綺麗に撮るテクニックは聞き飽きた
1年前に
『「カフェ撮り」で食事を素敵に撮りたい』という記事を書いた。葉っぱとか綺麗にぼけるレンズを駆使してカフェめしっぽい写真を撮る方法を解説した。
でも最近思うのだけど、こういう綺麗に撮るテクニックはもうみんな身につけてるし飽きただろう。
100円ショップで買った皿やコップ、ランチョンマットに100円のタイカレーを盛り付けて雑穀米を添えた。
逆光で明るく撮ればカップ麺すら素敵になるが、これじゃダメだ。
みんなが綺麗に撮ってしまう時代において、自分も綺麗な食べ物写真を撮っても目立てないのである。目立てないと『いいね!』はもらえない。『普通にいいね!』ならもらえるかも知れないけど、そんなボタンはない。
そこで、キーボードである
先日、あまりに暑かったので家でかき氷を食べた。みぞれシロップに練乳、小豆である。写真も撮ったがパソコンの前で食べたのでキーボードも写り込んでしまった。
台無しである。
ああ、こういう写真よくあるよくある、みたいな写真になった。これじゃあ『いいね!』はもらえないだろう。これでも『いいね!』をくれるとしたら、きっとそれはあなたの事を好きな誰かだ(あるいはかき氷が大好きな人か)。
でもこれは雑に作ったかき氷にキーボードだからで、料理がちゃんと美味しそうなら逆に素敵な写真になるんじゃないだろうか。
というのが今回の本題である。
赤坂見附のホテルに出かけた。
お洒落ビュッフェとキーボード
赤坂見附の駅に初めて降りた。駅前の綺麗なホテルでやってるランチビュッフェにやってきたのだ。
綺麗な内装、丁寧な接客、並ぶ美味しそうな料理。友達と集まって会食したのだが、そこにキーボードを持っていって写真を撮ってきた。
料理が入ってる器も格好良い。
各種デザート。
綺麗に盛り付けられた野菜。友達がいない隙に勝手に撮った。
そしてキーボードである。
素敵な料理とキーボードが合体。
どうだ、まるで家かオフィスの様だろう。
家かオフィスでこんな盛りつけの料理を食べていると思われたらどうだろう。みんな『いいね!』って言ってくれるに違いないんじゃないか。
次のページではこういう写真をいっぱい紹介します。
ローストビーフとキーボード
ホテルのビュッフェといえばローストビーフである。滴る肉汁、掛かっているのはちょっと酸っぱいグレービーソースっぽいもの。
噛むと牛肉の香りと旨味が口いっぱいに広がり、しみ出す唾液に溺れそうになる。そんな肉。
ああ、もっと食べておけば良かった。
そんなローストビーフも、キーボードと一緒に撮るとまるで家で食べているようになる。貴族気分に浸れるのだ。これは50イイネは固い。
どうよ、この台無し感と逆に醸されるブルジョア感。わっかるかなー?
ネット見ながらローストビーフを食べるぜぇ~。ブルジョアだろう~?
ポテトチップス感覚で蟹を食べるという、ブルジョアならではの写真。
ティラミスも大変に美味しかった。スポンジにしっかり浸みたエスプレッソ、なめらかなマスカルポーネチーズのクリーム。『ティラミス』とはイタリア語で「私を上に引っ張って(直訳)」という意味だそうだが、食べると確かに元気になる。
ちゃんとしたティラミスでした。
これもキーボードと並べると『おれんち感』が出てくる。キャプションで「作ってみました!」とか書けば100イイネは固い。
「ティラミスです!家で作ってみました!」とか。
他のデザートもまるで、家で食べているかのようである。
是非皆様におかれましてもキーボードを持ってお洒落なお店に出かけてこういう写真を撮っていただきたく思います。
ワッフル、ソフトクリーム、ジェラート。もう食べられないブー。
ベリーのプリン。ラズベリーソースが美味しかった。
台無しにならない場合もある。そう、マックならね
ここまででキーボードの威力が判っていただけたと思う(希望的観測)。もうちょっとこんな調子で勧めたく思って小綺麗なおそば屋さんに行った。
天ぷらと盛りそばのセットを注文。
そば粉は店頭で挽き立て、それを打ちたて茹でたてで食べられる。味は普通に美味しかった。
美味しそうなそばにキーボードを並べてみる。結果はもう予想が付くだろう。一気に『おれんち』である。
『夕飯は家で蕎麦です!』みたいな事を言ってしまいたい。
ここまではWindowsPCに繋いでるキーボードを並べて写真を撮ってきた。
では、AppleのMacならどうだろう。MacBook Airを持っていって蕎麦と並べてみた。
ノマドである。
ノマドだ。これはノマドである。単にキーボードだと台無しになるのにMacBook Airだとノマドになってしまうのだ。
もう1パターン試してみようか。
マンゴーのケーキと紅茶。
ちょっとカフェに入ってケーキと紅茶を注文。キーボードと並べて写真を撮る。
安定の台無し感とおれんち感。
MacBook Airに変えてみる。やはりノマドになるのか?
ノマドである。
「ノマドだね!」という写真になった。パソコン全体が写っているからだろうか?と思ってちょっとトリミングしてみた。
キーボードだけ写るようにしてみたけど、やっぱノマドだ。
MacBook Airおそるべしである。なにと一緒に撮ってもお洒落になってしまう。そりゃみんな買うわ。
次が最後のページです。もうちょっと変な事します
キーボード以外のものではどうか
食べ物とキーボードを並べるとおれんち感が出る。MacBook Airだとノマド感が出る。では、他のものはどうだろう?と
思って愛して止まないフードコートに行ってきた。
イトーヨーカドーのフードコートに行ってきた。
スーパーでちょっと買い物してキーボードと並べてみた。
スーパーで買ったパックの寿司を家で食べているという体になる。
キーボードをテレビのリモコンに変えてみるとどうなるか?
おれんちだ、ここ。
ますますおれんち。
おれんちで小海老天そば。
もう綺麗な食べ物写真などやめてしまえ
逆に言えば、綺麗な食べ物写真を撮りたいならキーボードやリモコンが写り込まないようにしなくてはいけない。お手ふきのゴミとか割り箸の袋なども写り込まないように注意すべきだ。写真は引き算とはよく言ったものだ。
が、逆にもうそういうのいいんじゃないか?という気もしてきたので、敢えてキーボードを写し込んでおれんち感を出してみた。
10年前は飲食店で食べ物の写真を撮っているだけで奇異の目を向けられたものだが、きっと10年後にはみんなキーボードと食べ物を並べて写真を撮っていると思う。その時になったらこう言いたい。
「それ始めた、僕です」
と。