特集 2013年7月10日

西武秩父線各駅停車の旅

石灰石鉱山の山とセメント工場、そして棚田。これぞ秩父という絶景
石灰石鉱山の山とセメント工場、そして棚田。これぞ秩父という絶景
2013年春、西武鉄道の大株主である外資ファンドが西武秩父線を廃止にするかも知れないというニュースが流れ、それは大変だ!何とかせねば!と思ったけど僕には打つ手がない。とりあえず西武秩父線の各駅で降りて周辺に何があるのか見てくることにした。

という記事を先月に書いたのだけど、西武秩父線にたどり着く前にページが尽きてしまったため、今回が後編である。いよいよ西武秩父線に突入、終点の西武秩父まで向かいます。

前編はこちら→「僕たちが東吾野駅で降りて幻の石塔を見つけるまで
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:レッドブルでフレンチトーストを作る

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土砂崩れから復活、吾野駅

飯能駅を出発して、東吾野駅までたどりついた前回。今回はいよいよ西武秩父線の起点、吾野駅からスタートだ。もちろん引き続きライター伊藤さんに同行してもらっている。
担いで行った三脚は結局こういう写真撮るのにしか使わなかった
担いで行った三脚は結局こういう写真撮るのにしか使わなかった
萩原「吾野駅の見どころは、何と言っても土砂崩れの跡!」
伊藤「ど、土砂崩れ?」
萩原「15年くらい前に土砂崩れが起きて駅が埋まったことがあるんですよ」

吾野駅について、調べなくても知っていたのはこの情報だけである。ただ、出発前にネットで調べるとほかにも見どころになりそうな場所が出てきた。

萩原「あと、駅前にすごくでかい霊園があります。それから少し山を登ると中に観音がある洞窟があるそうです」
伊藤「見どころが多いですね」

土砂崩れとお墓と観音。冷静に考えればぜんぜん大した見どころではないのだけど、ここまでが駐車場とかヤギが見どころの駅だったので急に視界が開けた気がする。NHK以外の民放が映ったときってこういう感動だったのかも知れない。
ホームから見た土砂崩れの跡。これホントに見どころか?
ホームから見た土砂崩れの跡。これホントに見どころか?
吾野駅は乗り降りする人も(周囲の駅に比べれば)多く、駅前にはお土産屋兼食堂もあった。おお、駅前の飲食店なんて東飯能駅を出て以来である。
ひさびさの駅前商店
ひさびさの駅前商店
萩原「このカレンダーかっこいい!」 伊藤「やるなー埼玉県警...」
萩原「このカレンダーかっこいい!」
伊藤「やるなー埼玉県警...」
まずは駅を出て線路を渡り、土砂崩れ跡を目指す。土砂崩れとは言ってももう15年も前の出来事である。どのくらい痕跡が残っているだろうか。
セメント関係らしいかっこいい施設
セメント関係らしいかっこいい施設
この林道看板いい!
この林道看板いい!
萩原「ここが土砂崩れの跡ですね!この斜面が崩れて...」
萩原「ここが土砂崩れの跡ですね!この斜面が崩れて...」
萩原「ここが土砂に埋まった場所で...」
萩原「ここが土砂に埋まった場所で...」
萩原「この線路とホームまで達したと」 伊藤「想像するしかないですね」
萩原「この線路とホームまで達したと」
伊藤「想像するしかないですね」
土砂崩れ現場はいまやすっかり緑に覆われて、溜まった土砂の上は整地され近くのお寺の駐車場になっていた。うん、見どころでも何でもない。

吾野駅はこれだけではない。ほかを探しておいて本当に良かった。では次にすぐ横にあるでかい霊園に行ってみよう。
斜面につくられた大規模な霊園
斜面につくられた大規模な霊園
伊藤「これはすごい!」

斜面一面に広がるお墓には目をみはる。二人とも興奮していた。でもどうなんだろう。そんなに大きくないんじゃないか。いやでもでかい。少ない情報を拾うためにISO感度を上げすぎているので冷静な判断ができているのか分からない。そもそもお墓だし、すごいとかすごくないとかではない気もする。
やっぱりけっこうでかいと思うんだけど
やっぱりけっこうでかいと思うんだけど
とそのとき、道路脇で作業していた地元のおじさんが声をかけてきた。

「お墓のいちばん上に行くといい景色ですよ」

お墓、入っていっていいのか。というわけで急な坂を登っていちばん上まで行ってみることにした。
伊藤「この階段あとから段を増やしてますよね」 <br>萩原「作ってみたらちょっと段差大きいな、となったんですかね」
伊藤「この階段あとから段を増やしてますよね」
萩原「作ってみたらちょっと段差大きいな、となったんですかね」
広いお墓の中はアルファベットで区分けされていた
広いお墓の中はアルファベットで区分けされていた
坂を登り切って霊園のいちばん上にたどり着くと、そこには立派な鯉が泳ぐ小さな池があった。と、とつぜん伊藤さんが池に駆け寄る。

伊藤「すごい!これ全部オタマジャクシですよ!」
鯉が泳ぐ小さくてきれいな池の中に
鯉が泳ぐ小さくてきれいな池の中に
この黒いの全部おたまじゃくし!
この黒いの全部おたまじゃくし!
僕も思わず「うお!」と叫んだ。こんな大量のおたまじゃくしは見たことがない。ものすごい数で群れているけど、鯉に食べられるでもなく、鯉が通ると水流で巻き上げられたりしている。鯉に貼りついているのもいた。

伊藤「これたぶんヒキガエルのオタマですよ。この数だと、春先のカエル合戦はそうとうすごかっただろうなあ...」

戦場ヶ原まで行かなくてもここで見られましたね、という言葉が出かかったけどそっと飲み込んだ。
デジカメで接写を試みる伊藤さん
デジカメで接写を試みる伊藤さん
さて、振り返って見下ろすと、確かに駅と集落を一望できるなかなかの眺めである。あのおじさんに声をかけられなければ見ることがなかっただろう。

こういう地元の人とのふれ合いも旅の醍醐味である。
吾野一の絶景なり
吾野一の絶景なり
と、そこへさっきのおじさんが上がってきた。せっかくなので池の話、オタマジャクシの話を聞く。すると、それだけでなく様々な話を聞かせてくれた。この霊園の話、秩父の山の話、昔の仕事の話、昔の仕事の同僚の話、林業の話、川の話、お寺の和尚さんの話、お寺の鐘の鐘木を作った話、もう一本鐘木を作った話、兵庫県の話、奈良県の話、釣りの話、イノシシの話、猟師の話、2.5mのクマを撃った話、ライフルの撃ち方の話、ヤクザが怖い話、秩父の山の話...。さまざまな仕事で全国を渡り歩いたらしく、話という文字がゲシュタルト崩壊するほどの内容の濃さ。

楽しかったのだけど、僕は時間が気になって仕方がなかったので、話が途切れたところを見計らって「そういえば、このあたりに洞窟の中に観音があるって聞いたんですけど...」と切り出すと、行き方を教えてくれ、気をつけて、と見送ってくれた。

伊藤「いやー、僕たちも旅行できましたねえ、脳内で」
萩原「僕はこの取材の記事化を阻む一派が仕組んだ罠かと思いました」

時計を見ると、40分が経過していた。
ここから山道を登って洞窟観音を目指す
ここから山道を登って洞窟観音を目指す
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15分どころじゃない

霊園の上からいったん線路際に降りて、別の山道の入口にやってきた。おじさんの話によると、この先に観音像が入っている洞窟があるらしい。

15分くらいですよ、という言葉を信じて登りはじめる。
伊藤さんの視線が下がっているのは疲れているのではない、生き物を探しているのだ
伊藤さんの視線が下がっているのは疲れているのではない、生き物を探しているのだ
しかし向かってみると、この道がなかなかとんでもなかった。
どんどん険しくなってくる
どんどん険しくなってくる
伊藤「見事な九十九折りっぷりですねえ」 萩原「こんなとこよく切り開きましたね」
伊藤「見事な九十九折りっぷりですねえ」
萩原「こんなとこよく切り開きましたね」
道の舗装はあっという間に途切れ、ものすごく急な山道になった。息を切らして登って行くものの、これぜんぜん15分じゃ着かない。と現地では思ったものの、帰ってからデジカメの写真のデータを見るとだいたい15分だった。正確!

がんばって進むと、目の前に巨大な岩壁が現れ、その下には看板が立っていた。
なんだかすごいところに出た
なんだかすごいところに出た
弘法大師ここでも仕事してたかー
弘法大師ここでも仕事してたかー
洞窟の前に、滝と弘法大師手彫りと言われる磨崖仏があるという。東吾野の石塔といい、秩父の山の中にはポワースポット的なものがこんなにカジュアルに点在しているのか。

萩原「糸のような冷水が神秘深さを...って流れてないですね」 伊藤「言ったもん勝ちですねえ」
萩原「糸のような冷水が神秘深さを...って流れてないですね」
伊藤「言ったもん勝ちですねえ」
近ごろ雨が少なかったせいか、糸のような冷水が流れているという滝は枯れていた。仕方なくもうひとつの弘法大師が手彫りしたという磨崖仏を見に行ってみる。
言われてみれば、あー...という感じ
言われてみれば、あー...という感じ
萩原「なんか、思ったよりやっつけだ」
伊藤「弘法大師そんな時間あったのかなあ」
萩原「今で言うラーメン屋にある芸能人のサインみたいな感じかも、せっかくだから何か書いてって、みたいな」

などと弘法大師にたいへん失礼な発言をしつつ、先に進んだ。

そこからさらに山道を登ると、急に平らな場所に出た。目の前には石の壁に張りつくように社のような建物があった。あれが観音のある洞窟の入口だ!

そう思って一直線に向かおうとしたとき、衝撃的な光景に出くわした。
ようやく着いた!
ようやく着いた!
あれ、トラック?
あれ、トラック?
ふつうに工場があった
ふつうに工場があった
苦労して登ってきたのに、そこには大きなトラックが停まっていて、道路が通っていた。なんというか、テーマパークの裏側を見てしまった気分になる。

でも洞窟の中の観音像は見てみたい。気を取り直して、岩に張りついた社の扉を開ける。
え?何これ
え?何これ
おいー!
おいー!
なんと、扉にはガッチリ南京錠がかけられ、開けることはできなかった。あれ、さっきのおじさん15分くらいで行ける、中も入れるって言ってたよなあ。

伊藤「あのおじさんが鍵かけてたら面白いですよね」
萩原「もしかして公開3時までとかじゃないですよね(この時点で3時5分)」
伊藤「だとしたらやっぱりあのおじさんの話は...」
萩原「僕の記事を邪魔する一派が...」

なんと、吾野駅最大の目的地を見ることができなかった。意味が分からない!

あまりに悔しいので、扉の隙間から中を撮ってみた。
中にもう一枚扉があり、それも閉まっていた
中にもう一枚扉があり、それも閉まっていた
というわけで、せっかくここまで登ってきたのにまったく見えないという結末に。重い足取りのまま駅に戻り、次の駅に向かった。
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虫歯の神様、西吾野駅

吾野駅の次は西吾野駅。吾野駅の反対側の隣は東吾野駅なので、ぜひ吾野駅を十字に横切る路線を通して北吾野駅と南吾野駅も作ってほしい。
アビーロードっぽく、と思ったけどぜんぜん違った
アビーロードっぽく、と思ったけどぜんぜん違った
萩原「西吾野駅は、...駅前に神社があるんですが、それ以外に見どころが何も見つけられていません」
伊藤「少し歩いてみましょうか」

この駅からは昭和44年に開通しているので、線路は高台を通り、国道や集落の中心から少し離れているのだ。でもストリートビューはこんな寂れた駅前まで入っていてすごい。
何もない駅前
何もない駅前
ひとまず国道の方まで坂を下って行ってみる
ひとまず国道の方まで坂を下って行ってみる
お、いい暗渠!(アンテナ張りすぎ)
お、いい暗渠!(アンテナ張りすぎ)
地元中学生の自転車置き場(グーグルマップで調査済)
地元中学生の自転車置き場(グーグルマップで調査済)
どうしようもないほどネタがないなか、駅から長い坂を降りて集落の入口までやってくると、周辺の地図が描かれた看板があった。

何か面白そうなものはないだろうか。
もうこの地図に賭けよう
もうこの地図に賭けよう
伊藤「虫歯の神様というのがありますよ、あと道路の開通記念碑も」 萩原「それだ!そこに行ってみましょう」
伊藤「虫歯の神様というのがありますよ、あと道路の開通記念碑も」
萩原「それだ!そこに行ってみましょう」
なぜ虫歯の神様なのか、一瞬も考えることなく行ってみることに決めた。それ以上のものはここにはない。

焦りから来る自信というものもあるのだと知った。
というわけでこんな道を進む
というわけでこんな道を進む
虫歯の神様に向かう道沿いには人家などもなく、片側が山、反対側が川という景色の中を進む。

ふと川の方を見ると、そんな場所の土手に椅子が2脚置いてあった。
緑の土手に椅子が2脚
緑の土手に椅子が2脚
いったい誰が何のために
いったい誰が何のために
しかし、立ち止まって考えても答えなど出ない。人の事情は知りようがないからだ。

さらに進むと、道路開通記念碑と治山事業の看板が建っていた。。
道は極めて普通だけど石碑は立派だ
道は極めて普通だけど石碑は立派だ
萩原「荒廃のきざし、っていい言葉ですね」
萩原「荒廃のきざし、っていい言葉ですね」
伊藤「こういう階段見ると上に何かあるかも、って思うようになりました」
伊藤「こういう階段見ると上に何かあるかも、って思うようになりました」
萩原「真っ赤な家!派手だ!」 <br>伊藤「パソコンのモニタで写真見たらモニタ壊れたと思うかも」
萩原「真っ赤な家!派手だ!」
伊藤「パソコンのモニタで写真見たらモニタ壊れたと思うかも」
ようやく人家が出てきたと思ったら目の覚めるような赤い色に塗装されていた。なんだろう、政治思想とかを表しているのだろうか。

そのままさらに歩いて行くと、道の分岐点に出た。

萩原「ここまで来ると行き過ぎかも」
伊藤「でも途中何もなかったですよね?」
萩原「もしかしてあれかも、いやでもまさか」

地図を確認すると、確かに行き過ぎていた。でもここまでの間、道路の開通記念碑と赤い家しかなかった...、いや、あまりに目立たなくて完全にノーマークだったけど、小さな道祖神のようなものがあった。

というわけでそこまで戻ってみる。

伊藤「これかー!」
道路脇にぽつんと佇む道祖神
道路脇にぽつんと佇む道祖神
飴がお供えされている、間違いなくこれだ!
飴がお供えされている、間違いなくこれだ!
しかしなぜ虫歯の神様なのか分からない。それに、こんな小さな道祖神が集落の案内板に載っているのも初めて見た。
だってこれである
だってこれである
でも調べても分からない調査はしない。これを見つけて満足して、西吾野駅に戻り電車に乗って先を急いだ。

乗降人数最小、正丸駅

続いて降りたのは正丸駅。調べたところ、1日あたりに乗り降りする人数が西武線でもっとも少ない駅とのことだ。

萩原「こんな取材でヘタに降りたらデータにブレが出ちゃうかも」
伊藤「数パーセント変わっちゃったりして」

「正」「丸」を表しているらしい
「正」「丸」を表しているらしい
萩原「この駅近くの国道沿いにドライブインがあって、その名前がすごいです。あと西武線の橋の橋脚がかっこいい場所があります」

と、駅を出た直後。

伊藤「ちょっと!この階段すごいですよ!」
目の錯覚ですごく降りにくい
目の錯覚ですごく降りにくい
伊藤さんが声を上げたのは駅前広場から下りる階段。

ものすごい急角度で、横にズレているうえ、段が斜めについている。よく分からないけど、目が錯覚を起こしてなんだかすごく降りづらい。

伊藤「これすごい!正丸駅これで十分じゃないですか?」

いくら乗降客が少ないからと言ってそれはあんまりである。というわけで、ドライブインのある国道まで出た。
すごい名前のレストラン
すごい名前のレストラン
伊藤「名前の割に見た目は控えめですね」
萩原「本当はここでお昼かな、と思っていたんですが(時間が押して吾野駅の食堂で食べてしまった)」
伊藤「あのフロートもものすごいことになってますね」
伊藤「あのフロートもものすごいことになってますね」
萩原「人気バツグンの日替わりランチ食べたかったんですが」 <br>伊藤「1日何食くらい出るんですかね」
萩原「人気バツグンの日替わりランチ食べたかったんですが」
伊藤「1日何食くらい出るんですかね」
その隣にも同じようなコンセプトの飲食店が並んでいた。
萩原「お店はいい雰囲気なんですけど」
萩原「お店はいい雰囲気なんですけど」
伊藤「看板の人がすごいです、客に恨みでもあるんですかね」
伊藤「看板の人がすごいです、客に恨みでもあるんですかね」
そのまま国道沿いの歩道を歩いて、かっこいい橋脚を見に行った。

萩原「すごく高くてかっこいいんですよ。上が細くて下が太くて、ソ連のロケットみたいな」

この国道は秩父のダムに行くときよく通るので、いつも車から見てかっこいいなあ、と思っていたのだ。
見えてきた!
見えてきた!
萩原「かっこいい!でも駅から歩いて見に来るほどではなかったかなあ」 伊藤「まあ、橋脚ですよね」
萩原「かっこいい!でも駅から歩いて見に来るほどではなかったかなあ」
伊藤「まあ、橋脚ですよね」
しかしいつも気になっていたものをじっくり見られて満足である。もうここを車で通っても橋脚に釘付けになって事故しそうになることもないだろう。
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なぜ川越

正丸駅に戻り、次の芦ケ久保駅へ向かう。
伊藤「どうしてこんなに川越推しなんだろう」 萩原「正丸駅から川越まで月に20人、とかノルマあったりして」
伊藤「どうしてこんなに川越推しなんだろう」 萩原「正丸駅から川越まで月に20人、とかノルマあったりして」
秩父さんぽ旅、って我々のことじゃん!
秩父さんぽ旅、って我々のことじゃん!

なぜ川越

伊藤「秩父さんぽ旅、西武も推してますよ」
萩原「吉高由里子さんだ」
伊藤「でも案の定、我々が行ったところは載ってません」
萩原「吉高さんが虫歯の神様とか行ってても困りますけどね」
伊藤「あの石塔とか」
萩原「あの斜面登ったんだ!って驚きますよ」

そうこうしているうちに電車は芦ケ久保駅に着いた。
ヒップホップ系を狙ったのだけどなんかどうしていいか分からない
ヒップホップ系を狙ったのだけどなんかどうしていいか分からない

電車の駅より道の駅、芦ケ久保駅

改札を出るなり、伊藤さんが「ちょっと聞き捨てならないキャラがいますよ」と走って行った。

それを追いかけて行くと、駅周辺の観光案内の看板にそいつがいた。
観光案内の看板
観光案内の看板
ブ、ブコーさん!?
ブ、ブコーさん!?
いやまあそうなんだけど、という第一印象。確かに武甲山は秩父のシンボルである。しかしキャラ化で大事なのは再現度ではないはずだ。ブコーさんは我々の前に大きな問題を突きつけたのではないか。体は和太鼓である。ブコーさん。

萩原「ところで芦ケ久保駅の見どころは駅前に道の駅があるところです」

というわけで階段を下りて道の駅に向かった。
大賑わい
大賑わい
萩原「駅前より道の駅の方が賑わってますね」
伊藤「ちょっと気恥ずかしくなるくらい賑わってる」
と、道の駅の建物にツバメがたくさん巣を作っていて、伊藤さんはその撮影に没頭しはじめた。
ツバメの巣って撮っちゃいますよね
ツバメの巣って撮っちゃいますよね
雛なのに口を真一文字に結んでて凛々しい
雛なのに口を真一文字に結んでて凛々しい
ツバメがいてくれてよかった。実は芦ケ久保駅、道の駅以外の見どころを見つけていないのだ。

何かネタはないかと歩き回ると、こんなものがあった。
電気自動車のスタンドだ
電気自動車のスタンドだ
ここでもブコーさん推し!
ここでもブコーさん推し!
普段は東京で暮らしているのだけど、電気自動車のスタンドを芦ケ久保で初めて見た。これからは、日産リーフを見るたびに芦ケ久保の道の駅と、ブコーさんをセットで思い出してしまいそうだ。

セメントの駅、横瀬駅

西武秩父線の旅、見どころがぜんぜんない割に意外と時間がかかってしまい、午前中に飯能を出たのにもう夕暮れになってしまった。

というわけで、芦ケ久保駅をあとにしていよいよ最後の途中駅、横瀬駅に向かった。
すべてはセメントのために
すべてはセメントのために
横瀬駅は、すぐ近くの武甲山から産出される石灰岩を原料にしたセメントの輸送基地だったところで、貨物列車からトラックに輸送手段が移ったいまも広大なヤードが残っている。
「ごらん、あれが武甲山だよ」「まあすてき」
「ごらん、あれが武甲山だよ」「まあすてき」
萩原「横瀬駅の見どころはやっぱり武甲山と、セメント工場くらいですかね」
伊藤「あ、寺坂棚田、これ有名な棚田なので行ってみませんか?」
萩原「いいですね、行きましょう」
急遽棚田に行くことに
急遽棚田に行くことに
日が暮れる!
日が暮れる!
武甲山とセメント工場は町中どこからでも見える
武甲山とセメント工場は町中どこからでも見える
伊藤「やっぱりセメント工場かっこいいですね」
伊藤「やっぱりセメント工場かっこいいですね」
萩原「あの歩道橋、足が短くてかわいい!」
萩原「あの歩道橋、足が短くてかわいい!」
伊藤「あれ全部ドッグフードの袋ですよね」
伊藤「あれ全部ドッグフードの袋ですよね」
気になるものを見つけてキャッキャウフフしながら歩いて行くと、日が暮れる寸前に何とか棚田に着いた。
おおお
おおお
これは驚いた。住宅地を歩いていると突然視界が開けて、広大な棚田が姿を現すのだ。しかも現地看板によるとこの棚田、鎌倉時代から存在するという。
秩父名物全部乗せの景色
秩父名物全部乗せの景色
武甲山にセメント工場、そして歴史ある棚田。この横瀬の要素をほとんど全部詰め込んだ景色は最終目的地にふさわしいと思う。

一日西武秩父線を乗り降りして、周辺は何もないと言えば何もないのだけど、やっぱりこの路線が廃止になったら大変だと思った。なのでみんなで正丸駅の乗降者数統計を狂わすくらい乗って、外人の株主に見せつけてやりたいと思う。

なんて思っていたら、前編と後編の間に西武鉄道の株主総会が行われて、西武側が勝ってひとまず廃止騒動は落ち着いたらしい。よかったよかった。
終点の西武秩父に着いたときは完全に日が暮れていた。ものすごく疲れた
終点の西武秩父に着いたときは完全に日が暮れていた。ものすごく疲れた

フォーエバー西武秩父線

付け焼き刃の知識で西武秩父線沿線を探索してみた。

実際に行くまで知らなかった見どころもあって楽しかったけど、きっとまだまだ眠っている魅力があると思う。なので有名じゃないけど面白い見どころを見つけたらぜひ教えてください。
帰りは特急で快適でした
帰りは特急で快適でした

告知:週末ダムトークライブ開催します

一昨年の秋に突然開催して日本中のダム好き、ダム関係者を唸らせた伝説のイベント、「ダムマニア展」がまさかの第二回を開催中です!

期間は来週月曜日15日まで。会場は神奈川県立相模湖交流センターです。

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またやってます!
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