増田さん、よろしくおねがいします!
アイスの前に梅雨の話をしよう
インタビューを行ったのは5/27。東京で真夏日を記録したまさにアイス日和であった。とはいえ、もうすぐ梅雨である。梅雨を乗り越えなければ正式なアイスシーズン到来とはいえないだろう。
まずは梅雨がどうなってんのか、聞いてみよう。
増田「アイスの企画のインタビューをするには今日は本当にビンゴでしたよね! 東京で5月に2日連続で真夏日が出るのは11年ぶりですよ(ばりっ)」
林「今年は梅雨前線がまだ全然きてないふですね(しゃくしゃく)」
増田「ほうですね(もぐもぐ)。6月の…前半までには来るんじゃないでしょうか」
モニタで現在の梅雨前線の位置を確認する一同
ドリタ「今は暑いですが、梅雨に入ると一旦アイス食べる感じじゃなくなっちゃいまふよね(むしゃり)」
増田「そうですね、気温も少し下がるはずです。特に関東は梅雨にはいるといわゆる「梅雨寒」っていって涼しくなるんですよね。昼間でも十何度…っていう温度になったりしますね」
古賀「そう! 5月は私はずっと梅雨寒のことを考えてますよ。服も布団もしまいきれないでふ(ぱく)」
なんだか様子がおかしいぞとお思いのみなさま、ことわりもなくすみません、今日はアイスの企画ということで全員好きなアイスを食べながらお送りしております(左からウェザーマップ小林さん、マガジンハウス ドリタさん、増田さん、当サイトウェブマスター林、筆者古賀であります)
増田「でもそれ関東までの話なんですよね。関東から北の東北の太平洋側、北海道の太平洋側は寒くなるんですが、箱根の関をこえるとあまり関係なくて」
古賀「えっ、そうなんですか。寒くないんですか?」
増田「そんなに寒くならないんです。もちろん雨がふれば暑さは収まりますが、それでも「寒い」というところまで気温は下がらないことがほとんどです」
林「箱根がどうしても越えられないんですか」
増田「冷たい空気って重いですよね。空気が山を越えられないんです」
林「いま梅雨前線ってどの辺にいるんですか」
増田「いまこの辺ですね。沖縄よりもだいぶ南です」
ドリタさんの選んだアイスは群馬のシロフジの「あいすまんじゅう」! 好物の「雪見大福」は冬季限定(マルチパックは夏季も販売)ということでアンテナショップで調達。
そして古賀のフローズンヨーグルトはこの日の暑さで食べるころにはこんな状態! 暑かった!
梅雨前線の人生に思いをはせる
梅雨前線がこない。これはいったいどういうことなのか。
増田「結局、南のほうの高気圧ですね。高気圧が大きくなると、それに押されるように梅雨前線は北上します。南の高気圧が成長しきっていないので、梅雨前線が押し上げられない」
林「真夏の空気が梅雨前線を押してるのか。」
増田「そうですそうです。押して押してってどんどん押していって、押し切ると梅雨明け」
林「上に邪魔な空気がいて上がってこられないんじゃなくて、下の押し上げる空気が発達しきってないんですね」
増田「ちなみに前線は上(北)までのぼりきって、北海道にちょっとひっかかって「蝦夷梅雨」なんて雨を降らせると、つぎはそのまままた支えの空気がしぼんでいくのでまた南下します。これが秋雨前線」
古賀「え?! 梅雨前線と秋雨前線って同じ人?!」
増田「そうです。南北に上下してるんです」
古賀「それは永久運動なんですか? 行って帰ってきておわり?」
増田「行って帰ってきて終わりです。消滅します。
空気と空気がぶつかりあって壁ができていないと水蒸気がたまる白い雲の帯にならないので、そのぶつかり合いがなくなると消滅です」
梅雨の前の暑さと梅雨の後の暑さは種類が違う
梅雨前線はまだ来ないわけだが、先んじて今年の5月は暑い。正直、涼むためのアイスをもう解禁している人は多いのではないか。
この暑さと夏の暑さは何か違いがあるんだろうか。
増田「いまの暑さってカラッとしてますよね。夏の暑さとは違うんです。梅雨が明けたあとの夏の空気というのはもっとムワ~~っとしていてムシ~~っとします。今日も湿度はだいぶ低いですよね
これは中国とか大陸のほうから来ている空気、乾いた空気なんです。日本の真夏の空気とはちょっと違うんです」
林「そうか、真夏の暑さは海からくるからじめじめしてるのか」
増田「やっぱり湿度って大きいんですよね。熱中症で影響するのは気温と湿度と周りから出る熱がありますが、圧倒的に湿度が影響するようです」
お話に深く納得したドリタさんが分かりやすい図を作ってくれました!
梅雨の営業期間は意外に長い
ほほう、なるほど…とウェブマスター林と私は天気の話に引き込まれていっているが、一方でドリタさんはアイスの写真がちゃんと集まるかどうかをきちんと気にしていた。
ドリタ「何しろ、梅雨があけてバーンと暑くなったころにアイスみんな食べてくれますかね」
増田「そうですね。今だとその梅雨明けがいつになるかわからないですけれども…。はじまりもわからないし終わりもわかない状況なんですよね」
林「梅雨って毎年遅くまでやってますよね」
古賀「店か」
増田「早い年ですと7月上旬に明けちゃいますが、平年通りだと本州は7/20くらいまででしょうか。。
冷夏の例ですと、2003年は7月までずっと梅雨の寒さが続きましたね。ビアガーデンがはじまっても寒くてビール飲んでられなくて、熱燗飲んでるみたいな映像がニュースで流れたり。ああいうふうなことになっちゃうとアイスはかなりつらいと思うんですけれども」
余談ですが増田さんはレコーダーをみて最初「よさそうな温度計持ってるなあ」と思われたそうです
梅雨明けは「宣言」ではなく「発表」です
ドリタ「そうなっちゃうと投稿集まらないだろうなあ…」
古賀「だ、大丈夫ですよ! 梅雨が明けたタイミングで、ドーンと!」
増田「日本人は梅雨明けって言葉が好きですし、そういうタイミングがチャンスかもしれないですね。梅雨明けたら教えてよ、海行くから! っていう友人がいます 笑」
古賀「「梅雨明け宣言」というのはやめたんでしたっけ」
増田「やってますよ、ただ「宣言」ではないと気象庁はいっていますね。お知らせの「発表」です、と。「宣言」が定着しつつあるんですけれども。気象庁の方々的には「発表」ですよ、という」
古賀「まずは我々で静かにアイスを食べ続けて投稿して、梅雨が明けるのを待ちましょう、ね、ドリタさん」
ドリタ「いや、みなさん梅雨の間もアイス食べていただけたら…」
増田「アイスの消費量1位は金沢市だそうですね。ああいった地域は夏じゃなくて冬こそアイスを食べてるんじゃないかなと。住宅が密閉されていて冬場の暖房効率がすごく高いですよね。それを考えたら寒くてもアイスは…いけますよ!」
古賀「でも梅雨に暖房つけてアイスは食べない…ですね 笑」
梅雨が投稿量のネックとなるか
今年の夏は 猛暑 VS 冷夏?
と、ここいらでいよいよ梅雨が明けたあと、夏がどうなるか聞いていきたい。まだ先の話なので難しい長期予報ということになるが、どうでしょうか。
増田「今年の夏はおそらく暑くない期間がけっこうあるんじゃないかなあと」
林「え、そうなんですか。Twitterの有名人が今年は暑くなるって書いてましたよ」
増田「暑くならないという根拠はですね、5月に暑かった年トップ5を調べてみたらいずれも夏はそんなに暑くなかったんです。暑い日も涼しい日もちゃんとあるような年でした。今年も5月が暑かったですから、夏に入るとそうでもないんじゃないかなあと」
古賀「気象庁の長期予報的にもそれほど暑くはないだろうというような内容でしたね」
増田「裏話をするとスパコンでは今年は猛暑ぎみに計算している地域もありました。でも気象庁が5/25に出した長期予報では「平年並みもしくは7,8月は気温が低めだったり雨が多かったりします」というコンピュータとはちょっと違う予報を出していました」
古賀「コンピュータに頼らない人々の話し合いの結果そうなってるんですか?」
増田「雨の日が多いからとか、エルニーニョが起こっているから…、というようなことを考慮したんじゃないかと思います」
林「スパコンはエルニーニョ気にしないんですか?
スパコン、意外におおらか?(写真はイメージであります)
増田「気にしてはいるはずなんですけれども…、気温への影響がそこまでしっかり出てなかったということですかね。コンピュータの計算と気象庁の予報で共通しているのは、夏の高気圧があまり強くならない傾向にある、というところ。それで過去の5月が暑かった年と同じように、夏に高気圧が弱まりやすい年になるのかなと見ました」
2015年は集中アイスでいこう
古賀「5月に使い切っちゃう感じですか?」
増田「5月とは違う高気圧のはずなんですけれども、やっぱり結局気温は波があってつながっているので。もちろんずーっと冷夏かというとそういう年じゃないと思うんですよね。やっぱり波があるなかで涼しい時期があるということで。もちろん暑くなる日もあるはずです。
去年も7月の終わりはすごく暑かった。でも8月になったらギューンと気温が下がって。そういうふうに波がある。今年も波のある夏になりそうなので、だからそうですね、暑いときにアイスは食べておこうという感じでしょうか。
集中型です。集中アイス。暑いときは食べ惜しみせずに食べる」
ドリタ「がまんしないでいいんだ。わーい」
古賀「温度にメリハリがあったほうが、夏の暑さに飽きなくて、アイスにも食べ飽きないかもしれないですよ! 投稿を募集するうえでもこれはうれしい!」
ちなみにドリタさんは冷えが大敵すぎてアイスを食べながら熱いお茶を飲むためポットを持参。それでも食べたい、それがアイス
見るとやっぱり月ごとのトップはダントツで8月。年でいうと2010年と2013年がほかの年よりも伸びていて、2011年と2014年は少なかった。これはやはり猛暑、冷夏の関係ですか?
増田「これはめちゃめちゃ気温とリンクしてますね! 2010年は観測史上もっとも暑かった夏です。1000年に一度の暑さと言われています。夏のあいだずーーーっと暑かった。7月の半ばに梅雨明けして、そのあとずーーーっと30度台の日が続きました。夏とはいっても普通暑い日があって、ちょっと暑さがゆるむ日と波があるんですけれども、それがなかった。全国的にもずーーっと暑かった年です。記録にも記憶にも残る年ですね…!」
林「熊谷が暑さで盛り上がった年も2010年でしたっけ」
増田「それは2007年ですね(即答)」
林「高温の記録を更新したあの…えかわさき…?」
増田「ああ、それが2013年ですね! あれは大変でしたね。四万十市の江川崎ですね」
林「暑い街として急に現れたんですよね」
古賀「それまでのエース熊谷、多治見をおさえて突如あらわれた新星」
増田「2007年に日本新記録が熊谷などで40.9℃となったんですが、2013年に江川崎で0.1℃塗り替えて41.0℃を記録したんです」

2013年、最低気温を見守った1日
林「四万十市の記録はあそこおかしいんじゃないかって話にもなりましたね。観測所が照り返しの強いところにあるんじゃないのかとか」
増田「2013年は東京でもはじめて最低気温が30℃を下回らなかった、つまり1日中30℃以上だったという日がありました」
小林「もう朝から固唾をのんで見守る1日でしたね」
増田「もうこの日、朝から30℃超えてたんです。これはいけるんじゃないかということで。ただその敵になりそうだったのが、夕立。夕立がきちゃうと阻まれちゃう。夕方くらいにそんな夕立の雲がわいてきたんです。それでやっぱり30℃は超えないね、いつもこういうパターンだよねっていうような話をしてたら、ファーッとその雨雲が東京を避けて!! 避けたぞ避けたぞ! って。で、温度を下げるチャンスを失った東京都心はそのまま夜までずっと30℃だったんです。生き残ったんです。気温が」
古賀「観測史上初というと…」
増田「明治8年以降です! しかも、明治以前にそういうことがあったとは考えづらい(都市化が進んでいない状態で気温が集中的に高まるということはおそらくない)。なので、史上はじめてといっていいはずです」
2013年はガリガリくんが売れすぎて販売一時中止になったのも話題だった
ドリタ「それを思うと去年は本当に暑くない夏だったんですねえ」
増田「そうだったんですよ。去年は台風が2発連続7月の終わりから8月上旬に来て、広島の大雨も大変なことでしたし、特に西日本は8月は夏らしくなかったですね。関東もそんなに暑くなかったです」
林「去年はすぐ暑くなくなりましたよね」
古賀「夏の終わりが早かったですね。9月入ったとたん涼しくなって。アイスの購入額も伸びきらなかったわけだ」
去年も8月まではちゃんと暑かったんですよ! なのに…
アイスの投稿量と気温の変化
というわけで、今年の夏は集中アイス。暑いぞと思ったタイミングで各自アイスを食べて(そしてできれば…投稿を…)いただければとおもいます!
林「みんなちょっと天気に流されすぎですよね。意志があるようで受動的に生きてますよね。おもしろいですね」
古賀「みんなしっかり生きているようでそんなことないんですね。高い意識も流されてますね」
ドリタ「人、気象に影響受けやすいんだなあって、増田さんのお話しうかがっているといつも思います」
増田「文化も気候が影響しますよね」
古賀「天気こそすべてって気持ちになってきますね」
林「冷夏になって食べ物なくなって政変おきたりしてますもんね。今回も投稿量の多さと気温がリンクしますかね」
ドリタ「するとかっこいいですね!」
古賀「おおっ、見えてきた、かっこいい着地のかたち!」
宇都宮のアイス購入量が多いのは、雷都だから?
インタビューではこのほか、日本の地域別アイスの出費費用ランキングなどをみつつお話も伺いました。全体的にあまり気温との相関がみられなかったものの、宇都宮の出費が多いことについて増田さん、
「分かった! 雷が多いんですよ。雷都(らいと)っていって町おこししているくらいで。雷が多いから、停電する、冷凍庫のアイス溶けちゃう食べなきゃ、停電解消、あらアイスがないわけ買わなくちゃ…ってサイクルが早くなってる! これ、当たりですよ!」と。
天気への関連付け力がさすがの段違いだったのでした。
小林さんはそんな宇都宮に雷を見にいったことがあるそうです。トルネードチェイサー(竜巻を追う人)みたいだ
それでは全国各地からの投稿、おまちしています。さあ来い夏よ、アイス合っていきましょう。