれまで通り、夏を制していない者が記録を測る。
人が横切られる時はやめて会釈していた。
最後はもうヘロヘロになる。
1分やった。
特に理由もなく、キリがいいので1分に設定したのだが、永遠のような1分間だった。
記録はだいたい100回ぐらい。
疲れてしまってちゃんと数えられていない。
あとで調べて分かったのだが、反復横跳びって20秒ぐらいでいいみたいだ。
40秒も無駄に跳んでしまった。
そしていよいよ、夏を制した受験生の出番である。
大丈夫か。溶けてしまわないだろうか。
溶けなかった。張り切ってスタートする。こんな時もレッドブルをつかんで離さない受験生。
この時通行した方々には、夏を制した受験生がぴょんぴょんしていて大変申し訳なかったと思う。
皆さんのこの日の思い出が、楽しい鎌倉観光であったことを祈念しております。
また1分やった。
最初に1分やっちゃったから。
記録はだいたい100回。
同じだ!
ただ、肉体的に2セット目の反復横跳びではあったので、同じ記録を出せたのは夏を制した受験生の精神力のおかげかもしれない。
そういう意味で反復横跳びも制した、と言いたいところだが、100回は100回である。
惜しくも制することはできなかった。
検証④ の結果
夏を制する者は受験を制すが、反復横跳びは制さない
制した、制さないの図ができました
ここまでの4つの検証を、表にまとめると、こうなる。
制した、制さないの図。夏と受験を当たり前のように制しているのがまずすごい。
今回やってみた4つの中で制することができたのは視力検査だけだったが、他の検証でも悪条件の中、かなり惜しいところまでいったんじゃないかと思う。
やはり装いを変えた時の気持ちのシャキッとする感じは、パフォーマンスに影響していると思う。
そのモデルが、夏を制しているんだからなおさらである。
というわけで、夏を制する者は受験を制するし、更には視力検査も制することが分かった。
検証する競技の範囲を広げれば、もっと色々なものを制する可能性もある。
受験生の、今後の活躍が非常に楽しみである。
検証の前後は、野球盤をやったり他の方の撮影をしたりただごろごろしたりしていました。
とても楽しかったです。
夏の鎌倉はいいところでした。
野球盤で空振りをすると、自責の念で震える江ノ島さん。