特集 2016年6月30日

第2回街角ビンゴ大会 in ベトナム

!
ビンゴって、外でもできるんじゃないか?
そんな疑問が湧き起こった。

看板、商品、通行人の服、いろいろものに数字は潜む。あのハムスターの遊具みたいなやつをガラガラと回さないだけで、遭遇する数字はいつだってランダムだ。という訳で、実際にやってみました。私のホームタウンであるベトナムで。
1984年大阪生まれ。2011~2019年までベトナムでダチョウに乗ったりドリアンを装備してました。今は沖永良部島という島にひきこもってます。(動画インタビュー

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まさかこんなネタが被るとは

外でビンゴする!

企画を思い立って決行日までの日数を指折り数えていたのだが、本サイトでは13年前に住さんがやっていた。
!
第1回街角ビンゴ大会」より。

取りやめようと思ったところ、編集部の古賀さんから「水嶋さんはせっかくベトナムに住んでるのでベトナムでやってください! 日本とは違う数字の使い方が見られるかもしれないですし」というナイスフォローをもらって、やはり決行へ。

なるほど、確かにこれまで僕がデイリーポータルZに寄稿してきたベトナムの記事の風景はピンポイントで、ふだんの風景が分かるような企画はやっていなかった。いいかもしれない。

ベトナムのビンゴは穴を開けずにスイカの種を置く?

で、当日。
友人たち。左から、ラムくん、やすさん、ももさん。
友人たち。左から、ラムくん、やすさん、ももさん。
ルールはいたって簡単、街中の1~2桁の数字を全員で見つけては消していく。ただし、すぐ目につきやすくかつ多い「住所」と、「3桁以上ある数字の一部」は除外。

私 「はじめる前に、まずベトナム人であるラムくんに聞きたいんだけど」
ラム「はい」
私 「ベトナムのビンゴカードって穴空いてないの?」
まっさらだったのだ。
まっさらだったのだ。
ベトナムには東急ハンズのようなホームセンターは無く、物を探すには苦労する。そして今回も探し回ってやっと見つけたビンゴカード、だが穴は空いていなかった。

ラム「ベトナムでは、スイカの種を置くんですよ」
私 「スイカの…種ー??」
ラム「こっちでは旧正月(ベトナムの正月本番はこの時期)にスイカを食べる習慣があるんです。で、ビンゴもそのときにすることがほとんど。だから、食べたスイカの種を置くスタイルが定着しているんです」
私 「へーー」

ビンゴの穴開けは世界共通ではなかったのか。というより、もともとはそうじゃなかったけど、誰かが発明してそれが(少なくとも日本では)定番になったのかもしれないな。単純にベタベタになったりしないのかな。いや、くっつくという点ではその方がいいのか。

それでは数字を探しましょう

ベトナム雑学を得たところで、ビンゴスタート。
手始めに、最寄りの市場で数字を探す。
手始めに、最寄りの市場で数字を探す。
普段、街中で番地以外の数字を意識することはない。あるのか、ないのか、まるで予想は立たないまま歩く。

やす「あ、あった!」
12(くたびれたポスター)。
12(くたびれたポスター)。
もも「ありました!」
2(ゴミ回収車)。
2(ゴミ回収車)。
ラム「あった」
10(ゴミ)。
10(ゴミ)。
なぜか全体的に汚いものばかりだ。
なぜか全体的に汚いものばかりだ。
立て続けにお見せしたが、市場を回ってほぼこれだけだった。おそらく、ここは生鮮食品を扱う市場なので、数字が入っているような印刷物が少ないのだろう。汚い理由は、単純にここから毎日生ゴミが出ているからか。
少ないながらもいくつか消化。
少ないながらもいくつか消化。

人が集まるところに数字も集まる

市場では微妙な結果に終わってしまったので、印刷物が多く集まっていそうな大通りへと向かうことにした。
あいかわらず人混み、というよりバイクの数がすごい!
あいかわらず人混み、というよりバイクの数がすごい!
そしてやはり大通り、数字は豊富。着々消化。
そしてやはり大通り、数字は豊富。着々消化。
おっ!丸亀製麺だ。
おっ!丸亀製麺だ。
プロモーションに積極的なお店ほど、個数や年月などの数字が多い。狩り場だ!ということでチェックする。
プロモーションに積極的なお店ほど、個数や年月などの数字が多い。狩り場だ!ということでチェックする。
警備員「あんたたち、何しとんの?」
ここで警備員のおじさんが興味深そうに覗いてきた。
ここで警備員のおじさんが興味深そうに覗いてきた。
私 「あ、ビンゴです」
警備員「…ふーん」

怒られる!?かと思ったが、「店の前でビンゴをする」という行為はお咎めなしだったようで、静かに見守っていてくれた。よし、それでは次の場所へ行こうか。
おじさん「次回はうどん食べてくれよな!」
おじさん「次回はうどん食べてくれよな!」
全員「ありがと~…あっ、ここにも数字が」  おじ「なんだあいつら…」
全員「ありがと~…あっ、ここにも数字が」 おじ「なんだあいつら…」
少しずつ、頻出する数字の傾向が見えてきた。個数の1・2・3、パーセンテージの30・40・50、時間の12・24・60、といった数字がよく出ている。逆に言えば、中途半端なものが見当たらない。ちょうど大通りでは頭打ちになってきたので、それならあえてと路地裏へ入ることに。
中途半端な数字を求めて、路地裏へ。
中途半端な数字を求めて、路地裏へ。

路地裏は大通りとは違う空気が流れている

ベトナムの魅力のひとつには路地裏の世界があると言ってもいい。ベトナム語で、南部だと「ヘム」、北部だと「フォー」。車両の走行音やクラクションで賑やかな大通りだが、路地裏に入った途端に音が遮断されて静かになり、路地裏は路地裏でまた違った表情を見せるのだ。
夜の一人歩きはオススメしないけどね。
夜の一人歩きはオススメしないけどね。
だいたいの電柱には、業者の電話番号が載った張り紙がベタベタと貼られてある。引っ越しや配管修理などの業者だが、それ自体がベトナムの一風景といった印象だ。
だが、3桁以上の数字に用はない。
だが、3桁以上の数字に用はない。
途中、民家の軒先から小鳥の鳴き声が聴こえてきた。実は、ベトナムのおじさんにとって「小鳥を飼う」ことは定番の趣味。朝に小鳥を愛で、昼に路上で将棋を打つ。詳しくは以前ほそいあやさんが書かれたこちらの記事をどうぞ(「鳥を愛でながらお茶をのむ、ベトナムの朝」)。
だが、動物にはもっと用はない。
だが、動物にはもっと用はない。
私 「おっ、数字だ!」
玄関先に…。
玄関先に…。
謎の数字が。
謎の数字が。
私 「と思ったら桁数多いな…」
もも「これ、何ですか?」
ラム「この家の電気料金ですね、ここに書いておけば留守中も業者が記録(検針)できるので」
やす「へーー」
私 「これを見るたびに前から疑問なんやけど、修正ペンで書いて消えへんのかな…」
ラム「削ってるんじゃないですかね」
私 「豪快」
バイクのシートにも数字を見つけた。
バイクのシートにも数字を見つけた。
こちらは速度計のカバーにまで。
こちらは速度計のカバーにまで。
これは落書き…ではなく、バイク社会のベトナムでは駐車場に停める際、守衛が管理するためにチョークでバイクに数字を書き入れることが一般的。どれだけ新品のバイクでも、外で駐輪する限りは耳なし芳一のように日に日に数字が増えていく。知ってはいたが、盲点だった。
地区選挙の候補者リストを発見。
地区選挙の候補者リストを発見。
数字情報は多い!
数字情報は多い!
やす「どうします?」
私 「…アリってことで!」

これが開始当初だったなら、この候補者リストはきっとスルーしていたことだろう。しかし実はあまり数字は集まっていなかったということと、今は雨季だしスコールに降られても困るので、ちょっとハードルを下げる。
CAT CAFE…?あ~、猫カフェか!
CAT CAFE…?あ~、猫カフェか!
全員「どうします?」
私 「…」

このまま外を歩いても埒が明かないので入店することにした。猫に興味が無いのかというと嘘にはなる。余談だが、今、ベトナムでは猫カフェや犬カフェ、ついでに爬虫類カフェなどが着々と数を増やしている。食べ物扱いする地域もあるのだから、これは大きな時代の変化だ。

そんな猫への誘惑に抗いつつも数字を探す

店員「4名ですか?」
全員「あっ、はい…」
全員「あっ、はい…」
ラム「12…」
ラム「12…」
もも「35…」
もも「35…」
やす「25,28…」
やす「25,28…」
店員「………?」
店員「………?」
全員、新しい場所に行くとまず数字を探すクセが染み付いて来た。しかし、入店早々にビンゴカードを取り出す外国人グループがやって来たら、私ならちょっと引いている。さて、店内奥には数字があるか探してみよー…!
かわいい。
かわいい。
めちゃかわいい。
めちゃかわいい。
めちゃくちゃかわいい。
めちゃくちゃかわいい。
猫ってのは罪なやつだ。
が、ここで相当な猫好きの方を見て我に返った。
が、ここで相当な猫好きの方を見て我に返った。
店員が運んできたソフトドリンクから数字を探す。
店員が運んできたソフトドリンクから数字を探す。
やす「えーっと…11」
やす「えーっと…11」
ラム「ビンゴッ!!」
ラム「ビンゴッ!!」
ラムくん優勝!!
したのですが、猫に気を取られて完全に撮影を忘れていたので、以前にとあるゲーム大会で珍しく気合が入っていたラムくんをご覧ください。上の歯並びが良いね。
したのですが、猫に気を取られて完全に撮影を忘れていたので、以前にとあるゲーム大会で珍しく気合が入っていたラムくんをご覧ください。上の歯並びが良いね。

景品なくしてビンゴにあらず

と、以上、「第2回街角ビンゴ in ベトナム」でした。数字を探してペン入れしていくという行程はおもしろかったが、大事な何かを忘れている、果たして一体何だったか…と考えたところ、それは景品だったと気づいた。ビンゴ大会には景品が付きもので、あれがあるから次に出てくる数字に興奮するのだ。第3回をやろうと思っている方がおりましたら、この点をぜひ活かしてください。
ラム「ロッカーの番号、カウントしますか?」  私「すぐに終わるからダメ!」
ラム「ロッカーの番号、カウントしますか?」 私「すぐに終わるからダメ!」
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