特集 2015年12月1日

幻の豚「八鹿豚」が美味しすぎて驚く

幻の豚を存分にいただきます!
幻の豚を存分にいただきます!
松坂牛や、近江牛など日本全国に黒毛和牛が存在する。しかし、すべての黒毛和牛の始まりは但馬牛と言われている。すべての道はローマに通ず、と言うが、すべての和牛は但馬牛に通ずるのだ。

そんな但馬牛で有名な兵庫県養父市に八鹿町という場所がある。ここに幻の豚と言われる「八鹿豚」というブランド豚がいる。これをぜひ食べてみたいと思う。

この記事はとくべつ企画「肉」シリーズのうちの1本です。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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但馬牛の始まり

兵庫県に但馬地区という地域が存在する。「但馬」と聞けば、人は何を思い浮かべるだろうか。ほぼ間違いなく「牛」である。「但馬牛」だ。誰もが憧れる黒毛和牛である。
但馬と言えば但馬牛が浮かぶ!
但馬と言えば但馬牛が浮かぶ!
但馬牛は現在の養父市などで盛んに生産されていた牛。なにがすごいかと言えば、松阪牛も飛騨牛も、日本全国に存在する黒毛和牛のほぼすべてに但馬牛の血が入っていることだ。黒毛和牛の始まりは但馬牛なのだ。
黒毛和牛の始まりは但馬牛
黒毛和牛の始まりは但馬牛
しかし、である。但馬牛が盛んに生産されていた養父市には、「八鹿豚」という幻の豚もいるのだ。これがとんでなく美味しいらしい。基本的にこの地域でしか流通しておらず、東京はもちろん、他の地域でも食べることができない豚なのだ。
ということで、「八鹿町」に来ました!(雪が降っていました)
ということで、「八鹿町」に来ました!(雪が降っていました)

幻の豚「八鹿豚」

鹿児島の「黒豚」、茨城の「ローズポーク」、沖縄の「アグー」など、日本には200を超えるブランド豚が存在する。今回食べに来た「八鹿豚」も、そんなブランド豚の一つだ。
但馬の「八鹿豚」は幻の豚です!
但馬の「八鹿豚」は幻の豚です!
なぜ八鹿豚が幻なのか、それは生産している農家が1軒だけだから。以前は8軒ほどあったけれど、どんどんと数を減らし、現在では1軒だけになっている。よって生産量が少なく幻の豚となっているのだ。
そんな八鹿豚の生産者「小田垣縁」さん!
そんな八鹿豚の生産者「小田垣縁」さん!
生産者の小田垣縁さんは、現在30歳で、祖父の代から豚の飼育をしている。現在は1200頭の豚を飼育しており、八鹿豚はその半分の600頭ほど。素人には600頭は多い気がするけれど、生産量としては、全然少ない頭数らしい。
これが八鹿豚です!
これが八鹿豚です!

ストレスのない豚

八鹿豚の品種はざっくり言えば、「三元豚」となる。三元豚とは、三種類の品種の豚を掛け合わせた豚で、飼育管理方法で味が大きく変わるのが特徴だ。誰かが歌っていた、育ってきた環境が違うから、というのがもろに味に影響するわけだ。
静かな環境で育てています!
静かな環境で育てています!
ストレスがない環境で育てることで豚の発育がよくなる。そのため山奥の静かな場所に豚舎がある。豚は音に敏感なのだ。私と一緒。私も静かな場所がよくて、東京・狛江に住んでいる。決して家賃が安いからとかではない。静寂が大事なのだ。
豚舎には入れません、今回は特別な許可をもらって撮影しています!
豚舎には入れません、今回は特別な許可をもらって撮影しています!
餌にもこだわりがあり、地元のケーキ屋「カタシマ」のケーキの端材や、QBBチーズなどを餌として与えている。これらを与えることでストレスが減り、発育がよくなるそうだ。結果、肌のハリがよくなり、水を弾き飛ばす10代みたいな肌になる、豚が。
こちらが豚も食べている、「カタシマ」のケーキ
こちらが豚も食べている、「カタシマ」のケーキ
もちろん人間が食べても美味しい!
もちろん人間が食べても美味しい!
約7カ月で豚は出荷される。その7カ月で豚は120キロまで育つ。豚は綺麗好きなので、頻繁に清掃と消毒を行い、暑さに弱いので夏場はシャワーミストで豚に心地よい環境を作るそうだ。餌もそうだけれど、私よりいい環境で育っている気がする。
豚舎の一部
豚舎の一部
さらっと書いているが、600頭の豚にこのような環境を与えることは大変なこと。それが実を結び、小田垣さんはいろいろな賞を受賞している。豚の「ボディコン維持」を何よりも大切にしているそうだ。ボディコンとは、「ボディーコンディション」のことらしい。
これがボティコンのいい豚!
これがボティコンのいい豚!

豚肉にサシ

ボディコンを維持することで、八鹿豚は豚肉なのに「サシ」が入る。サシとは多くは牛肉に使われる言葉で、脂肪のこと。これが豚肉なのに入るそうだ。飼育する環境で、豚肉は確かに変わるのだ。
八鹿豚の肉です! サシが入っている!
八鹿豚の肉です! サシが入っている!
八鹿豚はこの地域で以前から育てられていたが、ブランド化したのは、3年ほど前。後継者不足や餌代の高騰などで、生産者が減り、小田垣さんだけになってしまい、そのタイミングで「おだがきさん家の八鹿豚」としてブランド化した。
地元のスーパーにも大きなのぼり
地元のスーパーにも大きなのぼり
八鹿豚を売っているのは、基本的に地元のスーパーと精肉店だけ。それも5軒と多くない。八鹿豚を食べられるお店も、地元の病院の食堂や一部のレストラン、道の駅だけ。生産量が少ないことと、地元の人の地元でも食べたいという声に応え、大都市圏に流通させていないそうだ。
八鹿町にある八鹿豚レストラン「ベリッタ」
八鹿町にある八鹿豚レストラン「ベリッタ」
今年に入り、八鹿豚レストラン「ベリッタ」がオープンした。小田垣さんの八鹿豚への情熱を受けたオーナーが、オープンさせたレストランだ。幻の豚が常時食べられる天国のようなお店だ。
八鹿豚のチャーシュー
八鹿豚のチャーシュー
八鹿豚のトンテキ
八鹿豚のトンテキ
八鹿豚のトンテキに、チャーシュー、生姜焼きなど、八鹿豚だらけのメニューが並ぶ。メニューを見ただけで、フライングして、「美味しい!」と言ってしまった。私ほどになるとメニューで味がわかる。メニューの段階で食べ始めていると言える。料理が来た頃にはもう満腹と言ってもいいだろう。
驚く美味しさです!
驚く美味しさです!
豚ってこんなに美味しかったっけ? と思う。柔らかくてジューシー。豚をなめていた。肉界では、豚は牛の二番手のイメージだったけれど、牛に勝った瞬間だった気がする。
美味しすぎたので肉を買って帰った!
美味しすぎたので肉を買って帰った!

この味のいろはすを!

あまりに美味しすぎたので、精肉店「ほくぶ」で、豚肉を買い自宅に送ってもらった。しゃぶしゃぶにして、素材の美味しさをもっと感じたいと思ったのだ。
アートだよね!
アートだよね!
そして、なんと
そして、なんと
タレなしが美味しい!
タレなしが美味しい!
しゃぶしゃぶは、ポン酢的なもので食べると思うが、そのままで美味しいのだ。美味しい肉は脂が美味しいというが、まさにそれ。八鹿豚は「甘く香ばしい脂」なのだ。口に広がる脂が、なめらか。脂なのに甘い水のようなのだ。この味の「いろはす」が欲しい。
焼いた八鹿豚も
焼いた八鹿豚も
美味い!
美味い!
焼いても美味い。八鹿豚の「甘く香ばしい脂」が、私の胃袋を離さない。「なんで、なんでなの?」と問いただしたいほどに美味しい。親に食べさせたいと思った。なんか泣きそうだった。こんな豚に出会ったことがない。トンでもない豚だ。
ハムも美味しかった!
ハムも美味しかった!

自慢する方向で

八鹿豚の存在を知り合いから聞いていた。今まで食べた肉で一番美味い、と彼は自慢していた。それを聞いて食べたいと思ったけれど、東京では食べられない。そこで今回訪れたわけだ。確かにそうだった。今後は私も自慢する方向で行こうと思う。今まで食べていた豚肉とレベルが違った気がした。
病院の食堂のカツサンドもおすすめです!
病院の食堂のカツサンドもおすすめです!

ほくぶ(お肉屋さん)
http://www.hokubu-beef.co.jp/

八鹿豚レストラン「ベリッタ」
http://www.verita-tajima.com/
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