特集 2015年3月23日

合意の上でウザくする

合意の上でーす
合意の上でーす
子供の頃、友達同士でよくちょっかいを出し合って遊んだ記憶がある。今考えると、互いに相当ウザいことをしていたが、それでも楽しかった覚えがある。
あの感じ、子供だけのものにしておくのはもったいない。大人になってもウザくしたりされたりしたい。

嫌がらせになる可能性は大人らしくあらかじめ合意を結ぶことで軽やかに回避しよう。言質を取った上で、今、改めてウザくしたい。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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共通理解を踏まえた上でのネットウザ

大人になった今、他の人とコミュニケーションを取るのはネット経由の場合も多いだろう。まずはインターネットウザを実践してみたい。
合意の上での犠牲者
合意の上での犠牲者
まずウザくされるのは、編集部の古賀さん。facebookのメッセージ機能で、ネットを介しながらもライブ感覚でウザくしたい。写真を載せることで、パソコンの向こうには生身の人間がいることを胸に刻んでおこう。
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始めは大人らしい丁寧なやりとりで確認。今回は私がウザくする側、古賀さんはそれを普通に受け流す側という設定。双方向の応酬ではなく、ウザさ一方通行というわけだ。
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前提となる合意。これで「言ったよね!言ったよね!ウザくしていいって言ったよね!」と安心して主張できるわけだ。
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そして、地獄のウザったいむが始まる。
ウザくする側(こちらの記事)より
ウザくする側(こちらの記事)より
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まじめに仕事の話を振ってくる古賀さん。ウザったさの効果を最大化するには、舞台はかしこまっている方が落差が出るのでちょうどいい。
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まず繰り出してみたのは「1人ボケツッコミ」。さらには波状攻撃として「まちがえちっち」の「語尾ふざけ」だ。

40秒くらい経ってから古賀さんから返ってきたメッセージはこんな感じだった。
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スルーである。

こういう約束だからこれでいいのだが、放ったパンチが空を切ったような感覚がある。それでもめげずにウザくするぞ、次のウザさは「おふざけ語調」だ。
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うわー、腹立つわー。

自分のことなのに、こうして改めて振り返るとひどい。心の広さを試すつもりで読んでいただけるとありがたい。
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淡々と展開してくれる古賀さんに対して繰り出したのは「一休だまし」。思わせぶりに期待させておいた上でのすっとぼけ。腰が粉々に砕ける威力がある。
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まず、私のボケに対して古賀さんが「おっと、失礼しました」と言っているのがせつない。それは本来ならこっちのセリフだ。
改めて古賀さん(こちらより)
改めて古賀さん(こちらより)
そして今さら「冗談はさておき」という小さいウザさを繰り出した上で、出てきたアイデアは「納豆を1万回混ぜる」。これは、以前古賀さんが書いてたくさんの人に読まれた記事だ。「それ、私のだろ!」というウザさである。

さらには「こりゃ失敬!」というライト感覚のウザワードをさりげなく使っておこう。
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再び「1人ボケツッコミ」、ここでも古賀さんの説明的なフォローが哀しい。
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そして「できるわけないだろ!」をねじ込んでみる。古賀さんもほとんど絶句だが、なんとか前向きになろうとしているのがせつない。
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もういいだろう、戯れには区切りが必要だ。2人とも素に戻って、ここまでのやりとりで感じたことをまとめてみよう。
●ウザくしたところで、反応が普通なのがつらかった。
●ただウザくされるがままの古賀さんが、かわいそうになってきた。
●けれどもそれらを超えて、ウザくするのは楽しかった。
●ウザくしたところで、反応が普通なのがつらかった。
●ただウザくされるがままの古賀さんが、かわいそうになってきた。
●けれどもそれらを超えて、ウザくするのは楽しかった。
●いきなり「ウザッたいむ」ってなんだよと出鼻をくじかれた。
●つっこんだら負けだと思ってつっこまなかったのがつらかった。
●でも、ウザコメントにいちいち笑っていて、疲れるくらいだった。
●いきなり「ウザッたいむ」ってなんだよと出鼻をくじかれた。
●つっこんだら負けだと思ってつっこまなかったのがつらかった。
●でも、ウザコメントにいちいち笑っていて、疲れるくらいだった。
共通するのは「つらいこともあったけど、トータルとしてはウザ楽しい」という感じだろうか。そう、それぞれ楽しみつつも、葛藤を乗り越えて自己コントロール力を試されるような要素もあったのだ。

「ウザッたいむ」という語感からはイメージできない、うっかりの知的。なんだこりゃ。

心の交流としてのウザったさ

ネットウザで生じる心の動きは検証できただろう。続いては人間同士が実際に向き合う形で交わされる生ウザを試してみたい。

生身と生身のぶつかり稽古をお願いしたのは、ライターの大北さんだ。
ウザさ合意
ウザさ合意
まずはがっちりと握手を交わしてウザさ合意。この時点で「プラザ合意」とかけているウザったさも見逃さないでいただきたい。今回のウザさは一方通行でなく、互いに応酬し合う形で進めていこう。

そして大北選手、さっそくここから流れるようにウザくしてきた。
握手と見せかけておいて…
握手と見せかけておいて…
腕を決めてきた!
腕を決めてきた!
いきなり脈絡のない「腕決め」。中学生男子の定番ウザさ。あいさつ代わりに意味なく決めてくる奴、いた覚えがある。
うわ~、ウザいわ~~
うわ~、ウザいわ~~
これはウザい。うまい奴になると、すれ違いざまやたらとスムーズに決めてくることもあった。

これ、結構痛いのに笑っちゃうのはなぜなんだろう。このあたりにも、ウザったさに心を引かれる謎があるように思える。
いたいた、こういう奴
いたいた、こういう奴
なんなんだろうね
なんなんだろうね
続けざまに「モモガン」「肩パン」といった中学生スタイルのフルコンタクト系ウザを次々に繰り出してくる大北選手。普通に痛いぞ、これ!

今考えると全く意味がわからないコミュニケーション手段。ここは同じフィジカルウザでも、違うタイプのもので反撃したい。
大北ちゃーん!大北ちゃーん!
大北ちゃーん!大北ちゃーん!
繰り出したのは「肩組み」。「ウエ~イ!」というかけ声を追加オプションで加えていることも確認しておこう。

これは効いてる、大北選手のうつむき加減からしても、メンタルに効いてることが読み取れる。まだまだ心開いてないな、大北ちゃん。
お・お・き・た、ちゃん!
お・お・き・た、ちゃん!
連続技として繰り出したのは、肩組み離脱したと見せかけてからの「背中バシバシ」。力加減によって、親愛とウザッたさのバランスを調整したい技だ。
太陽と惑星の関係
太陽と惑星の関係
大北選手も負けてはいない、「周りウロウロ」だ。非接触型にも関わらず、視界に現れては消える大北さんにウザウザさせられる技だ。
見て見て見て見て、ほら!白目!
見て見て見て見て、ほら!白目!
回転する大北さんを止めて私が繰り出したのは、シンプルに「白目」。見る必要なんてないのに、つい見てしまう白目。意志に関係なく相手をコントロールできてしまう、遠隔操作系の技だ。
白目を受け入れる穏和な表情
白目を受け入れる穏和な表情
白目だから見えないけどな
白目だから見えないけどな
白目を向けられた大北さんは、あとからカメラで確認すると穏やかな笑顔。この技の難点は、白目中には相手の反応を生で見られないところだ。それでも、大北さんの心が開いてきているのが読み取れる。
出た、アツアツ吐息!
出た、アツアツ吐息!
エアにぎりっ屁で対応
エアにぎりっ屁で対応
続いての大北ウザは「アツアツ吐息」。口をくっつけてハーッと息を吐くと、「えっ?息ってこんなにアツアツだっけ!?」と驚かされるあれだ。一気に心の距離を詰めてきた大北さんの変容がわかる技でもある。

それに対して、私は「エアにぎりっ屁」。本物を繰り出してしまうと洒落になりづらいが、あくまでエア。

それでも大北さんは「これ、中身がないってわかってても結構いやだね…」とつぶやいていたので、十分なウザッたさがあるのがわかる。
回転パターンを変えてきた大北選手
回転パターンを変えてきた大北選手
先ほどの「周りウロウロ」とは回転対象を変えた「相手グルグル」もだんだん普通に目が回ってきてウザい。なのに画像からもわかるよう、つい笑ってしまうのがウザッたさの不思議感だ。
「タグホイヤー!」
「タグホイヤー!」
「タグホイヤー!」
「タグホイヤー!」
ここまで、身体表現としてのウザさが中心だったが、中にはバーバルだけのウザッたさもある。それが「タグホイヤー!」だ。

やり方は簡単、相手に向かって挑発的に「タグホイヤー!」と言うだけである。
「タグ………」
「タグ………」
「ホイヤー!!」
「ホイヤー!!」
もろちん途中で溜めて、リズムに変化をもたせるのもいい。ドヤ顔も自然とセットになってくると上級者だ。

さて、大北選手も私もそれぞれ負けずにウザさの応酬をしてきたが、さまざまなウザッたさの中でも特にウザ楽しかったそれぞれのベストウザを紹介しよう。
指の形に注目
指の形に注目
技の名前は「鼻フックするかな?しないかな?」。その名の通り、鼻フックを眼前でちらつかせるという技だ。
ほーらほらほら
ほーらほらほら
当然ながら、実際に鼻フックをすることはない。鼻フックをされる側だけでなく、する側にもリスクが生じるからだ。あくまで度胸だめしである。

だから相手も「さすがにマジフックはないだろ」と思っているはずなのだ。大人同士、暗黙の了解がそこにある。にも関わらず、大北さんの体は自然と反って鼻フックを拒否してくる。
出ました最高の笑顔
出ました最高の笑顔
「これはウザいわ~」と笑顔の大北さん。ウザったさという壁の向こうにある、ジョイ共有にたどり着いたと言っていいだろう。

対する大北さんのベストウザは「服のタグを見てくる」だ。
行動としてはこの上なくシンプル
行動としてはこの上なくシンプル
なにこれすごくウザい
なにこれすごくウザい
単純なことなのに、やられてみるとわかるがものすごくウザい。「ははあ、やっぱユニクロねえ」「おっ、意外とMサイズ?」などとバーバルを組み合わせる応用性もある。
「あっ!日本製!今どき!日本製!」
「あっ!日本製!今どき!日本製!」
やられてみてあまりにウザ楽しかったので、撮影係の編集部安藤さんにも体験してもらってみた。
笑顔はじけすぎ
笑顔はじけすぎ
ウザそうながらも、めちゃくちゃ笑顔。

その笑顔はきっと教えてくれているのだろう、ウザッたさこそが閉ざされた現代人の心の扉をこじ開けるための鍵だということを…。

エアにぎりっ屁をくらう大北選手
エアにぎりっ屁をくらう大北選手
合意を形成した上でウザくするという今回の試み。意思確認というステップを踏むことで、大人も安心してウザくできる。

そしてウザくし合う中でたどり着いたのは、普段は味わうことのない相手との心の距離。タグを見られて、タグホイヤー言われて、僕たちはさらなる高みで打ち解けた。

別れや出会いの季節である春。もう一歩距離を詰めたいあの人に、まずは「ちょっとだけ……ウザくしてもいい?」と聞いてみてはどうだろうか。
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