特集 2014年12月25日

「はくどうか」をちんちんならしてみた

子ぎつねが渡す「はくどうか」とはなにか
子ぎつねが渡す「はくどうか」とはなにか
新美南吉の童話「手袋を買いに」。

子ぎつねが帽子屋のおじさんに間違って本当の手で渡してしまうのが、2枚の「はくどうか」だ。おじさんはそれが木の葉のお金じゃないことを確かめるために「ちんちん」と鳴らす。

絵本では丸くて白いお金が描かれてるので、ああお金なんだ、と思ってあまり気にしてなかった。でも、よく考えたら「はくどうか」ってなんだ。100円?1000円?
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:パワースポットはどこにあるか

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

「手袋を買いに」っていう絵本ありますよね

たぶん多くの人が一度は読んだことあると思う、新美南吉の「手袋を買いに」という童話。

わが家でもこどもに読んであげようと思って改めて買ってきた。
これは若山憲さんのイラスト
これは若山憲さんのイラスト
それで子どもに読み聞かせていたら、まず文章がとても素敵だってことに気づいた。こどもの頃は分からなかったんだけど。

「暗い暗い夜が風呂敷のような影をひろげて野原や森を包みにやって来ましたが、雪はあまり白いので、包んでも包んでも白く浮びあがっていました。」
青空文庫「手袋を買いに」より


景色が思い浮かぶようでしょう。これ書いたの、新美南吉が20歳のときだっていうのがほんとに驚き。人格が完成されすぎてる。ついでに言うと「ごんぎつね」を書いたのは17歳だそうだ。「ごん、お前だったのか」のくだりを高校生がね・・。
新美南吉さんは30歳で亡くなりました。
新美南吉さんは30歳で亡くなりました。
まあそれはいい。後半、母ぎつねが子ぎつねの片方の手を人間の手に変え、こっちの手で帽子屋さんのおじさんに「はくどうか」を渡しなさい、という場面がある。

実際に「はくどうか」を渡すシーンは、それはそれは美しくかかれていて説得力があるんだけど、よく考えたら「はくどうか」がなんだか分からない。こどもに読み聞かせてるのに自分がよく分からないんじゃまずいと思って調べてみた。

「はくどうか」は「白銅貨」だった

インターネットは素晴らしい。答えだけならすぐ出るのだ。白銅貨とは白銅で鋳造した貨幣であり、白銅とは銅を主体としニッケルを含む合金である。ニッケルが多いと銀色に輝くので銀貨の代わりになる。

何を隠そう、いまふつうに使われてる50円硬貨、100円硬貨は白銅貨なのだった。
なんと、これが白銅貨でしたか
なんと、これが白銅貨でしたか
南吉さんが格調高く「白銅貨」と書いているので気づかなかったが、まあふつうに100円みたいな硬貨のことなのだった。

でも待てよ。「手袋を買いに」は昭和8年の作。その頃はいまの100円硬貨はなかっただろう。その当時の白銅貨を2枚手に入れて、帽子屋のおじさんのように手のひらで「ちんちん」と鳴らして、木の葉のお金じゃないことを確かめたい・・。そんなことを突然思い立ったのでした。
▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓