特集 2017年6月29日

コンビニエンス・リッツパーティー

高貴。
貴族。
かつてCMで女優の沢口靖子さんがやっていたリッツパーティ-。

われわれ庶民にはとうてい縁のない話だと思っていたのだけれど、思い切ってやってみたらこれはレジャーとしてありだなと思ったので報告します。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

パーティーがしたくて人んちの庭を借りる

リッツパーティーはかねてからやってみたいと思っていたのだ。しかしいざやろうと思うとなかなかに悩む。

まずリッツパーティーの会場といえばやはり光あふれる庭先だろう。芝生が青々としていたりするとさらにいい。いわゆるガーデンパーティーというやつである。

しかし残念ながらわが家にはそういった洒落たスペースはない。

パーティーのできそうな庭がないか探していたとき、そういえば前にライター江ノ島くんの家に行ったときに庭を見たことを思い出した(この記事)。
そこでお願いしました。
そこでお願いしました。

リッツパーティーのためにひとつ君の家の庭を貸してくれないか。お願いすると江ノ島くんはどうぞどうぞと快諾してくれた。持つべきものは気前のいい友だちである。しかしひとつ不安があるという。

「最近、会社でユーチューバーって言われているんです。」

話を聞くと、どうやらデイリーで記事を書いていることが会社の同僚にバレ始めているらしいのだ。本名なのかどうなのか判断しにくいペンネームでわざわざ活動している江ノ島くんにとって、それは確かに気がかりだろう。それにしてもライターではなくユーチューバーってどういうことか。同僚のみなさんは江ノ島くんのどの記事を読んでそう思ったのか。

なるべく江ノ島くんの素性がばれないように気をつけて書くから、ということで了解してもらい家まで来てみると、それとはまったく別のところに問題はあった。

パーティー会場に家が建ち始めているのだ。
パーティー会場に家が建ち始めているのだ。
以前うかがったときは江ノ島くんの家の横には広大な庭があったはずだ。あったよな?

「安藤さんの言っている庭っていうのは今家を建てているところのことですか?あれは隣の敷地ですね。」

言ってほしい。
戸惑う僕をよそにリッツパーティーの準備をすすめる江ノ島くん。
戸惑う僕をよそにリッツパーティーの準備をすすめる江ノ島くん。
「ここと裏庭とありますが、どちらがいいですか。ここだと通行人から見え、裏庭は虫がでます。」

星新一のSFに出てくるロボットみたいな質問をされたが、虫はいやなのでここを選んだ。こうして江ノ島くんの家に着いて2分後にはパーティーの準備が整っていた。
ガーデンパーティーというと前日から家族総出で掃除をしたり芝を刈ったり肉にスパイスを振ったりして準備するイメージがあるが、気持ちを切り替えるだけで準備が整うパーティーもあるのだ。
ガーデンパーティーというと前日から家族総出で掃除をしたり芝を刈ったり肉にスパイスを振ったりして準備をするイメージがあるが、気持ちを切り替えるだけで準備が整うパーティーもあるのだ。
思い描いていたものとは少し違う気もするが、なにはともあれぼくらのリッツパーティーが始まった。
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いまページをまたいだら夢から覚めていないかと思っただろう。残念ながら続いている。これから江ノ島くんちの玄関先のスペースでリッツパーティーをやるからみなさんも参加した気分になって読んでほしい。

今回はなるべく気軽にリッツパーティーを催せるよう、スーパーやコンビニで誰にでも調達できるものを中心に具を選んできた。互いのおすすめを交互に出しあって盛り上がっていきたい。

リッツパーティーといえばサラミとチーズ

まずはベーシックなところを押さえておきたいと思う。リッツパーティーといえばサラミとチーズだろう。ドリンクはシャンパンといきたいところだが、遊びじゃないのでジャスミンティーにした。
まずは基本をおさえておきたい。
まずは基本をおさえておきたい。
これをリッツに乗せたらいいんだろ。
これをリッツに乗せたらいいんだろ。
「おーい、足場!足場だよ!」
「ういぃぃぃぃぃぃーーん」
「ボード裏から塗っといて!」

隣で家を建てている職人さんたちの威勢のいい声が僕たちのBGMである。いまのところ通行人はあまり見てこないが、職人さんたちは最初からガン見だ。
どうぞ。
どうぞ。
江ノ島くんは「リッツパーティーってこうやって自分で乗せて食べるんでしたっけ」と言っていたが、おかしいなと思っているのは僕だって同じである。考えるな、食べろ。楽しんだ者からリッツパーティーが始まるのだ。
わかりました、いただきます!
わかりました、いただきます!
どうかな、基本のリッツは。

「は、はたいっふ!(か、かたいっす)」

何を言っているのかわからなかったので僕もひとつ作って食べてみたところ、江ノ島くんの言いたいことがわかった。

リッツとサラミとチーズがそれぞれに別の硬さと食感を持っていて、一緒に食べると非常に取り合わせが悪いのだ。味は美味しいのでもしかしたら上級者にはうまく食べるコツが共有されているのかもしれないが、できれば別々に食べたい。もしくはチンしてチーズを溶かしたい。

基本と思っていたものから予想外の結果を突き付けられて困惑しているが、こうなったら僕たちなりに持ちよった食材の中から正解を見つけていきたいと思う。

ポテトサラダ

江ノ島くんが取り出したのはポテトサラダである。美味しそう。
正解ねらいで来たな。
正解ねらいで来たな。
実家の玄関先でポテトサラダをリッツに乗せる江ノ島くん。
実家の玄関先でポテトサラダをリッツに乗せる江ノ島くん。
忘れてしまいそうなのでくどいほどに書くが、これはリッツパーティーである。地鎮祭ではない。
できました!
できました!
あ、君が食べるのね。
あ、君が食べるのね。
この日は梅雨の間の晴れ間が広がり、気温は30℃近くまで上がっていた。リッツパーティーをするにはすこし暑すぎる感じもするが、外なので雨の心配をしなくていいのは助かる。
ガーデンパーティーっていうのは通行人の目とか天気にも気をつかうのだ。
ガーデンパーティーっていうのは通行人の目とか天気にも気をつかうのだな。
で、どうだったかな、ポテサラリッツは。

「美味いっす。コンビニのポテトサラダってやっぱり外さないですよね。」

それはポテトサラダの感想であってリッツの具としての感想ではないような気もするが、僕も食べてみたところこれが確かに合う。ポテサラの水分が乾いたリッツと合わさるとちょうどいいのだ。加えてリッツのほんのりとした塩気も全体のバランスを整えてくれている。
「でも普通に食った方が食べやすいですね。」
「でも普通に食った方がいいですね。」
次は僕が選んできた食材である。夏を感じてほしいと思って買ってきた。

ひとくち梅きゅう

梅きゅうりである。リッツに乗せるならキャビアとかよりも意外とこういうさっぱりしたやつが美味いんじゃないかと思うのだ。
おつまみリッツになると思う。
おつまみリッツになると思う。
「こんなのぜったい美味いやつじゃないですかー。」
「こんなのぜったい美味いやつじゃないですかー。」
冗談みたいな見た目だが、これはぜったい美味しいと思う。リッツにオリーブ、みたいなことだろうか。おしゃれで言うところの「はずし」である。
いや
「いや」
「違いますね。」
「違いますね。」
これが違った。ものすごく食べにくい。

なんというか食感が圧倒的に合わないのだ。サクッとしたリッツの上でふにゃっとしたきゅうりが卑屈な目で訴えかけてくる。江ノ島くんは「どっちか外すならリッツを外します」と言っていたが、その意見には僕も賛成である。リッツがなければうまい。

フライドチキン

これが江ノ島くん的には本命とのことである。コンビニレジ横に売られているフライドチキンだ。
「これ美味いんですよ。」
「これ美味いんですよ。」
食べたことあるから美味いのは知ってる。

でもそれをどうやってリッツに乗せ…、あ
そういうことねー。
そういうことねー。

「サクサクのリッツが衣になるんじゃないかと思って。」

なるほどー。この柔軟でくいしんぼうなアイデアにはちょっと嫉妬した。

こいつがユーチューバーって噂される理由がなんとなくわかった気がした。
ユーチューバーって噂される理由がなんとなくわかった気がしました。
この頃から(もしかしたらこれはリッツパーティーじゃないかもな)と思うと同時に、妙な楽しさが芽生え始めてもいた。この圧倒的な非日常感が脳内麻薬となってシナプスをつなげたのかもしれない。

もっとないのか、リッツに乗せて美味しいものは。
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プチシュークリーム

実は甘いものが合うとかないだろうか。シュークリームを乗せてみた。
完璧なシェイプではないか。
ちょっと食べにくくはあるけど。
サイズ感もばっちり。
サイズ感はばっちり。

正解来ました!

シュークリーム・オン・ザ・リッツを食べた瞬間、二人で顔を見合わせた。

「合う」「合いますね」

正解が出た。シュークリームである。

リッツは口の中の水分を効率よく持って行く、いわば小さな砂漠である。その砂漠に咲く一輪の花、それがシュークリームなのだ。一緒に食べるとパサつかないしリッツの塩気がシュークリームの甘さを引き立たせてくれて何もかもがちょうどいい。沢口靖子に教えたい。

この調子でもうひとつふたつ正解が出るといいのだけれど。

チキンラーメン

さっきシュークリームで正解を見たはずの江ノ島くんが、このタイミングで正反対のチキンラーメンを持ってきた。
無邪気に。
無邪気に。
どうやってリッツに乗せるんだよそれ。
「こうやってちょうどいい大きさに砕いてですね」
「こうやってちょうどいい大きさに砕いてですね」
「こうですね。」
「こうですね。」
なるほど。

チキンラーメンは砕くたびにぽろぽろこぼれ落ちるが、ここは外である。家の中ほど気にならないのはたしかに都合いい。
この後アリが運んで行った。
落としたチキンラーメンのかけらはこの後アリが運んで行きました。
まず江ノ島くんに見本を見せてもらった。
「絶対うまいですって」からの
「まあ見ててくださいよ」
「そうでもないですね」。
「そうでもないですね」。
「すみません、これはちょっと違うみたいでした。」

僕も食べてみたのだけれど、チキンラーメンの味が濃いためにリッツの存在がほぼ消えてしまうのだ。食感もパリパリサクサクしていてなんだか腹が立つ。チキンラーメンが美味しいのは認めるけど、ちょっと食べにくいしリッツに乗せる必然性がないと思う。

僕たちは暇なのでこの先も試行錯誤を繰り返しますが、みなさんの時間は大切にしてもらいたいので、ここからはダイジェストでおとどけします。

まんじゅう

まんじゅうは
まんじゅうは
「お茶が欲しくなりますね。」
「お茶が欲しくなりますね。(トータルの水分量が足りない感じでした)」

ごはんですよ!(海苔の佃煮)

リッツにごはんですよ!は
リッツにごはんですよ!は
「ちょっとしょっぱすぎるなー。」
「ちょっとしょっぱすぎますね(ご飯の方がいいと思います)。」

きざみパクチー

こういう商品があるんだな、という学び。
こういう商品があるんだな、というところに感動して購入。
「あー、これは、草むらにいる感じですね。」
「あー、これは、草むら食べてる感じですね(僕はわりと好きでした)。」
もうこれ以上正解は出ないのだろうか。おれたちのリッツパーティーはシュークリームしばりなのか。

いったん家に戻った江ノ島くんが何か持って出てきた。
気軽に家に帰ることができるのもガーデンパーティーの良さである。
気軽に家に帰ることができるのもガーデンパーティーの良さである。
江ノ島くんが持ってきたのは納豆だった。冷蔵庫にあったらしい。

納豆

「意外と和が合うと思うんですよね。」
「意外と和が合うと思うんですよね。」
「せっかくの庭だから、あそこで食べましょう。」と突然言い出すユーチューバー江ノ島茂道。
「せっかくだから、あそこで食べましょう。」と突然言い出すユーチューバー江ノ島茂道。
「どう?」「虫がいます。」
「どう?」「虫がいます。」
たしかに納豆リッツは悪くなかった。納豆くらいクセのあるものの方が合うのかもしれない。もう少し水分があるとよりいいと思う。

餃子

いい焼き目である。
いい焼き色である。
「餃子の味が薄まる気がしますね。」
「美味しいけど、餃子の味が薄まる気がしますね(ひと口で食べきれないので食べにくかったです)。」
だいたいの傾向がつかめてきた。リッツに乗せて美味しくなるものの条件として

・水分があるもの
・柔らかいもの
・味の濃いもの

このあたりが揃っているといいのではと思う。とはいえ「ごはんですよ!」はちょっとしょっぱすぎたので、程度の問題はあるのだろう。難しい。

順位発表

実験の結果、編集部がおすすめしたいリッツパーティーの具ベスト3は以下。
1位:甘さも水分もパーフェクト、ミニシュークリーム
2位:おかずリッツとしてのご提案、ポテトサラダ
3位:とにかく大好き、コンビニチキン
これ、単に僕と江ノ島の好きな食べ物ランキングのような気もするが、休日をつぶして得られた情報である。みなさんなりに何か重要な情報を感じとってほしい(投げた)。

番外編:じゃがいも

だいたい終わったかな、と思っていたところに江ノ島くんのお母さんがじゃがいもの煮っころがしを作って持ってきてくれた。予期せぬタイミングで食材が増えるのもガーデンパーティーの良さである。
気を使わせちゃってすみません。
気を使わせちゃってすみません。
はじめた頃からなんだか家の中からいいにおいがするな、と思ってはいたのだ。たぶん僕たちが庭でなにか楽しそうにやっているので、急きょ作ってくれたのだろう。ありがたいし申しわけない。
美味しかったです。
美味しかったです。

こうしてはじめてのリッツパーティーは幕を閉じた。これはリッツパーティーに限った話ではないが、外で立ったまま食事をするというのは、それだけでちょっとしたイベント感が得られることもわかりました。次はテント持ってきてキャンプします。江ノ島くん、お母さん、ありがとうございました。
リッツパーティーのしばりを外したとたん、そのままぽいぽい食べ始める江ノ島くん。
リッツパーティーのしばりを外したとたん、そのままぽいぽい食べ始める江ノ島くん。
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