商店街の中に突然お城
先日は、自分の店の壁に好き放題ペインティングしてカオス状態に突入してしまった
「オレの城」系のお店を紹介しましたが、今回は自宅の屋上にホントに城を建ててしまった、ホントの意味での「オレの城」が大阪にあると聞いてやって来ました。
自分でちょっとしたリフォームをしてしまうDIYな人はよくいますが、自宅の屋上に「城」っちゅうのは、DIY界の王様ですよ!
わりと閑散とした商店街を探索していると……
あっ……
ああーっ、城ッ!
色々なお店がゴチャゴチャと建ち並ぶ商店街の中に、ポコッと顔出す城! 遠近法的に、ものすごく遠くにあるように見えますが、すごく近いです。
城を目指して歩いて行くと、この床屋さんにたどり着く
ここが城のふもと……というか、この床屋さんの屋上にドーンと天守閣が建っているようですね。
床屋+天守閣という、非常に食い合わせの悪そうなコンビネーション。いいですねー、いいですねー! さっそく、床屋さんに入ってみると……。
「どうも、どうも、よく来たねー。城、見るか?」
もう、お城を見せる気マンマンのおっちゃんが。
明らかに床屋の営業時間中なのにいいのかなー? とは思いつつも(他に店員さんなどはナシ)、見せてくれるっていうんなら見せてもらいたいですよ、そりゃ。お願いしまーす!
ほな、裏に回ってね。
裏……?
床屋の裏……というか、城の正門……というか、自宅の玄関
「こっちや、こっちや」
ポスターカラーの日本画
なんかスゴイ広間!
屋上にピョコッと天守閣が乗っかってるだけかと思ったら、家の中もなかなかの城っぷりです。
建具に描かれた絵もスゴイし……(クーラーが場違いですが)
コレ、自分で描いたもんやから。ポスターカラーで!
ポスターカラー!?
確かによーく見ると素人っぽさがありますが、それにしてもポスターカラーとは……!
なんでまたポスターカラーで描こうと思ったんですか?
100円ショップで安く売ってたからな。
さらにこちらの飾りも
カンカン(缶)をのばして、叩いて模様を付けたんよ。
遠目から見るとわりと立派に見えるのに、近くで見ると確かにDIY感丸出し。いや、それでもコレはメチャクチャ手間がかかってるでしょう! よくできてます。
こちらの木彫り風の看板(?)も
あ、段ボール……
さらにスゴイのがこちらです。このふすまを開けると……
ものすごい大広間が! ……という風に見えるトリックアート
おっちゃんいわく「狭い家を広く見せたかったから」とのこと。
いやあ、漫画などでこういうネタはさんざんやられてますけど、現実にやってる人ははじめて見ました。しかも自宅で!
まあ、実物を目の当たりにすると……確かに一瞬「うおっ!」とは思うものの、その感想は「広い!」というよりは、「なんか切ない」というものでしたが。
リフォームの結果……
信じられないような手間をかけ、工夫と根性でパッと見ゴージャスな部屋を作り上げているおっちゃん。
まあ、あくまで「パッと見」であって、よくよく見るとやっぱり「ビミョーさ」がにじみ出ちゃってますけど。
制作途中の部屋。結構本格的に工事するんですね
成功しているんだかしていないんだか、なんともいい難いこの家の改造ですが、どうしてこんなことをやっているのか聞いてみると……。
いやー、家がボロくって恥ずかしくてなぁ。30年くらい前からちょっとづつ自分でリフォームしてるんや。
あ、ボロい家をDIYでリフォームしてる感覚ってことなんですか!?
「先々代からの家がボロくて恥ずかしかった」ということで、セルフ「ビフォーアフター」してしまったということらしいです。
確かに年季が入った家ではありますが……
年季が入りまくった家と、自作の絵や飾りでリフォームされまくった家と、自分が住むとしたらどっちがイヤかというと……うーん、なかなか難しいチョイスです。
ところで、これだけ色んなところに絵を描いているだけあって、段々と絵のクオリティがアップしているようで、最近描かれたと思われる部屋はなかなかスゴイことになってるんですよ。
一面の大パノラマ!
部屋を取り囲むふすまたちに描かれた巨大な風景画! コレは、屋上にある天守閣から見える風景を描いたものなんだとか。
コレが天守閣。おっちゃんの中ではこういうイメージなんですね
この部屋の絵は、屋上の城から見た風景というイメージですが、他の部屋の絵は、それぞれの方向の窓からこの風景を見たものになっているらしいのです(おっちゃんの中では)。
たとえばこの風景を別の部屋から見ると
こんな感じに……うーん、合ってるかなぁ?
「他の窓から見たとしてもこうなるか?」という部分もありますが、とにかく自分の家の中だけではなく、周囲の風景まで創造してしまうというのはリフォームという域を軽く超えています!
ちょっと感動すらするお城の内部
で、さっきのふすまを開くと隠し階段が!
ザ・手作りといった感じの階段を上っていくと
よく分からない空間に出ました
家全体が増改築されまくってて、構造が把握しきれてないんですが、おそらく3階部分。
この辺までくると、壁から何から全体的にハンドメイドのニオイがプンプン漂ってきてます。果たしてこの3階部分は最初からあったものなのか? それとも勝手に増築して作っちゃった部分なのか!?
さらに、隠し扉っぽいドアを開けると……
最上階への階段が!
ここが最上階……というか、外から見えてた天守閣の内部です!
これは……一瞬、声を失うほどの衝撃的な空間。
木材とトタンなどで作られているようですが、おそらく建築学的にはメッチャクチャ! それでも、なんとも奇跡的なバランスでお城っぽいフォルムを形成しているんですよ。
DIYの究極形態をここに見ました!
外から見ると、しっかりお城なのがまたスゴイ!
ちょっと感動すらするお城の内部
どっからどう見ても間違いなくお城!
よーく見ると、亙部分がトタンだったりと、色々ショボいんですけどね
しかし、こんな手作り感ビンビンなオブジェが屋上に乗っかってて、風で屋根が吹っ飛んじゃったりとか問題はないんでしょうか?
ちゃんと「なんとか力学」を考えて作ってるからな、大丈夫!
え、ホントに?
屋根の下のココんところがこうなってるやろ? コレで風をピューッて受け流してるからな……。
この部分が風を受け流すとのこと……ホントか!?
ちなみに内側はこんな感じ
屋根の部分を内側から見入ると、トタンと木材とダンボール&ガムテープで構成されているという……明らかに色々とダメそうな構造なんですが、コレでも雨漏りなどはしたことがないとのこと。
おっちゃんの理論が正しいのか、ミラクルなバランスで成り立っているのか……。
お城の説明をするおっちゃんは、他のどの部屋の時よりも嬉しそう!
ところで、当然このお城ありきで自宅部分のリフォームも行っているんだと思ってたんですが、実はお城の方が後付けなんだそうです。
下のリフォームをやっとったら、どんどん道具が増えてきちゃってな。置く場所もないから、屋上に小屋みたいなのを作ってそこに突っ込んどったんやけど、それでも入りきらなくなって、小屋を大きくしていったらお城っぽくなってきてな。それで城にしたろ思ってん。
ああーっ、物置なんだ、このお城。合理的といえば合理的だけど……。
この中に脚立が収納されているそうです
確かにこう見ると、ワケの分からないものがいっぱい置かれてますね
ちなみにこのお城部分の建築費用は、ほとんど廃材などを再利用しているため「5~6万くらい」とのこと。
5~6万で城が建つ! 夢、ありますねぇー。皆さんのご自宅へもいかがでしょうか? ……まあ、プライスレスな手間は死ぬほどかかってるんでしょうけど。
ザ・手作りな黄金の茶室
この家の見所はまだまだあるんです
なんと黄金の茶室!
大阪城の中にも黄金の茶室(の模型)がありますが、この小阪城にもまさかの黄金の茶室がありました。
四畳半くらいの空間ですが、なかなか壮観!
「やっぱこの部屋は自慢やねー」
で、気になるのはこの黄金を何で表現しているのかということ。まさかホントに金箔を貼っているわけじゃなでしょうけど……。
折り紙! 金色のヤツな。
コレ、折り紙かぁ……
金色の折り紙をいっぱい貼り付けて「黄金の茶室!」って……コレも、思いついても実際にやろうとは思わないパターン。
しかし、こうビッシリと集まると折り紙とは思えない迫力をかもし出してます。金色がビミョーに剥げちゃっている感じも、年季を感じさせます。
で、最後に床屋部分に戻ってきたんですが、よく見るとココも色々とスゴイ!
さっきは屋上の城に心を奪われすぎてたため、スルーしてましたが、この床屋部分もかなり変わってますね……。
和風なんだか何なんだか、もはやよく分からない店内
100円ショップで買ってきたボウル+電球を組み合わせて作った照明
この絵も、パノラマ風景の一部を切り取ったものなんですかね?
もはや天地創造レベルのDIY!
屋上に城! というだけでも衝撃的でしたが、その城を取り囲む風景まで自分の中で設定して絵を描いてしまっているあたり、もはやDIYというレベルではなく、天地創造です!
最初は「店がヒマだからその合間に」という感じでやっていたリフォームですが、最近ではリフォームに夢中になりすぎて店を放置しがちなんだとか。こんだけ好き勝手にいじくりまくってたら面白そうだもんなぁー。
かなり長時間、お城を案内してもらっていたにもかかわらず、お客さんが来た形跡もなかったし……まあ、次行った時は髪を切って床屋に貢献しよう。
●イソノ理容
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