ワインのようなラベルですが日本酒です。
長野県長野市の酒千蔵野の「川中島純米吟醸活性酒ふわりん」。後で触れますが、シャンパンなどと同じく瓶内二次発酵させることで泡立つ活性日本酒です。
アルコール度低め、容量少な目の飲み切りやすいサイズ。
通常日本酒はアルコール度数が15度程度。高い物なら18、9度ぐらいありますが、こちらは12度と少し低め。一般的なワインだと11~14度ぐらいなのでそちらに近い感じです。
容量も500mlと、よく見る四合瓶(720ml)よりも少な目。時間が経っても飲めなくなる訳ではないですが、活性日本酒独特の泡を楽しむには開けたてで飲みきった方がいいので、こちらの瓶は飲み切りやすいサイズになっています。
かなり盛大に吹き出します。一気に開けてはいけません。
そして瓶のフタに注目。「吹き出し注意」の封印がされています。物にもよりますが、活性日本酒はシャンパンなどとは比べ物にならないほど吹き出す物があります。こちらの動画をご覧ください。
フタが空いて数秒後に一気に沈んでいた濁り部分が湧き上がり瓶の中が真っ白になりました。開ける前は1日静かに置き、更に開栓前に15分ほど冷凍庫に入れてよく冷やしています。それでもこれだけ湧き上がります。
知らないで全開でフタを外してしまうと、時間差で天井まで吹き上がるぐらいに酒が吹き出します。
苦情が来ることもあるので、店頭では慣れていない人には売らないなんてことも。被害続出で出荷をやめてしまった蔵もあるぐらい。
また、四合瓶に通常使われているスクリューキャップならばゆっくり開けて吹いてきたら閉じる事を繰り返してガスを抜けますが、一升瓶の栓のような場合は開栓時や手を放した際に吹き飛ぶことがあります。
その為、栓が飛ばないようにタオルをかけて開けるなどの注意が必要です。少し開けてガスを抜く動作を繰り返し、短ければ数分。長ければ15分ぐらい開栓に時間がかかる事があります。
このようにガス抜き用の穴の開いた栓が使われている物もあります。横にすると酒がこぼれるので、立てた状態でしか保存できない。
他に、開ける前に栓の上にキリで穴を開けるという方法や、こぼれるのを覚悟して大きなボールを上下に置いて一気に開けてしまうという方法もあります。いずれにしろ、活性日本酒を開けるのはかなり注意が必要です。
開栓して落ち着いた状態の活性日本酒をグラスに注ぐとこんな感じになります。泡立ちが分かりやすいようにシャンパングラスに注ぎました。
きめ細かい泡が勢いよくわき続けます。同じ活性日本酒でもこのようにシュワシュワとはせず、少しピリッとくる程度の微発泡の物や、濁りの部分が多くてシュワシュワというよりプチプチとするような物もあります。
ソーダ水のような泡立ち。味も通常の日本酒とはかなり違う。全体的に甘さ強め。日本酒の甘口、辛口については
こちらの記事で。
飲むと通常ある日本酒とは違う味わいに驚くと思います。言われなければ日本酒とはわからないぐらい果実を思わせる甘酸っぱい味わいや、口の中に広がる爽快感。そうかと思うと、米の甘味や旨味も十分に広がってくる。
米と麹と水からこんな味の物が出来るか!と不思議な気持ちになります。見かけたら是非購入して味わっていただきたい日本酒です。
他にも各種活性日本酒を紹介
ではこの他にも幾つか活性日本酒を紹介していきます。
先日
店で活性日本酒飲み比べイベントを開催。タイトルはもちろん映画のタイトルのパクリです。
先日、各種活性日本酒を飲み比べるイベントを開催しました。そちらで出した活性日本酒から紹介していきます。
本格的な物から手軽な物まで各種揃えてみました。
ラベルの半分ぐらいまで濁っています。
酒米の他、カグラモチというもち米も少し使っています。
石川県輪島市の白藤酒造の奥能登の白菊純米活性にごり酒。一部にもち米を使った活性日本酒です。
泡立ちはかなり穏やか。今回の物は注いだ時にプチプチと泡立つぐらいで吹き出すことはありませんでした。味はかなり濃いめ。米の甘味が強く、甘酒的な味わいです。アルコール度数が16度あるので、甘酒的な味の割にパンチがあります。
濃い日本酒は少しソーダで割るのもアリです。
ポン酢もね。
そして、こちらの活性日本酒は濁りの部分がかなり多く、最後はドロドロになってきます。そんな時は少しだけソーダ水を入れると爽快感が増して新たな味わいが出てきます。お試しください。
続いてこちら。
吹き出しは弱いが栓が飛ぶので注意。
アルコール度数は割と高め。ゆったりと飲む食中酒よりも、飲んでインパクトのある味を狙う日本酒です。
群馬県前橋市の町田酒造の町田酒造活性にごり酒美山錦55%。酒米に美山錦を使った無濾過の活性日本酒。瓶内二次発酵によるガスが瓶内に充満し、開栓時金属のフタを外した際に栓が飛ぶことがあるので注意が必要です。
今回の物は開栓後に多少湧き上がってきましたが、吹くことはありませんでした。味わいは甘酸っぱく、爽やか。力強いコメの旨味も後味に感じられ、飲み飽きしない活性日本酒です。
続いてこちら。
江の島などでみかける湘南ビールをつくっているのもこちらの蔵。
アルコール度数はちょっと高め。アル添日本酒については誤解している人が多いので、そのうち記事にして説明したい。
神奈川県茅ケ崎市の熊澤酒造の天青風露活性酒。こちらはアルコールを後から少し足してある、特別本醸造タイプの活性日本酒。
泡立ちはかなり穏やか。スッキリとした甘味とピチピチと弾ける爽快感が心地よい活性日本酒です。
続いてこちら。
大きく貼られた注意書き。
精米歩合55%というのは、米を磨いて45%を削り落とした状態。結構磨いています。
静岡県静岡市の三和酒造の臥龍梅純米吟醸活性にごり酒。こちらの日本酒は栓がこのようになっています。
吹き飛ばさないように指をかけながら金具を外しましょう。
シャンパンと同じような栓が使われています。このタイプは一度抜けると再度刺し込むことが難しいので、吹き出しに備えてタオルをかけるだけでなく、下にボールを置いたり、流しの上で開けたりするのがいいです。幸い今回の物は栓は飛び上がりましたが、吹きはしませんでした。
泡立ちは割と強く、キリッとした酸味と甘みが爽やかに感じられます。
続いてこちら。
上の写真で初めての人には売れないと書かれていた日本酒がこちら。
瓶にも注意書きが多い。
愛知県北設楽郡の関谷醸造の明眸志野純米吟醸にごりざけ。上の動画で開栓している日本酒がこちらです。かなり元気な活性日本酒。開栓するのに10分近くかかりました。
アルコール度数は14~15度と少し低め。甘さは強めですが、キレが良く後味はスッキリとしています。
気軽に買える活性日本酒もあります
さて、ここまで紹介した日本酒は日本酒に力を入れている酒屋などでしか入手する事が難しく、1月から3月ぐらいまでの新酒の時期にしか出回らない。いわゆる本格タイプといわれるような活性日本酒です。量も四合瓶、一升瓶なので人数が集まらないとなかなか飲み切れません。
しかし、最近は200ml前後の少ない量の瓶に入った活性日本酒が多数出回っています。大手スーパーなどでも各種扱っていることもあり、比較的手軽に入手可能です。
今回のイベントでも各種入手して飲み比べる実験コーナーを実施。
幾つか飲み比べた結果、これらのミニボトルの物は全体的に甘さが強めで泡立ちも穏やか。アルコール度数は10%以下と日本酒としてはかなり低アルコール。どれも果汁は入っていないですが、何も言われずに飲むとチューハイと思えるような甘酸っぱさを持っている物もありました。
そして、もう一つ特徴があります。
愛知県の中埜酒造株のとらじの唄。
アルコール6%と低め。瓶内二次発酵。
上でも何度か書いていますが、活性日本酒は瓶内で生きている酵母の働きでガスを発生させて活性日本酒とする瓶内二次発酵の物。
これとは別に後から炭酸ガスを注入することで活性日本酒とするガス注入タイプの物があります。
原材料名に炭酸ガス。
ミニ瓶タイプの日本酒には大きく分けてこの2タイプがあります。比べたところ、多少活性感に違いはあるものの風味に直接大きな違いは感じられませんでした。
ただし、瓶内二次発酵の場合、瓶詰後に発酵させているので、瓶のよって多少の差が出ることがあります。同じものでも並べて飲むと差が出るかもしれないので、ガス注入か瓶内二次発酵か手に取る時にちょっと気にしてみるもの選択肢の一つとして楽しめます。
いずれにしろ、ミニ瓶の活性日本酒は、こういう日本酒もあるのかと意外な発見があるので、興味のある方は一度手に取ってみてください。
色々楽しんでください
上にも書きましたが、活性日本酒というのは新酒の時期である1月から3月ぐらいに出回る季節限定商品的な所があります。また、酵母が生きているので、低温に保っていても少しずつ味も変化します。
もちろん、通年で酒を造り、通年でこういった酒を出している蔵もあるので、最近はこの季節に限らず飲むことも可能です。人数の集まるような飲み会の際に探して1本入手してみてください。飲んだ事ない方は日本酒の新たな味を体験できると思います。
ただし、開けるときには細心の注意を払ってください。開栓に失敗して部屋中に噴射させたり、料理の上にかけたりすると、その後のあなたの人生に大きな影響を与えることになるかもしれません。成功を褒められるのは1回だけですが、失敗は一生言われ続けるのが世の常です。
活性日本酒はかなり甘いので、酸味を補完する方向で少し酸味のある物。発泡の爽やかさで脂を流す方向で肉料理などが合わせやすいです。イベントでは鶏手羽とウドの山椒漬けとか、豚肉の甘酒みそ漬け焼きなど出しました。