コラボ企画 2014年7月14日

知らない人の飲み会に混じる

知らない人の飲み会に混じります!
知らない人の飲み会に混じります!
夏はビールが美味しい季節だ。必然的に飲み会も増える。ビアガーデンなどで仲間たちと「乾杯!」とジョッキを掲げる時は、生きていてよかったと実感する。夏の飲み会「サマ会」とはそのようなものなのだ。

しかし、仲間がいない人はどうすればいいのだろうか。一人寂しくビールで乾杯。それは寂しい。夏なのに気持ち的には冬だ。そこで知らない人のサマ会に混じってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

前の記事:4日かけて撮影したムササビが案外可愛くない

> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

一人の飲み会は楽しくない

居酒屋などに行くと、会社の人たちや、学生たちがワイワイと楽しく飲んでいるのを目にする。会社員なら仕事の話、学生なら恋愛の話でもするのだろうか。とても楽しい時間だ。
飲み会は楽しい!
飲み会は楽しい!
しかし待ってほしい。その飲み会の輪に入れない人も世の中にはいるのだ。

たとえば、大学の同窓会が開催されたことを、Facebookにアップされた楽しそうな写真で知る人などがそうだ。

つまり私だ。一人寂しく飲むことがほとんどなのだ。あとでFacebookを見て一人驚愕するのだ。
だいたい一人
だいたい一人

だったら誰かのサマ会に混じればいいのだ。もちろん本当に混じれるのか、という強い疑問はある。

しかし、この記事はホットペッパーグルメとのコラボ企画なので「人のサマ会に混じれなかったら帰ってくるな」と言われている。むちゃくちゃである。その横暴なプレッシャーに潰されそうだ。

早くも一人で飲みたい、となっている。だって一人ならそのプレッシャーがないもの。

でも、権力にひれ伏すタイプなので、新宿駅東口にきました!
でも、権力にひれ伏すタイプなので、新宿駅東口にきました!

作戦その1:素朴に混じる

夏の飲み会「サマ会」に混じるべく、新宿駅東口にやって来た。多くの人が飲み会に行く際に待ち合わせに使う場所である。ここに集まった人たちに声をかければテンションも上がっているはずなので混ぜてくれると思うのだ。
素朴な格好です
素朴な格好です
知らない人たちの飲み会に混じるのに着飾ってはダメだ。逆に危ない人だと思われてしまう。作戦は「素朴」である。短パンにタンクトップの私を見て、何かの勧誘かな、と誰が思うだろうか。だって素朴なのだ。夏になると蝉を捕まえる。
「混ぜて」と声をかける
「混ぜて」と声をかける
撃沈!
撃沈!
私よりも年下と思われる男性数人のグループに声をかけた。全員が打ち合わせをしたかのように、「はっ?」と言った。

小さな「っ」は発音しないので、実質「は」の一文字しか彼らは発していない。

なのに怖い。小学校で習った五十音の「は」はこんなに怖くなかった。飲み会前の大人は怖い。
早くも着替える
早くも着替える

作戦その2:自然に混ざる

素朴な人に「はっ?」。たった一回のトライで分かる素朴作戦の失敗だった。あんなに素朴なのに、混じれる気配はゼロだった。敵意すら感じる。そこで素朴をあきらめ、キチンとした人になることにした。
シャツにジャケット
シャツにジャケット
素朴の逆を行く格好。この格好なら混ぜてもらえるかもしれない。さらに大人数の待ち合わせもあるので、そこにしれっと混じれば「こんなやついたっけ?」と疑問を感じながらも、混ぜてくれるかもしれない。
「ごめん、少し遅れた」
「ごめん、少し遅れた」
撃沈
撃沈
仲間ですよ、をアピールする言葉を選び混じろうとしたが、驚くことに返って来たのは「はぁ?」だった。

この国の若者は「は」しか返す言葉を知らないのだろうか。逆の立場だったら「は」と言うけれど。勉強せずに受けたセンター試験以上に行ける気がしなかった。
外国の方にも
外国の方にも
日本をあきらめ待ち合わせをする外国の方に声をかけてみた。「遅くなりました~」と当たり前のように声をかける。

世界は一つになれると確信した瞬間だった。彼らの反応は「はっ?」だった。日本人よりは小さな声の「は」だったけれど、私への衝撃は変わらない。もう一人で飲みたい。お酒ですべてを忘れたい。
待ち合わせでは混じれませんでした!(一刻も早くここを去りたい)
待ち合わせでは混じれませんでした!(一刻も早くここを去りたい)
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作戦その3:オープンな飲み会に混ざる

家に帰るまでが遠足のように、集まるところからが飲み会と思っていたが、その考えはやめた。飲み会の場で混ざろうと思う。楽しく「サマ会」をしているグループに混ざるのである。相手にお酒が入っていれば行けるかもしれない。
混じりやすいお店がある
混じりやすいお店がある
お店によって混じりやすいか否かがある。やはり個室のお店で混ざるのは難しい。上記の写真のように細かく区切られているのもダメだ。区切りの壁は、飲んでいる人の心の壁と比例する。区切りの壁が低いほど混じれるのだ。
このようなオープンなのが最適!
このようなオープンなのが最適!
つまりビアガーデンのような場所が混じるには最適だ。壁がないのだ。

季節も関わりがあり、夏がよいだろう。夏は人をオープンにする。知らない人の1人や2人、混じっても大丈夫となるのだ。

どうだろう、混じれていない私のこの混じれたかのような力説は。
ということで、オープンなビアガーデンにきました!(新宿駅東口の失敗を引きずり顔がこわばっている)
ということで、オープンなビアガーデンにきました!(新宿駅東口の失敗を引きずり顔がこわばっている)

ビールが進む

ジャケットを着て、壁のないビアガーデンにやって来た。周りからは笑い声が聞こえる。あちこちでサマ会が行われ盛り上がっているのだ。もちろん盛り上がっていないサマ会もある。私たちだ。
盛り上がらないサマ会!
盛り上がらないサマ会!
この撮影は編集部の安藤さんと行っている。先の新宿駅東口も安藤さんがへこむ私を撮影していた。上手く行っている取材というのは盛り上がるのだけれど、そうでない取材は船の碇よりも沈む。まさに今回が記録的な盛り上がりのなさだ。
周りを見て回る
周りを見て回る
動物は一度体験して、それを危ないと感じるとやらなくなる。私もそうで、新宿駅東口の経験から知らない人に混ざってはいけない、と学んでいる。人が怖い、飲み会が怖い。結果、ビールが進む。人は酒を飲み、嫌なことを忘れ生きて行く生き物なのだ。
目をカッと見開いている
目をカッと見開いている

作戦その4:乾杯の時に混ざる

飲み会での盛り上がりポイントはどこだろうと考える。乾杯である。かつて暗い乾杯があっただろうか。少なからずビアガーデンにはない。厳密にはさっき、私と安藤さんでお手本のような暗い乾杯はあったけれど、他の人は明るいはずだ。
乾杯をする人たちを探す
乾杯をする人たちを探す
多くの人がビアガーデンに訪れていた。乾杯は数えられないほど行われている。その乾杯から人数が多いものを狙う。もはや一人増えても問題ないような感じがするからだ。10000円と11000円なら後者だけれど、10億円と10億1000円ならもはやどちらでもいい、という理論から来る自信だ。
来る!
来る!
行った!
行った!
生まれて初めて会う人たちの乾杯に混じった。誰よりも大きな声で「乾杯」と言った。すると名物の「はっ?」が出なかった。一緒に乾杯をしてくれた。世界は平和だ。

若干相手の顔に「はっ?」という表情が浮かんでいるが、声を出しそうになったら、大きな声で「乾杯」と言えばいいのだ。
すぐに戻って来た(ただし満足した顔!)
すぐに戻って来た(ただし満足した顔!)
そのまま座ってみようと思ったのだけれど、新宿駅東口のトラウマがフラッシュバッグして、できなかった。それに知らない人との乾杯で十分に満足なのだ。個人的にはかなり高いハードルを越えたと思う。
ドキドキが止まらない
ドキドキが止まらない
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計画は完璧だった

じつは知らない人の飲み会に混じるのは決してラクなことではないと考えていた。知らない人と話すだけでも難しいと思うのに、ましてやお酒の席に混じるのはハードルが高すぎる。

事前に練習するため、数日前に動物園を訪れていたほどだ。

動物園に来ました!
動物園に来ました!
人も結局は動物である。初対面の動物に混じり、知らない人の飲み会に混じるコツや成功体験を作るのだ。当たり前だけれど、動物園にいる動物は知らない動物。話も通じない。そう考えるとハードルは高い。
混じれた!
混じれた!

簡単に混じれるではないか。

私がいるのが当たり前のようになっている。さらに私が立っていると向こうからよってくることもあった。行ける気がする。どうやら私は人気者らしい。初対面なのにグイグイ来るのだ。

鋭い目の鳥も、
鋭い目の鳥も、
静かに近づき、
静かに近づき、
仲良くツーショット!
仲良くツーショット!
怖いところには混じりたくない。しかし、それは食わず嫌いかもしれない。鋭い目をしていても実は私を求めているかもしれないのだ。その証拠に怖い感じのニワトリは行けた。ということは、人間だって行けるのだ。素晴らしい成功体験だった。私のコミュニケーション能力は高いのだ。
この自信が新宿駅東口ですぐに壊れる
この自信が新宿駅東口ですぐに壊れる

作戦その5:目立って混じる

人間社会に戻ろう。

たとえば向こうから声をかけてくれるパターンもあるのではないか。鯉のいる池の近くでエサを持って立っていると鯉が寄ってくるだろう。これを使えないだろうか。注目を集めることをやっていると、「一緒に飲みませんか?」と来るかもしれない。

そこでジャグリングです
そこでジャグリングです
私ができる唯一の注目を引きそうなものが「ジャグリング」である。ボールを三つ投げるやつだ。日本語で言えば「お手玉」。動物園に行くために上野公園を訪れた際に、大道芸人さんがジャグリングをしていて、多くのギャラリーを集めていた。ジャングリングはいけるのだ。
さぁみんな集まれ!
さぁみんな集まれ!
全然だった。誰もコチラを見ない。驚くほど誰も見ない。三つのボールが宙を華麗に舞っているのに、私に声をかけようとする人は待っていない。誰も気がついていないかのようだ。落ちている軍手の方がまだ誰かに見られている気がする。
心が折れた瞬間
心が折れた瞬間

作戦その6:素直に混ぜて、とお願いする

こうなったら酔ってしまっている人に素直に事情を話して混ぜてもらうことにした。「飲み会に混ぜてもらいたいんですけどいいですか?」と言い、さっと名刺が出す。キチンとした会社名が書かれた名刺。怪しくないですよ、というアピールだ。
この方法がヒット!
この方法がヒット!
変に素朴な格好をしたり、「遅れてごめん」と言いながら輪に入ったりせずに、「混ぜてください」と誠心誠意伝えることが、知らない人の飲み会に混ぜてもらうポイントだったのだ。私の数時間はなんだったのだろう。でもよかった!急に飲み会が楽しい。
盛り上がりました
盛り上がりました
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作戦その7:年下を狙え

もちろん「混ぜてください」と伝えても、「嫌です」という回答をいただくこともある。もっと苦みを抑えるオブラートのように包んだ言い方をしてくれる人が多いけれど、断られるという事実は変わりない。しかし、そこでめげないことが大切だ。なにしろ混ざらないと帰れないのだ。
混ぜてもらえた
混ぜてもらえた
先ほど乾杯した人はそろそろ帰る人たちだったので、新たなるターゲットを求め、「混ぜてください」とお願いしていたら気持よく混ぜてくれたグループがあった。最初は大人数のグループがいいかと思ったけれど、そうでもないのかもしれない。ポイントは年下だ。
この4人は大学4年生
この4人は大学4年生
もともと私たちの斜め前に座り、女性一人、男性三人というグループで、誰と誰が付き合っているのか、と思っていたグループだ。

全員が大学四年生で全員が就職が決まり、今日は飲んでいたそうだ。しかも、全員就職先が大手。無職の私としては羨ましい。これまで配っていた名刺は安藤さんの名刺である。
馴染んでる!
馴染んでる!
先のグループも年下だった。年上、あるいは同じくらいの人に声をかけたら、全て断られている。知らない人のグループに混じるには「年下であること」「混ぜてください、と素直に言うこと」の2つだけがポイントなのかもしれない。難しいことは考えなくていい。
ただ年下と飲むと一部おごることになる
ただ年下と飲むと一部おごることになる

若者パワーを感じろ!

私と安藤さんは共に奥手なので、女性のグループには声をかけないようにしていた。混ぜてもらえるポイントが分かった今も、絶対に声をかけようとは思わない。
でも、若者はバンバン声かけるの!
でも、若者はバンバン声かけるの!
世界が動く瞬間を見た気がする。このような行動力のある若者によって日本は回っていくのだろう。

その後も趣旨を理解した先の大学生グループは爽やかに知らない女性グループに声をかけ、一緒に飲み始める。そこに桃色の風は吹かない。

写真は鼻の下が伸びた私が写っているから、若干の桃色の風を感じるけれど、現場は草原に吹く風のように爽やかなのだ。
現場は爽やか!
現場は爽やか!

人の輪が広がって行くのを実感した瞬間である。

この日もこの取材がなければ私は家で一人ご飯を食べて寝ていただろう。知らない人の飲み会に混じることで知らない人と出会えたのだ。学生さんに、さっきおごった分はしっかり領収書を切っていたぞ、という話しを安藤さんに告げ口されたこと以外は、素晴らしい飲み会だった。

楽しかった!
楽しかった!

ポイントは2つだけ

そもそもこの企画は編集部安藤さんから「知らない人の飲み会に混じってください」と言われてやったものだった。最初は「僕のアドレス帳見せましょうか?」と言いたくなるような企画だったが、結果やってよかった。アドレス帳も増えた。

ポイントは年下であることと、正直に混ぜてください、ということだけ。小学校入学以来の友達100人できるかな、の心意気が戻って来た気がしました。

サマ会は素晴らしい!
サマ会は素晴らしい!
でも一人で乗り込むよりも最初からみんなで予約した方がたぶん楽です。夏ですよみなさん!「サマ会」しませんか(その時は遠慮無く声かけてください)!

サマ会は素晴らしい!
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