とくべつ企画「味が濃い」 2016年6月8日

パッケージで「濃厚」をうたうスナック菓子あばれ食い

あばれながら食ってスナックにおける「濃厚」とはなにかをあばく!
あばれながら食ってスナックにおける「濃厚」とはなにかをあばく!
スナック菓子界に「濃厚」という方向感がうまれて久しい。

2005年にCRATZ、2008年にCheezaと、おつまみに特化したスナックがうまれたのが「濃厚」のはしりだったか。あのカルビーコンソメパンチに「W」が出たのが2003年だというからその前から濃さへの助走というのはあったのかもしれない。

そもそもスナック菓子というのは濃い食べ物だと思うのだが、そこをさらに濃くというのは、分かるようでちょっと分からない部分もある。

スナックにおける「濃厚」とは一体なんなのか。今回はパッケージに「濃厚」と印字されているものに限り買い集め、「濃厚」の正体にせまった。

(この記事はとくべつ企画「味が濃い」シリーズのうちの1本です)
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

スナック界 濃厚戦国時代

そりゃあもう、あったあった。店におもむけば、特にコンビニのスナック菓子売り場は濃厚まつりである。濃厚なものばかりを集めて売り場を作っているコンビニも多かった。

どうも、濃い系のスナック菓子はコンビニ専売商品というものも多いようで、おつまみ需要にこたえているのかもしれない。
コンビニに集結する濃いスナック
コンビニに集結する濃いスナック
セブンプレミアムが他のプライベートブランドでは見られない勢いで「濃厚」をうたっていたのも気になった
セブンプレミアムが他のプライベートブランドでは見られない勢いで「濃厚」をうたっていたのも気になった
今回は「濃厚」と同義であろう「濃い」「贅沢」といった文言をうたう商品は省き、ずばり「濃厚」を押す商品の、スナック菓子だけに絞って買い集めた。

とにかく種類が多くそうでもしないと収集がつかなかったのだ。濃厚戦国時代である。

既知の濃い版か、唐突に濃いか

まだまだ濃厚をうたうスナックは存在するのだろうと思いながらも手元にそろえた12種類。試食には1人じゃ食べ切れないのでライターの江ノ島茂道を呼んだ。
いきなりだが、総括からみていこう。
●パッケージから分かったこと

・おなじみのあの味の濃いバージョンと、なんか急に出た唐突なフレーバーの2派がある
・方向性としては「ポップ(=クレイジー)」と「シック(=贅沢、大人向け)」の2方向がある
・「濃厚」といわれがちなのは主にチーズをはじめとする乳製品
おなじみのあの味をそのまんま濃くする流れも太い
おなじみのあの味をそのまんま濃くする流れ
カルビーがコンビニ限定でちぎっては投げしている「濃い味」シリーズ、「ポテリッチ」シリーズのような、唐突でクレイジーなものがあれば
いっぽうでカルビーがコンビニ限定でちぎっては投げしている「濃い味」シリーズ、「ポテリッチ」シリーズのような、唐突でクレイジーなものも
そして濃厚といえばチーズ、なかでもチェダーチーズが王道
そして濃厚といえばチーズ、なかでもチェダーチーズが王道
●食べてみてわかったこと

・濃さには「しょっぱい」と「コク」の2方向がある
・全体的ににおいが濃い
・全体的に硬い
・手につくと通常のスナック菓子の倍しつこい(においやべたつきが)
というあたりがおおむねの感想であった。
ちかごろはあまり食べないがかつては「よくこうやって、ガーッて食べてましたね」と江ノ島。スナックは飲み物…!
ちかごろはあまり食べないがかつては「よくこうやって、ガーッて食べてましたね」と江ノ島。スナックは飲み物…!
においが濃いので全商品かぎがいがあった
においが濃いので全商品かぎがいがあった
それでは以下、順を追って今回得た知見を詳細に報告したい

「濃厚」スナック菓子マトリクス

まずはパッケージを観察してわかったこと。

・おなじみのスナックの濃いバージョンと、なんか急に出た唐突なフレーバーの2派がある
・方向性としては「ポップ(≒クレイジー)」と「シック(≒贅沢、大人向け)」の2方向がある

と、さきほどまとめたが、これを全12種類マトリクス上に配置してみた。
!
一見分散しているように見えるかもしれないが、食べなれた味の濃いバージョンとしての濃厚がある一方、未知のフレーバーが濃さを武器に下克上を狙っているのがわかると思う。

また、濃厚といえば大人向けかと思いきや、それだけではないポップでクレイジーな濃厚が今や大暴れしているのだ。
ほほう…
ほほう…

裏面の栄養成分表も凝視

ジャケットは裏側もチェック。すべての商品で裏面に栄養成分表示がプリントされていた。
こういうやつですな
こういうやつですな
成分のなかから、「濃厚」の要素により密接であろうカロリーと、ナトリウム量から割り出せる食塩相当量を注視してみた。
全体から見てオレンジ色の部分が「そこそこ多い」、黄色が「多い」
全体から見てオレンジ色の部分が「そこそこ多い」、黄色が「多い」
参考までにカルビー ポテトチップスのうすしお味が100gあたり561kcalの食塩相当量0.9gであることからみると、全体的にカロリー値は変わらないのが一部の商品で塩分が著しく多いのが分かる。

やっぱ、しょっぱいのだ。

では、あばれ食っていこう

なんとなく分かったつもりになったので安心して、あとはただただ2人あばれ食っていきたい。

12種類実食!
●エアリアル 濃厚チェダーチーズ味
!
・いいにおい
・いわゆるチーズスナックのチーズのにおいが凝縮されてる
・うまい
・固さがあるから濃さもより強く感じる(ごりごり咀嚼するから)
●チーズビット 濃厚チェダーチーズ味
!
・濃厚界ではちょっと有名なスナックらしい
・それにしては軽い?
・これ、一気にたくさん食べる前提なんじゃないですか
・一つ一つじゃなく、一気に食べると……ああ! 濃い!
・ガーッて食う前提ですよこれ
たくさんつかんで一気に食べる
たくさんつかんで一気に食べる
そういう前提で、濃厚
そういう前提で、濃厚
●スコーン 濃厚チーズ味
!
・指への粉のつきが異常
・そもそも濃いスコーンがさらに濃くて驚く
・まだ濃くなりしろがあったのか…
・スコーンはしょっぱいかりんとうなのではないか
●固焼き仕立て カール 大人の贅沢 濃厚あぶりチーズ味
!
・本当に固い、食べるとゴリゴリ言う
・カールのチーズ味がそのまんま濃くなった味
・歯に残る感じもカールだ(でも通常のカールほど歯に残らない)
・スナックというよりも歌舞伎揚げくらいの固さ&濃さ
濃厚スナック菓子にはチーズ味のものが多い。

チーズというのは、しょっぱくても濃厚でも、不健康なイメージにならない強みを持っている。そこにつけこんだスナック勢がやりたいほうだい濃くしているという印象だ。
●わさビーフ わさびが効いた濃厚ビーフ味
!
・ビーフというよりもわさびが濃い?
・いや、後味はビーフ感も濃いですね
・わかった! 普通の「わさビーフ」の味がそのまま濃いんだ
●かっぱえびえん えび2倍仕込
!
・色が普通のかっぱえびせんより濃い
・においの甲殻類の出汁感がすごい
・あ、固い
・かっぱえびせんが坂角みたいな高級えびせんに向けて走り出した!
・パッケージはポップだけど味は大人向けじゃないかこれ
・ばりばり食べちゃうのがもったいない
・いや、がーっと食べられますよ
再掲になりますが「がーっと」の見本載せておきますね
再掲になりますが「がーっと」の見本載せておきますね
●ピリッと辛く濃厚なめんたいリング
・うまい棒のめんたいこ味だ
・うまい棒のめんたいこ味なんだけど、めんたいこの味もする
・うまい棒のめんたいこ味って、ちゃんとめんたいこだったんだなと思わされる
・からい
●濃厚な味わいの細切りポテト コンソメ味
!
・これは本気でしょっぱい
・固いから噛んでる間にどんどんしょっぱさがくる
●北海道リッチバター味
!
・カルビーの「ポテトチップス しあわせバタ~」というのがあって甘じょっぱいポテチなんですが、これはしょっぱい一方向
・じゃがバターじゃなくて、バター味が食べたいというリクエストで開発された

・においのバター度合いはさすが
・トーストを鼻先にもっていったときのにおい
・じゃがバターじゃなくてバターが食べたいということだったが、ポテチなのでどうしてもじゃがいもの味がするよね!
じゃがバターじゃなくて、バター味が食べたいというお手紙のリクエストで開発された
じゃがバターじゃなくて、バター味が食べたいというお手紙のリクエストで開発されたそう
●ポテトチップス スモークサーモン&クリームチーズ
!
・スナック界で濃いチーズといえばチェダーという常識を打ち破ってのクリームチーズ
・これ、スモーク味ですね
・すごい燻製感
・子ども食べたらびっくりしそう
・いぶりがっこくらいスモーキー
・チーズが濃厚なんじゃない、スモーキーさが濃厚
●ポテトチップス 濃い味 サワークリーム&ハラペーニョ風味
!
・辛い!
・サワークリームの酸っぱさもある
・かなりオフェンシブな濃厚さ
・味が変わってる。チャレンジングな濃厚というのもあるのか
●厚切りポテリッチ うにカルボナーラ
!
・そうだ、濃いといえばチーズのほかに「うに」があった
・うにせんべいの濃さ
・においがすごい、味のほうが負けてる感じ
・……と、思ったら味あとからがっつりきた!
・後ろを任せられる安定の濃さ
○○&○○、のような、味を盛っているタイプのスナックは食べている間にどんどん口のなかの味がかわっていく。段階をふんで味が到着するようだ。

濃いというのは味のほかにコンセプトの濃さのようなものもある。
濃い濃くないの前に変わった味でびっくりした。

甘じょっぱいスナック状況も確認しておきたい

濃厚スナック。戦国時代を迎えて久しく方向性もさまざまなことになっていた。

「最近、甘いスナック菓子増えてませんか。去年くらいからコイケヤがみかん味とか出してましたが、また牛乳味とか、りんご味とか」

江ノ島はそういって残ったスナックを喜んで引き受けて帰っていった。また近いうちに今度は甘いスナックを買いこんで招きたいと思う。

米菓も濃厚!

買物をするうちに、スナックだけじゃなく米菓にも「濃厚」の波がきているのを感じ取っていた。濃い米菓といえばうにせんべいの独壇場だと思っていたが、やはりここでもチーズが頑張っている。
例のチーズおかきにも濃いバージョンが
例のチーズおかきにも濃いバージョンが

実は私はどちらかというと薄味の方がすきなのだが(今さら!)、スナック濃い味市場のクレイジーぶりには恐れ入った。

今後加齢で濃いスナックなどどうしても胃がうけつけなくなることもあろう。しかし乗りかかった舟である。ただパッケージをながめるだけでも人生をかけ注目していきたい。それくらい、なんか面白かったです。
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