オークションに出品するための企画です


その結果、僕は川にいる。

いや、厳密にいうとないわけではない。
家に帰れば自転車だってあるしデジカメもある。パンダのきぐるみだってある。だけどどれもオークションに出すとなると、だいたいこのくらいで売れそうだな、という相場がわかっちゃう気がするのだ。
せっかくならまったく相場感のない、値段のわからないものを出品したいだろう。そう思って今日は化石を掘りに来た。
家に帰れば自転車だってあるしデジカメもある。パンダのきぐるみだってある。だけどどれもオークションに出すとなると、だいたいこのくらいで売れそうだな、という相場がわかっちゃう気がするのだ。
せっかくならまったく相場感のない、値段のわからないものを出品したいだろう。そう思って今日は化石を掘りに来た。


現場に着くまでにひざまである川を渡る必要がある。

ここは化石が出ることで有名なポイントである。晴れた週末の朝に来てみたら、子どもを連れたお父さんや調査目的と思われる集団がすでにカツカツとハンマーを振り上げていた。


そのへんの岩をよく見ると。


化石が埋まっているのがわかる。


こういうの。

もしかしたら化石にも値付けというか相場みたいなものがあるのかもしれないけど、僕はあいにくそのあたりの経験も知識もないので、今回の企画にぴったりだと思うのだ。小耳に挟んだ話だが、これまで見つかったことのない恐竜の化石なんかが見つかると、億はくだらないのだという。


そんなの出たら博物館作って売店でおれのCD売って暮らす。

化石を探す
ハンマー片手に化石を探して歩く。
この辺りの岩はとてももろく、手でもある程度削ることができる。岩の表面に埋まっている石っぽいものを慎重に掘り出すと、たいてい何か化石っぽいものが出てくる。
この辺りの岩はとてももろく、手でもある程度削ることができる。岩の表面に埋まっている石っぽいものを慎重に掘り出すと、たいてい何か化石っぽいものが出てくる。


これはたぶん貝。


なんだかわからないけど、生き物だったっぽい化石。

数時間で5つほど化石を見つけることができた。よくオークションとかで「掘り出し物」という言葉を使うが、化石こそ本当の意味での掘り出し物である。
この中で一番大きかったものを今回は出品してみようと思う。
この中で一番大きかったものを今回は出品してみようと思う。


これである。

二枚貝のようにも見えるし木の枝のようにも見える。もしかしたら恐竜の骨の一部かもしれない。ようするになんだかわからない石である。化石ですらない可能性もある。
掘ってきたそのままだとなんとなく貧相だったので軽く汚れを落として水性のニスを塗ってみた。
掘ってきたそのままだとなんとなく貧相だったので軽く汚れを落として水性のニスを塗ってみた。


ニス塗って価値が下がるとかないよな。

乾いたら良い物っぽい感じを出すため、アクリルケースに綿を敷いて展示物風にしてみた。


ステッカーも貼ってみたが余計だったかもしれない。

なかなかいい。なにしろ掘った時よりも数倍いいものに見える。正直これならぼくなら1000円くらいまで出す。
とはいえ何の化石なのか(化石じゃないのか)、まったく情報がないのでは入札する人も困るだろう。
というわけで情報として、この石のことを占い師に占ってもらうことにした。
とはいえ何の化石なのか(化石じゃないのか)、まったく情報がないのでは入札する人も困るだろう。
というわけで情報として、この石のことを占い師に占ってもらうことにした。


は?

いったん広告です
占い師に化石を占ってもらう
今回、化石を占ってくれるのは占い師のルーシーさん。かなり当たると評判の占い師である。


ルーシーさん。

しかしいくら当たるとはいえ占いである。化石の相場以上に一般人にはわからない世界ではないだろうか。
まずはその実力を見せてもらおう。
まずはその実力を見せてもらおう。


タロットカードで占ってもらいました。

占ってもらうのは弊社営業部の橋本である。ぼくはちょっと占われるのが怖かったので代わりに来てもらった。


まじかー。

橋本の基礎知識としては、埼玉在住、美大卒、好きな食べ物はカップラーメン。


ルーシーさんが集中すると喫茶店が一気に占いの館に。

「橋本さん、職場にいる年上の男性が信頼できずにギスギスしていませんか。」


職場にいる年上の男性?

おもしろいくらい当たる
いきなり来た。人が占われているところは聞かない方がいい、ということが今回わかったことである。


「あとは今年は海外旅行とか行かないほうがいいかも」


「トラブルに巻き込まれるかもしれません。」


「ぎゃー。」

橋本はこの翌週に夏休みを取ってロシアに旅行に行き、財布をすられて帰ってきた。かわいそうに。おれを信頼しなかった罰だ。そしてルーシーさんの占い力の確かさよ。
ルーシーさんの実力はわかった。それでは化石を…
ルーシーさんの実力はわかった。それでは化石を…


「その前に安藤さん、生年月日を教えて下さい。」「え。」

「お父さんとの関係があまり良くないですね。」


当てたー。

「あと子どもの頃はまじめでおとなしかったけど、15歳くらいから親に反抗して破天荒に。そのまま今に至りますね。」
その通りです。ぼくはこれからどうしたらいいですか。
「次は45歳くらいから同じように混迷の時代に入ります。」
その通りです。ぼくはこれからどうしたらいいですか。
「次は45歳くらいから同じように混迷の時代に入ります。」


これ以上混迷するのか。

ルーシーさんの実力はよくわかった。
ぜんぶ見破られる前に化石を占ってもらいたい。
ぜんぶ見破られる前に化石を占ってもらいたい。


「石を占うのははじめてですが、やってみましょう。」

占い師が占う、化石のこれから
化石とて数万年前までは生きていたのだ。生きてるからには恋もしただろうし、希望もあっただろう。石になってこれから先どうなるのか(具体的にはオークションでいくらの値がつくのか)、ずばり占っていただきたい。
「ではケルト十字という方法で占ってみます。」
お願いします。
「ではケルト十字という方法で占ってみます。」
お願いします。


これがケトル十字。化石にもこころなしか緊張の色が見られる。

どうでしょう。
「そうですね、すごくいいカードが出ていますね。」
「そうですね、すごくいいカードが出ていますね。」


「え!もしかして高額に??」

ルーシーさんの占い結果によると
・何の不安もなく安藤さんに掘られたようだ
・まわりの人がこの石の動向に期待している
・女性が落札、もしくは入札してくれるかも
・売れないかもしれないが化石に悪意はない
うむ。なんだかよくわからないが、掘ったことでぼくが呪われたりとかそういうことはなさそうである。
最後に「ルーシーさんならこの化石、いくらになると思いますか」と聞いたところ。
「わかんないですけど、300円くらいですかね」と。
・何の不安もなく安藤さんに掘られたようだ
・まわりの人がこの石の動向に期待している
・女性が落札、もしくは入札してくれるかも
・売れないかもしれないが化石に悪意はない
うむ。なんだかよくわからないが、掘ったことでぼくが呪われたりとかそういうことはなさそうである。
最後に「ルーシーさんならこの化石、いくらになると思いますか」と聞いたところ。
「わかんないですけど、300円くらいですかね」と。


それきっと占い関係ないよね。

占いは科学
ルーシーさんに「占いってなんなんですか」と聞いたところ
「ものによりますが占星術なんかはずばり統計学ですね。」と。
占いは霊的なものというよりも統計を駆使した分析力、観察力、洞察力、そういうものを勉強したり磨いていくことで当たるようになってくるのだとか。たしかにルーシーさんと話していると悩みとかあらかじめ全部わかってくれているような安心感があって、なんでも聞きたくなるし話したくなる。当たる占い師っていうのは占う人のふところにすっと入ることができる人なのかもしれない。たとえそれが化石でも。
「ものによりますが占星術なんかはずばり統計学ですね。」と。
占いは霊的なものというよりも統計を駆使した分析力、観察力、洞察力、そういうものを勉強したり磨いていくことで当たるようになってくるのだとか。たしかにルーシーさんと話していると悩みとかあらかじめ全部わかってくれているような安心感があって、なんでも聞きたくなるし話したくなる。当たる占い師っていうのは占う人のふところにすっと入ることができる人なのかもしれない。たとえそれが化石でも。



