特集 2015年11月12日

七味唐辛子を自作したら新世界が開いた

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職場に自分専用の「マイ七味」を常備している人が一人はいると思うのだが、僕はまさにそれである。七味なしでは生きられない。

今日は七味の原料になる専用のミカンを手に入れたので、乾燥から始める「マイ七味」に挑戦してみた。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。

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七味唐辛子専用のみかんを収穫

筑波山は僕のうちの近所にあるのだが、その山麓では七味唐辛子のもとになるみかんが栽培されている。
ふくれみかん、といいます。名産品。
ふくれみかん、といいます。名産品。
小ぶり。皮を乾かして、七味唐辛子の原料にするらしい。
小ぶり。皮を乾かして、七味唐辛子の原料にするらしい。
ここでみかん狩りを開催していたので、鮮やかな橙黄色に魅かれてみかん狩りをしてしまったのだが、いざ持ち帰ってみるとかなり持て余した。
おれ、特にみかん好きでもないしな……
おれ、特にみかん好きでもないしな……
というわけで今日はこのみかんの皮で、七味好きとして長年の目標であった七味唐辛子の自作をしてみようと思う。

真のマイ七味は原料の乾燥から始まる

乾燥したみかんの皮は「陳皮(ちんぴ)」といって、七味唐辛子の主要な原料だ。というわけで、まずはみかんの皮をむいて乾かす。
30個ぐらいひたすらむく。
30個ぐらいひたすらむく。
いきなり驚いたのだが、このときの香りがすごい。
ふつうのミカンとは全く違う、まさに「芳香」と言うべき高い香りが鼻をうつ。
まさかミカンの皮むきで感動するなんて、人生、ここまで生きてみるものだ。
で、干します。ライター必携と言われる「干し網」登場。
で、干します。ライター必携と言われる「干し網」登場。
続いて主役の唐辛子。

スーパーで「鷹の爪とうがらし」を買っても良かったのだが、秋はせっかくの収穫期なので、みかんに合わせてもぎたてを房ごと買ってみた。
炎のよ・お・に~、燃えて、ツヤツヤ!(中森明菜『DESIRE』で)
炎のよ・お・に~、燃えて、ツヤツヤ!(中森明菜『DESIRE』で)
そんなものどこに売ってたんだよ! と思うだろうが、ちかくの野菜直売所にもりもりと売られていた。
全国屈指の直売所「みずほの村市場」、当サイトも取材に行っている(こちら)
全国屈指の直売所「みずほの村市場」、当サイトも取材に行っている(こちら
僕も何となく行ったら売っていたので驚いた。
獲れたて過ぎてほとんど生だったが、どうせみかんの皮も干すんだし、一緒に干して楽しむことにしよう。
いっそのことユズとショウガも干して楽しむ
いっそのことユズとショウガも干して楽しむ
その他、青のり・山椒・生ゴマを用意した。

ゴマも収穫期だが、いつも栽培している義母に聞いたら「今年は秋の長雨でやられた。ダメだった」と言っていたので、青のり・山椒と合わせて買った。
麻の実とかケシの実もamazonで買えば手に入るが、そこはもういいかと思う
麻の実とかケシの実もamazonで買えば手に入るが、そこはもういいかと思う
さあ、準備はここまでだ。これらの材料を秋陽で乾かしてグラインダーで挽きつぶし、七味唐辛子へと仕立てていこう。
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唐辛子をグラインダーにかけると

唐辛子は炒ったものを混ぜたほうが風味が増すとのことなので、半分は炒ってからグラインダーにかける。
ヴヴヴヴヴィーーーンン……
ヴヴヴヴヴィーーーンン……
ヴヴヴヴ……ムファッ! ムファッ!
ヴヴヴヴ……ムファッ! ムファッ!
ゲフッ! ゲフッ! ゲフーッ! ゴフッ!
ゲフッ! ゲフッ! ゲフーッ! ゴフッ!
あ、いい香り! と思って心を許した直後に、赤い粉末と辛気の混合物が催涙ガスのように粘膜という粘膜を包み込む。

「うわ、やばい!」と思わず鼻をふさいだ手には、もちろん挽きたての唐辛子粉がついており、触れた場所から新たな惨劇が始まった。
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撮影していた家族もカメラを放り出し、猫までが寝室へと逃げ出す、まさにこの世の地獄だった。死ぬかと思った。

どうしようもなかったのでいちど風呂場へと撤退し、シャワーを浴びて鎮静化を待ってから、今回の主役の「陳皮」を挽きつぶした。
こっちは大丈夫でした。家じゅうに広がる柑橘類の芳香!
こっちは大丈夫でした。家じゅうに広がる柑橘類の芳香!
この二つが七味唐辛子の主役となる(と僕は思っている)ので、まずは半々にまぜあわせる。
この調合する感じの喜びがたまらない!
この調合する感じの喜びがたまらない!
続いてここに炒りごま、山椒、青のりを足していく。さっきの生ごまを丁寧に炒り、ほかの二つとともに加える。
僕は色どり的には断然黒ゴマだと思う派です!
僕は色どり的には断然黒ゴマだと思う派です!
山椒と青のりは、加えすぎると味が前に出過ぎてしまうので、味見をしながら少しずつ加える。好みに合わせられるのが何と言っても醍醐味だ。
味見をするともちろん辛いのだが、加えるたび味が変わっていくのが楽しくてやめられず、繰り返すうちに、全身びしゃびしゃの汗だくになってくる。
辛い。でも楽し辛い。

ぼくは山椒は控えめが好きなので、そこをうまく絶妙に調整しつつ……
できた―! これが本当のマイ七味! おれだけの手作り七味唐辛子!
できた―! これが本当のマイ七味! おれだけの手作り七味唐辛子!
さあ、これをビンに詰めて、どこへでも持って行こう。
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真のマイ七味で食べる「どん兵衛」

さて、今日のお昼は「どん兵衛」かな……
さて、今日のお昼は「どん兵衛」かな……
そこにマイ七味をかけてと……
そこにマイ七味をかけてと……
なんだこれ、うめえーーーー!!
なんだこれ、うめえーーーー!!
マイ七味、思ってみてもいなかったクラスのうまさ!

じっさい、味見したときから、「うまいな、これ!」と感じてはいたが、あつあつのつゆにかけて、立ち上る香気を嗅ぐと、格別の風味がのぼりたつ。
まさに風味絶佳! 「どん兵衛」も「大岡越前守どん左衛門」とかに昇格するうまさ!
まさに風味絶佳! 「どん兵衛」も「大岡越前守どん左衛門」とかに昇格するうまさ!
陳皮の香りがつゆの旨みにぐいぐいと食い込んできてひと口ごとのうまさがすごい。
辛子の辛みとゴマの香気が、切り立つように鼻へ抜け、山椒のしびれるような辛みが舌に余韻を残していく。

全ての材料が存在する意味が、今ここに分かる。
すごい。もはやこれは新世界と言っていい。
うおーーーーーー!!新世界が、七味唐辛子の新世界が開けたぞーー!
うおーーーーーー!!新世界が、七味唐辛子の新世界が開けたぞーー!
最高だ、これからの昼飯全部どん兵衛でいい、つゆの最後の一滴まで飲み干したくなるほどにどん兵衛がうまい!
もう本当にこれ、想像を超越したうまさ! 無人島に持って行け!
もう本当にこれ、想像を超越したうまさ! 無人島に持って行け!

七味唐辛子にサードウェイブきました

サードウェイブ・コーヒーを初めて飲んだ時も天地がひっくり返るほど驚いたが、この七味もすごい。七味への見方が180度変わるレベルだ。

このあと、ユズとショウガを足した「マイ七味~鍋用~」も作ったが、これもいい。料理や季節に合わせて、いろんな種類の七味が作れる。たのしみすぎる。

これからの季節、みかんの皮を干して陳皮を作ればかなり手軽に作れると思う。みんなもどんどん自家製七味に挑戦してみよう!
余った果肉はジュースになるよ!
余った果肉はジュースになるよ!
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