とくべつ企画 2016年6月14日

熊本地震チャリティ企画「産廃系雑貨」販売します

ここも被災地。
ここも被災地。
先日の熊本地震で被害を受けたみなさんには、一日も早い復興をお祈りしています。

でも祈っているだけではないぞ。僕たちは僕たちなりの復興支援をさせてもらおうではないか。

熊本の隠れた技術力をここで発揮してもらおうと思います。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:思い出の品を燃やした煙でベーコンを作ります

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

阿蘇といえばカラクリ

熊本にはデイリーポータルZでも取材させてもらったことがある阿蘇カラクリ研究所がある(わかりやすい記事はこちら)。

阿蘇カラさん、地震、大丈夫だっただろうか。少し前に投稿いただいたブログには、玄関の前が地盤沈下したり水が止まったりと、被災地のリアルが描かれていた。

ただ、阿蘇カラの福山さんの書くブログは相変わらず楽しそうなのだ。実際どんな様子なのか、会いに行って来た。
鉄道がまだ復旧されていないので、タクシーで向かいます。
鉄道がまだ復旧されていないので、タクシーで向かいます。
近くまで言って人に聞いたら「ああカラクリさんね、あそこの看板出てる家よ」って言われた。カラクリさんって呼ばれているのか。
近くまで言って人に聞いたら「ああカラクリさんね、あそこの看板出てる家よ」って言われた。カラクリさんって呼ばれているのか。
阿蘇カラクリ研究所はその名の通り阿蘇にある。阿蘇はこの前の地震で最も揺れの大きかった地方の一つである。

地震で主要道路の橋が落ち、鉄道も止まってしまって復旧のめどがたっていないということで、山を越えてやってきた。
阿蘇カラクリ研究所、福山さん。
阿蘇カラクリ研究所、福山さん。
--阿蘇カラさんは地震被害、大丈夫だったんですか?

「そりゃあ被害ありましたよー。」
「ここ、トイレなんですけどね」
「ここ、トイレなんですけどね」
「うち、もともと地面にちゃんと設置していなかったから、揺れが建物に伝わらなかったみたいなんですよね、それが幸いした。まあ代わりに基礎からぜんぶ落ちちゃったんだけど。」

福山さんの言うように、阿蘇カラさんの事務所はコンテナになっていて、それがボコッと地面に置かれている。これが地震でズレてしまったらしいのだが、ジャッキで持ち上げて元に戻した。
「揺れでこの人形がちょっと前にせり出してきました。」
「揺れでこの人形がちょっと前にせり出してきました。」
自慢のトイレでは揺れで人形が少し前にせり出した。おかげで怖さ倍増である。

「壊れてほしくない物が壊れて、どうでもいいものばかり無事なんですよね。」

そういうものなのかもしれない。
この防犯システムは夜になると動きます。これも地震で頭が取れてしまったらしいのだけれど、また新しいの付けた。
この防犯システムは夜になると動き出す。これも地震で頭が取れてしまったらしいのだけれど、新しいの付けた。
阿蘇カラさんは震災の後もマイペースにおかしなものを作り続けているようだった。そうこなくっちゃ、と思う。だけどいったん他に目を向けると、やはり水が止まってしまったり家が壊れてしまったりと、被害状況は小さくない。

この状況で、僕たちに少しでも役に立てることはないだろうか。
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なにかできることはないか

こういう時の「チャリティー」って何をしたらいいんだろう。もちろん個人的に募金をしたり現場でお手伝いをしたり、いろいろできることはあると思うのだけれど、もっとこう、熊本の人たちと一緒に何かできたらと思うのだ。
阿蘇。
阿蘇。

産廃系雑貨を販売します

阿蘇カラさんにチャリティーのことを相談してみたところ「面白いことなら何でも協力しますよ。このへんの人はみんな面白いことに飢えているので。」とのことだった。

このへんの人、というのが阿蘇カラさん以外にどのくらいいるのかわからないのだけれど、こちらの人に手伝ってもらえるのならば、そしてそれが復興につながるのならば、これほどうれしいことはない。

たとえば、阿蘇カラさんと仲間たちで何か作ってもらい、それをわれわれで販売するのはどうだろう。

阿蘇カラさん、何か販売できそうなものってないですかね。
「そうですね、これなんかどうでしょう。」
「そうですね、これなんかどうでしょう。」
阿蘇カラ福山さんが奥から出してきてくれたのがこれだった。

聞けば近くの工場が被災してしまい大量の産業廃棄物が発生したのだとか。その中から材料になりそうなものを引き取って、輪っかを付けてストラップと言い張り(いちおうどれも紐がつけられます)、これまでも支援してくれた人に送りつけていたのだという。

それはいい。つまり材料も加工も熊本である。この自称「ストラップ」をはじめとした産廃系雑貨を大量に作ってもらって販売しよう。売れたお金は熊本に寄付する。

しかしここは阿蘇カラクリ研究所、阿蘇の狂犬と呼ばれた男である。

雑貨のラインナップとしては前の写真のようなコンパクトなものが大半なのだが、たまに度が過ぎたものが混じる。
度が過ぎたもの、その1。
度が過ぎたもの、その1。でかい。
度が過ぎたもの、その2。
度が過ぎたもの、その2。長い。

でかい、そして、長い。

産廃系雑貨は一律3000円で販売するのだが、この度が過ぎたクラスになってくると原価となるパーツ代だけで軽く売値を超えてくる。本末転倒、という言葉が見え隠れするが、阿蘇カラさんはこれを売って人を笑わせるためなら赤字も辞さない構えだ。

僕たちとしてもこれが商品としてどうなのか、使ってくれる人がいるのかどうか、非常に興味があるので、買ってくれた(募金に参加してくれた)人はぜひ使っている様子を写真に撮って、ハッシュタグ「#熊本産廃系雑貨」を付けてツイートしてもらいたい。阿蘇カラクリ研究所の恐ろしさを忘れないように、記録しておく狙いもある。

今回協力してくれた熊本県内のモノづくり屋さん

株式会社GTスパイラル (捻り平板の端材)
エス・ユー・テクノス株式会社 (エアシリンダ)
未来工業株式会社(熊本工場) (エアシリンダ、ブレーカー)
匿名希望のモノづくり屋 (エアシリンダ、その他ゴミ)
阿蘇カラクリ研究所

このあと阿蘇カラ福山さんが紹介動画も送ってくれた。

なんとも息づかいの聞こえる動画である。

募金はしたいけど産廃系雑貨はちょっと親に叱られそう…という人にはデイリーポータルZのステッカーなんかも商品に混ぜておいたので、そちらを買ってください。ステッカー類の売り上げも全額募金します。

販売ページはこちら(モバオクにとびます)。

今回は友だちのモバオクに販売をお願いしています。もちろん無償、利益はすべて募金です(ありがとうございます!)。

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被災地化どうか、一瞬忘れる

ここからはおまけなのだけれど、阿蘇カラさんちの庭には屋台がある。
屋台ですね。
屋台ですね。
もちろん阿蘇カラ福山さんが作ったものなのだけれど、これがものすごくよく出来ていて、ベースとなる部分は軽トラの荷台にぴったり収まるのだ。つまりこれを積んで移動して旅先で屋台を開くことができる。
「前に山の上に持って行って飲んだこともありますよ。最高でした。」
「前に山の上に持って行って飲んだこともありますよ。最高でした。」
そりゃあ最高だろう。

明るいうちは阿蘇カラの福山さんが中に入って飲み物を作ってくれたりしたのだが、日が暮れて近所の人たちが集まってくると、いつのまにか福山さんはお客側になり、有志が中に入って屋台を運営していた。
こんなの楽しいに決まっている。
こんなの楽しいに決まっている。
最高である。

被災地っていうとみんな元気をなくして沈み込んでいるんじゃないかと心配するのだけれど、こういう場所もあるにはあるのだ。

しかしひとたび周囲に目を向けると、すぐ裏の山が崩れていたり橋が落ちていたりする。阿蘇カラさんの家も雨が降る度避難指示が出るのだと言っていた。阿蘇カラさんといると忘れそうになるが、ここはリアル被災地なのだ。

これを機に、阿蘇カラさんと仲間たちの作った雑貨を手にして、被災地に目を向けてほしいと思う。

産廃系雑貨は200個限定ですので、なくならないうちにぜひご参加ください。デイリーポータルZステッカー類はたくさんあります。利益はすべて熊本復興への募金にします。

販売ページはこちら(モバオクにとびます)。

よろしくお願いします。
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