デコトラを2台作る、その終わりなき道
件の映画、初めて見たときの衝撃はすごかった。小さい頃に上演され人気があったのは知っているが、仁侠映画のようなイメージがあったので見ずにおいた、それが悔やまれる。だって走行シーンが、突然特撮になるんだぜ。内容もハチャメチャながらカラッとしていて、昔の俳優たちも元気でかっこよくて、DVDを集め始めてしまった。
探したら、アオシマからデコトラプラモシリーズが発売されていた。まさか自分がデコトラのプラモを買うときがくるとは、人生わからないものである。2つ入りで5千円弱と、今回の企画に大変都合がよいのですぐに取り寄せた。
探したら、アオシマからデコトラプラモシリーズが発売されていた。まさか自分がデコトラのプラモを買うときがくるとは、人生わからないものである。2つ入りで5千円弱と、今回の企画に大変都合がよいのですぐに取り寄せた。
2トン車2台入りで、あら お得!
開けると、山と積まれた部品。おおいにたじろぐ。よく考えたらプラモを一から作るのはこれで2回目か3回目だ。こんな少ない回数でデコトラを引くとは、人生わから・・・(略)
これこれ、シールとデカールがトラック野郎気分を盛り上げる。「二日酔いだよ!全員酒豪」などのグッとくるコピーも健在だ。
これこれ、きらめくマーカー(ランプ)の数々。そして細かい・・・大丈夫か。
1個目の「雷神」号は、勉強も兼ねて説明書通りに作ろう。細かいパーツばかりだが、1から少しづつ進めていけば大丈夫だろう。
細かいパーツもさぼらず律儀に塗る。エアブラシがないのでベタ塗り。
電飾付けの内職感!
シールで一気に雰囲気が変わるのは楽しい。
デカール貼りは単純に楽しい。
コツコツやっていたら、正月三が日もデコトラ制作に費やしてしまった。どこまで行っても終わらないのだ。やることいっぱいあった。
どうにかこうにか、説明書記載の最低限の工程を経て、まずは雷神号が完成。
どうにかこうにか、説明書記載の最低限の工程を経て、まずは雷神号が完成。
圧倒的文金高島田感!
これ以上の盛りを求める方には装飾品の予備が大量にセットされているので自由にどうぞ、ということらしい。創造性を養おう。
塗りも、接合も、すごく大変だった。それに完成後に持ち上げようとしても「持ちどころ」が難しく、パーツをいろいろと落っことした(ヤマアラシとかを持ち上げるところを想像してほしい、そんなの持ち上げたことないが)。モデラーの人を尊敬する。どうにも、精度の高い細かい作業は自分にむいてない。もっとキレイに作ってあげたかった・・・
さておき、正統派デコトラでノウハウは多少仕入れたということにして、2台目に移ろう。
さておき、正統派デコトラでノウハウは多少仕入れたということにして、2台目に移ろう。
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「デコ」にこだわりたい
さて「アール・デコ」トラである。ぼんやりとはイメージがあるのだが、ここは書籍を取り寄せて研究だ。今年は何事にも真面目に取り組む所存。
それぞれ非常によい資料だった。今後もアールデコネタのたびに使わせてもらおう。
ふむ、私、勘違いをしておりました。なんとなく、ガレやドーム風の壮麗な飾りやミュシャ、クリムトの繊細な絵、そんなイメージでいたのだが、それらは「アール・ヌーヴォー」のものだったのだ。ガビーン。
アール・ヌーヴォーは昆虫や花のモチーフでわかるように、有機的なデザインを用いた曲線的な様式。それに対してその後出たアール・デコはアール・ヌーヴォーとは対照的に、幾何学的なデザインを用いた様式、だとな。
調べてから企画したらどうなんだ。と言っていても始まりません。ヌーヴォーのものを使えば華美な雰囲気になって大変具合がいいのだが・・・ここはやはり「デコトラ」だ。とにかくアール・デコにこだわって、デコ内容を集めていこう。
アール・ヌーヴォーは昆虫や花のモチーフでわかるように、有機的なデザインを用いた曲線的な様式。それに対してその後出たアール・デコはアール・ヌーヴォーとは対照的に、幾何学的なデザインを用いた様式、だとな。
調べてから企画したらどうなんだ。と言っていても始まりません。ヌーヴォーのものを使えば華美な雰囲気になって大変具合がいいのだが・・・ここはやはり「デコトラ」だ。とにかくアール・デコにこだわって、デコ内容を集めていこう。
車体図にモチーフを当てはめて検討してみる。
すいませんクリムトだけ使わせてください。
アール・デコ的な形に使えそうなパーツを、在庫から適当に見繕う。
クライスラービルのこういう感じもアール・デコのものなのだった。頭に飾ろう。
こうやって改めてアール・デコとは何かと問いながら進めていくのはとても勉強になった。今も街のあらゆるところにアール・デコの片鱗が見られるのだ。街歩きのときの楽しみが増えた。あの頃、乱暴そうな映画と思って避けていた「トラック野郎」を見直すことで、アール・デコへの造詣も深まるとは、いったいどうなってんだとも思うが、これが大人の醍醐味であろう。
うっかりまとめるところだったが、まだ全然作業はおわってないのだった。
うっかりまとめるところだったが、まだ全然作業はおわってないのだった。
とりあえずボディ全体は、アール・デコ様式の建物を意識してベージュ・茶に統一。
これなんかアール・デコっぽくない?
運転席の背もたれは、マッキントッシュのハイバックチェアを参考に。
アール・デコの意匠を透明ラベルに印刷して貼るだけでもそれっぽくなる、か。
荷台の底面も、庭園美術館の内装を参考に。見えないオシャレ。
プラ板にアルミシートを貼って、クライスラービルのハリボテ。
直線的なデザインを心がける。
直線的、幾何学的なデザインというのは、作業面では多少助かるが、素人がやると単調になりがちだ。なのでここは、国内のアール・デコ様式代表というべき目黒の庭園美術館の装飾を参考に、有機的な曲線も取り入れていきたい。
ラリックの女性像のガラスレリーフを参考に、オーブン粘土で造型。
細かい彫りは消しゴムに彫って楽に済ます。
上2つを組み合わせ、おゆまるで型取りした後、レジンを流し込んでレリーフ的なものが完成。
作業自体はすごく楽しかったのだが、全体のデザイン構成が難しい。匙加減に四苦八苦しながらなんとか完成させたのがこちらだ。
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通り名は「アール・デコのお啓」
すみません地味です。でも一緒に見ていきましょう。
空気抵抗を華麗に無視したトップのデザイン。今はなき横浜松坂屋のエスカレーターからも意匠を拝借(ワイパー下)。
左面の絵はアール・デコの女性画家、タマラ・ド・レンピッカ。こんなトラックは他にあるまい。
右面はアール・ヌーヴォー方面からクリムトさんに出向していただいた。
ラリックの女性レリーフ風のものを背面に。後続車へ謎の威圧。
運転席はマッキントッシュのハイバックでハイセンスに。居住性は△。
先の雷神号の天板が「世は情け」。呼応するこちらは「旅は道連れ」を英訳し(「Good company upon the road」)アール・デコ風フォントで洒脱に。
「おう見かけねえ顔だな!オレは雷神号ってんだ。おめえ、名はなんてんだ。」「アールデコノ オ啓。マタノナヲ ラリック・オ啓 サ!」 とかなんとか・・・
デコトラ(アートトラック)専門誌「カミオン」も取り寄せて研究したつもりだったが、あの派手さをアール・デコで表現するのは無理があったかもしれない。まあこれはこれとして、日本のどこかでいつか本物のアール・デコトラが1台くらいは誕生してほしい。そしてデコトラ集会で逆に目立ってほしい(先週の北村ヂンさんの記事「デコトラ集会が超エレクトリカルでスゴすぎた!」をどうぞ)。
「トラック野郎」でも、モナリザの絵がトレードマークの「モナリザお京」というトラッカーがいた。
対してこちらはいわば「ラリックお啓」だ。この名もどうぞ使ってほしい。今風にアール・デ子とかでもいいかもしれない。
「トラック野郎」でも、モナリザの絵がトレードマークの「モナリザお京」というトラッカーがいた。
対してこちらはいわば「ラリックお啓」だ。この名もどうぞ使ってほしい。今風にアール・デ子とかでもいいかもしれない。
2015 01/31 [Sat] よる Open 17:30 Start 18:30 End 20:30 (予定)
初の鉄道イベント出演で、いいのかしらと震えております。
乙幡は「食堂車の消え行く現状への怒りをぶつける」プレゼンをする予定。
皆様どうぞ共有しましょう。よろしくお願いいたします。