昼夜(ちゅうや)写真とは
一枚の写真に昼と夜がいっぺんに写っている写真が撮りたい。
言っていることが唐突だと思うので、とにかく撮ってみた写真をお見せします。こんなです。
東京都庁
東京都庁が写っている。でもなんか変でしょう。上のほうは昼なのに、下にいくとだんだん夜になるのだ。
こんなふうに、一枚の写真なのに昼と夜が同時に写ってる写真が撮りたいと思ったのだ。ちょっと面白くないですか。
どうなってるのか
やりかたは単純で、まず日没の30分前から30分後までをビデオに撮る。
日没30分前から
日没30分後まで
そしてビデオが1秒進むごとに、上から順に1ピクセルの幅ずつ画像をもらってきて並べればできあがり。つまり完成した画像は、1ピクセル下がるごとに1秒時間が進んでいる。
下から順にすれば、夜から昼に変わる写真もできる。
上が夜になってる東京都庁
まあでもこれはなんだかよくわからない。
やっぱり、上が昼になってるほうが、悪の帝国っぽくていい。
悪の帝国っぽい東京都庁
ダースベーダーとかいそうでかっこいいと思う。
それから、横長の写真で、時間が横に向かって変わっていくのでもいい。
東京駅方面の景色
これは画面の左側が日没前、右に進むごとに日が暮れていく。
画面の左側ではビルの窓に明かりがついてないけど、右側では窓も点灯してるし、よく見ると街灯もついてる。
左側が若干シマシマになってるのは、ビデオの設定をミスったせいだ。
近所の公園の朝の風景
これは、日の出の時間にやってみたもの。正月でもないのに、日の登る前に起きて近所の公園に行った。日の出なので、さっきと逆で左側が暗い。
この写真で注目すべきは、まんなかのここ。
ここです!
このかっこいい残像みたいになってるのは、ラジオ体操をしている近所のおじさんだ。縦1ピクセルごとに切り出されることで、足元から順に転送されてきた感が出ている。サイバーだ。
シンプルな分割もおもしろい
1秒ごとに1ピクセルずつ切り出す、なんていう大変な方法じゃなくて、シンプルに分割するのでもおもしろい。
巣鴨駅前を3分割
近所の駅前の風景を、左1/3が日没30分前、真ん中が日没時、右側が30分後になるように分けた。
前のページみたいになめらかじゃないけど、これはこれでおもしろいと思う。分割を増やしてみたのが次。
おなじく4分割
これもいい。じゃあ1分ごとに写真を撮って60分割にすれば、さぞかし滑らかになるのでは!と期待してやってみた。
60分割された巣鴨駅前
がびーん。むしろ気持ち悪い。もっと滑らかに、いつのまにか昼が夜になってるよ!っていう出来上がりを期待したのに。
寒い中、1分を計りながらがんばったのになあ
それで、1分ごとじゃ粗すぎる、滑らかにしたいなら1秒ごとじゃないとダメだということが分かったのでした。世界中でぼくにしか必要のないノウハウ。
1分でできることを考える
ところで1ページめのラジオ体操の写真。
サイバーなラジオ体操
このかっこいい部分の時間経過はたぶん1分くらいだ。
逆にいうと、このやり方で1分撮影することで撮れる面白い写真もあるんじゃないだろうか。
日没よりもっと変化の速いもの。1分ぐらいで変化するもの。
とりあえず紅茶を淹れてみた。
ここにお湯を入れると
紅茶になるわけです
ただのお湯が紅茶になるまでの1分で何が起きているのか。昼夜写真の方法で時間を圧縮してみたらどうなるだろうか。
こんなんなりました。時間は左から右へ経過してます。
なるほど。そこそこおもしろい。まず左端の水面が斜めなのは、お湯がだんだん注がれてるからだ。
右に行くほど紅茶の色が濃くなり、ガラス瓶が汗をかいてる。透明なお湯が見えないのは、お湯を注いだ瞬間から色がつき始めるってことだ。確かに紅茶ってそうかも。
渋谷の交差点はどうか
街中みたいに、人がいっぱい動く場所はどうだろうか。みんなサイバーラジオ体操みたいになるんだろうか。
渋谷にやってきた。人いっぱい。
ここで信号が一周する間の時間を圧縮してみよう。きっと1分ぐらいだろう。
やってみた
なんじゃこりゃ! みなさんペラペラになってしまった。パラッパラッパーっていう昔のゲームみたいじゃないか。
つまり、同じ場所に止まっているものだけが元の大きさで写り、動くものはペラペラになるってことか。歩く向きも関係ありそうだけど、おおむねそんな気がする。
ということはペラペラ具合で速度が分かるのもかもしれない。おもしろいなー。
なんとか撮れた
2ページめで苦労して作った写真が短冊みたいにガビガビだったのはショックだったけど、都庁の写真が撮れたときは嬉しかった。
人がパラッパラッパーになる効果もあるとは思わなかった。この方法はつまり、時間を圧縮するっていう意味があるんだ。ここまで書いてようやく分かった。