特集 2016年12月17日

先祖が大河ドラマに!盛り上がる子孫(=私)

「うちの先祖が大河に登場した!」 という盛り上がりの様子をお伝えします
「うちの先祖が大河に登場した!」 という盛り上がりの様子をお伝えします
先祖が大河ドラマに登場するというので、まるで親戚がテレビに出るかのように、家族でチェックしていた。

そしたらなんと、登場早々Twitterでトレンド入り。インパクトのあるキャラだったこともあってか、視聴者がネットで自分の書いたイラストや作った小物の写真を投稿して盛り上がってる!

これは……子孫として負けてられない……!!
島根県生まれ。毛糸を自在に操れる人になりたい。地元に戻ったり上京したりを繰り返してるため、一体どこにいるのか分からないと言われることが多い。プログラマーっぽい仕事が本業。(動画インタビュー

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盛り上がる子孫たち

まずは先祖について簡単に説明すると、私から15代遡ると「塙団右衛門(ばんだんえもん)」という戦国時代の豊臣方の武将にたどり着く。

苗字が違うじゃないか! と思われるかもしれないが、団右衛門の長男が母方姓である「櫻井」に改め、そこから続いているのだ。
(ちなみに次男・三男・娘さんの家系も、それぞれが全く違う地域で今も続いており、交流がある。いずれも「塙」姓ではない。)
一応細かく残っている
一応細かく残っている
塙団右衛門(別名は塙直之)という武将は、戦国武将に詳しい人にはよく知られているようだが、そうでもない人にはそんなに知られていない。

テレビで取り上げられる機会はたまーにあるが、そんなに頻繁という訳でもない。10年間で2~3回ぐらい?

きっと把握漏れもあるので、そんなこと言ったら詳しい人に訂正されそうな気もしているが、とりあえずそのぐらいの頻度で実家から「テレビに出るよ」との連絡が入る。
たまになにかの特集番組にちょっと出てくるだけでも連絡が入るぐらいなので、もう大河ドラマとなればちょっとした騒ぎだ。

最近は、「テレビに出ている団右衛門を写真に撮って、引き伸ばして飾ろう!」と、毎週「今週のベストシーン」を選んでるほど。

なんとなく「親戚がテレビに出たっぽさ」があるなー……とか思いつつも、いや、まあ親戚と言えば親戚か。(実際に写ってるのは親戚じゃないけど)
大河に出てますよ! のコーナー
大河に出てますよ! のコーナー
現像した写真は、うちの祖父宅に併設している集成館(歴史資料館)の出口の脇の方に貼ってある。

一応館内には、団右衛門関連の展示物もあり、来館されたお客さんに公開している。

(そもそも祖父宅の横になんでそんなものが……という件については、以前ライター西村さんに記事を書いてもらったことがあるので、興味ある方はそちらをどうぞ。それ以外は、家業だった「たたら製鉄」関連のものなどを展示している。製鉄業自体に関してはジモコロさんの記事が読みやすいので、こちらもぜひ。)
団右衛門の鎧、兜、槍は常設展示。あとは江戸時代に描かれた、大坂冬の陣(左)、夏の陣(右)の陣図(スペースの関係で左が北になっており、冬の陣のほうの右方には真田丸がある)
団右衛門の鎧、兜、槍は常設展示。あとは江戸時代に描かれた、大坂冬の陣(左)、夏の陣(右)の陣図(スペースの関係で左が北になっており、冬の陣のほうの右方には真田丸がある)
こんな家族内での盛り上がりの一方で、ネットを見ていると、Twitterなどで予想以上の盛り上がりがあった。出演回数は6回ほどだったのだが、そうとは思えない濃さ! いくつか紹介しよう。
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ネットでの盛り上がりの様子を伺う

団右衛門は、「夜襲のときに、自分の名前が書いてある木札をばらまいていた」という売名に燃えてた目立ちたがりエピソードがあることから、今回の大河ドラマ『真田丸』では「どこででも木札の名刺を配る、(ちょいウザ)面白おじさん」のような描かれ方をしていた。 これがまたネットと相性が良い!

そして、演じられた俳優の小手伸也さんの雰囲気ともピッタリだった。
普段の小手さん
普段の小手さん
もうこの小手さんの顔=先祖 という認識になりつつある
もうこの小手さんの顔=先祖 という認識になりつつある
放送に合わせてTwitterに投稿されてた作品を見てみると…… (「#丸絵 #塙団右衛門」や「#団右衛門に見えちゃったらRT」タグでもたくさん投稿されてます)

「確かにあの芸人さんっぽさあるな……!」と思い起こさせる似顔絵や
あれ? こんな人だったっけ!? と思わせられるほどにキリッとしている綺麗なイラストも。(こんな風にいつも木札を持ってる。)
このようなイラストの投稿のほかには、団右衛門の必需品である木札関連の創作もあった。

プラ板で木札を作っていたり、
ドラマに登場する木札を同じぐらいのサイズ感再現してみたい! と手作りしてる人もいた。
作り方や費用を聞いてみると、

・長い板をカットして10枚ほどで350円くらい
・サイズは(縦)10cm×(横)3cm×(厚み)5mmぐらい
・ヤスリがけや砥の粉処理など(文字のにじみ止め)、費用より手間がかかってます

とのこと。名刺として考えるとコスパが高い! ちなみにこの名刺は、イベントでの名刺交換に使われたりしているらしい。
創作の投稿からはちょっと話がそれるが、この流れでたまたまこんなツイートを見つける。
あ、これは……今年の展示のチラシ!(祖父宅併設の施設の。私が作ったやつ。)

ドラマの影響でこういう反応も見ることができて嬉しい。しみじみされてた。

(ちなみにここに出ているゆるキャラは、当サイトライター北村ヂンさんにデザインをお願いして、3年ほど前に作った団右衛門モチーフのキャラ「たたらダンえもん」です。)

レスポンスが嬉しい

ドラマに合わせてそういう投稿がTwitterで盛り上がることはよくあることだが、今回の場合は、団右衛門役の小手さんが細かくそれをチェックし、レスポンスしてくれていた。
そういうのも含め、見ているうちになんかこう「子孫として負けてられるか!!!」

という衝動に駆られ始める。

よし、せっかくなら手編みのなにかを作りたい。設定を生かして、名刺入れを編んでみようか。
メイキング(BGM:でっきるっかな でっきるっかな♪)
メイキング(BGM:でっきるっかな でっきるっかな♪)
できたー!!
できたー!!
「突然こんな手編みの顔面を送られてきたら気持ち悪いだろうか」と友人に一応相談し、「いや、嬉しいのでは」と言ってもらえたところで、安心してこれをTwitterに投稿! 子孫アピールもしなければ。
なにか反応してもらえないかなーとしばらく待っていると、

わー、きたー!! (家族が知人のつてでサイン色紙を頂いていたため、櫻井という子孫がいると認識はされていた。)
実用性はさておき、名刺を配るのに使える道具を団右衛門(いや、小手さんだが)の顔モチーフで作ることが出来たし、反応もあったし満足!

と思ったが、せっかくなのでこの勢いで少しお話を聞くことができれば……!! と更なる欲が。連絡を取ってみたところ、快く了承してもらえた。
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先祖を演じた俳優さんに話を聞いてみよう

小手さんのプロフィールを見ると、「劇団主宰、作家、演出家、俳優、声優、放送作家、たまにデザイナー」とある。
いろんなお仕事をされていらっしゃるようですが、どんな割合なんですか?
基本的には今は俳優業が7割。作家業が2割。声優業が1割未満。残りが細々とした仕事です。

劇団は6年程活動を休止してまして、放送作家業については「あまり向いていない(趣味嗜好がマスに向いていない)」と判断し、ここ数年やっていません(笑)
大河ドラマの放送後、どういう反響がありましたか?
家族親戚一同がざわついています。あと、ツイッターのフォロワー数が1000以上増えましたね。
Twitterでトレンド入りしたり、ネタ画像がたくさん作られているのを見ましたが、他の役を演じられるときとネット上での反応に違いは感じましたか?
テレビは一度の視聴者数が万単位なので反響の大きさが違うのは当然なんですが、今回の役はズバ抜けて違いましたね。

いつもは「あ、小手さんが出てる!」みたいな発見タイプが多いんですが、団右衛門に関しては「アイツ誰だ?!」みたいな捜索タイプが多かったみたいで、それで トレンド入りとかになったんでしょうね。みんなが検索に走ったという。
そうか、トレンド入りって「面白い」みたいな興味の要素のほかに、万単位の人間にインパクトを与えて検索に走らせる必要があるのか。
Twitterで見た、団右衛門関連の好きなネタ画像ってありますか?
喪黒さん(@paranoia_starrr)の地獄のミサワ画像は多くの人が感じていた既視感に明確なアンサーを提示したエポックメイキングなネタだと思います。
おお、これはさっき紹介した木札を自作してた人! こんなイラストネタまで投下されてる……!


つぎに、ドラマを見ていて気になっていた「犬の鳴き真似」について聞いてみたい。

団右衛門が徳川陣に向かって犬の鳴き真似をし、兵たちを笑わせる……というシーンがあったのだが、あまりの上手さに「うちの犬が反応して吠え始めた!」という投稿がTwitter上で多発したのだ。
犬の鳴き真似のシーンのときに、テレビの前のペットが騒ぎ出したとツイートした人が結構居たのと、あと一時的に「ワン団右衛門」というあだ名が付いてたのに笑いました。

鳴き声はどうやって練習されたんでしょうか?
自宅がペット禁止のマンションなんで勘違いされて通報されたらヤバいなと思って、出来るだけ密室且つ小声でも耳に響くお風呂場でこっそり練習しました。

なにせ台本に「かなり上手い」というト書きまで添えられており(笑)、
(脚本の)三谷(幸喜)さん、これはアテ書きではなく無茶振りだ! と思いながら、昔飼ってたマルチーズを思い出し、いや違う小型犬じゃない。今度は近所の柴犬を思い出し、「ワン」じゃない「ワオ」だなとか……

犬はそもそも人間のような複雑な舌の動きは出来ないからベロを固定してとか、散々考えた上で初めてスタジオで全力でやってみまして(家じゃ出来ないから)
確かに犬は複雑に舌を動かせないでしょうけど……
そしたら何か思いの外、全国のお茶の間のペットたちがざわつく程度に上手かったみたいで…三谷さん見る目あるな! と(笑)
ということは、犬の鳴き真似のコツは「舌を固定する」ってことでいいんだろうか。あとはきっと声優経験が生かされたというのもあるんだろう。
試しに舌を固定して練習してみたい
試しに舌を固定して練習してみたい

団右衛門ってどんな人だったんだろう?

目立ちたがり屋で派手なエピソードが多かったことから、江戸時代から講談で人気だったり、司馬遼太郎によって「言い触らし団右衛門」という小説にされていたりもする。

もちろんフィクションもあると思うが、そういう話が残っているということは、きっと面白く目立つ人だったんだろうな……と私は思っている。

演じられた小手さんは、どんな印象を持っているんだろう?
演じると決まった当初、団右衛門に対してどんな印象を受けましたか?
元々オファーの理由が「自意識過剰そうな奴」でした。団右衛門については正直決まっ
てからwikiで初めて調べたので、最初は単に「剛の者」の印象しかありませんでした。戦場で木札をばら撒いたというエピソードも豪放磊落なイメージなのかと。

ただ、監督やプロデューサーがやたらと木札を「撒く」のではなく「配る」という言い方をしてまして、オヤ? これは方向性違いそうだな……と思いました。
思っていたより雑じゃないぞ……!? と。

となると、今はドラマを見てない方や団右衛門を知らない方に、「団右衛門ってどんな奴?」と聞かれたらどう説明しますか?
「戦国の世に生きる派遣社員で、正社員になるべく日々名刺を配り歩く営業畑のスペ
シャリスト」です。
ドラマの中では、大名になりたがってましたね。

出世のために名刺をいつも持ち歩いてて、木札ってかさばるだろうなーと思うんですが、あの名刺は一体いつもどのぐらい持ち歩いてたんでしょうか?
放映ではカットされているんですけど、(ドラマの)第42話で1つだった木札が入った巾着袋が第46話で3つに増えてるというクダリがありまして、以降それらを常に(どの服装の時も)腰の右側に括りつけています。

50枚くらいは常備していて、足りなくなると厨の囲炉裏で黙々と増産してるんでしょうね(笑)。
ということはだ。木札の名刺と現代の紙の名刺で、どのぐらいの価格や厚みの違いがあるかを具体的に計算してみると……
(と言っても、印刷屋によって名刺の価格は差があるので、比較的安めな店を参考に。木札の方は、先ほど紹介した自作した人の大きさを参考に。)
こんなにかさばるものらしい。その割にそんなに価格は気にならない
こんなにかさばるものらしい。その割にそんなに価格は気にならない
積み上げると、どうやらこんなに違うらしい。価格は意外と2倍ちょっとの違いか。

現代でも真似して持ち歩いて、配ってみようなどと軽々しく思わない方が良さそうだ。名刺だけでちょっとした荷物になる。

盛り上がりを振り返る

団右衛門は10月末からの登場だったが、もっと楽しませてもらった感がある。細かくネットを追ったり編み物をしたりもしていたせいもあるか。というか、主にそれかもしれない。

そう言えば、最近うっかり名刺を配り過ぎてしまったことがあって、そのときに「あ、いま先祖っぽい!」と思ったりした。
そのときはこれではなかったが
そのときはこれではなかったが
よく考えてみると、400年後の子孫にそんなことを思われるってなかなかないことだろう。西暦2400年ごろに生きてる子孫からそう思われるってどの程度のことをすればいいんだろう……とふと考えた。

あとは、自分や家族は今回こんな風に楽しんでいたけど、ドラマに出ていた他の武将の子孫の方々も盛り上がったんだろうか、というようなことが気になっている。もし「自分も子孫として盛り上がった!」という読者の方いたら連絡ください!

団右衛門の登場回は12月11日(日)の放送分が最後だったのだが、記事の公開日・17日(土)の13時05分からまだ再放送がある。この記事を見て気になった人でもまだ間に合う!!

あと全然関係ないが、Twitterで「昔コミケのウォーゲームサークルに塙団右衛門の子孫という人がいた」という情報も見つけた。いったいどこの誰なんだろう。それも地味に気になっている。
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