会場は神保町
展覧会は東京・神保町の貸しギャラリー「CORSO」で開かれていた。
設計演習Aの展覧会には毎回来ているんだけど、たしか去年もここだった。使いやすいのかな。
会場
お客さんいっぱい
そんなに広くはないんだけど、びっしりと展示してあって、ぜんぶ見はじめると時間がかかる。でも一つずつが本当に面白いのだ。
最初に目についたのはこれ。
「チラシを立てるやつの採集」
これは「都市の採集」という課題に対する回答だ。「同じ種類の都市的工作物を一つ見出し、そのヴァリエーションを可能な限り採集してください。」というもの。
確かにあるある!こんなのよく気がついたなあ。チラシを立てるやつの場所が書いてあるので、実際に行ってみた。
早稲田ウィークリーのチラシを立てるやつ
Shinshoのチラシを立てるやつ
確かにこんな形してるし、それぞれ形が違う。
これは即日課題なので、課題が出された当日のうちに、対象を考えて、集めて、提出しないといけない。そんななかで「チラシを立てるやつ」を見つけるとはすごい。今までまったく見えてなかった。
つぎは、社会のなかの隠れたルールを見つけ出すという課題への回答。
「リュックサックの心理」
学校の中で人が座っているようすを見てみると、リュックサックを置く場所を含めた自分のスペースが広いほどリラックスした状態で、狭いほど緊張状態だということを表している。よく発見したなー。
たとえば電車の中で一番左側の状態になることってめったにないし、あるとしたら早朝でガラガラのときとかで、確かにリラックスしてるもんね。
隠されたルールを見つける
「LINE」
これも隠されたルールを見つける課題への回答だ。
道が大きく曲がっていて遠回りにもかかわらず、人々はショートカットしない。それは道の脇のミゾが原因じゃないかという。
同じ場所に行ってみた
現地はこんなふうだ。左奥が公園の出口なんだけど、確かにみんな回り道してる。
道の左側にミゾも砂地もなくて、ずっとアスファルトだったらみんなまっすぐ行くだろう。でも砂地になってることで一つ目の壁があり、ミゾがあることで二つ目の壁がある。デザインによって自然とルールが生まれるってことなんだね、たぶん。
ハトには関係ないけどね
誰も知らなかった視点を見つける
つぎは「誰も行けない視点」という課題。
美しさや意外性のある、誰も知らなかった視点を見つけてくださいというもの。それへの回答がこれ。
「跡」
これ、なんだか分かりますか。建築学科だから、橋梁の裏を見上げたところかなあと予想したら、ぜんぜん違った。
作者の意図として答えずばりを書いていないようなので、なんなのかなあと想像するのも楽しい。
ヒントは、足元です。確かにこの視点はなかった。分かってしまうと、次はいったいどうやって描いたのかなあと思ってしまう。
役に立たない機械をつくる
つぎは役に立たない機械を作りなさい、という課題だ。
タモリ倶楽部でも毎年取り上げられているのだが、当サイトではそれ以前から取り上げているぞという謎の自負がある。えっへん。
「ガラガラ」
たたずまいが美しい機械だ。名作の予感がする。
取っ手があるので回してみた。
回してみた
回すととてもいい音がする。動画にもしてみたので、ぜひ音を聞いてみてください。
抽選のガラガラみたいなんだけど、穴が空いてないので出てこない。純粋に回して音や感触を楽しむ機械になっている。
つづいての役に立たない機械はこちら。
「無気力ダイス」
サイコロの各面の点をぜんぶ取って中に入れた。だから振って出た目がなんなのかは見る人の解釈しだい。
1の赤い目もちゃんとあるんだけど、他の目も出てるしなあ。しいていうなら、21 (=1+2+3+4+5+6)が毎回出てるってことになるかなあ。
共感されない美を見つける
つぎは、他人には共感されにくい美を見つけ、共感してもらえるように説明を加えてくださいという課題。
「ヴァイオリンの中の住人」
バイオリンの中にホコリのかたまりがあって、コロちゃんと名づけているというもの。
想像すると確かに愛らしいし、なんか育ちのよさも感じられて参ったなあという感じだ。