世の中に変わりそうめんはたくさんあるらしい
このイベントを主催したのは、「珍しいそうめんを食べる会」の会長であるほいじんがさんと、大阪支部長の金原みわさん。会といっても、ほぼこのイベントをするための会である。
旅先の道の駅やサービスエリア、あるいは生産者の農家などから買い集めた、謎のそうめんが勢ぞろい。通販で購入したものは一切なく、すべてが足を運んで購入したものとのこと。
ちょっと早めに会場へ到着したら、入り口から竹が飛び出ていた。
会場内には流しそうめんのセットと、30種以上の変わりそうめん。
世の中にこんなに変わったそうめんの種類があるのかと驚いたが、これでもまだまだ一部らしい。勢ぞろいじゃないのか。
もしかしたら全国にある名産品は、だいたいそうめんになる素質があるのかもしれない。
会長の
ほいじんがさんは写真NGとのことで、大阪支部長の金原みわさん。
ブログを読むと、こりゃすごいなと思う気鋭のライター。
変わりそうめん集めは、コレクション欲を満たすのに最適らしい
今日のそうめんのほとんどを用意した会長のほいじんがさんだが、そうめんが大好きでこれだけ集めたという訳ではなく、どちらかというと収集癖を満足させるためのコレクションらしい。
確かにこれだけ種類がある知れば、集めたくなる気持ちもわかる気がする。
このあたりは常識の範囲内と思われる野菜入りのそうめん。
なぜか変わりそうめんはフルーツ系が充実しており、かんきつ類だけでもこれだけある。
いぐさ(畳表に使われる植物)のように、加えられた食材の味自体が謎のものも。
たとえば同じように名産品を混ぜられがちなアイスクリームは、常温保存ができないので遠方からは持ち帰れないし、保管するには冷凍庫が必要となる。
それに比べると、そうめんはいつでもどこでも見かけた時に購入可能だし、保存は常温で場所もそれほどとらない。
日本中に種類も多く、値段も手ごろなため、とても集めやすいジャンルなのだとか。
茹で汁に色が付いてしまうので、毎回お湯を沸かし直して茹でている。
麦茶でもコーヒーではなく、ウエルカムめんつゆが配られた。
ということで、今回は全国から集めたそうめんを、賞味期限が切れる前にみんなで食べようという企画なのである。
ちなみに参加者が30人弱なのに対して、用意されたそうめんは約100人前だったのだが、そのほとんどが食べつくされた。イエーイ。
めんつゆで乾杯。もちろん飲み干さないんだけどね。
前向きな味の想像ができません
乾麺の状態ではそこまで違和感のなかった変わりそうめんだが、いざ茹でて食べられる状態となると、やっぱり違和感ありありだ。
信号のようなカラーリングのそうめん。さて何味でしょうか?
特に今回はたくさんの変わりそうめんが並ぶので、相乗効果でお互いが引き立てあっている。
テレビが白黒からカラーになったような、そうめん業界のパラダイムチェンジを感じる。
緑はメロンでした。どちらかというとメロンの皮寄り部分の味がして、ウリっぽいと評判。
麺からメロンが溶けだして良いダシになるとか書いてあるぞ。いやいやいや。
こちらはブドウ。そうめんに貼られると生産者の写真もより味わい深くなる。
黄色はネーブル。バチめんという個性を上書きするフルーティー。アメフラシの卵の「海そうめん」みたいだ。
こんな感じのそうめん揃いなので、味の成功例がどうにも想像できない。これらを食べ比べ、総選挙をおこなうのである。
投票したい候補者(押し麺)が出てくれればいいのだが、そうめんに練り込んで美味しい食材って、一体なんなのだろう。
前半戦は流しそうめんで食べ比べ
会の前半は「そうめんDJ」という役割のひとが、音楽を流しながら、そうめんも流すという、流しそうめんスタイルでの試食。
もし口に合わないものがあっても、そうめんだけに水に流しましょうということで。
流しそうめんって楽しいですね。進撃する巨人目線のウォータースライダーみたい。
DJが順番に流していくのだが、先に食べた人の感想で、その後の箸の伸びる率がハッキリと変わる。これが口コミの力というものか。
流れ届くそうめんを食べ比べてみると、想像以上にそれぞれの味が違って驚いた。ゴボウはゴボウの味だし、ネーブルはネーブルの味なのである。良くも悪くも。
そうめん自体の味がシンプルなので、加えた素材の味が、個性としてしっかり活きてくるようだ。
下のざるに貯まったミックスそうめんに、さらなる変わりそうめんの広がりを感じる。
だんだんと味の傾向がわかってきた
後半戦はテーブルにそうめんを並べて、好きなものを好きなだけ食べていく方式。
この頃になると経験値でわかってくるのだが、どうもそうめんに入れてうまいかどうかは、めんつゆとの相性が大きいようだ。
投票を控えているとあって真剣な表情で試食する参加者達。それぞれが本当に個性的なのですよ。
たとえばゴボウやニンジンなどの根菜類が入ったそうめんは、総じて美味しく感じられる。またショウガやシソなどの薬味系も違和感がない。
逆を言えば、めんつゆで食べるとだいたいうまいというのが、そうめんになんでも入れられがちな理由なのかもしれない。
そうめんとショウガの組み合わせなので、これは間違いのない味。
しっかりと畳の香りがするいぐさそうめんもめんつゆならうまい。田舎で過ごした夏休みを思い出すと高評価する人も。
レンコンのように味が繊細なものは、めんつゆで食べるよりも、塩とオリーブオイルなどがうまいかもしれない。
フルーツ系そうめんは難易度高め
難易度が高いのは、やはりフルーツ系のようだ。ブルーベリーとめんつゆの組み合わせを受け止めたいのだが、自分の中にある常識が邪魔をする。
だが柑橘系は、そうめんにミカンの缶詰が入っていることもあるためか、比較的なじみやすいかも。
ガムを思い出して飲み込めないという声もあったブルーベリー。インパクトなら今日一番かも。
食材のそうめんに対する相性だけでなく、商品としての完成度の差もあるようで、似たような食材でも評価の分かれるものもあった。変わりそうめんを作る職人の匙加減も、やっぱり大切なのである。
ただし、それもこれも結局は好みの問題なので、やりすぎくらいがちょうどいいという人もいれば、ほんのり香るくらいがいいという人も。
希望者(チャレンジャー)には、めんつゆの代わりとしてフルーツみつ豆も用意された。
これならフルーツそうめんと合うかもと思ったけど、なかなかそうもいかないらしい。何で食べたらうまんだろう。
総選挙の結果発表!
では最後に気になる総選挙の結果を発表します。神セブンという言葉もあるので7位から。各自FM放送のDJ風に声を出して読んでください。
第7位は、「ブルーベリー」がまさかのランクインだ。あの比類なきインパクトが票を伸ばしたか。
第6位は、「ショウガ」という納得の結果に。普通にうまいとみんなが太鼓判を押す味だ。
第5位は、「レモン」が柑橘系で唯一のランクイン。さっぱりとした味が高評価!
第4位は、「ニンニク」のパワー系そうめん。見た目は普通ながら味と匂いにインパクトあり!
これは「流しそうめん」ではなく、「そうめん流し」というそうです。
第3位は、「いぐさ」がここで登場だ。食べたことは無いけど、なぜか懐かしい味!
第2位は、「青紫蘇」の爽やかさが票を集めた。そうめんにはつきものの薬味の強みか!
そして栄えある第1位は、「ゴボウ」がダントツの票を獲得し、ごぼう抜きで優勝を飾った!
優勝は
肥後そう川の「ごぼーそうめん」でした!おめでとう!
このごぼーそうめん、めんつゆとの相性の良さはもちろん、香りが素晴らしい、完璧な完成度、もう普通のそうめんに戻れない、などなど絶賛の声多数でした。パチパチパチ。
変わりそうめん、どれも個性的でした
変わりそうめんの食べ比べ、正直なところ色の違いくらいで、味についてはあまり期待していなかったのだが、しっかりとした個性がそれぞれに感じられて、ちゃんと味の違いを楽しめるものだった。
次のフェーズとしては、それぞれの麺にあった食べ方や調理法を研究してみたいところである。伸びしろのある変わりそうめんは、きっとまだまだあるはずだ。
ちなみに私の投票用紙はこちら。やっぱりゴボウが一番でした。