昼は温厚、夜は凶暴
こんなに離れていても拳の巨大さがわかる
現場は交通量が激しい片側3車線の交差点。「都筑まもる君」はその一角で車の流れを見守るように立っている。もう少し寄ってみよう。
「コラー!!」
あまりのダイナミックさに、発声可能上映なら「お母さん後ろ後ろ!」と叫ぶところだ。自転車のお母さんと比べると都筑まもる君の巨大さがわかるだろう。浜辺に打ち上げられたダイオウイカの横に漁師が寝たりするあれの原理である。
ご存じない方のために筆で名前を添える気遣いも。
胸元には「絶対ダメ! スピードオーバー 飲酒運転」という魂の叫び。交通安全協会の腕章が身元を保証する。ジャングルのゴリラは争いを好まないというが、都筑まもる君もまた争い(民事裁判とか)を好まないのだ。
足元は鎖でがっちり固められている。
ビーズみたいな目をしている。
剥き出しの牙に比べ、意外なことに目元がかわいい。本当は怒りたくなんかないのかもしれない。ビジネス雄叫びなのかもしれない。そうかばいたくなるのだが、夜になると……。
「ジャングル ナイテル……! オレ ユルサナイ……!」
ライトアップで完全に「雄」の顔になってしまうのだ……!
「ジャングル クルマ イラナイ……インシュ ウンテン ゼッタイ ダメ……!」
下から強力なライトで照らされているため、顔や腕に陰影がついて余計怖い。あのつぶらな瞳も暗闇に紛れてしまう。アゴの下から懐中電灯で顔を照らす、トラディショナルな肝試しみたいになってるのだ。
ただ、影のおかげで昼よりもボディがシャープに見える気がする。ライトアップには小顔効果もあるようだ。
「オレ ヤセテ ミエル……」
だんだん可愛く見えてくる
この辺りは車でもよく通るのだけど、だんだんと都筑まもる君が可愛く見えてくるから不思議。地域住民へのアンケートでも99%が「必要」と答えたらしい。身長7mの巨大ゴリラでも、やはりマスコット的存在なのだった。