特集 2014年7月31日

鶏むね肉のやわらか調理法、インターネットの総意2014

鶏むね肉をみんなどう柔らかくしているのか、インターネットの英知を結集した
鶏むね肉をみんなどう柔らかくしているのか、インターネットの英知を結集した
豚肉、牛肉さらに鶏肉のなかでもエースといわれる部位であるもも肉を差し置きインターネットで情報がはげしくやりとりされる肉……。

鶏むね肉のことである。

上手に調理するにはテクニックが必用ということで日夜インターネットを騒がせるこの鶏むね肉。先日柔らかく調理するコツを募集したところ、たくさんの投稿が集まった。インターネットは今鶏むね肉をどう食べているのか。

その総意が明らかとなった。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:インターネットに愛された肉「鶏むね肉」を徹底的にやわらかくする方法募集中

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

投稿コーナーの1企画でした

本企画、もともとは毎週日曜日に公開されている投稿企画「日曜たのしさ一万尺」の1コーナーとして募集された単なるいち投稿企画であった。
「インターネットに愛された肉」とはよく言ったもので(言ったのは私だが)、瞬く間にこの記事も共有されそして多くの鶏むね肉情報が寄せられたのだ。

そこで寄せられたテクニックを実際にじっくり検証してみようということになり、本記事は「日曜たのしさ一万尺」(今はまったくどうでもいいことですが、通称を“たのしんじゃく”という)から独立した記事としてお送りすることになったのだった。

皆のむね肉への愛が企画を独り立ちさせたのだ。
投稿はメールで届くのだが、次々と着信しふるえました!
投稿はメールで届くのだが、次々と着信しふるえました!

鶏むね肉の一挙手一投足に工夫がある

投稿はフリーフォーマットだったため投稿内容もさまざま。下処理テクニックについてだったり、下味についてだったり、調理法方についてじっくり解説してくれるものもあった。

とおして投稿を読んでいると、冷蔵庫から取り出すところから食卓にあがるまで、鶏むね肉を取り扱う一挙手一投足すべて、すきあらば柔らかくしてやろうと誰かしらが何らかの工夫をしているのがわかる。

迷ったすえ、工程ごとに分割してみなさんがどのように鶏むね肉をやわらかくしているのかを集計することにした。

料理は一連の流れが重要なので工程ごとに分割してしまったら意味がないという声もあろうとは思うが、10年以上「半わらい」をお届けすることを旨としてがんばっているサイトなのでどうかこの際意味の有無は置いて面白がっていただければ幸いです。

なお、フォーム登録で正規によせられた投稿のほか、募集記事がTwitterやFacebookで拡散するにあたってついたコメント等もできるだけすくいあげて集計した(コメントとして掲載しているのはフォーム投稿のもののみ)。

では、まずはみんながどうやって鶏むね肉を柔らかくすべく「下処理」しているか、からみていこう。オープンザ、チキン!

伝統の「削ぎ」、カウンターとしての「刺し」

複数回答をばらして集計。「その他」は皮を取る、脂肪を取る、室温に戻す、湯洗いする(熱湯にくぐらせ水で洗う)、薄く切るなど
複数回答をばらして集計。「その他」は皮を取る、脂肪を取る、室温に戻す、湯洗いする(熱湯にくぐらせ水で洗う)、薄く切るなど
多かったのは、やはり昭和から伝わる伝統の技「筋切り」と「そぎ切り」。ついで飛び込んできたのが「フォークでめった刺しにする」であった。
フォークでひたすらグサグサグサグサ。剣山で刺すくらいに。 表も裏も。これでカツ作ると最高です。 カマボコかっていう食感っす。
りゅうま
加熱前にフォークでめった刺しにする。
佐藤マメシバ
フォークと生肉の関係については、かつては「とり皮が縮まないように穴をあける」というテクニックよりが主だったのではないか。それが今や「やわらかくする」ために使うことが多くなった。鶏むね肉2.0である。

投稿によるとこのフォークテクニックは「ためしてガッテン」で放送されたテクだそうだ。家事テクニックおよび体の不調に切り込もうとするとすぐに現れる「ガッテン」情報であるが、やはり今回も。

なお「水洗い」については調べたところ賛否両論あるようだった(現在は水洗いをしない方が優勢?)。

つづいては下味。やわらかテクニックとして、多くの方がなんらかの調味料などをまぶして寝かせる方法を投稿してくれたのだ。

ここがまた拮抗状態であった。

中堅、塩こうじと大御所、塩こしょう

ほとんどの方が何かしらの方法を一択としていたため円グラフとした
ほとんどの方が何かしらの方法を一択としていたため円グラフとした
ここでは大ブームが落ち着きすでに台所のレギュラーメンバーの座を勝ち取ったともいえる塩こうじの勢力が強い。

塩こうじを推す方は一様に「いまさらですが…」と恐縮していたのが印象的だった。この人気だと「いまさらですが…」を乗り越えて「当然ですが…」への成長する日も近そうである!
ブームは過ぎましたが、塩麹でしょう! 漬けこむだけでジューシーに、 パサパサ知らずです。
ともうどん
ベタだけど、塩麹を塗ってしばらくおくと物凄く柔らかくなります。あとは、繊維を断ち切るようにそぎ切りにして、片栗粉をまぶして調理しても柔らかくなります。
たむじゅん
意外だったのは塩こしょうの健闘だ。

個人的には鶏むね肉にもみこむものといえば酒、そこから塩こうじなど発展を遂げているというイメージだったが塩こしょうといったエバーグリーンがテクニック重視の世界である鶏むね肉界においても有効であるとは。
我が家では塩コショウをしたむね肉をジップロックで密封し、沸騰したお湯に入れてお湯が冷めるまで放置です。 しっとりジューシーなむね肉ができます。
まいこ
マリネ液をプッシュした方々はみなさん全員海外在住だったり海外在住経験があるらしき方。一様に「海外ではむね肉の方が高級であり、マリネ液に浸して調理する」との情報を送ってくださった。
カナダの田舎町で飲食店やっています。鳥の胸肉は大人気です。スーパーでも高級な肉です。タイ風にマリネ(イエローカレーペースト、ココナツミルク、ライムジュースと皮のすりおろし、フィッシュソース、ブラウンシュガー、パクチーをブレンダーした液に一晩漬け込む)をフライパンでグリルしています。ジューシーで柔らかく焼けます!
momochi
さらに注目したいのは「その他」。

サラダ油、塩と砂糖と油、醤油、酢と塩こしょう、すりおろし玉ねぎ、舞茸と水、水、ミョウバン、卵白、ビールなどが寄せられ人々の鶏むね肉への工夫のとどまらなさをここでまた思い知らされた。

この工夫の多様ぶり、あと5年もしたら台所を飛び出すんじゃないか。砂鉄とかがいい、みたいなことになっている、そんな未来も鶏むね肉なら夢じゃない。
たしかに舞茸と水は魚肉ソーセージを崩壊させるくらいの力があることはこちらの記事</a>で調査済みである!写真提供:きのこのじかん
たしかに舞茸と水は魚肉ソーセージを崩壊させるくらいの力があることはこちらの記事で調査済みである!写真提供:きのこのじかん

腐る直前を狙う?

続いて意見が分かれたのは、下味に漬けたりもみこんだりしたたあとどの程度の時間を置くか。

各漬け材料ごとに適した漬け時間があるだろうことを考えるとその要素をはぶいてグラフにするのは不適切かもしれないが、それにしてもさまざまだったのでエイヤとグラフにしてみた。
「しばらく」というのはだいたい30分~1時間くらいを言うらしい
「しばらく」というのはだいたい30分~1時間くらいを言うらしい
はっきり漬け時間を明記した投稿が限られていたため全26回答のデータではあるのだが、意見の割れっぷりが目に見えておもしろい。

もちろんここでの注目は「1週間以上」の8%である。
塩麹に漬けます。 一晩といわず、一週間、いや、十日漬けたくらいが私好みの柔らかさです。
柔らかくなるのみならず、タンパク質が十分に分解され、旨味成分が増していることを感じられます。
二週間以上経った場合は、臭いを嗅いでから食べるか決めますが、ちょっとヤバいかも、というくらいでも、よく焼けば美味しく食べられます。
ただ、胃腸が丈夫でない方もいることを考えると、やはり十日までがおすすめです(私はやや丈夫な方です)。(後略)
中村ポンド
(前略)塩麹ブームの頃に漬け込んだ肉を試してみたところ、そりゃあもう、びっくりするほど柔らかくなりました。 雑菌の繁殖とのデッドラインがどれほどかはわかりませんが、塩麹に漬ければ漬けるほどお肉はやわらかくなります。(うっかり1週間以上漬けて放置してたものは、持っただけで指が食い込むほど、酵素がたんぱく質を分解してました)

少し麹の匂いが出ますが、これでカオマンガイを作ると、お店出せるんじゃないかってくらい美味しいです。
たぐじゅん
どちらも塩麹に漬ける前提の話だった。塩麹は防腐効果があるらしいのでこんな長い漬け込みにも耐えるのかもしれない。「やや丈夫なほうです」という前提でのテクニックなのがすばらしい。

とはいえ、完全に自己責任大学に入学してから試していただく格好になりますこと(特にいまは夏ですのでどうかお気をつけて…)どうかご了承ください。私も秋になったらやってみます!
我が家は自作がめんどうでつい市販品を買ってしまう。あと自己責任大学ってなんだろう
塩こうじ、我が家は自作が苦手でつい市販品を買ってしまう。あと自己責任大学ってなんだろう

お湯つけるか、片栗粉まぶって焼くか

今回いただいた投稿は内容がどれも本当に生き生きとしており、鶏むね肉のことだったら任せときなといった頼もしさに満ちあふれていた。

その頼もしさが最も際立ったのが、調理方法のくだりだったように思う。

まずはグラフからいってみよう。
焼きと保温調理に分かれた!
焼きと保温調理に分かれた!
やはり多かったのは、低温で保温しつつじわじわ火を通していく、お湯につける方法。今回は「柔らかくする方法募集」としたため、焼きよりも茹でに票が集まったようだ。
これはかなり有名な手段ですが、鶏胸肉をジップロックに入れて、80℃くらいの沸騰寸前のお湯に袋ごと漬けることしばし。だいたい10~15分くらい低温でゆで上げることで、鶏のエキスを失わないで美味しく頂くことが出来ます。簡単でウマい。
manycrops
焼く場合は片栗粉をまぶす方法が圧倒的に支持された。

「その他」にもお湯につける、焼く意外のさまざまな調理法が。家庭ごとの鶏むね肉の知恵の暴走ぶりが止まらない。
むね肉をそぎ切りにして片栗粉をまぶしてゆでる。 ぷりぷりです。
しゅんり
低温の油で煮る!です。塩胡椒して一晩寝かせたものを、かぶるくらいの油に入れて80℃のオーブンにつっこみ、大きさによって15-30分煮ます。我が家のオーブンには80℃設定がないので(実家にはあった)、100℃にして時々パカパカ開けて80℃ぽくしてますが、なんとかなります。
じゃこ
2重ドーナツのグラフを作るのは人生5回目くらいなのだが、明らかに最高に興奮した。

「やっぱり低温調理か! いや、しかし思った以上に焼きもやわらかく調理できるのだな…」とにやにや無いひげをなぜていた。
興奮にまかせここでドーナツの写真をどうぞ
興奮にまかせここでドーナツの写真をどうぞ

袋派VS裸派

さて、そんな調理法で私がとくに気になったのは、お湯に低温で火を通す際に袋に入れる派とそのまま派で分かれた部分だろうか。

基本的にこの低温調理は鶏肉のたんぱく質が高温によって収縮してしまわないような温度かつ、食中毒を防げる程度には高い温度で調理することが必要だ。

だいたい80℃前後のお湯に30分~そのお湯がさめるまで(肉の大きさによって変更する)つけておく、というのが投稿でも多数を占めていた。

このなかで「袋派」と「裸派」に分かれたのだ。

袋派はジップロック的な高温に耐える(ジップロックは120℃まで耐えるが、煮沸調理には使用NGなのでグラグラ沸いているところには入れられない)保存バッグに入れるというもの。対する裸派は、そのまま肉をお湯に入れるものだ。

袋派は低温調理でありつつ疑似的に真空調理をしていることになるという投稿もあった。
もう投稿が多数あると思いますが、ジップロック(商品名)に入れて、疑似真空調理をすると良いです。
1.ジップロックに胸肉(と調味料)を入れる
2.水に沈めて空気を抜く
3.沸騰したお湯に突っ込んで放置
これだけで柔らかい胸肉です
Jack
胸肉を鍋にいれ、かぶるくらいの水、塩(少しきつめ)、酒(ドボっ、くらい)、ローリエ1枚を加えて火にかける。沸騰したら弱火にして1分。火を止め、そのまま煮汁ごとさまします。完全に冷めたら食べられます。 (後略)
katy del mundo
ちなみに私はジップロックのファンなのだが、袋派のみなさんが袋のことを多くの投稿で「ジップロックのようなもの」と呼んでいて心は一つという思いを新たにした。
こんにちはー、鶏ムネ肉ですか私はジップロックで柔らか調理をしますよ!やり方:ムネ肉を軽く洗って塩胡椒(適当)してジップロックにイン。お湯を沸かし沸騰したら火を消す(75~85度が理想)。お湯の中へジップロックを投入し蓋をして1時間ほどで完成です。注意点はジップロックが鍋肌に当たると溶けて体に悪そうな感じになるので大きめの鍋かジップロックのサイズを調整すること。です。お試しあれ!
ma303am
上は1投稿に5回も「ジップロック」文言が出てきている投稿。ジップロックで韻を踏んだラップの曲にしてもいいですか。

気になる下味とジップロック調理をやってみます

以上が2014年夏のインターネットにおける鶏むね肉界の情勢であった。

まとめ終え、今年もフジロック終わったな…くらいの達成感と満足感である。グリーンステージは茹で鶏、ホワイトステージは焼き鳥と大堪能である。

きっと料理の上手であろう方々にいろいろな情報をいただけたのは本当にうれしいことだった。手の内をすべてさらしてくださるような長文の投稿も多かった。ありがとうございます。

と、うっかり終わりそうになるが、まだだ。

後半はいただいた情報を元に実際に調理をしてみようと思う。私は料理が上手ではないので、投稿内容をきちんとに再現できず鶏むね肉かたいまま! という惨事を引き起こさないかどうか心配すぎてここ3日間ほど夜寝られなかった(だから昼寝た)。

そんな昼寝の成果をどうかごらんください。漬け材も結局9種類で作ってみました。俺たちのフジロックはまだ終わってりゃせんですぞ!
いったん広告です

下準備は「ぜんぶやる」

さて、まずは下準備からだ。今回は投稿で回答の多かった以下を行うことにした。

・筋切り
・繊維に垂直に切れ目を入れる
・フォークで裏表かなり刺す
・めんぼうでたたく
・湯洗い
ちょうど安売りのない日で、ブロックに切り分けられているものがぎりぎり安かった
ちょうど安売りのない日で、ブロックに切り分けられているものがぎりぎり安かった(それでも本気の安いときにはずいぶん劣る)
最後の「湯洗い」というのはネットで調べてもあまり情報が上がってこなかったのだが、大変に料理に精通しているであろう方から寄せられた情報だったのでぜひ試してみたかった方法。

魚も霜降り(熱湯で洗う)はよくやる。ここで臭みを取るということだろうか。
【下ごしらえ】
・鶏むね肉は可能なら冷蔵庫から出して30分くらい置いておき、室温に戻します。
・皮をはぎ、お肉に残った脂肪もむしり取ります。皮はビニル袋などに入れて冷凍保存し、たまってから別の料理に使うのがおすすめです。
・熱湯を沸かし、お肉を5秒ほどくぐらしてザルにあけ、流水で表面を洗い流します(湯洗いといいます)。(後略)
はるまき
筋を切って、切れ目を入れたらフォークで刺して麺棒でたたく
筋を切って、切れ目を入れたらフォークで刺して麺棒でたたく
熱湯にさっとくぐらせる
熱湯にさっとくぐらせる
ここまでですでにかなりホロッとした感じになった。が、鶏むね肉というのは火を入れるとぐんとかたくなってしまうものなのだ。油断はできない。

続いては漬け。漬け材料は多数の投稿から全部は試せなかったので以下を選択した。「もしこれでやわらかくなったら今後もやりたいな」という面々である。
卵白、塩コショウ、塩こうじ、重曹、水、油、何にも漬けないもの (このあと追加で塩砂糖水、醤油も試した)
卵白、塩コショウ、塩こうじ、重曹、水、油、何にも漬けないもの (このあと追加で塩砂糖水、醤油も試した)

まずは7種類の漬け

塩こうじと塩こしょうは前ページでご紹介のとおり。その他のメンバーは以下だ。参考にした投稿の代表とともにご紹介していこう。漬け材、入場。

卵白
1)鶏胸肉を一口大に切り、フォークで穴を空けます。
2)袋に鶏むね肉と卵白を入れ、1分間卵白と合わせて揉みます。(卵白がメレンゲになりかけたような、粗い泡の状態になります。)
3)その後10分間置いておき、料理に使います。

以前、テレビ番組で得た情報です。
卵白の中に漬け込むことで、お肉が卵白を吸って肉の水分を逃がさなくなるそうです。
ぺすこ
重曹
私は重曹を使います。
鶏胸肉を洗う→ビニール袋に鶏胸肉1キロに対しだいたい大さじ1から2の重曹、少量の水(重曹が全体にまわる程度)、塩小さじ1程度を入れる→シェイク→そのまま冷蔵庫に入れて1日から2日おく→肉を取り出し、よく水で洗って料理に使う。以上です。重曹は適当で大丈夫です。塩は味付けではなく、浸透のためなので少なめに。これで胸とは思えないほど柔らかく、そしてなぜかパサつかなくなります。お試し下さい。
NTK
油と塩と砂糖
塩、ごく少量の砂糖となんでもいいから油(オリーブ油、サラダ油等)を揉みこむ。
雫型湿度計
(前略)最近むね肉で唐揚げや鳥天ぷらを作るのですが、事前に水(調味液だと逆に水が抜けちゃうの注意)につけておくとしっとりジューシーに仕上がりますよ。
pikaring
「水」というシンプルさ、ストレートさにはラスボス出たなという思いである。

いろいろ旨いもんたべてきたけどね、やっぱり白いご飯に勝るもんはないよ、的な原点回帰感。鶏むね肉になにを揉みこむかという行動にもゆきてかえりし物語があるのか。
ここから袋を水に入れてさらに念入りにジップロック内部の空気を抜いた
ここから袋を水に入れてさらに念入りにジップロック内部の空気を抜いた

寝かしは24時間

さて、寝かせる時間にも多様な意見があった。それぞれの素材にみあった寝かせ時間もあるのかとは思ったが、今回は一律24時間でいく。

あたしゃせっかちなんでそれ以上は待てないよ! と心の浅香光代先生が吠えたので仕方ない。
はい、24時間たちました! この段階で水肉は水を切り、重曹肉はよく洗い、塩こうじ肉は塩こうじを軽くだけ払った
はい、24時間たちました! この段階で水肉は水を切り、重曹肉はよく洗い、塩こうじ肉は塩こうじを軽くだけ払った

85℃から放置で30分

ここから肝ともいえる工程である低温調理へ入る。今回はカットしてある肉なので1枚の肉よりも保温時間は短めにしておいた方がいいはずだ。
厚手の鍋に湯を沸かし、沸騰前を確認、火を消す
厚手の鍋に湯を沸かし、沸騰前を確認、火を消す
いっきに全部突っ込む。ここでお湯の温度は80℃。(本当は袋が鍋肌に当たってはいけないのですがどうか薄目でごらんください)
いっきに全部突っ込む。ここでお湯の温度は80℃。(本当は袋が鍋肌に当たってはいけないのですがどうか薄目でごらんください)
ふたを閉めて放置、30分
ふたを閉めて放置、30分

全部ちゃんとやわらかいやんけ!

様子をみつつ結局30分保温。普段だったら横になってテレビでも見てやりすごすが、今日は間違いがあってはいけないので温度を測ったり(30分で70℃まで下がった)そわそわ過ごしていた。

取り出してみると、かなりしっかり火が通っているように見える。しまった、時間がながかったか。
表面が固そうにみえるが、これは湯洗いをしたからのようだ
表面が固そうにみえるが、これは湯洗いをしたからのようだ
こちら断面。写真ではちょっと伝わらないか…かなりじゅわっ、もしくはしっとりしている!
こちら断面。写真ではちょっと伝わらないか…かなりじゅわっ、もしくはしっとりしている!
いや、これが見た目よりもどれもかなりやわらかくなっていたのだ! この検証、答えとしては「どれもちゃんとやわらかくなりました」でいいと思う。
塩こうじ、この見た目のしっとりさはやっぱりすごい
塩こうじ、この見た目のしっとりさはやっぱりすごい
こちらは塩コショウ。塩こうじよりはしっとりは弱い? いや、そんなことはなかった!
こちらは塩コショウ。塩こうじよりはしっとりは弱い? いや、そんなことはなかった!
調理直後に食べた結果は後程まとめるとして、このあと冷蔵庫で冷やしてもみた。

冷やしたら抜きんでた塩コショウ

冷やして頭角を現したのは塩コショウ肉。
冷やしてみたら、急にしっとりしはじめた!
冷やしてみたら、急にしっとりしはじめた!
そうか、塩コショウで密封低温調理をすると、これまたネットで度々話題になるレシピである「鶏ハム」っぽいことになるのか、といまさら気づいた。

あつあつと、冷やしてで漬ける材料ごとに差もあった。表にしてみよう。
鶏やわらか表
まとめると「しっとりやわらかの塩こうじ、冷ますとハムになる塩こしょう、ぷりぷりの重曹、やわらかの卵白、油、しっとりの水」という感じか
このあと滑り込みで砂糖、塩、水に漬ける方法で片栗粉まぶし焼きも。やわらかい!
このあとすべり込みで砂糖、塩、水に漬ける方法で片栗粉まぶし焼きもためした。しっとり、やわらか、ぷりぷりでいうと「やわらか」タイプ
こちらは醤油につけての片栗粉まぶし焼き。やわらかいというよりジューシー
こちらは醤油につけての片栗粉まぶし焼き。これまでになくジューシーに感じた。茹でではなく焼きだったからだろうか

鶏むね肉のやわらか調理法、インターネットの総意2014

漬ける材料ごとに結果に若干の違いはあったが、どれもきちんとやわわらかくなったことに間違いはない。

基本的には

事前にフォークで刺す、筋を切ってなんらかの下味(水でも可)につけて寝かせる。お湯につける場合はお湯を80℃前後に、焼く場合は片栗粉をまぶす。

いろいろな工夫はあれ、これを守れば現状のインターネットに流布されている鶏むね肉のやわらかレシピのやわらかレベルにはある程度達せられるのではないか。

それにしてもその工夫のバリエーションの多さよ。私にはここからさらなる鶏むね肉の新展開があるとしか思えない。

いよいよ砂鉄が…来るのか?!
ちなみに…↓の投稿でいただいたレンチンで蒸した汁に漬けて冷やす方法も手軽でおいしかった。割く場合はレンチンしちゃってます、という投稿もたくさんきていました。
ちなみに…↓の投稿でいただいたレンチンで蒸した汁に漬けて冷やす方法も手軽でおいしかった。割く場合はレンチンしちゃってます、という投稿もたくさんきていました。
塩麹をまぶして時間をおくと、加熱してもやわらかくジューシーに仕上がるのでよく塩麹は使います。胸肉に酒などふりかけてレンチン→取り出して割き、蒸した汁に漬けてそのまま冷やす方法も、バンバンジー的なものを作るときだけ活用。やわらかいです。
ポリネシアン大東亜

さらなる未来すら感じられてきた

と、本原稿は概ね7/25朝時点までの投稿をまとめつつできる限り随時投稿情報を追加して書いた。

実はその後も投稿は集まっており、漬ける調味料として少数派だった「玉ねぎのすりおろしに漬ける」派が謎の躍進、さらに飲み残しビール派の台頭など新しい動きも見せ始め焦った。

本記事はタイトルを「むね肉のやわらか調理法、インターネットの総意2014」とした。この先2015年、2016年と年を重ねさらにインターネットの鶏むね肉情報の発展を願ってのことである。なんか突飛な調理法が台頭してこないかな。
冷やした状態の集合写真がやけにまずそうに撮れてしまって落ち込んだ(全部おいしかったです)
冷やした状態の集合写真がやけにまずそうに撮れてしまって落ち込んだ(全部おいしかったです)
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