特集 2016年12月12日

台湾でかっこいいプロフィール写真を撮る

台湾でプロフィール写真を撮ってきました。
台湾でプロフィール写真を撮ってきました。
友人達と台湾旅行に行くことになり、さてどこを観光しようかという会議の場で、「プロフィール写真を撮ろうよ」という意見が出た。なんでも台湾は写真館の本場らしいのだが、すっごい初耳。

まったく意味がわからなかったのだが、普段は着ないような衣装を纏い、バッチリとメイクをして、スタジオでかっこよく撮ってもらうというご提案である。

その案に乗った結果が、上の写真だ。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:台湾でテナガエビの釣り堀に悶える

> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

台北の写真館へやってきた

かっこいいプロフィール写真を撮るためにやってきたのは、台湾の首都である台北市の阿法写真館。一見普通のビル中にある、完全予約制の写真館だ。

ここで変身するメンバーは、いいだしっぺの宮崎吐夢さん、小松ヌンチャクさん、あきやまみみこさん、川崎タカオさん、そして私の5人。なんだかスーパー戦隊シリーズの同窓会みたいだ。
役者、編集者、デザイナー、イラストレーターと様々なプロが揃っているが、ただの観光旅行である。
役者、編集者、デザイナー、イラストレーターと様々なプロが揃っているが、ただの観光旅行である。
わざわざ台湾で特別な写真を撮るのだから、きっと台湾の伝統衣装なのだろうと思うじゃないですか。

日本でいえば、外国人観光客が浅草とか京都でレンタルの和服を着るようなイメージかなと。

でもこれが全然違うんですよ。
『あほう写真館』ってすげー名前だなと思ったが、これでアルファと読ませるらしい。
『あほう写真館』ってすげー名前だなと思ったが、これでアルファと読ませるらしい。
うまく説明できないのだが、大人向けの七五三写真といえば伝わるだろうか。あるいは結婚式での気合の入ったお色直し。

台湾という土地柄はあまり関係ないようで、ヴィジュアル系、宝塚系、ファンシー系、ゴシック系など、真面目なプロフィール用としては実用性ゼロの写真をプロが撮ってくれるというサービスのようだ。

すごい贅沢なプリクラみたいなものかもしれない。
ガンガンに画像加工するのが前提のようで、「シワ、ニキビ、細さなどは修正します!」という力強い説明を流暢な日本語でされた。
ガンガンに画像加工するのが前提のようで、「シワ、ニキビ、細さなどは修正します!」という力強い説明を流暢な日本語でされた。

提示された無限大の可能性

我々が申し込んだのは、衣装が1種類で写真6点という一番安い体験コース。日本への送料込みで1人約15,000円くらい。この時点では高いのか安いのかよくわからない。

どんな写真が撮れるのかというと、こんなのだ。うわー。
なんだこれは、紅白歌合戦か。
なんだこれは、紅白歌合戦か。
自分がこの世界に入ろうと思えば入れるんですよ。ただし女装は高いコースになるらしい。
自分がこの世界に入ろうと思えば入れるんですよ。ただし女装は高いコースになるらしい。
ヴィジュアル系バンドの初回限定盤CDについてくる豪華な写真集みたいなのも可能。
ヴィジュアル系バンドの初回限定盤CDについてくる豪華な写真集みたいなのも可能。
普通っぽい写真も一周回っておかしいかもしれない。ただしモデルの力量が問われるな。
普通っぽい写真も一周回っておかしいかもしれない。ただしモデルの力量が問われるな。
とりあえずサンプルの写真をパラパラと眺め、各自で進むべき方向性を探すのだが、その世界感に現実感が無さすぎて、どうにも戸惑いが隠せない。

落ち着いているようで心はソワソワ。この人生で一度であろうイベントに、どういったテンションで挑むべきかをそれぞれが探っている。
とりあえず粛々と申込用紙に記入。
とりあえず粛々と申込用紙に記入。
これなんて中村獅童ですよと勧めても、硬い表情を崩さない二人。
これなんて中村獅童ですよと勧めても、硬い表情を崩さない二人。
ちなみにここは日本人のお客さんが約9割で、5年くらい前まではほとんど女性客だったが、最近は男性客もどんどん増えているそうだ。

日本に比べて安い(相場がよくわからないが)というのもあるのだろうが、海外だからこそ変身してやるぞという気持ちの後押しもあるのだろう。これが秋葉原や池袋だったら、私は来なかったかもしれない。
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衣装選びを通じて隠れた欲望をさらけ出す

申込みがすんだところで、バーッと並んだ衣装の中から、自分が着たい服を選ぶ。これですべての方向性が決まるのだから、本日一番大切なプロセスだ。

結婚式やパーティーの衣装なら、会場のTPOに合わせて選べばいいのだろうけれど、ここでは写真を撮るという自己満足だけが目的なので、ゼロからその方向性を決めなければならない。
自由を持て余しそうになる選択肢。
自由を持て余しそうになる選択肢。
たくさんの衣装を前にして、どの魔法をかけてあげましょうか?と問われている気分。

『どんな自分になりたいか』という隠れていた欲求を、同行の友人に発表しなくてはならない恥ずかしさたるや。

なんてクネクネしているのは数分で、一線を超えるとすぐに楽しくなってきた。旅の恥はかき捨てだ。
いつもの自分の延長線上でいくべきか、未知なる己を探すべきか。
いつもの自分の延長線上でいくべきか、未知なる己を探すべきか。
はじめよう、一日だけの自分探し。
はじめよう、一日だけの自分探し。
やっぱり変身の王道ということで、ヴィジュアル系がいいかなー。
やっぱり変身の王道ということで、ヴィジュアル系がいいかなー。
最初は渥美清のプロマイド風かなといっていたが、だんだん冒険したくなってきたらしい。
最初は渥美清のプロマイド風かなといっていたが、だんだん冒険したくなってきたらしい。
大人5名がキャッキャいいながら衣装を選ぶという幸せな時間。購入じゃなくてレンタルという気楽さが素晴らしい。

最終的に自分から相当遠い存在であろう、ベルばらのオスカル風ヨーロッパ貴族服を選んでみた。

また一回り、歩むべき人生の道幅が広がった気分だ。

ざっくりと着替える

衣装で選ぶのはスーツだったら上着だけで、ズボンや靴などは適当なものを用意してくれる。

更衣室で着替えてメイクを待つのだが、もうこの時点でおもしろい。なんだこの文化祭で張り切る演劇部っぽさは。
これから着替えます。
これから着替えます。
はい、着替えました!
はい、着替えました!
着る服が変わるだけでここまでおかしいものなのか。

この日は旅の後半だったので、みんな数日間ずっと一緒にいただけに、衣装をきたときの違和感がすごい。
美川憲一か天竜源一郎のようなガウンがかっこいい川崎さん。
美川憲一か天竜源一郎のようなガウンがかっこいい川崎さん。
自分の中で設定が決まったようで、ちょっとした芝居を始める宮崎さん。
自分の中で設定が決まったようで、ちょっとした芝居を始める宮崎さん。
おばあちゃんに連れられて横浜中華街にきた孫っぽい小松さん。
おばあちゃんに連れられて横浜中華街にきた孫っぽい小松さん。
二人の王子から求婚されて迷う村娘っぽいあきやまさん。
二人の王子から求婚されて迷う村娘っぽいあきやまさん。
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バッチリとメイクをしてもらう

この写真館では衣装レンタルだけではなく、その衣装にあわせたメイクとヘアセットもしてくれる。ただしヒゲは自分で剃っておくこと。

仕上がりの目安は、A:お任せ、B:ナチュラル、C:過剰の3コースから選べるのだが、私のセレクトは当然のCだ。
変えられるだけ変えてください!
変えられるだけ変えてください!
素材の良さは期待していないので、どうせなら過剰なまでに攻めていただきたい。いっそ誰かわからなくて上等だ。

ちなみにあとで聞いたら、全員がイケイケジャンジャンのCコースをセレクトしたそうだ。
この衣装に合ったメイクをしてもらいましょう。
この衣装に合ったメイクをしてもらいましょう。
アイメイクのときに上を見過ぎて白目になっていた。メイクさん、さぞ怖かったでしょうに。
アイメイクのときに上を見過ぎて白目になっていた。メイクさん、さぞ怖かったでしょうに。
なんと目力が七割増し!顔の大きさは一割引き!
なんと目力が七割増し!顔の大きさは一割引き!
髪の毛はカツラじゃなくて地毛で事足りた。
髪の毛はカツラじゃなくて地毛で事足りた。

こんにちは、ライオネス飛鳥です

ベルばらっぽい衣装とメイクだから宝塚っぽくなるかなと思ったら、その仕上がりはなんだか女子プロレスっぽくなった。

ライオネス飛鳥とか神取忍とか山田敏代の系譜だな。
ビフォー。
ビフォー。
アフター。
アフター。
自分にバターを掛けてトロ火でじっくりと煮詰めたような素敵な仕上がり。濃いなー。これで地毛かー。

もしベルばらの登場人物だったら、出てすぐ死ぬ役回りだろうが、それはきっと素材の問題。十分過ぎる変身っぷりである。
韓流スター風の表情。自分で見てもイラッとするなー。
韓流スター風の表情。自分で見てもイラッとするなー。
これでも私は比較的ノーマルなメイクであり、衣装や世界感に合わせて、刀傷を特殊メイクで盛ったり、ゴージャスなカツラをつけたりもするようだ。
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スタジオでカメラマンによる写真撮影

ここまででも十分に楽しめたのだが、ここから先がまたエンターテインメントだった。

この写真館には世界感のまったく違う部屋がいくつも用意されており、選んだ衣装に合わせてセレクトされたコースを回って、プロカメラマンとマンツーマンでの写真撮影がおこなわれるのだ。
この奥に異次元みたいな部屋がたくさんあるんですよ。
この奥に異次元みたいな部屋がたくさんあるんですよ。

スタジオ内は撮影が禁止なので、文章とイラストから想像していただきたい。

カメラマンは、ちょっとマッチョで大きめのピアスをしたソフトモヒカン&アゴヒゲの男性。会話は片言の英語とボディーランゲージ。

どう被写体を演じればいいのか全くわからなかったが、立ち位置やポーズはもちろん、表情の作り方、視線や顎の角度、さらには指の曲げ方までプロデュースしてくれるので、言われた通りにすれば問題なし。

アゴの下が弛まないように、グイッと前に突きだすのだが、まったく使ったことのない筋肉が必要でうまくできなく、カメラマンの指でクイっとされるなどの未体験ゾーンが待っていた。これがアゴクイってやつですか。
被写体のアゴのたるみに厳しい素敵なカメラマン。もう一名のカメラマンは岩城滉一風だったとか。
被写体のアゴのたるみに厳しい素敵なカメラマン。もう一名のカメラマンは岩城滉一風だったとか。

ここまできて照れてもしょうがないので、表情を精いっぱい作って、目に力を込めて、全力で己を出して撮られる。

首をひねられると切なく、笑顔でOKが出ると嬉しい。もう脱げと言われれば脱ぎます、私。

3箇所くらい撮影ポイントをハシゴして撮影は終了。そして着替えをしてメイクを落としたときの、魔法が解けた感がすごかった。今ならシンデレラとも共通の話題があるな。

どうせならメイクはそのままで夜市にでも繰り出せばよかった。次はそうしよう。

とうとう写真が送られてきた

そして後日、ライティングと画像修正を駆使して不都合を消し去った写真が、データと共に海を渡って送られてきた。
6枚の写真が印刷物とデータで届いた。
6枚の写真が印刷物とデータで届いた。
さすがはプロカメラマンの撮影 with 画像加工のコンビネーションである。

あの日に鏡越しで見た自分を軽々と凌駕している己がいた。

誰だこいつ。
「俺のことをカミナリ様みたいな髪型だと笑ったのはお前か?」
「俺のことをカミナリ様みたいな髪型だと笑ったのはお前か?」
「この場の空気を凍らせる我が力に耐えられるかな。アルミ缶の上にある……オレンジ」
「この場の空気を凍らせる我が力に耐えられるかな。アルミ缶の上にある……オレンジ」
色味は2パターンで、血色の良い写真もあった。
「ほら、3秒でいいから俺の目を見つめてごらん」
「ほら、3秒でいいから俺の目を見つめてごらん」
「君の笑顔って星屑のスターダストみたいだね」
「君の笑顔って星屑のスターダストみたいだね」
せっかくなので、同行した方々の写真もどうぞ。
「そこのお前、杏仁豆腐のうまい店を知らないか?」
「そこのお前、杏仁豆腐のうまい店を知らないか?」
「この腐り乱れた世の中を、剣だけで生きてきた男。人呼んで……腐乱剣タカオ!」
「この腐り乱れた世の中を、剣だけで生きてきた男。人呼んで……腐乱剣タカオ!」
「私がアゴを突きだしている理由を知ったものは、石になるのよ……」
「私がアゴを突きだしている理由を知ったものは、石になるのよ……」
「受けてみろ、この純度100%のにぎりっぺを!」
「受けてみろ、この純度100%のにぎりっぺを!」
そういえば成人式には参加せず、写真もまったく撮らなかったのだが、40歳になってこんな写真を撮ることになるとは。ナイスダブル成人式。

とりあえずフェイスブックのプロフィール写真にしたところ、今までになく『いいね!』がついたので、当初の目的は達成したと思う。
今なにか事件をやらかすと、ニュースとかでこの写真が使われるのか。
今なにか事件をやらかすと、ニュースとかでこの写真が使われるのか。

なにかのキャラクターという訳ではないので、いわゆるコスプレとは違うのだろうけれど、変身願望がプロの手によって叶うのなら、あの値段はお買い得なのだろう。いや変身願望が特にないという人こそ、いくべきなのかもしれない。

大人のレジャーとしての写真撮影、とても楽しかった。さすが写真館の本場だ。もしまた行く機会があれば、次は衣装が2種類以上のコースを選びたいなー。
伝説のインディーズバンド『FAN☆叶夢』のボーカルとそのおっかけ。みたいな写真。
伝説のインディーズバンド『FAN☆叶夢』のボーカルとそのおっかけ。みたいな写真。
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