あの通路、実際はそこそこ歩く距離だけど、最初に「果てしなく遠い」と感じるので、鏡だとわかった後は「意外と近かったね」と思ってしまう。不良が猫をかわいがるだけで「意外と優しい」と思われるのと一緒のメカニズムかもしれない。そういうのズルいぞ。
遠くないはずなのに先が全然見えない
百聞は一見にしかず。元町・中華街駅で降りて、問題の通路まで行ってみよう。
「一冊の本」をコンセプトにデザインされた元町・中華街駅。ホームが吹き抜けでめちゃくちゃカッコいい。壁には開港当時の風景が描かれている
改札を抜け、「中華街 山下公園」方面の1番出口を目指す。階段を上ると……
ゴールが見えない
実は元町・中華街駅は、元町寄りにホームがある。元町商店街へは割とすぐ出られるのだけど、横浜中華街へはちょっと歩かないといけない。
とはいえ、わ~い中華街だ~という観光気分が20%ほど冷える光景である。先が全然見えない。遠近法の描き方を説明する図でこんなのあった。
いやでも他にも超長い地下通路なんてあるもんな、新宿とか有楽町とか、というご意見もあると思うのだけど、地上に出て長さを確かめてみるとそんなに遠くないのだ。
とはいえ、わ~い中華街だ~という観光気分が20%ほど冷える光景である。先が全然見えない。遠近法の描き方を説明する図でこんなのあった。
いやでも他にも超長い地下通路なんてあるもんな、新宿とか有楽町とか、というご意見もあると思うのだけど、地上に出て長さを確かめてみるとそんなに遠くないのだ。
元町方面から中華街方面を見た写真。地上から見るとそんなに遠く感じない
でも地下に戻ると2kmはありそうな気がする(※個人の感想です)
しばらくこの地点で写真を撮っていたのだけど、観光に訪れたマダム達からは「えっ……」「こんなに?」「JRのほう(※石川町駅)が近かったかしら」と戸惑う声が漏れていた。びっくりしますよね。
空間の狭さから距離が遠く感じるのかもしれない。それにしても吸い込まれそうな遠さ。これはいったいどういうことなのか。その謎は地下通路を進むと解ける。
空間の狭さから距離が遠く感じるのかもしれない。それにしても吸い込まれそうな遠さ。これはいったいどういうことなのか。その謎は地下通路を進むと解ける。
長い通路の途中には箸休め的な感じで横浜土産が展示されている。横浜市民にはお馴染み「♪ありあけの~ ハ~バ~」 の姿も
だいたい中間地点。なんとなく突き当たりの様子がおかしいことに気づき始める
ん……?
ん……??
鏡だ……!
長い地下通路は右に90度折れて終わるのだが、突き当たりの部分に鏡がストライプ状に仕込んであるのだ。
広いお店だなぁと思ったら店の壁が鏡だった、というプチドッキリにかかったことがあるだろう。鏡を使うことで空間を広く見せるトリックが、地下通路の終点で使われているのである。どれだけ長く見せようというのか。背伸びが過ぎるのではないか。
広いお店だなぁと思ったら店の壁が鏡だった、というプチドッキリにかかったことがあるだろう。鏡を使うことで空間を広く見せるトリックが、地下通路の終点で使われているのである。どれだけ長く見せようというのか。背伸びが過ぎるのではないか。
鏡じゃない方は黒船来航が描かれている
ちなみに鏡ではない方のストライプには、横浜の黒船来航(1854年)の様子が描かれている。遠路はるばる航海してきたペリーと遠路はるばる歩いてきた自分が鏡の中でクロスオーバーする。俺がペリーでペリーが俺で。開国気分で地上に出れば、目の前はすぐ横浜中華街だ。
地下通路を曲がって地上に出れば中華街の「朝陽門」。門をくぐるとすぐスタバがあります
中華街にはラーメン博物館はありません