釧路の勝手丼が発祥らしい
こういった「市場で買った物を好きなだけのせて食べる」というスタイルのグルメは、釧路和商市場の「勝手丼」が発祥で、「勝手丼」以降、似たようなスタイルのメニューを提供するところがいくつか現れた。青森市の古川市場の「のっけ丼」もそのひとつである。
青森魚菜センター=古川市場
古川市場の「のっけ丼」は、すでに各メディアでも取り上げられ、ご存じの方も多いと思う。自分で載せる具を選べるという、旅先でのちょっとした祝祭感は、観光客にとって抗いがたい魅力がある。
のっけ丼ののっけかた
のっけ丼はチケット制
「のっけ丼」は、まず「のっけ丼食事券」と呼ばれるチケットを案内所で購入しなければいけない。
まずは案内所でチケットを買う
チケットは、1080円の10枚綴りと、540円の5枚綴りの2種類がある。一人で10枚綴りと5枚綴りをふたつ買っても良いし、10枚綴りを二人で分けても構わない。使い方は自由だ。
5枚綴りを購入
このチケットを、市場の各店舗でごはんや具と交換し、自分の好きな海鮮丼を作るのだ。
ごはんはどこの店で交換してもチケット1枚(大盛は2枚)
左が大盛、右が普通
市場で提供される丼の具は、基本的にひと皿チケット1枚(約108円)程度の物が多い。
カンパチ、タイ、マグロ、ホタテといった定番の具から、スジコ、イクラ、タラコといった魚卵や、ウニや塩辛といった内蔵系まで海鮮丼の具としてないものはない。
カンパチ、タイ、マグロ、ホタテといった定番の具から、スジコ、イクラ、タラコといった魚卵や、ウニや塩辛といった内蔵系まで海鮮丼の具としてないものはない。
痛風になりそうな食材の数々
しかし、中には2枚必要なものや、現金支払いの具もあったりと様々だが、とにかく気になったものは、店の人に声をかけて聞いてみるのがいい。
のっけるものに個性を出したい
できれば個性的な「のっけ丼」にしたい
先ほど540円で5枚綴りのチケットを買ったわたくし。好きな海鮮を好きなだけのせるのもいいけれど、すでに各メディアで紹介されまくっている「のっけ丼」に新しい切り口からのアプローチを試みたい。
まず選んだのが、この肉。
まず選んだのが、この肉。
前沢牛
前沢牛一切れ、チケット2枚である。前沢牛といえば、岩手の高級牛肉だ。青森の市場になぜか前沢牛があるのだ。
いきなり肉かよとお思いの方も多いかもしれないけれど、やはりここは新しい切り口からのアプローチということで、あえてこの選択をさせて頂いた。
チケット5枚のうち、すでにご飯で1枚消費してしまっているため、この肉でチケット2枚を消費してしまい、チケットは残り2枚になってしまった。
いきなり肉かよとお思いの方も多いかもしれないけれど、やはりここは新しい切り口からのアプローチということで、あえてこの選択をさせて頂いた。
チケット5枚のうち、すでにご飯で1枚消費してしまっているため、この肉でチケット2枚を消費してしまい、チケットは残り2枚になってしまった。
でも肉はうまそう
肉はうまそうなんだけどな……
「新しい切り口」とはいえ、いきなりチケット2枚を消費する肉を選んでしまったのは果たして正解だったのか? もう、肉というだけではしゃぐ年齢でもないのにな……など、様々な思いが脳裏をよぎる。
土器の破片みたいな趣がありますね
おでんを買ってしまう
海鮮丼と言っておきながら、いきなりチケット2枚の肉を選んでしまった新しい切り口の「のっけ丼」。
いまさらホタテやイクラなどの海鮮を選んだとしても、すでに各メディアでじゅうぶん紹介済みであることを考えれば、この選択も悪くないのではないか? もう後はないし、後悔もやめた。
この方向性で行くしか無い。
続いてはこれを選びたい、おでんだ。
いまさらホタテやイクラなどの海鮮を選んだとしても、すでに各メディアでじゅうぶん紹介済みであることを考えれば、この選択も悪くないのではないか? もう後はないし、後悔もやめた。
この方向性で行くしか無い。
続いてはこれを選びたい、おでんだ。
いかにも市場のばあちゃんといった風のおばあちゃんによそってもらいました
生姜みそたっぷりのおでん
青森のおでんは、生姜みそ(生姜風味の甘い味噌ダレ)をつけて食べるのが特徴で、そのむかし、青函連絡船の乗客に、生姜で少しでも温まってもらおうと考えだされたのがルーツらしい。
などという生姜みそおでんのうんちくはさておき、おでんはこれだけよそってもらってチケットは1枚で済んだ。お得感はじゅうぶんである。
などという生姜みそおでんのうんちくはさておき、おでんはこれだけよそってもらってチケットは1枚で済んだ。お得感はじゅうぶんである。
最後のチケット1枚をどうするのか
ご飯、前沢牛、おでんですでにチケット4枚に達してしまったわたくしの「のっけ丼」。
最後の1枚をなににするかで悩んでしまう。
最後の1枚をなににするかで悩んでしまう。
残り一枚でなにのせようかしら
はっきり言うと、現状でご飯にのっているものは無い。
なにものっけてないのにもう後がない
もうすこし、ご飯のおかずになりそうなもの……お漬物?
お漬物の数々
のっけ丼は、お漬物ものっけ放題である。
海鮮が苦手というひとは、チケット全部をつかって、大量のみょうがの漬物をご飯にライドオンさせることも、理論上は可能である。
可能ではあるけれど、今のぼくはそんな気分ではなくなっていた。
せめて、最後のチケット1枚はなにか海鮮的なもので締めたいという欲がでてきた。
とはいうものの、いまさらマグロとかカンパチなんかに走ると、反動分子の誹りを免れないので、赤ホヤの塩辛をチョイスした。
海鮮が苦手というひとは、チケット全部をつかって、大量のみょうがの漬物をご飯にライドオンさせることも、理論上は可能である。
可能ではあるけれど、今のぼくはそんな気分ではなくなっていた。
せめて、最後のチケット1枚はなにか海鮮的なもので締めたいという欲がでてきた。
とはいうものの、いまさらマグロとかカンパチなんかに走ると、反動分子の誹りを免れないので、赤ホヤの塩辛をチョイスした。
赤ホヤの塩辛は……食べたこと無いから
そしてついに、新しい切り口の「のっけ丼」堂々の完成です。
これは、丼ではないな
「そもそも丼とはなんなのか?」という哲学的な問いかけさえ感じさせるビジュアル。
赤ホヤの塩辛、肉、おでんのならびに至っては鬼退治ができそうな雰囲気さえただよっている。
赤ホヤの塩辛、肉、おでんのならびに至っては鬼退治ができそうな雰囲気さえただよっている。
それぞれはうまい
まずは、チケット2枚もした前沢牛から食べてみたい。
肉にピントがあってない
さすがチケット2枚の肉。じんわりうまい。まずいわけがないのだ。
この肉だけでご飯を半分たいらげたいと思ったが、ご飯はかなり余ってしまった。ご飯の命運は、続くおでんに託された。
この肉だけでご飯を半分たいらげたいと思ったが、ご飯はかなり余ってしまった。ご飯の命運は、続くおでんに託された。
甘くてうまいんだけどな
生姜みそは、もちろんおいしいのだが、どちらかと言うと甘みの方を強く感じるので、ご飯のおかずというよりも、おやつに近い。
そんなわけで、たっぷりのご飯と、赤ホヤの塩辛が残ってしまった。
そんなわけで、たっぷりのご飯と、赤ホヤの塩辛が残ってしまった。
こんなはずじゃなかったんだけどな
赤ホヤの塩辛は、ホヤの独特の風味と塩味が、どちらかというと、御飯のおかずというよりも、お酒のアテといった感じであった。
奇をてらうとダメだな
満足度が低い
以上、「新しい切り口」からの「のっけ丼」だったのだが、やはりなにか物足りなさは否めなかった。
「好きな具をのせていい」という自由さが、逆にプレッシャーとなって「いきなり前沢牛」という無謀な選択につながってしまった。
これは失敗であった。
やはり、王道の海鮮を、すきなだけのせる。というのが一番いいのではないだろうか。もっと、脱臼することも厭わずに肩の力を抜いて、自分の好きなモノをのせるべきであった。
ということで、チケットをケチらずに10枚綴りのものを購入し、好きなモノだけを盛り合わせたのがこちらだ。
「好きな具をのせていい」という自由さが、逆にプレッシャーとなって「いきなり前沢牛」という無謀な選択につながってしまった。
これは失敗であった。
やはり、王道の海鮮を、すきなだけのせる。というのが一番いいのではないだろうか。もっと、脱臼することも厭わずに肩の力を抜いて、自分の好きなモノをのせるべきであった。
ということで、チケットをケチらずに10枚綴りのものを購入し、好きなモノだけを盛り合わせたのがこちらだ。
ドーン
最初ののっけ丼と比べると、刑務所の正月の給食みたいだったのが、素直にうまそうな海鮮丼になっているのがよく分かる。
安心のうまさ
好きな具を好きなだけのせていいという「のっけ丼」。
今回の反省点としては、肉やおでんがまずかったわけではなく、組み合わせが悪かった。
チケット5枚でも、ご飯以外のチケット4枚分すべてをマグロの赤身とか、イクラやらにしてボリュームを楽しむという方法もあったかもしれない。
つくづく、奇をてらうのはやめて、素直にいかないとダメだなという、そういう教訓を得ることができました。