スタートは砂丘から
鳥取県にはスタバがない。
スタバがなくても砂丘があるんだし、駅にはドトールだってあるからいいのではと思うのだけれど、隣県の島根に先んじられたことで唯一スタバのない県として有名になってしまったからにはだまってはいられないだろう。こうなったら鳥取から最寄のスタバがどこなのか、調べることにした。
検証のため我々は鳥取砂丘に集合した。前日、イベントを打ち上げて3時ごろまで飲んでいたのにみんな集合の8時にはちゃんと駅にいたからえらい。
皆一様にむくんでいたのが笑った。
ルール説明
鳥取から最寄のスタバを探すため、今回は3方面に分かれることにした。スタートは11時、鳥取砂丘から始める。ここから時間的に一番近いスタバを探すのだ。移動手段は問わないので最初にスタバでコーヒーを手にした人が一番である。
スタート前のから元気。
まずは鳥取を出し抜いていち早くスタバ有り県となった島根、松江のスタバを目指すチーム。ライター地主さんと西村さんである。
次に、時間的にいったら飛行機に乗っちゃうのが速いのでは、ということで東京羽田空港のスタバを目指す編集部林とライフネット生命岩田さんのチーム。
さらに山陰から山陽へ、瀬戸内海、姫路を目指すのが編集部安藤である。
なにしろ砂丘が熱い
スタート地点に特に意味はなく、どうせなら景色のいいところから始めたい、くらいの理由で砂丘始まりとした。それでもせっかくなので、ということでてっぺんまで登ってみた。
そうしたらこれがこの日一番の文字通り「山」だった。
砂丘、思った以上なのだ。
熱さ、斜度、恐ろしさ(登ってる途中で後ろ振り向くと泣ける)、どれをとっても一級品である。前日よく寝ていないこともあって、全員のライフゲージが目に見えて減っていくのがわかった。
落ちたら絶対やばい。
砂丘にいたのは30分ほどだったが、ここで一日の元気をかなり使い果たした気がした。汗をかいた体に細かい砂が張り付く。
白い靴で参加していたライフネット岩田さんが砂の猛威に言葉をなくす。
ただ、景色はすばらしかった。涼しくなった頃にまた行きたい。
バスの時間までまだすこしあるので、と姫路と松江組が炎天下の中、自販機を求めて彷徨い歩いているさなか、飛行機組は颯爽とタクシーを拾っていた。まあクライアントであるライフネット岩田さんが一緒である、仕方がない。
仕方がないが腹は立つ。
タクシー+飛行機のインパクトは我々民衆(バス+電車)に言葉にならないダメージを与えた。羽田には絶対負けたくない、そう誓った瞬間である。
しかし電車組は砂丘の売店で30分くらいバスを待ってこの日の体力を完全に使い終えた。
電車がない
飛行機組が空港に到着したであろうその頃、ようやく鳥取駅に着いた電車組は時刻表と格闘していた。
なにしろ松江と姫路に向かう特急がそれぞれ1時間に1本くらいしかないのだ。これ、もしかしたら始まり時刻次第でかなり結果に違いがでるかもしれない。すんなり電車に乗った組が絶対速いぞ。
こんなに時刻表を真剣に見たのは18切符で旅していた学生の頃以来である。
ということで松江組と姫路組はしばらく鳥取駅で足止めされることに。焦る気持ちを抑えつつ、駅周辺をうろうろして時間をつぶした。
鳥取駅はきれいな駅ビルにお土産屋さんが併設されていて、朝から乗降客でにぎわっていた。東京とかならこういう場所には必ずカフェかそば屋があるだろう。
もしかしたら知られていないだけで、実はスタバ、あるんじゃないのか。
鳥取駅にはドトールが入っていました。もうこれでいいだろう。
近くのコンビニにはスタバブランドのインスタントコーヒーも。完全にこれでいい。
電車組が特急を待っている間に、飛行機組は空港ですでに昼ごはんを食べていた。
ここで飛行機の時間、電車の時間が出そろったので、だいたいスタバ着時刻が見えてきた。
松江組
12:14(とっとりライナー米子行~山陰本線浜田行)
↓
14:19(松江駅着)
羽田組
12:55(ANA296便)
↓
14:10(羽田着)
姫路組
12:54(スーパーはくと8号)
↓
14:23(姫路着)
松江はシャミネという駅ビルの中にスタバがあるので着いたらおそらく2分くらいでレジに並ぶことができるだろう。ただ先日オープンしたばかりの人気店舗である、混んでいる可能性がある。買うまでがレースなのでここがどう影響するか。
一方羽田は到着する第二ターミナルからスタバのある第一ターミナルまで移動する手間がある。もしかしたらそこで迷うこともあるかもしれない。
時間的に一番不利に見える姫路だが、その分駅に着いた瞬間から僕が走るので駅到着後5分くらいでスタバに着く自信がある。これは実際僅差なのではないか。
手に汗握る時刻表戦に熱くなっているところに、散らばった
各チームから連絡が入る。
松江組は昨日夜更かしした地主くんが寝始めた。
ウサギとカメでいうところのウサギである。これは寝過ごしもありうる。
一方、暇を持て余す羽田組からは余裕の投稿が。
ライフネット岩田さんは翌日が誕生日とのこと。おめでとうございます。
その頃、未だ電車の来ない姫路組(安藤)は鳥取にあるいろいろなものがスタバに見え始めていた。写真はスタバが入っているっぽいと思って撮ったバスターミナル。
ところで鳥取から最寄のスタバを目指す場合、時間はともかく移動費はどのくらいかかるのか。
地理的に一番近い松江で見てみよう。
2210円。
乗車券だけで2000円超えている。急ぐとなるとこれに特急券が加わるのだ。ちなみに姫路は片道4740円だった。コーヒー豆袋ごと買える。飛行機使うとたぶんコーヒーマシーンごと買える。
いや、そういう話ではない。僕たちは鳥取からスタバへ行きたくなった時にどうしたらいいのか、それを明らかにするためやってきたのだ。
羽田組が飛行機に搭乗。
そうこうしているうちに羽田組が飛行機に搭乗した。ここからは到着まで動向がつかめなくなる。
移動中の松江組、そしてようやく移動を始めた姫路組からはおだやかな車内の風景が届きはじめた。
松江に向かう車内。スタバっぽい色合いではある。
こちらも松江組からの投稿。いったん電車に乗ってしまったあとは特にやることがないので同じような写真が送られてくる。
これは姫路に行く途中で見た駅、ちず。地図ではなく智頭だった。
いま松江に向かっている西村さんは鳥取県倉吉市出身です。
その西村さんは松江に着く直前に寝た。
山が動いた
まず羽田組から空港到着の一報が入る。予想していた時間よりも少し早い。
飛行機、がんばりすぎだ。
飛行機は遅れるもの、という見込みが外れた。気流の関係で早くついてしまったのだとか。
僕は前に海外の空港で20時間くらい飛行機が遅れたことがあって、床に寝ながら配られた硬いサンドイッチを食べて待っていたところ、機長がきれいなアテンダントさんを引き連れてゴルフバッグ引いてやってくるのを見たことがある。なんで今回はそうならないんだ。
飛行機一人勝ちかと思われたが、ここからの電車組の追い上げがものすごかった。
羽田組が飛行機から降りてスタバのある第一ターミナルへと移動している間に松江組から駅到着の投稿が入る。
松江組が駅に到着。
すぐにスタバの前に。さすがは駅直結である。
松江組がスタバに到着した。羽田からはまだ連絡がない。これは注文の差になるか。
そして姫路組も駅に着いた。
ほどなくして姫路着。走って駅から飛び出す。
羽田組もスタバに到着した模様。「並んでる」との報告が。いけるで!松江、姫路。
直後、姫路も全力疾走でスタバに到着。
姫路組が一番早く出てきそうなスタバラテを注文したその一瞬後だった。
羽田組、ゴール。
松江組、ゴール。
姫路。
姫路。
姫路のスタバでラテが出てくるのを待っている間、これはもしかするかも、と思っていた。羽田と松江は二人組である。注文二つしている間に姫路でゴールできないか、と。
しかし震える指でスタバラテを手にした写真を送った瞬間、すれ違いで相手2チームがすでにゴールしていることを知った。あの時の絶望感とスタバラテの冷たさを今でも覚えている。
結果発表
レシート時間(注文した時間、受け取り前)でいくと
松江(14:26)
羽田(14:27)
姫路(14:29)
商品受け取り順でいくと
羽田
松江
姫路
この順だった。その差わずか3分内。
悔しい。実は姫路駅で降りた瞬間、右に出ようか左に出ようか1分くらい迷ったのだ。急いで携帯で方角を確かめてから左に出ると姫路のゆるきゃら「かんべえくん」と「しろひめまる」がうちわを配っていた。
もちろん写真撮った。
今考えるとここでも30秒ほどロスをしている。ここでもらったうちわはスタバに行くまでにどこかに落としてしまった。
姫路組の敗戦の弁は続く。決定打がこれだ。
姫路、負けてから駅への帰り道、駅ビルにスタバを発見した。
姫路の駅ビルにスタバがあった。
実は道中、友人から姫路の駅直結のスタバがあるという情報をもらっていたのだ。それなのに駅を出た瞬間、どこが駅ビルなのかスタバなのか姫路なのか、わけがわからなくなって事前に調べておいたフォーラス店へと走ったのだった。
もしあのとき駅ビル店を選んでいたなら、僕はもしかしていたのではないか。
うらめしくスタバを見上げていると、遠くから雷鳴が聞こえてきた。
そしてこの大雨である。
負けは負けだ。この後姫路城へ行こうと思ったが、駅に着くまでにずぶ濡れになってしまい、そのままビジネスホテルに入ってシャワーあびて寝た。その後のことはあまりよく覚えていない。夏が終わるな、と思った。
鳥取から一番近いスタバは羽田
いろいろあったが結果は結果である。鳥取から一番近いスタバは羽田で決定した。ただ、3か所ともにその差数分以内という僅差だった。その数分に高い飛行機代を払うか、バランスをとって松江に向かうかは好みの問題であろう。一つだけいえることは、姫路に行ったら駅ビルにスタバがあるぞ、ということだ。