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フェティッシュの火曜日
 
横浜でクラゲ大量発生中
へんな生き物が唐突な場所に現れると夏だなあと思う

横浜でクラゲ大量発生中だ。

多摩川にアザラシが迷い込んだのも、荒川をイルカがあがってきたのも、石川県でオタマジャクシが降ったのも全て夏だった。夏といえば生き物騒動なのだ。そしていま例としてあげた3件は全て僕も見に行った(注)。

もちろんクラゲも見に行く。

林 雄司・取材日:2010年7月25日)

注) 鶴見川アザラシ探索(2002年8月31日)
イルカフィーバーはきていたか(2007年8月14日)
オタマジャクシは降っているのか(2009年6月15日)

 


高速道路の下にもうひとつの道

クラゲが大量発生しているのは横浜の中村川という2級河川。高速道路の下になっていてあまり存在感のない川だ。

いわゆるこういう感じの川である
しかしそこにクラゲの道ができているのだ

高速道路を走っている人はその下でクラゲも列をなしているとは思わないだろう。首都高速神奈川3号クラゲ線である。

クラゲの渋滞は500mほど続いております

このクラゲはミズクラゲという一般的な種類のクラゲだそうだ。鳥でいえばハトぐらい平凡な種類らしい。以前、芝浦の海沿いのビルで働いているとき、昼休みに会社のまえの海を眺めていたときにもよく見かけた。

昼休みに海を眺めていたなんてまるでドラマみたいだが、海を見ながら同僚と話していたのはタイムカードをどのタイミングできると残業代が多くつくかなどであった。

よう、ひさしぶり
よく見るとクラゲの下に小さい魚もたくさんいる

おちついた騒動

クラゲ大量発生がニュースになっているからといってもタマちゃんのときのような騒動にはなっていなかった。

橋ごとにクラゲを眺めているカップルが一組ずつぐらい。たいていどちらかがクラゲに夢中で片方はそうでもないという組み合わせが多かった。

でもクラゲについて聞くと楽しげに教えてくれる。生き物騒動がおきた町特有のテンションである。

iPhoneで写真撮ってる人多かった

ここで聞いた話では
・1時間前はもっといた
・場所によって数が違う
・よく見るときれい
・いや、すごくきれいだ
・中華街近いんだから食えばいいのに

などであった。意外なことに気持ち悪いという意見はほとんどなかった。僕が「クラゲいますね!」と楽しげに話しかけたから遠慮したのかもしれないし、すでにクラゲを見ている人だからという気もする(気持ち悪かったら見てない)。

しかし見ず知らずの人にクラゲ情報を聞いてまわったりして、いちばんテンションあがっているのは僕かもしれない。

 

おしゃれよりの場所なのだ

クラゲが出た川は横浜の元町商店街というおしゃれゾーンの隣なのだ。川を越えたところには中華街がある。

人気スポットに囲まれるクラゲゾーン

クラゲをフィーチャーして人を呼ばなくてもじゅうぶん人が来る場所である。クラちゃんTシャツやクラゲアイスはなかった。クラゲに向かって「クラちゃーん」と叫ぶ子どももいなかった(アザラシのときはいた)。

これぞ横浜というイメージの店がならぶ元町商店街(写っているスカートの女の子はなんと交通整理係)
そして中華街にはうまいものがたくさんある
それに比べてクラゲの集客力のなさと言ったら

このルックスでグッズ化はないか。やっぱり哺乳類以外の動物は弱い(しかもぶよぶよしてるし)。

だが、8年前、会社の近所の川にボラが大量発生したときは水面を埋め尽くすボラはグロテスクな光景だったにもかかわらず近くの商店街はボラちゃんセールと名付けたセールを行っていた。

あの商店街は近くに刑場跡ぐらいしか名物がなかったからかもしれない。


クラゲに気づきを求ない

クラゲを眺めていると川の左右でクラゲの量が違うことに気づいた。しかも日光が当たるところのほうがクラゲの動きが活発である気もする。

日なたにはクラゲが多い?よく動く?
妙にクラゲ少ないところもある

だが、川を移動しながら観察したが、

・日かげでもクラゲがたくさんいる場所もある
・日なたのクラゲの動きが活発に見えるのはよく見えるから

ということがわかった。要は規則性が見つからなかった。適当に漂っている。クラゲもやっぱり日光に左右されるのね、みたいな共感を得ようとしたのが間違いであった。

枯れ葉を飲み込んだまま漂ってるやつもいた

こんな適当ないきものはめったにないと思った。

ちなみに海にはクラゲが見あたらなかった。この川が気に入っているみたいである。クラちゃん。

 

回転が速い

僕が川を見ていると通りかかった人が興味を持って川を覗く。その人がクラゲを見ているとまた別の人が覗き込む。興味の連鎖が起きていた。

それでも人だかりにならないのは、クラゲを見た人がわりとすぐに立ち去ってしまうからだと思う。客の回転が速いのだ。

これだけ注目度の低い大量発生も珍しい。新鮮な体験であった。

中華街で見たクラゲ。隣の川で採ってきたものではないと思う

 

 

 
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