世界に羽ばたいたヘボコン
個々のイベントの前に、まずはこれまでの経緯を振り返らせてほしい。
昨年の7月に、「不器用なロボコンが見たいなあ…」という僕の思いつきにより、第1回のイベントを開催。その後11月のミニヘボコン開催を経て、同月には文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に入選。
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これがその時の応募映像。製作は
プープーテレビ も率いるライター大北くんです。
それがきっかけで海外でも広く紹介された。上の映像の英語字幕版を編集部で作ったのと、いつの間にか中国語字幕版も勝手に作られて、世界を駆け巡った。そしてそれを見た有志により、今や世界中で大会が開催されまくっている。
そんなわけで、Heboconは今や世界に広がる一大ムーブメントなのだ。今年のコンテスト開催状況を見ていただこう。
Jan. 25 ... Hebocon@Fullerton, US
Jan. 28 ... Hebocon@Chicago, US
Feb. 1 ... "羅鉄克机器人大賽" @Beijing, China
Feb. 6 ... "ROBOT FIGHT CLUB" @Philadelphia, US
Feb. 20 .. "Crapbot Battles" @Isle of Wight, UK
Feb. 27 ... "BITSOC Presents: HEBOCON 2015" @Ottawa, Canada
Mar. 6 ... "mini hebocon portland" @Portland, US
Mar. 7 ... "HEBOCON @ SYN Shop" @Las Vegas, US
Mar. 8 ... "beta hebocon Roma" @Roma, Italy
Mar. 20 ... Scrapbot Battle @Isle of Wight, UK
Mar. 28 ... ★西ヘボコン @Osaka, Japan
Apr. 18 ... Hebocon at MIT @MIT, US
Apr. 19 ... Hebocon Thailand @Bangkok, Thailand
Apr. 25 ... ★ギガヘボコン @Tokyo, Japan
May. 8,9 ... Hebocon@Berlin, Germany
May. 15 ... The 3rd IOW World Scrapbot Championships 'The Fight for 3Dom!' @Isle of Wight, UK
May. 29 ... HeboCon Meetup: A mini-sumobot tournament for crappy Robots @Manila, Philippines
May. 30 ... "廢柴機器人大戰" @Taipei, Taiwan
May. 30 ... 1st ever Scrapbot Convention at The First Floor @Isle of Wight, UK
Jun. 6 ... 積木廢柴機械人大戰 @Hong Kong
Jun. 6 ... HEBOCON InnovASEAN @Singapore
Jun. 19 ... The 4th IOW World Scrapbot Championships 'Festivals 4 Ever!' @Isle of Wight, UK
Jun. 21 ... Hebocon @Bangkok, Thailand
Jun. 25 ... Hebocon @Macau
Jun. 27 ... "第一屆廢柴機械人大戰" @Hong Kong
Jul. 5 ... Hebocon @ NTSEC @Taipei, Taiwan
Jul. 9 ... Hebocon Indonesia #1 @Bekasi, Indonesia
Jul. 25 ... Hebo-race @ Roma @Roma, Italy
Aug. 1-2 ... ★ミニヘボコン、水ヘボコン @Tokyo, Japan
Aug. 10 ... 成安ヘボコン @Shiga, Japan
Aug. 16 ... FUBACON: A Competition for Truly Awful Robots! @New Jersey, US
Aug. 16 ... HEBOCON in Chaos Communication Camp @Zehdenick, Germany
Sep. 12-13 ... ★ミニヘボコン in Yamaguchi @Yamaguchi, Japan
Sep. 13 ... a tiny Hebocon during Schmiede @Hallein, Austria
Sep. 19 ... Scrapbot Battle@Isle of Wight, UK
Oct. 5-9 ... "Robot al Parque" Hebocon Colombia @Bogota, Colombia
Out. 12 ... ★富ヘボコン @Toyama, Japan
Out. 24,31 ... ★デザヘボコン @Tokyo, Japan
Out. 25 ... Hebocon in Surabaya Zoo @Surabaya Zoo, Indonesia.
Nov. 7 ... 沖縄高専 高専祭ヘボコン @Okinawa, Japan
Nov. 7 ... ★九ヘボコン @Kita-kyusyu, Japan
Nov. 20 ... the 7th Battle at the king lud @Isle of Wight, UK
Nov. 28-29 香港廢柴機械人大戰 Maker Faire 特別版 @Hong Kong
Nov. 29 ... MakeFest Hebocon in Maker faire Tainan @Tainan, Taiwan
Nov. 29 ... 2nd Hebocon in Singapore @Singapore
Dec. 6 ... いせヘボコン @Mie, Japan
Dec. 9 ... SFCヘボコン @Keio University, Japan
Dec. 13 ... paperCの宴とヘボコン @Osaka, Japan
Dec. 19 ... ヘボコン行橋 @Fukuoka, Japan
舞台となったのは北米とアジアを中心として、さらにはヨーロッパと南米も含め、ぜんぶで20以上の国々。実に52イベントが開催された。
音楽が国境や言葉の壁を超えるとはよく言うが、このたび不器用や飽きっぽさも国境を超えたのである!
そんな中、デイリーポータルZ主催で開催したのは、★印をつけた7イベント。すでにレポート済みのものは上の一覧の中でリンクをたどっていただくとして、この記事では未レポートのうち山口・富山のヘボコンを振り返ってみよう。
9/12~13の2日間、DIYのイベント・Yamaguchi Mini Maker Faireの中で開催したのがこのミニヘボコン。
東京でのミニヘボコン に続き、工作スペースがある「その場で作って戦う」タイプのイベントである。8体のミニトーナメントを、2日間で5回開催した。
作業中は思わず真顔になるが、この人たち全員不器用なのだと思うとほほえましい。
イベント中の様子。地元のFablab山口のみなさんが作ってくれた看板(でかい)が最高だった
このイベントで印象深かったことといえば、なんといっても、以降のコンテストのルールに影響を与えた2つのマシンの存在である。
このときにはまだなかったルール(1) 動物を愛護すべし
族長 さんのロボット
ザルの上にトゲつきのゴムボールを置いたシンプルなロボット。3秒でできそうな手のかかってなさも注目点だが、最大の特徴はそこではない。中にある動力源であった。ザルを外すと…
あっ…
去年も含めると、自分が主催する6回目のヘボコン。全部で200体近いロボットを見てきたが、初の生物兵器である。いやサイボーグというべきか。3秒でできるサイボーグ。
自分の置かれた状況を呑み込めていない顔
もちろんカメの身の危険を考慮し、出場にはひと揉めあった。のだが、最終的には「カメに危険が及びそうな場合は即座に試合中断、負けとする」という条件の下、出場可能とすることに。
違う意味で手に汗握る試合の様子は下の動画で。
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りゅーま さん作、マッドマックスをモチーフにした車タイプが対戦相手。
竹串で武装した凶悪なロボットに、これは完全に亀ピンチ!と思いきや、ゼンマイ式の敵機はちょうど亀に当たるか当たらないかのところで停止。その後は緩慢なカメの歩みをみんなで見守る会となった。
遅い歩みながらも、よく見ていると途中で竹串を一本、叩き落として(?)いる点にも注目してほしい。
なお、この件がきっかけで、次のデザヘボコンより、ルールに「動物愛護にのっとり、生物の使用は禁止します」の一文が追加された。
このときにはまだなかったルール(2) 失敗作ならOK
「技術力の低い人限定」を名に冠すヘボコンには、ハイテクノロジーペナルティというルールがある。技術的に高度すぎるロボットは減点を受けることになっているのだ。
いままで主に「高度な部品(マイコンやコンピュータなど)を使っているかどうか」で判定していたのだが、そこに新たな判断基準を持ち込んだのが、このロボットである。
ドロまるくん(金子)
なんと、自作のドローンなのだ。ドローンといえば飛行機能だけでなく、バランス制御やリモートコントロールなど、数々のハイテク部品を備える。めちゃくちゃ技術力が高い装置のはずだ。
しかし、その動作シーンを見てほしい。
キーーーン、という飛行機みたいな音を立て徐々に振動し始めるドロまるくん。溜めの時間が長く、「飛ぶ、飛ぶ、飛ぶぞ…!」という期待感だけはむしろ普通のドローン以上だが、次の瞬間、見事に横転してテーブルの下へ。へ、ヘボい…。
「技術力の低さは部品に宿るのではない。作者に宿るのだ」 という、大切なことを我々に教えてくれた一台であった。
せっかくなので試合の様子も見ていただこう。
対戦相手がLess is More 号(ぼくくぼ)。iPhoneの着信バイブの振動をを下部のペーパーカップ・アンプリファイアー(という名前の紙コップ)により増幅し、徐々に前進することにより相手を押し出す作戦。
じわじわにじり寄るLess is More 号に対し、揚力を徐々に高めていくドロまるくん。翔んだ!!と思った瞬間には既にうしろに転倒したうえに土俵外まで転がり落ちているという、「念には念を入れて」みたいなダメ押し度の高い敗北であった。
高度な部品を使っていてもヘボい者はヘボい。ドロまるくんの見事な敗北は、ハイテクノロジーペナルティの判定基準を変えるきっかけとなった。
第1回・優勝
west-village.net (以下、写真キャプションは作者名です)
ハロウィンをテーマに、音に反応して動く6速歩行キットに家をかぶせたロボット。可愛い見た目ながら意外な押しの強さ
、そして投票判定でも観客の人気を集め優勝。
第1回・審査員賞 犬飼博士(eスポーツプロデューサー、ゲームクリエイター)
りゅーま
カメにトゲを抜かれたあのマシン。少し触っただけでトゲは抜けるわ粘土は落ちるわ、もっとも脆くそしてヘボかったとして審査員賞を受賞。ちなみにモデルはマッドマックスだそうです。
第2回・優勝
ますだ
会場へまるごしでやってくる道中、コンビニで漫画本「まるごし刑事」をパーツとして購入。自身のまるごしぶりを漫画タイトルに投影した自省的ロボ。ゼンマイ式で試合開始後すぐ止まるのに、運だけで優勝。
第2回・審査員賞 林雄司(デイリーポータルZウェブマスター)
チョーコクン
宇部市の公式キャラクター「チョーコクン」が公式参加。「後ろからシャボン玉のストローで吹いて進める」という非現実的な動力を搭載。
「見た目はもっともらしいのに動かそうという意思が感じられなかった。その割にふざけている様子がなく、ストローで吹く表情が完全に真顔。」という理由で受賞。
第3回・優勝
メカハリボテ(taka)
コントローラーの操作で首が上下に動き、左右に自由に旋回もできるなど、高機能を生かして優勝。ハリボテを外すと中身はキャタピラ駆動で、押しも強かった。
第3回・審査員賞 阿蘇カラクリ研究所
たぬきちゃん
トレーラーの頭部分を坂の上に固定、連結部を切り離すことによって地元の銘菓「鶏卵せんべい」が荷台ごと滑り落ち突進する。そしてそのまま土俵外にはみ出て1回戦で敗退。「これロボットじゃないですね、ゴミですよね」という最高の褒め言葉により受賞。
第4回・優勝
田中祭
「倒すか倒されるか」というヘボコンの緊張感をボーリングで表現。ボディに日本の技術の結晶であるプレステ2(の外装)を使用するも、それとは無関係にベースのおもちゃの馬力だけで優勝。
第4回・審査員賞 津田和俊(大阪大学創造工学センター、Fablab北加賀屋)
やりがい100%
未来から来た力士(設定)。ボディがガムテープなので色黒。クワガタのキットを力士にするという強引ぶりも特徴だが、動作より形の作りやすさを優先したため、進行方向は後ろ向き。「相撲というコンセプトを忘れなかった唯一のマシン」として受賞。
第5回・優勝
やまだ
コントロール性能のよさで細かく立ち回る。前面のプロペラは一応回るものの戦力にはつながらない飾りかと思われたが、決勝戦では相手をすくい上げて転ばせるのに活躍。
第5回・審査員賞 日髙良和(宇部工業高等専門学校)
べつやくれい
当サイトライターのべつやくさん。本体は小さいが、前面に装備したハンガーの幅広さにより大きなロボットも押し出すことが可能。しかし実戦では意味なく飾りでつけていた尻尾が土俵から出て、敗退。見た目の素朴さと、「要らんパーツで負けた」点が評価された。
以上、各大会の結果を駆け足でご紹介した。下のダイジェスト映像では全出場ロボットの単体映像と、各大会の決勝戦が網羅されている。いろんな「ゴミっぽいもの」がこんなにたくさん見られる映像は他にないと思うので、ぜひご覧ください。
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ミニヘボコン in 山口 ダイジェスト
次にレポートするのは、10/12に開催した、技術力の低い人限定ロボコン in 富山、通称:富ヘボコン。ヘボコンが世界に広まるきっかけとなった文化庁メディア芸術祭、その巡回展の一環で呼んでいただいたものである。
百貨店と商店街の間の広場で開催。初の完全野外イベントでもあった。
このイベント、個人的にいろんな意味で忘れられないイベントとなった。その最初の理由が、これだ。
黒船到来
今年の夏ごろ、編集部あてに1通の英文メールが届いた。差出人はアメリカのジャーナリスト、スティーブ。秋ごろに日本をめぐって取材旅行をする予定であり、その一環としてヘボコンを取材したいのだという。
その後何度かのやり取りで、彼は大手科学雑誌Popular Scienceの記者であるということがわかり、そして、取材がてらこの富ヘボコンに出場者として参戦することも決まった。
世界に広がるヘボコンであるが、日本の大会にわざわざ海外から出場者が来るのは初めてのことだ。
イベント前日に食事がてらインタビューを受けた時の様子。記念にあげたヘボコンシールとDPZシールをさっそく取材ノートに貼るスティーブ
富山のうまい魚(ただの自慢)
直前まで原発の取材で福島にいたというスティーブ。一夜明けてヘボコンである。取材テーマの落差が激しすぎやしないか。
材料は秋葉原と富山のホームセンターで調達ずみとのことだが、前日時点でまだロボットは製作中。その割にはけっこう遅くまで一緒に飲んでいた。
ちゃんと完成するんだろうか?そんな心配をよそに、翌朝になって彼が披露したのが、このマシンである。
命名「ペリ子」
「秋葉原でパーツを買った」って、電気街のほうかと思ったらこっちか!
スティーブいわく、この子の名前はペリ子で、アメリカからやってきた。もちろん由来はあのペリーである。
船のほうは電動でオールをかいて進むおもちゃを元に、黒船にちなんで黒くペイントしてある。わざわざ水しぶきがついてるのも、要らん芸の細かさだ。
反対側には「SARATOGA」と書いてある(米海軍の空母)。大砲からは愛を発射し、平和的に日本のロボを攻撃する。…という、設定だ。
コンセプト、そして相撲に関係のない設定をガンガンに盛ってくる感じ。このアメリカ人、完全に日本のヘボコンカルチャーになじんできている…!
おもちゃは水上用。木の板の上ではオールをかいても前進せず、「ホテルでは動いたのに!」とか言いながら急きょタイヤをつけ始めるスティーブ。
最終的には車輪をつけて前後に動きやすくし、オールで地面を押して進む方式に。
しかし、この改造が、実戦では完全に裏目に出ることになった。
ペリ子、来襲
スティーブの初試合は1回戦第5試合。対するはこちらのロボット
エレクトリックさつまいも(たぬきだらけ)
隣の石川県をアピールするためにやってきたロボ。アンテナも基板ももちろんどこにもつながっておらず、飾りである。前面には主砲として、3Dプリンタで作った銃(の文字)。
足回りはヘボコンでよく使われるキャタピラのキットだが、作り方が間違っているのか、なぜかこのマシンだけ歯医者のドリルみたいな甲高いモーター音を立てる。
そんな2体の戦いを、(3秒で終わる試合だがあえて)動画で見ていただこう。
ペリ子を、一瞬のうちに黒船ごと場外へ押し出したエレクトリックさつまいも。車輪をつけて動きやすくしたのが完全に裏目に出た。
スティーブいわく「戦うまでもなく、相手を見た瞬間に『終わったな』と思った」とのことで、まさにその予感通りの結果となった。
取材チームの皆さんと一緒に
黒船を名乗りはるばる米国からやってきて、3秒で敗退したスティーブ。
終了後に改めて話をしたところ、「僕は本当にヘボコンの精神にのっとったロボットが作れていたのか」「ちょっと高度すぎたのではないか」等と心配していた。3秒で負けたくせに!
「そんなことは絶対ない。あなたはこの上なくヘボかった」と声をかけておいた。こんな罵倒にしか見えないフレーズが励まし文句になるのだから、我ながら不思議なイベントである。(ちなみに日本で他にもたくさん取材をしたため、ヘボコンが記事になるのは来年の6月くらいとのことです!)
仮装大賞化するヘボコン
さて、富ヘボコンの見所はペリ子だけではない。
前々から思っていたのだが、ヘボコンはロボコンというよりむしろ「欽ちゃんの仮装大賞」に近いのではないか。素人がでてきてパフォーマンスを披露し、その工夫や完成度とともに、素人臭さや手作り感まで含めて楽しむバラエティ番組である。人が演じるか、ロボットが演じるかの違いだけだ。
そしてそれが回を重ねるごとにエスカレートし、ピークを迎えたのが、この富ヘボコンであったように思う。
気になるにもほどがあるロボット。おばちゃん82号(総曲輪ノリスターズ) ※総曲輪(そうがわ)は地名です
ヘボコンでは毎試合、対戦の前にロボット紹介の時間がある。このロボットの紹介の様子を書き起こしで見ていただこう。
「このロボットはおばちゃん82号です。今は亡き総曲輪ビリヤードのおばちゃんをテーマにしていて…」
「遺影を使って…ちょっと暗い話ですいません。遺影を使わせていただいてですね、こうしてロボットにして…」
会場の空気を冷やしてしまったことを謝罪する出場者。しかしその後…
「でたー!本人登場!!」
おばちゃん『ヘボコン最高ー!ご唱和ください』
遺影を出しての謝罪からの本人登場、そしてキメ台詞(このあと毎試合でてくるたびに言った)。
ロボットバトルイベントで本人登場。「本人」とは何なのか、その概念について考えさせられる展開であった。
キャラで掴んだ勝利の味
おばちゃんのインパクトはこのパフォーマンスだけではない。このまま試合の様子もご覧いただこう。
対戦相手は宙2どりーむ(宙2どりーむ)。ロケットパンチ(吹き戻し)を5連装。二人のパイロットがそれぞれ左右の車輪を手回し発電機で操縦、シンクロ率が命。
飛び出すロケットパンチ、おばちゃんの口から垂れるスライム、そして膠着する試合展開…。
結局、タイムアウトにより、判定は観客投票に。多数決により、おばちゃん82号の勝利となった。
あの『ご唱和ください』につられてみんなご唱和してしまったに違いないだろう。
他にも殺された姉妹の復讐に来た(設定)り
先頭につるされたメザシを2回戦ではくさやに換装、匂いでステージの全員に無差別攻撃を仕掛けたり
もうヘボいとか技術力が低いとか、そういうのをすっぱりあきらめたうえで、浮いた労力をすべて「トリッキーなものを作る」に集中させている感があった。そしてそのエネルギーがあまり余ってパフォーマンスにまで。ここがヘボコンの一つの到達点か、という感慨を感じた大会でした。
準優勝
チューリップ朱鷺ライズどすこい(らふ太郎)
新潟からやってきた大学生グループ。トキ、米、酒、などの新潟名物をこれでもかと詰め込んだゴテゴテのロボット。紐を引っ張ってお椀をひっくり返すと、中からおにぎりと生首(新潟美人?)が転がり出る。
ロボット的には酒部分(サイドカーみたいになっているところ)が絶対いらないのだが、機能的な必要性よりも郷土愛を優先しているところがぐっときた。
優勝
ブリリアント ブリ小僧(ポヨポヨメーカーズ)
富山といえば寒ブリ。ブリの下には氷見漁港にあるブリ小僧の銅像(を模した粘土細工)。その足元ではブリの頭が高速回転、上部の大きいブリも左右に往復ビンタ状態で激しく動く。
この2体が争う、決勝戦の様子も動画でご覧いただこう。
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相手の車高の低さにより往復ビンタを封じられたブリ小僧であったが、小さなタイヤながらも思いのほか馬力を発揮、正面から押し勝っての優勝となった!
お父さんから生まれた尿管結石ちゃん(ピストン藤井)
チップスターの容器を使って父の尿管を表現。中から大量の石を放出して攻撃する。
ウーパールーパーみたいなのは尿管結石をモチーフにしたゆるキャラ(表面がギザギザしているのがポイントらしい)。
「大変素晴らしい負け方に感動しました。」とUKさんに言わしめた、その圧倒的な死にざま。ぜひ動画で見てほしい。
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石(尿管結石)をぶちまけての壮絶な死!
石をぶちまけるところまでは作戦通り、しかし石を出すためのヒモを引っぱりすぎ、そのまま倒れてしまうのは予定外!
しかしそのおかげでドラマチックな負け方をし、審査員賞を手に入れたのだ。結果的には作戦成功だったということだろう。
なお、この試合の対戦相手はスーパーマリモ(富山大学機械科チーム)。エコをテーマにソーラーカーを使ったロボットはずだったが、あいにくの曇天で動かず。次の試合では高出力の投光器を持ち込むなど、もはや他のロボットよりはるかに多くの電力を消費したうえで、2回戦で敗退した。
審査員賞 地元のイメージガール&ゆるキャラチーム(まちなか小町、ムズムズくん、千石こまち)
「おばあちゃんの恥ずかしがらない姿勢が魅力的でした。」
そしてもう一つの審査員賞は、さっきのおばちゃんである。
もちろん受賞のコメントも例のアレであった。
『ヘボコン最高ー!ご唱和ください』
最も技術力の低かった人賞
そしてヘボコンにおいて最も名誉とされる、最ヘボ賞はこのロボット。
V8(Na)
自称・水平8気筒エンジン搭載。ポンプを押すと空気圧で跳ねるカエルのおもちゃを、8つ並べることにより8倍の馬力を実現。しかしながら8つのポンプを同時に押すことは人間には不可能であったため、前進すらままならず敗退。
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その潔いまでの負けっぷりは動画でご覧いただこう。
試合の前から前進が不可能であることはわかっていたのが、実際試合に入ってみると、前進できる!?できない!?のドキドキ感を味わう隙さえもなく瞬殺、という有様であった。
明日も続きます
というわけで総集編前半はこれにて終了。
明日は10月のデザヘボコン、そして11月の九ヘボコンの様子をレポートする予定である。
ゴミのようなロボットたちを見て、そろそろ飽きてきた大掃除へのモチベーションを取り戻していただければ幸いです。
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