特集 2017年4月16日

ノストラダムスの大予言・翻弄されすぎエピソード

世紀末も遠くなりにけり
世紀末も遠くなりにけり
「1999年7の月に人類が滅亡するであろう」と言われてた「ノストラダムスの大予言」。読者のみなさんの思い出エピソードを募集して発表するのも今回で3回目だ。

初回は、休職・タイムカプセルを埋める・受験拒否などを紹介。前回は、ネガティブなものが多いかと思いきや、意外とポジティブ……それどころかノストラダムスに背中を押されて成功したエピソードまで飛び出した。

これまでに紹介しきれなかった分と新たに届いた分を、またまた一挙にドーーンと見てみよう!

※投稿は、一部編集・抜粋させていただいたものがあります。あらかじめご了承ください。
島根県生まれ。毛糸を自在に操れる人になりたい。地元に戻ったり上京したりを繰り返してるため、一体どこにいるのか分からないと言われることが多い。プログラマーっぽい仕事が本業。(動画インタビュー

前の記事:大人たちよ、人形は捨てなくてもいい(と専門家が言ってた)

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99年当時、幼児だった方たちの声

届いたエピソードを見ていると、年齢層が結構幅広い。まずは、当時の記憶があるギリギリの世代である20代前半のみなさんからの投稿を紹介しよう。
当時幼稚園生ではっきりした記憶は残っていないのですが、とにかく自分に未来は訪れなくて、キティちゃん(当時の「将来の夢」)には絶対になれないんだ……という絶望感に苛まれていたことだけは覚えています。我ながらもっと他に無かったのかと思いますが。
みわさん
「キティちゃんになりたい」というメルヘンさと、「自分に未来は訪れない」という絶望とのこのギャップ!! これらの感情がひとりの女児の中に共存できるもんなのか。
当時僕は3歳だったのですが、見ているテレビ番組でも恐怖を煽り立てるような番組ばかりで精神的に追い詰められ、列車が変形して合体する玩具を親にねだったりしてしまいました。
ビババンゴさん
え、列車が変形して合体する玩具を欲する男児ってわりと普通では。

けどそれについて「恐怖で追い詰められてた」って言いきれるのは、どういうことだ。しかも3歳のころの記憶なのに、こんなにもハッキリと!

もうちょっと大きい子供のエピソード

幼児のエピソードの次は、もうちょっと大きい子どものエピソードを見てみよう。

まずは「オカルトブーム(70年代)のころ小学生だった」という人のエピソードから。
大流行した当時9歳だったのですが、クラスメイトの男子が「あ~、俺の寿命も後25年かー」と呟いていたのを今も忘れることが出来ません。
もちこさん
これ、ものすっごい小学生男子っぽい!

というか、99年の25年前ってことは、今から43年前のエピソードってことになる。ここまできたら、きっともう一生忘れないんだろう。
クラスの男子達が世界滅亡の瞬間ジャンプしてたらたすかるんじゃね?みたいな事を言ってて、滅亡の前に死んでくれと思った事を覚えております。
こんにゃくさん
これも小学生男子っぽい。そして、クラスの男子が頭悪そうなこと言ってるのを冷静に見てる女子っぽさ。このセットでなんかもう「ザ・小学生!」って感じだ。
毎年、年賀状の端に「Last 3 years(あと3年)」などという意味深な一行を忍ばせていた痛い子でした。
Heechoさん
意味深なメッセージ……! わかる人にはわかってもらえてたんだろうか。

私の場合は、そうハッキリ書いてしまうと本当になりそうで、恐ろしくてそういうのは書けなかったが、それって冷静に考えてみると「自分の一筆で地球の運命が変わると思ってたのかよ」ということになる。それもどうなんだ。
当時小4だったが、「ノストラハムスの大予言」なるハムスターの写った表紙のノートを使っていた。子どもとしては面白がってしかいなかった。
ちくたくさん
これって、こういう商品が売られてて、それを買ったってこと……?ですか?

検索したらまさか出てきたりして……!? と検索してみたが、タイプミスだと認識され、本家「ノストラダムス」しか出てこなかった……。
99年は丁度14歳の時にあたるので、小学生だった私はセーラームーンにならないまま死ぬんだ…とめちゃくちゃ怖かったです。死について考えたのはそれが初めてだと思います。
マトリョーコさん
これは、セーラームーンが14歳設定だから、小学生としては「14歳=セーラームーン」という図式が浮かんだ ってことだな、きっと!

けど、セーラームーンになれたらなれたで、結構危険な目に遭うはずだが、それはいいんだろうか。
どうせ全てが終わるならと当時小学生だった私は嫌いな教科の教科書を切り刻んだ。
ま さん
それは予言がはずれたあと困らなかっただろうか。
当時8~9歳。予言が怖くて、ダムス氏どんなもんじゃとばかりに子供用に書かれた伝記を読んでいました。そこでは最先端医術で奇病(腸がねじれてしまう病気とかあって、怖かった)を治す博愛主義者として描かれていて、何だいい人じゃん、となぜか安心した記憶。どうも恐怖の大王とダムス氏自身を混同していたらしい。
今でもホワイトベルグのファンさん
たまに恐怖の大王と混同されることがあるダムス氏。そういやこんなに予言のことを考えていたのに、ダムス氏本人についてまるで知らないな! といまこれを読んでようやく気付いた。私ももっと知らなければ、ダムス氏を。
中二病真っ盛りだった上、家出中だったので自分も世界もみんな滅ぶんだと真夜中の公園で楽しみにしていました。朝目覚めてすごい虚しくなりましたね。
のいさん
野宿って危険では……!? というほうが気になってしまう。

公園で野宿というと、土管かなにかの中で朝をむかえる……というイメージが何となく浮かぶ。

子どもだけじゃない

翻弄されてたのは子どもだけじゃない。大人だって負けてはいない!
ローンを返さなくて良くなるかもしれないと思い土地を購入した。
尚子さん
おおー、土地! さすが大人!

返さなくていいなら、なんだって出来る!!
世界が滅ぶ瞬間、あくせく働いてるとか嫌だなと子供心に思ってた。そして1999年7の月、仕事やめて本当に遊んでたことが、私の人生の達成談のひとつになっている。
ろくちゃんさん
前回も「学校を休職した」って先生が出てきたけど、「滅亡するなら遊ぶ」って人が実は結構いたのだろうか。

……と思ったら、こんなのも。
当時私は36歳。5歳と12歳の娘たちを育てていたシングルマザー。地球が滅亡するなら一緒に居ないと! と保育園と学校を休ませ、私は休暇を取り、娘たちと過ごした。滅亡することもなく、無事に現在に至る。周りにはバカンスだと言って休んでいたので変な母親だと思われたが時を経て、決断力のある素敵な母だったと言われる。
Midozi .Xさん
周りへの説明が「バカンス」って! 滅亡に備えてるわりにずいぶん明るい。

今後なにかしらの滅亡説が浮上した場合、みんな仕事や学校休んで、会いたい人と会って、遊んどいたほうがいいと思えてくる。
1999年6月に第一子を出産しました。 産まれた瞬間、もちろん嬉しい気持ちもありましたが、「もうすぐ地球が滅ぶから、この子は1ヶ月しか生きられないのか…」と考え、割と真剣に悲しくなった事を覚えています。
つちのこさん
もしかしたら、こんな風に思われてた99年生まれの子たちもいっぱいいるのかもしれない!?

……と思ったら、この頃生まれた子ども側からの投稿もあった。
私は1999年生まれなのですが、小学生くらいの時に母から99年の予言の話をされて、恐怖の大王とは私だったのでは? と謎の疑いを自分にかけていました。7の月なので違いました。
ちほさん
「地球が滅ぶから、長くは生きられない運命の子」扱いされたかと思ったら、自分に「恐怖の大王」疑惑までかけてしまう99年生まれの子。

しかし「これが恐怖の大王だったのでは……」って、「恐怖の大王」には色んなパターンがあるなぁ。
1999年7月になり、友達の間でいつ恐怖の大王が空から落ちてくるかと時々話題になっていたが、結局何も起こらず、その後いろいろ調べたところ7月6日に首都高速の標識が落下する事故があり、あれが恐怖の大王だったのでは……ということになった。
rogerさん


こういう「降りてくる(落ちてくる)」系のものも、わりと「恐怖の大王」ってことにされがちだ。

拝む人びと

前回もあった拝む系、祈る系のエピソード。生き残りたくて神頼み! という投稿をざざっと見てみよう。
地球が滅亡するとされていた日の夜、家族がいびきをかきながら寝ている中、ひとり起きたままひたすら正座で拝み続けていました。
鈴木さくらさん
当時小学生だった、当サイトライターの鈴木さくらさんのエピソード。ひとりでどのぐらい正座してたのか気になる。
幼い頃からノストラダムスの予言に怯え、何とか地球滅亡を回避できないかと考えた結果、あらゆる場面で祈りを捧げていました。

1999年までの数年間だったと思うのですが、「戦争や環境破壊等悪いこともしてきましたが、良い人間だってたくさんいます!だから人類を滅亡させないでください……!」といった内容の祈りを、毎晩寝る前に5分ほど捧げていました。神社への参拝、お墓参り時にも同様に祈っていたので、やたら手を合わせている時間が長く、家族から不審がられていました。
のりまきさん
す、数年!!? 毎晩!?

すっかり忘れてたが、そういえば私も初詣や墓参りでは必ずお願いしてたんだった……。おなじですね。
1999年7月に地球が爆発して死ぬと思っていたので、死後魂がどこに行くのか不安で眠れませんでした。毎日、仏さまと神さまにお祈りしました。(仏教徒です)
さらに恐怖を年下の子に伝染させて(みんな1999年7月に死ぬなど怯えさせる)憂さ晴らししていました。懺悔します。
つじさん
懺悔してください。
子供ながらに半信半疑でしたが、もしものときのことを考えて、後生の生き残った人間もしくは他の星の生命体の記録に残るようにと、自分の日記を近くの神社に隠しに行ってました。
つばきさん
他の星の生命体の記録に残るよう、なんと神社に! 託された神も困らないだろうか。いや、それより神社の人に見つかって、回し読みされてるのでは。

なつかしの2000年問題

いまや「そういえばそんなのあった」という扱いになってる、あんなに心配されてた「2000年問題」。

あれに翻弄されててノストラダムスどころじゃなかった! という意見も結構多い。この頃のシステム業界は、本当にそれどころではなかったはずだ。
基幹系システムの2000年対応担当になっていたため、1999年で終わればいいのにと真剣に思っていました。なので「信じていた」とは少し違うかもしれません。
昭和うまれさん
あれだけ起きると言われてたものが無事に済んだのは、こういう人たちが家に帰れないような日々を過ごしたお陰でもあるのだ。
大人になってからは、すでに仕事でPCを使っていたので。PCまわりの1999→2000年への移行のほうが怖かったかも。

結局自分のHPのcgiで動かしてた掲示板が20001年とかわけわからない日時表示になったこと以外何もなかったのですが。
さわきさん
それ当時見たような気が……!

しかしそれはどういう作りにしたらそうなるんだ……と、プログラム作る側(※)からしてみても訳がわからない。(※本職はそっちです)
小学生だった自分は「とりあえず1999年頃にはみんな死ぬんだ」とすっかり信じ切っていました。なので、それまで少しでも良い思い出を作ろうと、家族や友達に優しくしたり、善い人になろうと努力しました。

その後、2000年問題でコンピューターがバグって世界中の兵器が誤作動する、なんて変な噂が流れた時も、2000年にみんな死ぬんだと思って同じような事をしました。
たつひさん
あー、誤作動の噂! あったあった!そして「恐怖の大王は2000年問題だったのか」というようなことも言ってた気がする。

しかし「善人になる努力」って、自分も周りも幸せになりそうな感じがあって良さそう。

出版業界はどうだったのか

システム業界の次は出版業界。この話題を扱う書籍も多かったから、きっとそれにまつわるエピソードも多いはず。
「ノストラダムス」関連本をたくさん出していた祥伝社の編集さんから聞いた話です。1999年になって、「滅亡しないじゃないか」と抗議しに来る人がいたらどうしよう、ということで、1999年7月のあいだだけ、警備員さんを雇ったとのこと。(たしかに、そのとき祥伝社を訪問したとき、いままでいなかった警備員さんがいて驚いた記憶があります)
ただ、警備員さんがいるにも関わらず、なぜか保険の外交のお姉さんたちは社内を自由に歩き回っていたそうで。
結局、1999年は無事に終わりましたが、祥伝社に抗議に来た人はいなかったみたいですね。
百円ライターさん
なんと7月だけ警備を強化! 「本の内容が間違ってる」という抗議はありそうなのに、なかったのか。いい時代……!(今の時代ならありそうな気がする)

みんな安心して抗議する方向にいかなかったというのもあるのかもしれない。
当時、出版社でバイトをしていて、「そちらの週刊誌に預言で人類滅びると書いてあるけど大丈夫でしょうか……」というお問い合わせの電話があり、ウソだとも本当だとも言えないので
「的中しないに越したことはないですが……その時には私もみんなも一緒ですよ!」とお答えしたら「そうですね!ほっとしました!」と感謝されました。
人類滅亡預言の話題が出るたびに「あの答えで良かったのかな」と思い出します。
マヨさん
お、これは模範解答では……!? というか、週刊誌側のその答えで安心するのか。

もしかしたら私も、家族や身近な人に「大丈夫だよ」と言われるよりも、雑誌やテレビの人に言ってもらっていたら、もっと安心できてたのかもしれない。

なんだかよくわからないが、そっち側の人に言ってもらった方が説得力がある気がする。

いつになったら安心できるか問題

私の場合、7月過ぎたらもう安心しきっていたが、そのころまだそわそわしてた人たちもいたようだ。
1999年を過ぎても「実はあれは旧暦だったから、今の暦だと2010年頃らしい」と聞かされ、恐怖の期間が延びた。
こよふよさん
えー、旧暦! ってそんなに期間延ばされてたらどうなってたか!

2010年頃というのは知らなかったが、それよりちょっと後の2012年人類滅亡というまた別の説(マヤ暦の予言)もあって、そのころもテレビやネットが多少ざわついていたなー。
1999年7月をすぎても「ノストラダムスが予言したときは旧暦だったから、新暦の8月末まで安心できない。」と思ってました。結局、21世紀になるまで信じてました。
きったんさん
またまた旧暦について。21世紀になるまで信じてたとなると、むしろなにきっかけで解放されたんだろうか。
予言は「恐怖の大王が降りてくる」で、ノストラダムスは西暦3000年頃の予言も残しているという話を読んだので、人類は滅亡しないと思ってた。
こまきこさん
なるほど……それを知っていれば!

というか、西暦3000年にいったい何が。そこまでくると、もう滅亡してると言われても納得できるが。
子供の頃からずっと信じていたものが当たらなかったので、何を信じたら良いのか分からない。
あらこさん
なにかを信じてがんばってください。

寿司はすごい

最後に、気に入った食べ物関連の投稿をふたつ紹介して終わりとしよう。
生粋の食いしん坊でご飯を残したことなかったのだが、恐怖のあまりファミレスのオムライスが半分しかたべられなかった。
肉が好き子さん
ペンネームとエピソードから、生粋の食いしん坊感があふれてる。なぜかここに書いてある「オムライス」が美味しそうに感じた。
当日、予言を全く気にしない家族と寿司屋へ。何でこんな状況で食べれんの?!って思ってたけど、自分もしっかり食べた。寿司はすごい。
でちゃんとさん
前回もとりあげた「周りとの温度差」問題。

オムライスの人は食欲が沸かなかったようだが、この寿司の人はしっかり食べることが出来たようだ。寿司はすごい!

という訳で、「寿司はすごい」で締めることにしよう。

コーナー終わります

重いものから軽いものまで、読者のみなさんのエピソードを紹介したこのコーナーもそろそろ終わろう。思いのほか多ジャンルのエピソードが届き、読み応えがあった。

ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。せっかく投稿頂いたのに紹介しきれなかったみなさん、すみません!

もしまたなにか新しい説に翻弄されるようなことがあったら、今度は寿司で乗り切ろう!

ではまたー
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