薄めのビールが好き
お酒が好きだ。目の前に置かれたものはだいたい喜んで飲んでしまうのだけども、とりわけ大好きなのはビールで、薄めのビールが好みだ。
さっぱりしているのでたくさん飲みやすいのもポイントが高い
薄めのビール、って言うとなんだか「味が足りない!」と言っているようだけれども、そんな気持ちはない。世の中にはかなり濃厚な味のするビールがあるので、それと対比しての「薄め」区分のつもりだ。
アジア各国のビールなんかは、わりとそんなかんじじゃないだろうか。パンチの効いた味には、さっぱりとしたビールがよく合う。
で。急に思ったのだけども、わたしと青島ビールはわりと相性がいいんじゃないだろうか?
青島ってどんなところだ?
「薄めのビールが好き」からの「青島ビールとわたし相性よさそう」からの飛行機への搭乗はだいぶ飛躍をしている気がするけど、ほんとうに行った。行ってしまった。
青島、行ってみたあとの印象はざっくりというとこんな感じだ。
・ リゾート地だな
・ ドイツ風の建物が多い
・ でも、生活感はすごく感じる
・ わりと都会だ
・ 思っていた以上に至るところにビールがある!
「ハワイ ワイキキ」でググってみてほしい、わりと似てる
アジア濃度の薄いドイツ仕込みの街並
いっぽう、室外機のこびりつき方にくらくらするアジアらしい街並も混在
おじいちゃん、孫の扱い方に戸惑ってる
叫び声に群がる人だかりに「どうした?」と近寄ったら、パンツ売りだった
ビールの総量の多さを感じずにいられない路地
コンビニ、青島ビール一族でお酒コーナーをほぼ埋め尽くす勢い(健闘しているコロナすごい)
お土産やさん、孫の手が骨だけになったような物体の背後にビール瓶が山積み
どのくらい都会かというと、さいたま市と比べる時に迷うくらいだと思う。さいたま市、海がないけど。
そしてどのくらいビールがあるかというと、どう例えようか。
まず、青島全体が他の中国の地域に比べてビールが桁違いに多いのだけども、特に青島ビールの本社工場の付近にある啤酒街(ビール街)の勢いがすごい。
そうだ。方向性としては、魚市場の付近に鮮魚店や寿司・海鮮丼のお店がずらっと軒を並べるような、あのかんじに似ている。
夜になると発光もすごい。エレクトリカルパレードみたい。わたしにとっては、あのねずみの国以上に夢の国かもしれない
ビール街はかなり派手だ。初日、いつのまにかこの地帯にたどり着いていたのだけども、「これがビール街か?」とすぐに気づいた。警官服を着ている人が警察官だとわかるくらいの、かなりのわかりやすさだ。
ビールサーバーがでかい
足元までぬかりなくビールだ
ビニールのビールは美味い
ひとつ、事前に気になる情報を見ていた。青島では、ビールがビニールに入れられて売られているらしい。
ビニールにドリンクを入れて売る風習はアジア圏で時々見かけるけど、ビールを入れているのはまだ見ぬ世界だ。「ほんとうにあるの?」と、半信半疑だったのだけど、ぼんやり歩いていたらそれらしきものが……あった!
一見ちいさな商店なんだけども、店先にビア樽をがっつり積んでる
片言の英語と身振り手振りで「ビールが欲しい!」と伝えたら、アイスの扉を開けてくれた。ごめんちがう。さらに手振りを大きく、ビア樽の方向を指しながらもう一度伝えてみる。あ、気がついてくれた!
なるほど、フックに引っ掛けるのか
じゃんじゃん入っていくビール。不安になりはじめる。いつ止めてもらおう
おばちゃんは、ビールを入れ終わると店の棚の奥から何かをごそごそし出した。ストローだ。探してきたストローを、ビールの入ったビニールにぶっすりと、かなり勢いよく刺してくれた。
3元。良い温度に冷えてる
飲んでいるとじわじわと自分のまわりが濡れてく。……ってえ、おかしい、なんで濡れる……
やっぱり!
一瞬、彼のことが頭をよぎった
ストローを刺す時に強くブッ刺されすぎたのだろうか。いや、いつのまにかわたしが何かやらかしていたのかもしれない。というか理由はもうどうでもいいから、目の前のビールを一滴でも多く救出したい……!
自画撮りに、余裕のなさがあぶり出される
どんどん飲まないと漏れるので飲みたいのだけど、「記事に使うかも」と自画撮りもしたくって、両方を同時にやろうとすると表情がみるみるこわばる。
言い忘れたけど、このビールはすごく美味い。良いビールだ。
表情に説得力がないけど美味い!
ビニール袋は理にかなってるんじゃないかという気もしてきた。常に未使用だから、コップよりも衛生管理がしやすい気がする。時々破れるの難点だけどな!
あと、飲みやすくはないかもしれん(泡があまったけど吸えない)
博物館に行けば確実に新鮮なビールが飲める
青島ビールの本社工場と共にある博物館では、出来たての新鮮なビールも飲め
るらしい。
「出来たてのビール」。聞いただけで、瞳孔が開く
入場料60元。ビール、「原酒」と「純生」の2種類が飲めるらしい
メジャーな観光地らしく、ツアー客が多めだ。帽子がみんな赤い
つるつるしたものをぺたぺた触りたくなる気持ちは、万国共通なのかな
至るところで蝋人形がいる、夜のことは想像したくない
中休み地点みたいな所にたどり着いたら、「原酒」が待ってた
原酒、日本酒だと濾過してない絞りたてのことを指すけど、ビールではあんまり聞いたことがないな……と、いまいち想像がついてなかったのだけど、見てみて飲んでみて、はっとなった。ちょっと酵母入りのビールに似ている気がする。美味しい!
日本に帰ってきてから比べてみたかぎりだと「白濁」の味が似ているかも
今まで飲んできた青島ビールとは全然ちがう。出来たてだから美味い!とか、そういう次元じゃなく、別人すぎてしまう。あなたは誰だよ。
その後、出口付近でも「純生」をもらった
純生は、さっきの「原酒」の濁り部分を取り除いたんだなぁ、クリアにしたなぁ、という味ですっきり美味い。美味いんだけども、あの濁りとっちゃうのもったいないなぁという気持ちもある。
ちなみにこの博物館は、あと20元くらいお金を出すとこの純生を1時間飲み放題できるプランもあるみたいだ。(でも原酒は飲めない?英語で読んだ情報だから、ちょっとあやしい)
となりピッチャーを片手にやりだしたから、1時間飲み放題コースだ
次から次へ人とビールがやってくるのを「ああ飲んでいるなぁ」と眺めていたら、チームの中のリーダーらしき男性になにか合図された。言葉はわからないのだけど、たぶんこう言っている気がする。
「あなたの席、あけてくれないかな」
えっ………… (追いやられた)
エネルギーに完敗したので、すんなり席を譲ってしまった。「壁の花」ってこういう気持ちなんだろうか。
いや、わたしもまだまだ飲もう。お酒が足りない。
ビール街が飲みなよって囁いてる
ビール街に戻る。そういえばここ、平日の昼間だけどそういう空気じゃない。いつでも飲んでいいよってすべてが囁いてる。客引きも多いが。
材料を見ながら選べるらしい
うん。生きてる。生きているね
ヒトデきれい。頭とかにつけたい形だ
草類も、もしゃっとしながら出番を待ってる
大宴会。なんのご一行だろうかとか気になるけどもわからず
うまそう、何種類あるんだ?
わたしも飲もう。「果啤」という見慣れない名前のビールを
きた。見た目は、ちょっと赤いような気もするけど、わりと普通の様相をしてる
ちなみに、ビールの右脇奥に置いてある紙に書いてあるのは、トイレ何処?と聞くために書いたトイレのマークだ。しゃべれない自分を認めてあっさり筆談に頼るのは、なかなか良い苦肉の策なのでおすすめしたい。
これわたしの知ってるビールじゃない
微炭酸の……シロップなのか?口の中を甘味がすごい勢いでたるっと浸食していく。麦の味をさがそうと思っても、モヤがかかっていて見える気配がない。わたしの知ってるビールは、ああ、どこに行っちゃったんだろうか。
こうい時にかぎって、わたしの知ってるビールにかなり合いそうなつまみ頼んでしまった!
50メートルくらい先で爆竹が鳴った。音にもびびったけど誰も気に留めてる様子がないことにもおろおろした。文化の差はすごい
ベンチビール
くねくねビール
聖地巡礼
せっかくなので、青島ビールの「聖地」にも行ってみたい。
あそこ
「聖地」、観光客おおい
ちなみにここ、なんで「聖地」なのか?
これです。この、青色のところ
聖地(桟橋)とビールを見比べてみたら、使っている色が同じだということに気がついたのだけども、偶然なのかわざとなのか。わざとだと思いたい。
かなり本気の「また行きたい」
青島に行ってからまだ1ヶ月も経っていないのにもう「すぐまた行きたい!」と思い始めている。いくらなんでも時期尚早だと思うので、もうちょっと我慢はするつもりだ。
原酒にすっかりはまってしまった。原酒、博物館以外でも、青島市内でいくらか飲める
青島、毎年8月にはビールの祭りもあるらしい。ただの平日の昼間ですら、祭りみたいなことになっているのに、土地全部が祭りムードに晒されたら、一体どうなってしまうんだろうか。
あ、あと今回飲みそびれたのだけども、海藻をつっこんだ緑の青島ビールが、ビール街近辺に存在するらしい。あぶない予感も多々するけど、いつか一度は飲んでみたいなと思う。
地下鉄が工事真っ最中だから、この数年でかなり利便性も変わるんじゃないかな
とはいえ、今、日本にいて飲みたい時に飲みたいだけビールにありつけているこの状況もまたすごいことなんだなぁと、あらためて思った。
棒に当たるような勢いで歩いていれば飲み屋があるし、生ビールばっかり。すごいところなんじゃないか、ここも充分パラダイスだ。