まずは情報収集から
アナグマが出没するというキャンプ場は、千葉県南房総市にある大房岬(たいぶさみさき)自然公園。読み方が難しい。
事前に公園職員の方に伺った情報によると、アナグマが出てくるのは春から秋で、キャンプ客の食べ残しなどを狙って出るので、平日よりも土日の方が出現率が高いらしい。しかし人が多すぎても出てこないとか。
このポスターを見てやってきました。タヌキかと思ったらまさかのアナグマ!
訪れたのは6月20日(日)。きっとアナグマ観察にはベストシーズン。とりあえず探偵気分で富浦駅近くにあるスーパーのレジで聞き込み調査をしてみたところ、この辺りによく出る動物は、サル、タヌキ、イノシシ、キョン(外来種のシカ)で、アナグマはよくわからないとのこと。
アナグマが夜行性なので目撃の機会が少ないのか、人が住むエリアには出ないのか、あるいはアナグマをタヌキだと思っている人が多いのかもしれない。
内房のスーパーといえばオドヤ。
キャンプ場の受付で大房岬公園を管理する職員の方に詳しく伺ったところ、いくつかの有益な情報を得ることができた。
どうやら人間とアナグマには一定の距離感が必要のようだ。
フレンドリーなキャンプ場の職員さん。
~アナグマ観察の基礎知識~
・アナグマという名前で、タヌキに似た外観だが、実はイタチの仲間。
・関東で10年位前から増え出し、大房岬公園では、3、4年くらい前からよく見られるようになった。
・基本的には夜行性だが、昼間もけっこう出没している。
・目撃率はかなり高く、週末の宿泊客なら見ない人の方が少ないかもしれない。
・食性は雑食で、本来は落ち葉に潜む虫や果実などを食べているのだが、人間の残飯を狙うようになった。
・テントの外に食べ物を置いておくと奪われるので要注意。
・クマのように人を襲うことは無いが、無人のテントを爪で破いてしまうこともある。
・観察したいからといって、餌付けしたり食べ物を外に置いておくのは絶対禁止。
・ここなら確実に会えるという場所はないので、キャンプ場で待っているのが一番出会う確率が高いかもしれない。
ヒョウモンダコにも注意が必要らしいです。
アナグマはあくまで野生動物。あまりに人を怖がらなくなると摩擦が生じるので、もし食べ物をねだりにきたら本気で威嚇するくらいがちょうどいいのだろう。
今回のキャンプでも、アナグマを甘やかしたりせず、節度ある態度を心掛けたいと思う。
海に囲まれた大房岬がアナグマ捜査の舞台だ。
これがアナグマだ!
受付のあるビジターセンター内にはアナグマの剥製が展示されていた。
どんな姿なのか写真でしか見たことがないので、立体的な視点で覚えておこう。
これがアナグマ。ちょっとキュンとしませんか。
かわいい姿だが、この爪でキャンプ客の食べ物を奪ってしまうのだ。
一番右がアナグマ。大房岬にはたくさんいるらしいぞ。
これが噂のアナグマか。これはエサをあげたくなるな。でもダメ、絶対。
アイドル的な愛くるしいルックスながら、実は鋭い爪を隠し持ったヒールでもあるアナグマ。今の女子プロレスに必要なのは、こういう存在なのかもしれない。
~アナグマ観察の基礎知識~
・とてもかわいいが心を許してはいけない。
これはタヌキ。10年くらい前に皮膚病が流行って、アナグマに生息域を奪われたという説もあるとか。
あと鵺もいるそうです。
アナグマ観察キャンプのメンバー紹介
今回のキャンプだが、私一人だとアナグマと出会う自信がないし第一寂しい。そこで有毒生物などに精通しているライターの伊藤さんに来ていただいた。アナグマに毒はないけれど、その豊富なフィールドワーク経験から、素敵な出会いをエスコートしてくれるはずだ。
そして暗渠が大好きなライターの三土さんも親子で参加してくれた。アナグマだけに暗渠好きとの相性はバッチリだ。
このキャンプ場にアナグマがひょっこりと出てくるらしいよ。
バズーカ―のような望遠レンズを持ってやってきたバズーカー伊藤さん。
三土さんの息子であるYくんは昆虫博士。今日のキャンプを楽しみにしていたそうだ。
オドヤで買った昼飯を食べているときにアナグマはこなかった。
ところでアナグマやタヌキはまとめてムジナと呼ばれることがあり、その辺のややこしさが裁判になったこともあるとか(
たぬき・むじな事件)。
アナグマとタヌキが混同される原因の一つに、アナグマが掘った巣穴を両者が共用生活することもあるらしい。「同じ穴のムジナ」ということわざは、そんな生態から来ているという説もあるそうだ。
~アナグマ観察の基礎知識~
・アナグマはムジナとも呼ばれ、タヌキと混同されがち。
同じ穴のムジナを体現すべく、一つのテントに共生する伊藤さんと私。
公園内を探しにいこう
こうして始まった一泊二日の鬼ごっこ。アナグマが広い公園内のどこに出没するかはわからないのだが、一応出やすい場所というのはあるはずだ。一番出やすいのはキャンプ場なのだが、待っているだけでは退屈だ。
こんなときに力強いのが、動物の生態に詳しい伊藤さんの存在である。
「今日のためにこれを持ってきました!」
伊藤さんが自慢げに取り出したのは、コウモリを探知するバッドディテクターという装置だった(
こちらの記事参照)。
いや、今日探すのはコウモリじゃなくてアナグマです。ちなみにアナグマの鳴き声がどんななのか聞いたら、「やっぱり、アナ!アナ!じゃないですか?」といっていた。
アナと雪の女王のエルサか。
とにかく探してみましょうか。
まずは公園の職員さんに聞いたポイントや、伊藤さんの知識を参考に、園内をぐるりと回ってみよう。
こういった側溝からヒョッコリと出てくることも多いそうだ。
職員さんに案内してもらったアナグマの溜め糞場。たくさんの虫が分解に励んでいた。
現在は使われていないらしい巣穴の場所も教えていただいた。アナグマは何世代にも渡って拡張しながら住むそうです。
中は縦横無尽に広がっていて、出入り口が何十か所もあるのだとか。
畑に怪しい足跡を発見!これはきっとアナグマでは!
アナグマは水を飲みに池へとくることもあるらしい。
地形通りに水が湧いていることに感心する三土さん。
犬の散歩をしていた方も、ここのキャンプ場で見たことがあるそうだ。今はアナグマの毛が抜け変わってかわいい時期だとか。
この側溝をサササっと移動してないかなー。
断層に空いた無数の穴。アナグマの巣穴にしては小さい。
穴に住んでいたのはアカテガニでした。クリスマス島のアカガニほどではないけどたくさんいるよ。
ゴルフボールかと思ったら怪しいキノコ。
ええと、とりあえずこのくらいにしておこうか。
あまりすぐに見つけてしまっても面白くないだろう。本番はあくまで日が沈んでからなのである。
~アナグマ観察の基礎知識~
・側溝を利用して移動することもある。
・トイレは行動範囲内に数か所ある溜め糞場でする。
・斜面を利用して出入り口が複数ある大きな巣穴を作る。
・畑のスイカなどを食べてしまうこともある。
・冬毛と夏毛に換毛する。
大房岬のここがすごい!ダイナミックな海と地層が見られる
アナグマが出そうな場所を一通り回った後は、せっかくなので公園をぐるりと囲む海へといってみることにした。
もしかしたらヒョウモンダコやスベスベマンジュウガニがいるかもしれないかなと、軽い気持ちでやってきたのだが、ここの磯と地層がすごかった。
遊泳禁止のワイルドな海岸。
海岸から急に丘になる地形。
なにかの教科書でみたような見事な地層。
もしかしたらここってすごく良い場所なのかもしれない。
伊藤さんが見つけたウミウシ。海の牛でウミウシなのだから、穴の熊であるアナグマと、文法的にはイコールであると言えないだろうか?
ダイナミックな地層を見つめる地形好きの三土さん。
大きな洞穴に入り込み、自慢のバットディテクターをかざす伊藤さん。
展望台から定置網が一望できることに感動する私。
ダンゴムシやフナムシをたくさん捕まえたYくん。君の将来は明るい。
このようにアナグマに関する収穫は今のところまったくなかったが、四者四様の興味を満たしてくれるのが大房岬の奥深さだ。
大房岬のここがすごい!昭和3年の要塞跡地に入れる
自然いっぱいの大房岬だが、人工物にもすごいものがあった。それは公園内に何か所かある要塞跡地である。
園内の地図に載っていたので、アナグマを探すついでになんとなく回ってみたのだが、古いもので昭和3年に作られたという軍事施設の存在感は一見の価値あり。正直、アナグマよりも見たいという人が多いだろう。
公園内の道路沿いに突然ある発電所跡地。
第二照明所の入り口。
しゃべり声が周囲に響く不思議な空間。
リベットのような突起がかっこいい。
おっかないけどアナグマやコウモリがいるかもしれないので入ってみた。
ドラゴンクエストの世界で見た毒の沼地に守られた古い神殿のような造りになっていて感動。
森と同化した弾薬庫。ベタな表現だがラピュタっぽい。
もうアナグマが見られなくても、みんな満足だよね。
何もないことが怖い石室風の空間。
「穴を掘るのはアナグマだけじゃないんだね」、「なんだかアナグマになった気分だったよ」、「人間も穴を掘るからアナグマっていうことでいいのでは?」と、無理矢理アナグマと絡めた感想を語り合った。
大房岬のここがすごい!レンタル設備が充実している
成果の有無は置いておいて、公園内の探索を一通り終えたところで、ちょっと早いが夕ご飯にすることにした。キャンプでの一番の楽しみは、やっぱり野外でしか作れない豪快なアウトドア料理だろう。
このキャンプ場はテントや寝袋だけでなく、ダッチオーブンやコンロなどのレンタルがあるので、作ろうと思えばなんでも作れるのだ。
充実のレンタルグッズ。食べ物さえ持ってくれば何でも作れそう。
しかし、である。
今回は各自で食事を用意することにしたのだが、なんと全員の主食がカップかインスタントのラーメンで、副食が菓子パンとお菓子という組み合わせだったのだ。
お湯を沸かす以外の調理はしない男キャンプ。
伊藤さんが買ってきた千葉のご当地ラーメン。竹岡式ってオリジナルがインスタント麺じゃなかったっけ。ある意味正常進化だ。
作ろうと思えば作れるが、別に作らなくてもいいのだ。
料理の香りでアナグマを呼び寄せるという観点では0点だが、周りのグループが高そうな肉とか釣ってきた魚とかを焼いているので、我々がラーメンをすすっていても問題はないだろう。
伊藤さんの「どうでもいいね」というシャツの柄に説得力がでてきた。
このメンバーだと、インスタントラーメンでもちゃんと料理している風で逆に恥ずかしい。
こんな料理だが、やっぱり屋外で食べるというのはとても楽しくて、お湯さえ沸かせればキャンプは成り立つじゃんという結論に至った。準備やかたづけの手間もほぼゼロなので遊びに集中できる。
これぞ『お湯だけキャンプ、ユー(湯)キャン』である。これくらいアウトドア偏差値の低いキャンプがあってもいいじゃないかと思いつつも、隣の焼肉はうまそうだった。
夜こそがアナグマ探しの本番だ!
そしてやってきた漆黒の闇。夜行性のアナグマを探すのはこれからが本番だ。
昼間の内にたくさん歩き回ったので、公園内の土地勘はバッチリ。目星を付けておいた怪しい場所を周って、さくっと結果にコミットしようではないか。
Yくんはバットディテクターが気に入ったらしい。
アナグマかと思ったら木の棒!
巣穴をチェックするも留守。やっぱり空き家なのだろうか。落ち葉の不在票を入れておいた。
固まって死んだふりをするクワガタ。そういえばアナグマも死んだふりをするらしい。これは縁起がいいぞ!
カブトムシかと思ったらサングラス!
ちょっと疲れてきたYくんから、「アナグマって本当にいるの?」と聞かれて、うまく言葉が返せなかった。
~アナグマ観察の基礎知識~
・夜行性だが、夜になれば出会えるとは限らない。
大房岬のここがすごい!公園内にホテルがあって大浴場が利用できる
キャンプ場の周辺はアナグマの気配が薄いようなので、三土さん親子がランチを食べたという公園内にあるホテルへと向かった。
キャンプ場のすぐ近くにある南房総富浦ロイヤルホテル。
ホテルの従業員の方から、この周りでも目撃例が多いという話を三土さんが仕入れてきたからここにきた、というのは己に対するカモフラージュで、本当の目的はキャンプ場利用者が割引料金で入浴できる大浴場だったりする。
男4人でのんびりと露天風呂に入りながら、「まさかホテルのお風呂が使えるなんて思わなかったね~」なんて話してたら、「でもなんか全然キャンプじゃないね~」と、Yくんがかわいい声で返してきた。
風呂上りの発泡酒。風呂に入って酒を飲んでも、まだアナグマを探した俺を褒めてあげたい。
とうとうアイツが現れたか!
お風呂から上がったところで散策を再開すると、突然目の前から体長50センチくらいの灰色っぽい生き物が飛び出してきた。
色も大きさも剥製で確認したアナグマと同じである。急いでカメラを向けながら後を追う。
あ、アナグマだ!
そいつはそれほど人間を恐れていないようで、すぐに逃げる足を止めてくつろぎだした。
あれ、アライグマ?
とおもったら、見覚えのある撫でたい背中。
どうやら残念なことに、アナグマではない何かのようだ。俺のドキドキを返せ。驚いて偽死(死んだふり)しそうになったじゃないか。
この動物が何なのかはっきりと追求しないが、たぶん大変珍しい生き物だろうということで話はまとまった。きっとそうに違いない。わっはっは。
そんな小芝居をしているうちに、そろそろ子供は寝る時間。三土さん親子はキャンプ場へと戻り、伊藤さんと二人で探検を続行することになった。
~アナグマ観察の基礎知識~
・アナグマは驚くと死んだふり(偽死)をする。
・暗闇でアナグマと似た動物に出会うと、こっちが驚いて偽死しそうになる。
そして本当の夜が始まった
「子供が眠くなったということは今がターニングポイントです。ようやく本当の夜が始まったんですよ!」
夜行性のアナグマは、子供が眠くなる頃から活動するというのが伊藤さんの説らしい。シラフでなにいってんだろう。
「このタイミングでアナグマと出会うのが、神の用意した展開です!」
しかし、いくら本当の夜とやらがやってきても、なぜかこの日はアナグマが出てきてくれない。もしや今頃キャンプ場に集まっているのではという不安が募る。
だが数キロ離れた富浦港まで歩いてきたところで、ようやく怪しい影が見えた!
あれこそはアナグマか!
フラッシュを光らせると、行儀よく座っている何かが写った!
よし、アナグマだ!
ね、アナグマだよね!
あえて近くにいってその正体を確認することはせず、あれがアナグマってことでいいじゃんと笑いながら慰めあう中年二人。
なにがそんなにおかしいんだろうっていうくらいに、深夜の漁港で笑ってしまった。
笑いすぎてぶれまくっている伊藤さんの写真。
~アナグマ観察の基礎知識~
・飛行機がUFOに見えることもあるように、アナグマだと思えばアナグマに見える動物もいる。
富浦港の近くにはパンダもいたぞ。
男二人で眺めた怪しすぎるキノコ。
やっぱりキャンプ場に現れた!
「見ようとしているからダメなんです!がっつくオーラがダメ!キャンプを楽しんでいれば向こうからやってきますから!石垣島でハブを見つけられなかった男が言うんだから間違いありません!」
伊藤さんが熱く力説しだしたので、そろそろ三土さんが待つキャンプ場に戻って待ち伏せをすることにした。もうみんな疲れているのだ。
こんなことなら、ずっとキャンプ場でいい匂いのするものでも食べていればよかったんではないかという話だが、そんなのは結果論である。
子供をテントに寝かせて、キノコの山を食べながらアナグマの襲来を待つ三土さん。
それにしても眠い。でも寝たら負けだ。もはや寝ようと言ったら負けのチキンレース。
誰かがもう帰ろうよというのを待っている小学生の集団家出みたいな展開。
立場的に誘った私が言わないといけないのだが、その踏ん切りがどうにもつかない。ここまできたらアナグマが見たい。
LEDのライトしかないことに対して、「剣豪が剣を持たなくなるように、キャンプで火を焚かない我々こそがプロなのだ」と言い出す始末。伊藤さんってこんな人だったのか。
もし俺がアナグマだったならば、出没するのはこのタイミングだろう。周りのキャンプ客はほぼ眠りにつき、数人がウトウトしながら火の番をしているというこの感じこそ、アナグマが残り物を探しに来るシチュエーションである。
期待感が今日一番に高まってきたその時、カメラを持たずにトイレへ向かった三土さんが、大きな声を出したいけれどそれはできないというような感じの小声で我々を呼んだ。
まずは準備万端だった伊藤さんが駆け寄った。
伊藤さんが撮影した写真。
すぐに私もカメラの電源を入れ、伊藤さんを追いかける。すると伊藤さんが親指を立てながら戻ってきて、「お前も早くいきな!」みたいな視線を送り、元の場所へと戻っていった。
伊藤さんのあれはどういう意味なのだろうと思いながら、少しずつ黒い影との距離を詰める。
あのシルエットは!
ペタンと道路に座り込んだのは、ずいぶんと猫背なアナグマだった。
「このタイミングで出てくるかー!」と、3人で崩れ落ちながらの大爆笑。
大団円と大爆笑、それは紙一重であるということを身を持って学んだ。
のんきに座り込む黒い影。
~アナグマ観察の基礎知識~
・暗闇で見る黒い生き物は、ほぼアナグマってことでいい。
その後、テントに入ってしばらくは観察するが成果なし。
ツタンカーメンの寝袋をアウトドアで使っている人を初めて見たよ。
そして運命の朝がやってきた
翌日の朝、がんばって早起きして一人でそこら辺を一周するが、やっぱりダメ。朝になったらあっさり見つかるんじゃないかなと期待していたのだが。
がっかりしながらテントに戻ると、伊藤さんと三土さんが真剣な表情で、「このテントのシワは、きっとアナグマに襲われた跡だ!」とか適当な検証していた。
もちろんそれは何年も畳まれっぱなしだった、安物のテントにできたシワである。
「玉置さん、アナグマの気配に気が付きませんでしたか!」と聞かれましても。
もうすべての生き物がアナグマに見えてくる。
帰りのバスの時間までがんばったのだが、結局アナグマとの出会いは訪れなかった。野生動物が相手なので、これは仕方がないことなのだ。アナグマが見たいだけなら動物園にいけばいい。読者の方は画像検索でもしてください。
そう、仕方がないのである。
仕方がないので、貼ってあったアナグマの写真に対してカメラのレンズを向けることにした。
これで「アナグマの写真を撮った」ということで、皆様いかがでしょうか?
「アナグマの写真」を撮ったのです。納得いただけましたか?
そしてバスを待っている間、同じキャンプ場に泊まっていたという子供に、「アナグマなら夜にトイレいったときにみたよ!」といわれてしまった。
「ぼく、アナグマと仲良しになったよ!」
~アナグマ観察の基礎知識~
・野生動物なので、会えないことも当然あるが、そんな記事があっても責めてはいけない。
・やっぱりキャンプ場で待っているのが、一番出会う確率が高いようだ。
会いたい人ほど会えない存在が、アナグマなのかもしれない。とりえあえずアナグマに関して詳しくはなったと思う。
なんだかアナグマに化かされたような一泊二日だったが、悪い気分じゃなかった。
感想文を提出していただいた
せっかく当サイトのライターと一緒にいったので、伊藤さんと三土さんにも感想文を書いていただいた。
カニと戯れる伊藤さん。スベスベマンジュウガニは見つけられなかったそうです。
伊藤さんの感想
キャンプ場で日常的に姿を現すというアナグマがまったく見つからない。人々の証言に右往左往し、戦争遺跡や磯、ついには深夜にキャンプ場を遠く離れて港まで歩く。
そこで出会ったどう見ても猫な生物に向かって何の躊躇もなく、口々に「アナグマだ!アナグマだ!」「目が光って背筋を丸めてかわいい!アナグマかわいい!」と疲労も忘れて叫びながらシャッターを切り出した時、なにかすごく大事なものを手に入れたような錯覚と共に、明確に、今、この瞬間に、人生の後半が始まったのを感じた。これはもう、おっさん達のスタンド・バイ・ミーに他ならないのではないか。
捕まえた虫を見ながら朝ごはんを食べるんだとムシカゴを持ってきたYくん。※虫は観察後に逃がしました
三土さんの感想
キャンプはとても楽しかったです。アナグマが見つからなかったのは、今となってはささいなことに思います。崖にひそんでいるアカテガニを素早く見つける玉置さんや、コウモリ探知機でのキクガシラコウモリの鳴き声の聞こえ方を教えてくれる伊藤さんの様子に、見えている世界が違うなあと本当に感心しました。
帰り道でのYくんのつぶやき
「森は好きじゃないなー。クモの巣とかあるし。都会の虫がいい!」
アナグマが見られなくてもいいじゃないか
まあいいんですよ、別にアナグマが見られなくても。アナグマを観察するというきっかけがあったことで、このメンバーで集まることができたことにこそ意義がある。キャンプなんて何年振りだろう。
普通にキャンプをするよりも、明確な目的があった分だけ楽しかったと思う。結果にコミットしなくても。ほら、糸井重里の埋蔵金探しみたいなもんだ。でもやっぱりアナグマをみたかったなー。
なんでもないようなネコが~、アナグマだったと思~う~~