特集「生きてるからにはやっておきたいこと」 2016年5月2日

ぶら下がり取材されたい

江ノ島氏、新党結成に含みを持たす(共同)
江ノ島氏、新党結成に含みを持たす(共同)
ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルは、「人はだれでも15分だけスターになれる」と言った。

ぼくも、15分とは言わない、数秒だけでもいいから脚光を浴びたい。

脚光っていうか、具体的に言うと、ぶら下がり取材を受けたい。

(この記事はとくべつ企画「生きてるからにはやっておきたいこと」シリーズのうちの1本です。)
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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ぶら下がり取材を受けるということ

ぶら下がり取材とは、三省堂国語辞典によると、移動中または立ったまま、要人をかこんでする取材のことを言うらしい。
囲み取材とはちょっと意味合いが違うようだ
囲み取材とはちょっと意味合いが違うようだ
あの、記者に囲まれて取材される気分ってどんなだろう? たぶんこれから先、実際に取材なんかされることはないだろうけど、体験できるのであればぜひいちど、体験しておきたい。

本当の取材でなくてもかまわない。それっぽい写真が撮れれば満足だ。

というわけで、撮った写真がこちらである。
経歴詐称疑惑について釈明する西村氏(共同)
経歴詐称疑惑について釈明する西村氏(共同)
いかがだろうか?

金屏風の前で神妙にインタビューに答えるおっさん。何らかの詐称がバレて釈明会見をする市議会議員みたいな雰囲気が出てないだろうか? これ以上責めると泣きはじめるかもしれない。
ちなみにインタビュイー目線だとこんなだ
ちなみにインタビュイー目線だとこんなだ
釈明会見で金屏風や赤いネクタイはないかもしれないが、インタビュアーのマイクもカラオケマイクなのでいいだろう。

というか、手元をよく見ていただくとわかると思うけど、ICレコーダーに見えるやつも、Wiiのリモコンとかだ。
家にたまたまあったICレコーダーっぽいもの
家にたまたまあったICレコーダーっぽいもの

なるべく低予算でそれっぽい絵を

ニュースでよく見る「ぶら下がり取材」のイメージは、取材者が取材対象者を取り囲んでマイクやICレコーダーを向けて取材している映像が思い浮かぶ。

ぶら下がり取材っぽい写真を撮るために必要な物をまとめてみた。
こんなものかなー
こんなものかなー
スーツ姿の男女が5、6人というのが意外とハードル高い。さらに、マイク5、6本は買うわけにもいかないし、重厚感のある背景などはロケ用で借りるとまたこれもお金がかかる。

これを実現するのはなかなか難しいな、と思っていたところ「日本おもしろ記事大賞」の授賞式が目黒の雅叙園で行われるという。

スーツを着たひとがいっぱい集まる、重厚感のある背景、しかも雅叙園がマイクを5,6本貸してくれるという。

渡りに船とはこのこと、ICレコーダーと筆記用具を準備すればなんとか撮れそうだ。ICレコーダーっぽいものを家中からかき集めた。
古い携帯電話、イヤフォンラジオ、イブA錠の空き箱(写ってないけどWiiリモコン)
古い携帯電話、イヤフォンラジオ、イブA錠の空き箱(写ってないけどWiiリモコン)
イブの箱は黒く塗って使った
イブの箱は黒く塗って使った
昔の携帯や小さいラジオ、イブの空き箱、Wiiのリモコン(黒)である。遠目にみればICレコーダーっぽくなるはずだ。

人の認識能力なんて大したことないのだ。

だんだんそれっぽくなるぶら下がり取材

さて当日、適当に作った小道具を携え、雅叙園に向かい大量のマイクを借りた。
カラオケマイクこんなに大量に
カラオケマイクこんなに大量に
本来はカラオケマイクではないものがいいのだが、これだけ量があれば逆にそれっぽくみえるかもしれない。他の小道具が適当なことを思えば十分である。
絨毯の重厚感はすごい
絨毯の重厚感はすごい
なぜかカメラマンを雅叙園のスタッフさんにお願いすることに
なぜかカメラマンを雅叙園のスタッフさんにお願いすることに
とりあえず、今いる人達にマイク、ICレコーダー等を適当に持ってもらい、取材っぽく並んでもらった。

すると、雅叙園のスタッフさんが気を利かせて「写真撮りましょうか」と申し出てくれた。こんなこと、お願いしていいのかよくわからないけど、せっかくなのでお願いした。

で、最初に撮影した写真がコチラ。
うーん
うーん
それっぽいといえばそうだが、なんだかちょっと変だ。インタビュアーはそんなに腰を低くしなくてもいい。

普通に前を開ける感じで立っててもらって大丈夫だ。
あ、そんな感じ
あ、そんな感じ
すると、雅叙園のスタッフさんがさらに気を利かせて「金屏風使います?」と提案してくれた。

え、いいんですか?
あ、マジっぽくなってきた
あ、マジっぽくなってきた
小道具がいい加減でも、こういう本物があると写真に凄みがでてくる。
あー、いいですねー
あー、いいですねー
しかし、この雅叙園のスタッフさん、なぜかノリノリである。

インタビュイーを交代してみる

インタビュアーの雰囲気もなかなかこなれてきた。せっかくなので、ここでインタビュイーをほかの人に代わってみてもらった。

まずはオモコロ編集長の原宿さんである。
神妙な顔をさせたら日本一ではないか
神妙な顔をさせたら日本一ではないか
さしずめ、所属タレントが酔っ払って全裸になったことを謝罪する事務所マネージャーである。

しかし、この神妙な顔の見事さと言ったらない。なぜこんなに神妙な顔が板についているのだろう? 叱られ慣れてるのだろうか?

この顔をみたらたいていのことは許さざるを得なくなる。

ただ、原宿さんがこんなにいい表情なのに、インタビュアーがことごとく半笑いなのが申し訳ない。

つぎは、デイリーポータルZのウェブマスター林さんにもインタビュイーになってもらった。
國村隼っぽいですね
國村隼っぽいですね
本当に申し訳ないけれど、なんらかの疑惑が持たれたITベンチャー社長に見えた。ぼくにはそう見えてしまったから仕方ない。ある企業の新年会によばれた疑惑のITベンチャー社長が会場で会見。というシーンである。

なんらかの疑惑……年齢詐称とかショボいやつでもいいけれど、インサイダー取引や脱税みたいな捜査2課や地検特捜部が動くやつでもいい。

ちなみに、後ろで耳をおさえているライターの爲房さんは、SPという設定である。これは言っておかないとわかりづらいかもしれないので一応お伝えしておきたい。

意外と政治家っぽい江ノ島氏

つづいてライター江ノ島くん。
これは政治家だ、まだ若いが政治家だ
これは政治家だ、まだ若いが政治家だ
若手で新党結成したものの、路線対立で分裂状態の党の代表である。スーツの力はすごい。

こういう写真が撮れると、ニュース風の画像も作りこみたくなってしまう。
テレビ風画面
テレビ風画面
遊説先のホテルで会見に応じる江ノ島氏。パン派を粛清するとまで言っているので、造反者にはかなり厳しい態度で臨むらしい。対立派閥に選挙で刺客候補を送り込むタイプだ。

しかし、そんな冷酷な江ノ島氏も、にこやかに笑うとまた別の顔が見えてくる。
ちゃんこしっかり食べて体作り頑張ります!
ちゃんこしっかり食べて体作り頑張ります!
どうみても新弟子検査に合格した学生横綱である。それ意外考えられない。

表情ひとつでその背景が変わってくる江ノ島くん、役者である。

人と場所さえあればできるな

ぶら下がり会見ごっこ。いままで小道具と場所がネックで実現しづらいなと思っていたのだが、スーツを着た人が10人ほどあつまれば簡単にできることがわかった。

あと、撮った写真から勝手なストーリーを妄想するのも楽しい。

今度は20人ぐらいでモーニングを着込んで、組閣写真撮影ごっこをやりたい。
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