埼玉の大量発生
カブトムシと言えば夏を代表する虫であり、特に小学生男子にはダイヤモンドのような存在だ。カッコいいのだ。そんなカブトムシが大量発生というニュースを見つけた。埼玉県の富士見市でそれは起こっているらしい。
富士見市のツイートで写真付きでカブトムシの大量発生が知らされていた。これは2014年7月30日のツイートだ。
ここ最近、「大量発生」と検索していた私には大変嬉しい大量発生だった。蛾やカメムシの大量発生情報は入手していたが、カブトムシなのだ。
カブトムシ!
蛾やカメムシの大量発生では、「行きたい!」という遠足前日の子供のようなワクワクを生み出すことができなかった。
しかしカブトムシとなれば話が変わる。犬ならばおしっこをしちゃうような喜びを生み出したのだ。
ということで富士見市に来ました!
市役所に行こう
7月30日の夕方に大量発生のニュースを知り、次の日の朝には富士見市に来ていた。カブトムシと大量発生という2つのワードがそうさせたのだ。
個人的には本の締め切りがもうそこなので、こんなことをしている場合ではないのだけれど、来ないではいられなかった。
炎天下を1.5キロ歩き、市役所を目指す
まずはツイートをした市役所に行き、富士見市のどこで大量発生をしているかの情報を得ようと思う。
電話してから行けばいいのでは? と思うかもしれない。しかし、それは大人の発想だ。カブトムシは男性を男子にする力を持つのだ。
影のない富士見市
家を出たのは朝だったけれど、富士見市に着いた頃には太陽は絶好調になっていた。
高い建物もなく、空はただ青く、影はない。太陽の光が陰る黒い部分が愛おしい。黒いのが愛おしい、黒いのが、カブトムシだ。
炎天下を1.5キロ歩き、市役所にやってきました
富士見市のカブトムシ事情
市役所は涼しかった。天国はきっとこんな感じだ。教えてくれそうな課に向かい、カブトムシ大量発生の情報を聞く。
その傍らには富士見市の双子のキャラクター「ふわっぴー」がいる。2体いるが両方ふわっぴー。田中さんも山田さんも人間みたいなことだと思う。
ふわっぴー
市役所の方はとても優しく急にやって来た私にもキチンと対応してくれた。件のツイートをした課にも問い合わせてくれた。
カブトムシの大量発生はもう手の届くところまで来ている。男子にとってのダイヤモンド「カブトムシ」はもう私の虫かごの中だ。
こうなりました!(キラリ☆ふじみにて)
写真のカブトムシ大量発生は個人のお宅らしく教えることはできないそうだ。待て、の解除を忘れられた犬はきっとこんな気持ちなのだろう。
他にカブトムシの大量発生はないかと聞いたが、ないですね、とのことだった。富士見市はカブトムシで有名ということではないらしい。
駅近くのスーパーでとりあえずメロンを買った
さて、困ったと思う。赤信号の交差点に突っ込むような先走りをしてしまい、まだ大量発生を確認できていないのに、撮影係として当サイトの編集部・安藤さんを呼んでしまっていたのだ。
気まずい。ウサギならこの気まずさのストレスで死んでしまうかもしれない。
値札をはいだ
謝罪のメロンです
やっぱり来なくていいです、と安藤さんに連絡したかったが、会社をもう出た、と連絡をもらっていた。
さて、どうしよう、と考えた結果がメロンだった。謝罪のメロン。メロンは高級品だと思っていたが、ものによってはそんなに高くなかった。
でも、これで許してくれるだろう。だってメロンだ。
そうでもないみたい
水中で話すみたいに上手く伝わらなければいいな、と思いながら大量発生を見ることができないことを伝える。でしょうね、と安藤さんは当たり前のように答える。
そして、リュックからカブトムシのおもちゃを取り出した。茶番のススメ。これでお茶を濁せと。
おもちゃのカブトムシ!
一応、市役所の方に富士見市でカブトムシが捕れるところはないかと聞いていた。すると「水子貝塚公園」を教えてくれた。ここでカブトムシがよく捕れるとのことだった。
ツイートの大量発生ではないが、ここで大量に捕れれば、それはもう大量発生だ。
市役所の方に教えてもらった
水子貝塚公園へ
みずほ台駅から教えてもらった水子貝塚公園を目指す。引き続き炎天下だ。安藤さんがメロンを邪魔そうに持っている。
メロンは意外と重いのだ。それもメロンを高級と思う理由の一つだろう。重い方がなんとなく嬉しい気がする。今は邪魔だけれど。
メロンが邪魔らしい
駅からしばらく歩くと、想像の中の田舎の風景になった。東京からそう離れていない場所だけれど、そこには我々の心の奥に眠る風景がある。
来てよかった、来てよかったよね、安藤さんと思う。カブトムシよりも編集部が気になる。
やっぱりそうでもないらしい(メロンは袋に入れた)
そんな気まずさの中、水子貝塚公園に到着!
縄文時代!
水子貝塚公園は周りが木々で囲まれ、その中心に芝生が広がる。芝生には竪穴住居が並んでいる。縄文時代前期を代表する貝塚なのだそうだ。
つまり貝が大量に見つかったわけだ。大量発生だ、貝の。そのように常にポジティブに考えることが今の日本には必要だと思う。
竪穴住居
中はこんな感じ
藤森栄一の書いた「縄文の世界」(講談社)を読んでから、縄文時代への興味がすごい。埼玉でこんなものに出会えるとは、と感動したが、カブトムシである。
傍らでは安藤さんが相変わらずメロンを邪魔そうにしている。
探す
大量発生!
竪穴住居を囲むようにはえる木々で探す。ちなみにツイートの写真の木はムクゲではないかという話だった。ここにはムクゲはないようだ。
しかし、カブトムシのいそうな木はたくさんある。さすが市役所、情報は正しい。
あ、いた
たくさんいた!(クワガタもいた!)
昼間なので、木の下の落ち葉をのけてみる。すると、どんどんカブトムシが出てくる。ウソではなく、大量発生と言ってもいいレベルでカブトムシが出てくるのだ。
近くにいたおじさんが、「毎年ここはすごいのよ」と言わなければ、カブトムシが大量発生している、と言えたかもしれない。必要ない話を聞いてしまった。
子供もカブトムシを探していた!
小さな子供がカブトムシを探していたので、見つけたカブトムシやクワガタをプレゼントした。
子供の持っていた袋にはすでにカブトムシが入っていて、そこはもうカブトムシだらけ。カブトムシが芋洗い状態だ。
大量発生!
すべてこの公園で見つけたカブトムシだ。男の子はとても嬉しそうだ。
件の大量発生の場所ではなかったけれど、これも大量発生と言ってもいいかもしれない。袋を広げる満足げな子供の顔を見ていると幸せになれた。
こっちは不満げだったけれど
大量発生好き!
私は最近、田舎の村に行くことが多いので、カブトムシなんて、と思いそうだったが、見つけると嬉しい。
ダンゴムシやアリでは、興奮しないけれど、カブトムシやクワガタでは興奮する。それがこれだけいれば興奮疲れするレベルだ。カブトムシは富士見市と覚えてこう。
あとメロンは重く、そんなに嬉しくないというのも覚えておこうと思う。