特集 2013年9月15日

ビールは白湯と飲む

ビールのチェイサーにお湯がよいと聞いた
ビールのチェイサーにお湯がよいと聞いた
あるきっかけから友人にビールと一緒に白湯を飲むといいとアドバイスを受けた。

これがやってみたら妙だ。お湯ってビールと一緒に飲むとおもしろいのだ。「新鮮な感覚」とはこういうときにいう言葉なのではないか。

めくるめくチェイサー・白湯ワールドへ、どうぞ。
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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ビール四面楚歌

大人であれば誰でもそういうことはあるだろう、病院にかかるほどではないがなんとなく体調がぼんやりしているなあと思うことが私もある。

世の中いろいろな健康法があるが、そういった不調をちょっと前のめりに改善しようとすると習慣としてのビールは否定されることが多い。

特に女性は体を冷やしやすいなどといって、あっちこっちで飲むなといわれたり書いてあったりするのだ。
ビール大好き、春夏秋冬ほぼ毎日ビール、もし朝まで飲んでも最後までビール1本やりという私にはきびしい現実である(写真の記事</a>)
ビール大好き、春夏秋冬ほぼ毎日ビール、もし朝まで飲んでも最後までビール1本やりという私にはきびしい現実である(写真の記事

そこでお勧めの「ビール&白湯」

せめて赤ワインにしたらともいわれるが完全なるビール党の私が飲みたいのはお酒ではなくビールなのである。どうしたものか。

葛藤を抱えたまま先の夏のさかりのビールシーズンに路頭に迷いっていた私に友人がアドバイスをくれた。それが冒頭にあった

「ビールは白湯と飲むといい」

だったわけだ(ただしく言えば「ビールは“飲むならせめて”白湯と飲むといい」くらいの語調だったか)。
まさかの組み合わせに写真のアングルをどうしていいかも分からない
まさかの組み合わせに写真のアングルをどうしていいかも分からない
健康オタクを自称しつつも全くうさんくささのないその友人に私は常々信頼を寄せていたこともあり、なるほど! と思った。体を冷やしにくいという意味ですごく分かりやすい。

なにしろビールとお湯を一緒に飲むなんて単純におもしろいじゃないか。

早速やってみようじゃないの。
晩酌時にお湯を沸かすというのだけでお湯割を飲みつけない私には新鮮
晩酌時にお湯を沸かすというのだけでお湯割を飲みつけない私には新鮮

白湯ビール、もはや別の飲み物

最初にいうと、白湯をチェイサーに飲むビールはいつものビールではなかった。なにか別の飲み物のように感じた。

白湯というものはそうそう量が飲めない。飲むスピードもゆっくりだ。通常カーッと勢いよく飲むビールもつられてゆっくり飲むようになるのだ。

ゆっくり飲むだけでいつものビールが少しトロっとする。味も違う。普通のビールも濃い目のビールみたいだ。普段どれだけビールをのどごしだけを感じるために飲み下しているかが分かる。
200ml入らないグラス1杯のビールを飲むのにいつもの3倍、自然にかかった
200ml入らないグラス1杯のビールを飲むのにいつもの3倍の時間が、自然にかかった
正直、ゆっくりビールを飲むのにまどろっこしい気持ちもある。しかし、お湯を飲んだあと口に入れるビールの冷たさがグビグビやるのどごしに負けずとも劣らない爽快さである。

さらにこれは誰からの賛同も得られなかったのでいわゆる「個人の感想です」になるが、ビールと一緒に飲むとお湯が日本酒のように感じられる瞬間があって、飲んでいるうちにチェイサー感がなくなるのもお徳だと個人的にはぐっときた。
どうでしょう、だんだんお湯でビールが飲みたくなってきたのではないですか
どうでしょう、だんだんお湯でビールが飲みたくなってきたのではないですか
数日試してみたところ、最初の2杯を白湯と一緒にのみ最後に1杯ストレートでビールだけを飲むのが私としてはすわりがよくて定着しそうである(平日)。

白湯ビール・個人の感想

・ビールにとろみを感じる
・重くて濃い目のビールのような気になってくる
・のどごしは感じにくいが、温まった口へビールが入ってくるには爽快感がある
・白湯が日本酒のように感じる
・腸があたたまって体によさそうな気がする
健康になったかどうかは分からないが、何しろおもしろい。このおもしろさ、早く誰かに伝えたい。

みんなも飲んでみなよ! お湯でビール!

そうだ、家でなくても白湯なら店での飲み会などでもお願いすればお湯はもらえるはずだ。無料でなくても焼酎のお湯割用として販売している店もあるかもしれない。

ちょうど会社の部の飲み会がある。同僚のみんなにも試してもらうじゃないか。この日は2時間飲み放題のコース。お湯も飲み放題である。

飲んでもらってみたら思った以上にバリエーション豊かな白湯への感想があった。
みんな、お酒と一緒にお湯飲んでけれー
みんな、お酒と一緒にお湯飲んでけれー

お湯先輩、現る

まず試してもらったのはウェブマスター林。

以前お湯のすばらしさについて記事も書いている(記事「お湯のすばらしさを見直す」)。私にとってはお湯の先輩である。
お湯先輩
お湯先輩
お湯マスターである林もチェイサーがお湯というのは初めてだそうだ。最近は悪酔い防止にまずいと思ったタイミングでお酒の種類にかかわらずジョッキで水をもらってチェイサーにしているという。では、白湯ビール、どうぞ。

「あー。おちつくー」

お腹の奥からのコメントである。白湯ビールを試してもらったのは飲み会の序盤だったのだが、張り切って飲んでいきましょう! といった勢いが一瞬でそがれた。3次会まで終わった後のようだ。
1次会が始まってすぐにもかかわらずのこの眠そうさ
1次会が始まってすぐにもかかわらずのこの眠そうさ
最初からリラックスした場所にいる自宅での白湯ビールとは違い、店で特に飲み始めは若干の緊張があるだろう。その緊張が一気にほぐれている。

さらに「水のチェイサーと違ってアルコールが薄まらない気がする」とも。お湯が日本酒のように感じられた私の感想とちょっと近い感覚だろうか。

白湯ビール・個人の感想

・タイミングを問わず居酒屋が家になる
・どうかというくらい落ち着く
・水のチェイサーと違ってアルコールが薄まらない
お湯が落ち着く、という意見はこの後もたびたび聞かれたがそれにしても落ち着きすぎてしまった、お湯に過剰に取り込まれてしまった者もいる。編集部 安藤だ。
どうってことないでしょと試したが
どうってことないでしょと試したが

もう、お湯だけでいい今日は

最初は「何がおもしろいの」という具合でお湯とビールを口にふくんでいた安藤だが、みるみるちにうビールに口をつけなくなった。

気づけばお湯ばかり飲んでいる。

「ビール苦い。お湯甘いわ~」
「今日はお湯だけでいいかも…」
「もう、ビールいいですわ」

この日は2時間飲み放題のコースだったにもかかわらず完全にお湯に骨を抜かれた形。

これは私にも想定外だった。こういうパターンもあるのか。
5歳老けた
5歳老けた

白湯ビール・個人の感想

・ビールが苦く、お湯がおいしく感じる
・もうビールはいいや、という気分に
・老ける
この後、安藤はメニューを広げながら上の空で「お湯…ください…」とオーダーしていた。飲み会の途中で飲み物を生ビールに戻す”生帰り”、という言葉があるが、お湯帰りである。

この安藤を見て「そんなこといわないで、ビール飲みましょうよ!」とフォローを入れたのが、部署の長だ。
河瀬室長(デイリーポータルZは“コーポレートコミュニケーション室”という部署の所属)
河瀬室長(デイリーポータルZは“コーポレートコミュニケーション室”という部署の所属)

このまま終わってしまうのではないか

河瀬室長も白湯を飲み、そのあまりの落ち着き効果にどこか危機を感じたようだ。

せっかく部署のメンバーが珍しく集まった懇親会が、このままだとお湯のせいで終わるぞ、と。

「ビールの麦芽感がお湯で引き立つ気がする」「料理がおいしく感じる」と冷静に分析しながらも、お湯でゆるゆるになりそうな部下たちを「飲みましょう、ね!」と激励していた。

お湯を飲むという行為に期せずして発動される部下の統率手腕である。

白湯ビール・個人(首長)の感想

・ビールの麦芽感が引き立つ
・ビール以上に料理にお湯が合う
・このまま飲み会が終わってしまうのではないかと危機を感じる
そんな河瀬室長の危機感をもろともしない頼もしいメンバーもいた。

1年のほとんどを半そでですごし、飲み物はビールと冷たいお茶しか飲まない東京カルチャーカルチャーの横山店長だ。
お湯に全くピンとこない、と試飲
お湯に全くピンとこない、と試飲
うん。ぜんぜんわかんない
うん。ぜんぜんわかんない
横山店長はなぜお湯になびかなかったのか。

お湯を飲むというだけの企画ですが、次のページに続きます。

暑がりにお湯はいらねえ

横山店長はお湯で空気がゆるむのを一切理解できない模様。実際飲んでみても顔は「?」のままである。

「飲んでもお湯だなー、くらいしか感想ない。ビールと同居まったくできてない」

ばっさりである。その後、暑がりなのにお湯を飲まなくちゃいけないなんてそんなのないとたまらずビールをおかわりしていた。

白湯ビール・個人(暑がり)の感想

・ビールと飲んでもただのお湯としか感じない
・お湯を飲むなど全く意味が分からない
・汗が止まらなくなって困る
なるほど、そもそもこの飲み方はビールによる体の冷えの対策として伝授してもらった飲み方だ。暑がりに否定されたことで逆に冷え性タイプには白湯ビールという信憑性が増したともいえる。

そういった意味では風邪のひき終わりだという神代室員には熱狂的にに白湯ビールが受け入れられた。
どうだ、この笑顔
どうだ、この笑顔

元気…出た…!

ビールを飲んでから、白湯を飲んで。そしてひとこと。

「元気、出た!」

である。だいの大人がぱっかぱかに開いた笑顔で「元気出た」という。はたちをすぎてこんなに素直な自分をさらけ出すことってそうそうないだろう。

重ねて神代室員からは「ちょうどいい、ちょうどいいです、これ」としきりに「ちょうどいい」、「ぴったりだ」といった言葉が出た。

せっかく風邪も治ったしビールが飲みたい。でもまだ若干の不安があるという不安への対応としての白湯。なるほど、ぴったりだ。

最近激務の編集部 安藤といい白湯ビールはもしかして病人発見器なのかもしれない。

白湯ビール・個人(病み上がり)の感想

・元気が出る
・何かは分からないがちょうどいい
病後には重そうな角煮まんも白湯ビールでならおいしく食べれるというものである
病後には重そうな角煮まんも白湯ビールでならおいしく食べられる…
そろそろビール以外の飲み物と白湯の相性も検証してきたいと思いつつ、もう一人白湯ビールについて印象的な言葉を残した部員を紹介しておこう。

編集部 石川である。
酒好きながらγ-GTPの高さゆえたくさんは飲めないという枷をおった石川
酒好きながらγ-GTPの高さゆえたくさんは飲めないという枷をおった石川

お湯割りを野蛮に感じる

まず飲んで「すべてがリセットされる感じですかね」と。確かに、白湯を飲んだときにその前のビールの一口がなかったことになるような感覚は私にもあった。

さらにしばらく飲み続けていて聞かれたのがこちらだ。

「ビールと白湯を分けて飲んでいると、もうお湯割りなんかは野蛮に感じますね。カレーをぐちゃぐちゃに混ぜて食べてるみたいな」

そういう見方に達するか。
ちなみにそんなお湯割に白湯をあわせてくれた丸山室員によると「焼酎の味がはっきりする感じはある」とのこと野蛮じゃない!
ちなみにそんなお湯割に白湯をあわせてくれた丸山室員によると「焼酎の味がはっきりする感じはある」とのこと。野蛮じゃない!
さらに石川は「ビールとお湯が交互に出るジョッキの開発が待たれますね」とも。

そう、白湯ビールの難点としてグラスを2つ用意せねばならないというのは酒飲みにとっては意外に大きなハードルなのだ(めんどくさいから)。

白湯ビール・個人の感想

・すべてがリセットされ、今までの飲酒がなかったことになる(気持ちの上では)
・もはやお湯割りという文化が野蛮に思える
・ビールとお湯が交互に出るジョッキの開発が待たれる

ワイン白湯、カクテル白湯

さて、満を持してここからはビールはあまり飲まない非ビール党にもビール以外の飲み物に白湯を合わせてもらおう。

これまでおおむね癒しの効果を、しかし過剰なまでに体言した白湯だったがこの白湯、ワインやジュースを使ったカクテルへの働きかけは意外にもアグレッシブなものだった。
白ワイン代表、柴崎室員
白ワイン代表、柴崎室員
?!
?!

?!

白湯を含んだ瞬間に表情がマンガのごとく「?!」と一変し周囲を騒然とさせた柴崎室員。白湯ビールにはなかったリアクションである。

「わ、ワインの味が消えました! あと、お湯にとろみが!」

このとき飲んでいたワインの種類もあるかと思うが、確かにお湯の温度の高さとお湯自体の味が引き立ってワインの味が消えた気がする。

ビールとの相性には癒しの色が強かった白湯がワインには攻撃的とは。前世にブルゴーニュあたりで何か嫌なことでもあったのか、白湯よ。

白湯白ワイン・個人の感想

・?!
・ワインを飲んでからお湯を飲むとお湯にとろみが出る
・ワインの味がかきけされる。
赤ワイン代表、安藤室員
赤ワイン代表、安藤室員

赤ワインとお湯は合わない

続いては赤ワインだが、うーん、と飲んですぐに顔がしぶったのは安藤室員だ。「うん、赤ワインとお湯は合わないです」ときっぱり。

横山店長のときは「個人的にNG」といった風情だったが、赤ワインにいたってはもう誰が飲んでもNGのようである。

「ぶどうの皮の味がものすごくきます。エグミが立って」「ワインよりもむしろお湯がおいしく感じました…」

白湯赤ワイン・個人の感想

・お湯おいしい。むしろお湯おいしい
・ぶどうの皮の味がすごいエグミがたってしまった
皮の味が立つという意味では赤ワイン以上だったお酒もあった。カンパリオレンジだ。
カンパリオレンジ代表、根本室員
カンパリオレンジ代表、根本室員

オレンジの皮の味を楽しむなら、白湯

赤ワインに続いて「これもだめです!」という根本室員。

「オレンジの皮の味しかしなくなっちゃいました」「カンパリの味がどこかへ消えてしまいました」

赤ワイン同様、白湯が皮の味を引き立たせてしまうようだ。

今までオレンジを買わないとオレンジの皮の味を楽しむことができなかったのが、白湯さえあればオレンジがなくても皮を味わえるという意味ではすごいのでは、と石川がやけに前向きなことをいっていた。

白湯カンパリオレンジ・個人の感想

・オレンジの皮の味が引き立つ
・カンパリの風味が消えた
白湯というと気体でいえば空気くらいの実態のなさだと思っていたのだが、思った以上に働きかけてくる。

白湯って結構味が濃いのか。

カンパリオレンジとお湯を一緒に飲むとオレンジの皮の味がする。体を冷やさないという話が「キュウリにはちみつかけたらメロン」みたいなところへたどりついた。
このままだとテーマがそろそろ一回転するぞ、というタイミングでテーブルではサバが炙られ始め誰も白湯のことを口にしなくなった。インタビューも潮時である
このままだとテーマがそろそろ一回転するぞ、というタイミングでテーブルではサバが炙られ始め誰も白湯のことを口にしなくなった。インタビューも潮時である
白湯にビールで健康に、というところから随分話を斜め下方向に掘り下げてしまった。

果実系のお酒との相性は悪そうなものの、なにしろ私はお湯のおかげで末永くビールを飲み続けることができそうです。よかった。本当によかった!!

1度はやったほうが良い

この飲み会の席で一時は白湯とビールについて「この感じはなんだろう、もっと知りたい」というような空気になり、お湯のおかわりオーダーが続くというお湯ブームも起きた。

湯飲みを一旦もどしていただけますか、と店員さんにいわれて湯飲みに残ったお湯を飲み干すシーンもあったくらいだ。完全にビールのそれである。

もろもろ含め、なんだか変でおもしろいことは間違いないです。白湯ビール。
ビールのときの顔(左・宮川室員)とお湯のときの顔(私)がみごとに1枚におさまった写真
ビールのときの顔(左・宮川室員)とお湯のときの顔(私)がみごとに1枚におさまった写真
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