特集 2014年12月23日

カベドントカレンダーで毎日壁ドン

毎日壁ドンしてくれるカレンダー
毎日壁ドンしてくれるカレンダー
2月のヨシダプロ『「壁ドン」を簡単に味わえる方法』から12月に林さんの『新しい壁ドンを考える』と、デイリーポータルは壁ドンに始まり壁ドンに終わった一年と言えるだろう。

すっかり流れに取り残されてしまったが、僕も今年のしめに壁ドン記事をものにしておきたい。
年が明ける頃には絶対に古くなってるし。ギリギリ腐ってない今のうちにしゃぶりつくしておかねば。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:文具研究同好会の学園祭

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

壁ドンしてくれるアドベントカレンダー

時期的にはちょうどクリスマスシーズン。

12月1日からクリスマスまでをカウントダウンするための『アドベントカレンダー』というものがある。
カレンダーが24日まで1日1マスになっており、日付をめくると中に小さなお菓子などが入っているというものだ。
画像検索で出てくるアドベントカレンダーのあれこれ。
画像検索で出てくるアドベントカレンダーのあれこれ。
クリスマスまでの一日一日を盛り上げる仕組みとしては、なかなか楽しくて良いものだ。
あと、「アドベント」と「壁ドン」という語感が似てるのも良い。
そういう理由で、クリスマスまで毎日壁ドンしてくれるカレンダー『カベドントカレンダー』を作ってみよう。
(つまるところ、駄洒落です)

思いついたものを実際に作ってしまう行動力、と言えば聞こえがいいが、要するに駄洒落を思いついたら我慢できずに言ってしまうオヤジと一緒だ。
心の我慢が足りない。老齢性の工作である。

バネで飛び出す壁ドン

壁ドンしてくれるカレンダーってなんだ、と考えた時、まずパッと浮かんだのが、箱から手が飛び出してくるビックリ箱的なやつだ。
となると、バネだな…とアタリはつくが、身近な東急ハンズやホームセンターにはそんなにバネの種類が置いてない。
秋葉原にある、バネのショールームへ。
秋葉原にある、バネのショールームへ。
こういう時は、プロに相談するのが手っ取り早い。
スーパーカー消しゴムを強力にはじく記事』を書いて以来お世話になっているバネメーカー、アキュレイトさんの秋葉原ショールームでバネを探してもらおう。
すいません、また妙な相談を持ち込みました。
すいません、また妙な相談を持ち込みました。
以前にもバネ探しをお願いしたアキュレイトの石村さんに、目的を伝えてベストなバネを探してもらうことに。

「えーと、壁ドンしてくれるカレンダーを作りたいんですが」
「は」
「ビックリ箱みたいにカレンダーから手を飛び出させたいので、ちょうどいいバネを」
「…はい」

前は「スーパーカーをすごいパワーで弾きたい」で、今度が「カレンダーから壁ドンしたい」だ。
僕がメーカーならお断りしたいレベルの面倒な客だが、サイズやバネ径などを考えながらササッと10種類ほどバネをチョイスしてくれた。
プロって、すごい。

個展をしながら工作に取りかかる

材料がそろったら、あとはもう組み立てるだけである。

実はこの記事を書いているのは、東京駅近くの文房具店「モリイチ」さんのギャラリーにて僕の駄文具コレクションを展示するイベントをやっているまっ最中だった。(もう終了しました)
店内で雑な図面を元に作業開始。
店内で雑な図面を元に作業開始。
個展期間中に自宅にこもって作業するわけにもいかない。
お店とお客さんには申し訳ないが、在廊しながらちまちまとギャラリー内で工作をさせてもらった。
スチレンボードを切ってカレンダーのマスを作る。
スチレンボードを切ってカレンダーのマスを作る。
作業していて気付いたのは「文房具店内で作業するの、超便利」ということ。

シャーペンの芯が切れただのテープ糊が切れただの、自宅作業であればいちいち買いにでないといけない。

でもここなら、作業してる場所から徒歩5秒先に売り場があって、さらに10秒歩くとレジがある。
できればここに住むか、もしくは自宅を文房具店にしたいぐらいだ。
壁ドンする手もスチレンボードで切り抜く。
壁ドンする手もスチレンボードで切り抜く。
ちなみに、上の写真に写ってるカッターマットもモリイチさんで購入した。
うっかり自宅から持ってくるのを忘れたのだが、その場ですぐ買えるのだから問題無い。ありがたいことだ。
自宅にカッターマットあと6枚あるけど、まぁ何枚あっても困るものではない。
分かりにくいけど、いま「カッターマットドン」状態です。
分かりにくいけど、いま「カッターマットドン」状態です。
さらに店内の電源まで使わせてもらって、ホットボンドでスチレンボードの手にバネを接着していく。

1日からクリスマスイブまで24本の手が必要なのだ。個展に来てくださったお客さんに対応しつつ、合間合間でちまちまと手を作り続けた。
後ろに見えているのは全部文房具。「ロボット文具の歴史」的な展示だった。
後ろに見えているのは全部文房具。「ロボット文具の歴史」的な展示だった。
手のひらにバネをくっつけたら、肌色の布を巻く。
バネだけだと手感が薄いなと思ったのだ。
ちなみに人生で始めて「手感」って言ったけど、たぶんそんな言葉は無いな。
どうだろう。「手感」がぐっと高まったのではないか。
どうだろう。「手感」がぐっと高まったのではないか。
もちろんこれも24本やらねばならない。

この時点で相当にうんざりしているが、次第に完成の目処もつき始めたので、テンションを上げて自宅でも作業を続ける。
出来上がってきた手。百裂張り手っぽくてかっこいい。
出来上がってきた手。百裂張り手っぽくてかっこいい。
最後に、適当な端切れを服っぽく巻き付けてやれば壁ドンの手が完成である。
これは、着せ替え遊び的な楽しさがあった。
これは、着せ替え遊び的な楽しさがあった。
24本の手に洋服を着せ終えたら、最後にカレンダーマスに接着してフタをする。

ようやく、カベドントカレンダーの完成だ。
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これがカベドントカレンダーだ

長々と作業工程をお見せしたのは、完成品を見せたら一発で終わってしまうから、という貧乏根性に他ならない。
とりあえず説明に1ページ使って満足したので、いよいよ壁ドンするアドベントカレンダー、『カベドントカレンダー』をお見せしよう。

これだ。ドーン。
24マスの壁が並ぶ、カベドントカレンダー。
24マスの壁が並ぶ、カベドントカレンダー。
日付の部分には、フリー画像素材の壁を入れてみた。
思ったより地味だ。

あと、記事を書きながら「壁から手がドンと出てくるのは壁ドンじゃない」とも気がついたけど、もう作っちゃったからいいのだ。
壁というか、レンガ塀みたいなのも混じってるな。
壁というか、レンガ塀みたいなのも混じってるな。
で、この日付の部分を一枚ずつはがしていくと、中から手が出てきて壁ドンしてくれるという仕組みである。
壁ドーン。
壁ドーン。
どうだろうか。壁ドンだろうか。
どうだろうか。壁ドンだろうか。
これが壁ドンかどうか、という部分に関して僕個人の見解を言わせてもらえれば、「六割五分ぐらい壁ドン」だと思う。
なによりドンと勢いよく手が出てくる辺り、なかなかに壁ドンではないだろうか。

勢いで押すカベドントカレンダー

さて、今日はもう23日だ。
最初の1日だけめくったのではアドベントではないので、ドンドンドーンとめくっていこう。
4日まで、ドーン!
4日まで、ドーン!
14日まで、ドンドーン!
14日まで、ドンドーン!
ネルシャツ風から柄シャツ、迷彩、革ジャン風まで、いろいろと取りそろえてみた。
これだけあれば、お好みの壁ドンが見つかるのではないだろうか。

さあ、まだまだ行くぞ。レッツ壁ドンドンドンドーン!
19日まで、ドンドンドーン!
19日まで、ドンドンドーン!
23日まで、ドンドンドンドーン!
23日まで、ドンドンドンドーン!
今年は12月19日あたりに終業式が来るのではないかと思い、二学期の思い出として学生服っぽい壁ドンを入れてみた。

手持ちの端切れにいいのがなかったので、ユザワヤで「人形の学生服を作りたいんですが、いい布ってないですか」と相談して出してもらった布を使用している。
これが今日までの全23壁ドン。
これが今日までの全23壁ドン。
ひとつだと些か心許なかった壁ドンも、23本あれば迫力で押し切れると予想していたのだ。
やり切って良かったと思う。
こういう駄洒落も押し切ってしまえばなんとかなるのだ。

聖夜のラスト壁ドン

さて、明日24日に残されたラスト壁ドンだが、せっかくなので一足早くめくっておこう。
聖夜に相応しい壁ドンがあなたを襲うぞ。
聖夜ドーン
聖夜ドーン
サンタドーン
サンタドーン
ご想像通りであろうが、サンタクロースによる壁ドンでフィニッシュ。
あくまでもクリスマスを祝うアドベントカレンダーだ、という前提を外さないための心憎い演出である。
(あんまり言ってもらえない気がするので、自分で「心憎い」と言いました)

皆様も、壁ドンしたりされたり、良いクリスマスをお過ごしください。

これが正しいカベドントカレンダーの使い方。
これが正しいカベドントカレンダーの使い方。
さて、最後まであやふやに残してしまった「だから壁に向かってやらない壁ドンは壁ドンと言えるのか」問題。
写真のように壁を背中にしてカレンダーを使えば、きちんと壁ドンになるのだ。
しかし、24本の手に迫られるのはなかなかの圧迫感なので、気の弱い人にはおすすめしない。
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