特集 2015年10月8日

水びたしの公園がすごい

これ、公園です
これ、公園です
東京の東久留米にある白山(はくさん)公園。

野球場やサッカー場などがある普通の公園なのだが、とにかくすべてが水びたしなのだ。

あまりに凄いのでびっくりした。みんなも絶対行くべきだと思うが、デートには向かないかもしれない。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

白山公園がすごい

では、いきなり問題です。
きれいなとんぼの飛ぶ
きれいなとんぼの飛ぶ
ここはどこでしょう
ここはどこでしょう
美しいアキアカネの飛ぶこの水辺。いったいどんなところでしょう?
答えは野球場
答えは野球場
答えはなんと野球場なのだ。

信じられないでしょう。こんなびしょびしょでいったいどうやって野球をやるというのか。
物置に白山球場って書いてある
物置に白山球場って書いてある
でもやっぱり野球場なのだ。白山公園の中にある白山球場。なかなか使いこなすのが難しそうな球場だ。

人に教えてもらった

このすごい公園を教えてくれたのは、「東京暗渠散歩」などの著書がある本田創さん。
本田さん
本田さん
暗渠というのはフタをされた川のこと。それに限らず本田さんは東京の水辺については何でも詳しいので、こんなふうにびしょびしょの公園のことも当然知っているというわけなのだ。

では、本田さんに教えてもらった道筋を辿りながら、白山公園の恐るべき水びたしっぷりを見ていこう。
滝山団地というところのとなりにある公園だ
滝山団地というところのとなりにある公園だ
白山公園は、東京の小平駅から歩いて20分ぐらいのところにある。滝山団地という団地のすぐ隣だ。それが実は水びたしの理由に関わってくるのだが、それについては後にしよう。
入口はふつう
入口はふつう
でも中に入るとすでに水びたし!
でも中に入るとすでに水びたし!
公園の園路、つまり歩くための道が、丸く水路になってる。
足元はこんな感じ
足元はこんな感じ
奥にベンチがあるようなので、近づいてみた。
なんだこのベンチ
なんだこのベンチ
すごい。おとぎ話にでも出てきそうなベンチになってる。座ってくつろぐっていうレベルじゃない。
そしてベンチの下をよーく見ると
そしてベンチの下をよーく見ると
水が湧きだしてる!
水が湧きだしてる!
これはすごい! ベンチから水が湧いてる公園なんて見たことない。少なくとも東京ではここだけなんじゃないだろうか?

そしてこの公園、ベンチだけじゃなくてあらゆるところから水が湧いているのだ。
たとえばこのスロープ
たとえばこのスロープ
降りたところの道をよく見ると、水が湧いてる!
降りたところの道をよく見ると、水が湧いてる!
こんな感じでカジュアルに園路から水が湧いている。
園路の先は、当然こんな感じ
園路の先は、当然こんな感じ
だからあらゆる場所がこんなふうにびしょびしょなのだ。

奥へ進むと、水が深くなる

水の湧くベンチから、公園の奥へ進んでみよう。

すでにサンダルは水の下に深く沈んでいる。
足下はこんなふう
足下はこんなふう
敷石を見ると水路じゃなくて園路だったことを思い出す。
敷石を見ると水路じゃなくて園路だったことを思い出す。
そして水鳥
そして水鳥
水辺の鳥が集まっている。ここは本当は公園じゃなくて池か何かなんじゃないだろうか。
赤毛のアンが散策しそうな美しい小川
赤毛のアンが散策しそうな美しい小川
振り返ると、そこには水に沈んだ遺跡のような光景が
振り返ると、そこには水に沈んだ遺跡のような光景が
ここでは、かつてどのような儀式が行われていたのだろうか
ここでは、かつてどのような儀式が行われていたのだろうか
そして振り返るとブランコ!
そして振り返るとブランコ!
ブランコが水に浮いている。なんだこれは。やはり遺跡か。
幸い、足元は乾いているところもある
幸い、足元は乾いているところもある
完全に水に埋まっているというわけではなかった。

ひとしきり漕いでさらに奥へ進む。
ここはいったいどこなんだという気持ちになってくる
ここはいったいどこなんだという気持ちになってくる

極めつけは野球場

なんといってもすごいのは、冒頭でも紹介した野球場だ。
バックネット裏より、全景
バックネット裏より、全景
内野
内野
走塁は難しい
走塁は難しい
注意書きがある
注意書きがある
「硬球は使用できません」とあるが、それ以前に球場が使用できない。
スコアボード。最後に試合をしたのはいつなのか。
スコアボード。最後に試合をしたのはいつなのか。
チーム用のベンチもあるが
チーム用のベンチもあるが
夢で見た風景のように水びたしだ
夢で見た風景のように水びたしだ
バッターボックスに立つと、水中に泥煙が立つ
バッターボックスに立つと、水中に泥煙が立つ
激しくイレギュラーしそうな三塁方向に打つべきか。
激しくイレギュラーしそうな三塁方向に打つべきか。
マウンド周辺は乾いてる。地形の威力!
マウンド周辺は乾いてる。地形の威力!
マウンドからバッター方向を見る。エクストリーム野球と言うしかない。
マウンドからバッター方向を見る。エクストリーム野球と言うしかない。
何もかも水びたしで、どうも夢の中にいるみたいだ。

どうして、いったいいつからこの公園はこんなふうになってしまったんだろうか。

ミニサッカー場も当然水びたし

どこへ行っても、この公園ではあらゆるものが水びたしだ。
通路は清らかな流れになってるし
通路は清らかな流れになってるし
ミニサッカー場は作品みたいになってる
ミニサッカー場は作品みたいになってる
そしてピッチ中央には川が流れている
そしてピッチ中央には川が流れている
そして、この公園で唯一乾いたサッカー場がこの裏にある。
ふつうのサッカー場。むしろ乾いていることに驚く。
ふつうのサッカー場。むしろ乾いていることに驚く。
じつはこのサッカー場だけ、土を盛って高くしているのだ。だから乾いている。

さすがに一つくらい乾いた場所がないと子供たちが運動できないということに気がついたのかもしれない。
サッカー場のそばの清らかな流れには、
サッカー場のそばの清らかな流れには、
サギもいた
サギもいた
その奥には、また安定の水びたし野球場が控える
その奥には、また安定の水びたし野球場が控える
バッターボックスからの見た目。鉄塔が美しい。
バッターボックスからの見た目。鉄塔が美しい。
水鳥がセカンドの守備位置にいる。
水鳥がセカンドの守備位置にいる。
レフトの守備位置からバッター方向。三塁線が水路となっており、とても見やすい。
レフトの守備位置からバッター方向。三塁線が水路となっており、とても見やすい。
水びたしは悪いことばかりじゃない。三塁線が見やすいなどの利点もあるのだ。

そして三塁コーチボックスから三塁側外野席方向を見ると、ふつうの野球場にはない設備がみえてくる。
あれはなんだ
あれはなんだ
水門じゃないか
水門じゃないか
川が吸い込まれていく
川が吸い込まれていく
そう、ベンチの下を含め、公園じゅうから湧いた水が川となり、この水門から先へと進んでいるのだ。

じゃあこの先はどうなっているのか?
地図に赤く囲った場所が、ここ白山公園。青い線が公園から湧いた水の流れで、西妻川という名前がついている。川はその先で黒目川に合流し、さらに新河岸川、隅田川を経て東京湾に注いでいる。

つまり、さっきのベンチの下から湧いた水は50km以上の道のりを経て、最終的に海にたどり着いているのだ。まじですごい。

川の水源であり、調節池でもあった

公園から水が湧いている、というと井の頭公園と神田川みたいな例があるけど、ここはベンチとか野球場から水が湧いてるのだ。気合の入り方が違う。

そもそもなんでここに公園があるのか? それは最初に見た滝山団地が関係している。
公園の入り口にあった滝山団地
公園の入り口にあった滝山団地
団地が作られる前、このあたりの一帯は林だった。そこに大規模な団地を作ると、表面が舗装されることになり、降った雨を蓄える力がずいぶん減ってしまう。

なので保水力を別に確保するための施設を作ることがあって、調節池とか遊水池とか呼ばれている。この公園は、まさにそのための機能を持っているのだ。

詳しくは、当サイトのライター大山さんによる『「調節池」に夢中』という素晴らしい記事があるので、そちらを読んでほしい。
じつは調節池でした!
じつは調節池でした!
地元の人に話を聞くと、
・夏に雨が多く降った年の秋はこんなふうになる。
・冬には乾き、春には子供たちが普通に遊んでいる。
とのことだった。

「野球場なのに水がなみなみと!」みたいに言ってきましたが、実際は「池なのに野球もできる!」が正しかったわけなんですね。

白山公園、ぜったい行ったほうがいい

こんな公園、ほかに見たことがない。みんなも今のうちに一度は行ったほうがいい。ただし、サンダルを忘れずに。

なお、こんなにずっと水が湧き出すのは当初は想定してなかったのではないか、というのが本田さんの推測。団地が出来たときは地下水位が低かった時期なので、あくまで大雨直後の調整池としての設計だったのではないかとのこと。確かにそうでしょうね。

素晴らしい場所を教えてくれた本田さん、ありがとうございました。
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