特集 2013年6月26日

レッドブルでフレンチトーストを作る

見た目は文句なく美味しそうである
見た目は文句なく美味しそうである
急に暑くなってきたせいか、近ごろバテ気味である。季節は変わっても、まだカラダが夏になっていない。

そんなとき、つい栄養ドリンクに頼ってしまう。飲んでも効いたかどうかよく分からないし、飲み過ぎは良くないかも知れない。それなら料理に取り入れられないか。

と、休日の朝に甘いフレンチトーストを食べながらぼんやり考えた。フレンチトースト...これだ!
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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パンを浸す甘い汁

牛乳に砂糖と溶いた卵を混ぜ、パンを浸してバターで焼く。細かいバリエーション違いはあれど、大まかなフレンチトーストの造り方はこんな感じだろう。

つまり甘い汁に卵を溶き、それにパンを浸して焼けば同じようなものができ上がるはずだ。たとえば牛乳じゃなくて栄養ドリンクでも。

よく考えればこれはものすごい可能性を秘めているんじゃないか。甘い液体なら栄養ドリンク以外にも世の中にたくさんある。せっかくだからいろいろ試してみよう。

というわけでこんなラインナップを買ってきてみた。
迷って混乱した結果、甘くないものも入っていますがご了承ください
迷って混乱した結果、甘くないものも入っていますがご了承ください

オレンジジュース

さすがにフレンチトーストなんて簡単でメジャーなメニュー、もちろん僕のような料理素人が思いつくバリエーションは既に誰かがやっているだろう。と思って検索したら出てきたのが、オレンジジュースで作るフレンチトースト。

爽やかでおいしい、なんて感想もあって、ひとまず最初のステップとして買ってみた。
何となく素材の味で勝負したい、と思って100%を買ってみた
何となく素材の味で勝負したい、と思って100%を買ってみた
オレンジと卵でパンが真っ黄色に染まる
オレンジと卵でパンが真っ黄色に染まる
見た目は非常にオーソドックス
見た目は非常にオーソドックス
出来上がりをさっそくひと口食べてみる。

...腐ってる?

と脳が一瞬反応するくらい、甘さより早く酸っぱさを感じた。遠くに柑橘の樹がぼんやり立っているけど、吹き抜ける風は高原じゃなくて密林。湿度90%の中で熱々のオレンジゼリーを食べているような感じ。ぜんぜん爽やかじゃない。

そういえば僕はアップルパイとか、果物が熱い味があまり好きじゃないんだった。

もっと甘さがほしかったので、冷めてから粉砂糖をかけて食べたらまあまあ美味しくなった。ジュースの甘さが足りなかったのかも知れない。むしろ無果汁くらいの方がいいのだろうか。

グレープジュース

続いてはグレープジュース。これも果汁100%である。オレンジに対抗して、という思いと、まとめ買いが安かったのと、あと単純にパンが紫色に染まるところを見てみたかったのだ。
3本でちょっと割引価格、みたいなやつ(だけど2本しか買ってなかった)
3本でちょっと割引価格、みたいなやつ(だけど2本しか買ってなかった)
色合いとしては料理というより実験
色合いとしては料理というより実験
何度撮ってもホワイトバランスがおかしい感じ
何度撮ってもホワイトバランスがおかしい感じ
うん、これもオレンジと同じく、甘さより酸味が勝っている。100%果汁だけだと甘さが足りないようだ。とすると、普段食べているフレンチトーストはどんだけ砂糖入ってるんだ。

さっきのオレンジの風味より強くぶどうの存在を感じるけど、ぶどうパンとは違う。果たしてそれがおいしいのか、嬉しいのかが判断できない。脳にまだインプットされていない快楽なんじゃないか。

まったく知らないスポーツの、だけどスター選手にサインをもらったようなとまどいを感じた。

トマトジュース

3品目で早くも甘くないジュースの登場。甘いだけがフレンチトーストではない!きっとピザトーストみたいになるんじゃないか、という期待を持って買ってみたトマトジュース。

後から冷静に考えればぜったいそんなはずはない!と断言できるのだけど。
砂糖じゃなくて塩を少し入れました
砂糖じゃなくて塩を少し入れました
派手な色合いはいかにも夏っぽい
派手な色合いはいかにも夏っぽい
見た目からは不穏な気配が微塵もない
見た目からは不穏な気配が微塵もない
焼いている最中から、トマトケチャップのような(だた少し青臭い)においが立ちのぼり、見た目はすごくうまそう!僕は新しい朝食を作ってしまったかも知れない、と思いながらかぶりついた。

ぼげぇ。

食べちゃダメだ、食べちゃダメだ、食べちゃダメだ、って身体が言ってる。しょっぱくて青臭い、ぐにゅっとしたパン。テレビの旅番組で、ある地方の名物(?)料理を食べさせられたレポーターが「これはマズいですね」と思わず言った、という話を聞いたことがあるけど、こういうものを食べさせられたんじゃないかと思う。

あと、よく考えたら僕はトマトジュースが大嫌いなんだった。逆に、トマトジュースが大好きという妻は「おいしいじゃん」と言って残りを全部食べた。なぜだ。

コーヒー牛乳

お店で見つけてこれだ!と思って買ってきて調べたら当然のようにみんなが作ってたコーヒー牛乳。

きっとこれは間違いないよね。牛乳入ってるし、ってそこ?
いまだに仕事中たまに飲みます
いまだに仕事中たまに飲みます
色的にありそうでなかった組み合わせだけど悪くなさそう
色的にありそうでなかった組み合わせだけど悪くなさそう
少し食べてもう少し甘さがほしかったので粉砂糖をかけた
少し食べてもう少し甘さがほしかったので粉砂糖をかけた
フライパンの上から漂ってきた香り、これどこかで嗅いだことある。と思ったらディズニーランドだ。あそこで売ってるキャラメルだかなんだかのチュロスだかなんだかみたいな香りがする。

食べてみると、おお!と唸った。これはとてもいい感じ!甘くなくて、ちょっと苦みがあって、でもかすかに甘くて、コーヒーの風味がパンにとても合う。ちょっと大人のフレンチトーストである。

もう少し甘くしたくなったので粉砂糖をかけたら、もう立派な喫茶店メニューになった。でもその場合、何を一緒に飲めばいいんだろう。

いちごオレ

これもコーヒー牛乳と同じ流れ。冷静に考えなくても絶対間違いないはずのいちごオレ。

きっと子供が大喜びの味になるんじゃないかと思う。それは舌が大人になってない僕も大喜びである。
恥ずかしながらいまも年に2回くらい飲みたくなる
恥ずかしながらいまも年に2回くらい飲みたくなる
完全に子供の食べ物の色
完全に子供の食べ物の色
見た目は完璧である
見た目は完璧である
いや、香りとしてはこっちがディズニーランドだった。さっきのコーヒー牛乳はディズニーシー。

もう軽く目眩がするほど甘くてミルキーな香りが、築年数の経ったマンションに充満した。

味はまごうことなきフレンチトースト。それをほんのり人工的ないちごの風味が覆っている。これも粉砂糖をかけたら完成した。ただし出てくるのは喫茶店というより保育園だけど。
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コーンポタージュ

このへんでちょっと空気を変えたい、というか、正攻法だけじゃつまんないよね、と選んでみたコーンポタージュ。確かに甘い汁である。

ほら、パンをつけたり浸したりするじゃん、なら最初からそういう味の食べ物を作ったらいいんじゃないか、と思ったのだ。
パックに「家族の潤い」と書いてあった
パックに「家族の潤い」と書いてあった
なんかもうビタビタに浸った
なんかもうビタビタに浸った
表面がべろっと剥がれた
表面がべろっと剥がれた
香りはそのままコーンポタージュ。いい感じに焼き色がついていたのだけど、フライパンから皿に移すときに表面がそっくり剥がれてしまった。小麦粉が入っているから膜のようになったのかも知れない。

食べてみると、なぜかほとんど味がしない。とうもろこしの甘さはどこに行ってしまったんだろう。

逆にかすかな塩味があって、強いて言えば風邪を引いて寝込んでいるときに作ってもらった卵入り雑炊っぽいと思った。鶏の出汁。滋味。なぜかポタージュにパン、というオシャレな洋食イメージの対極に行ってしまった。

カルピス

ジュースとかいちご牛乳とか、十分甘いと思ったものでも甘さが足りなかった。それならもっと濃い甘い汁、ということでカルピスを選んでみた。

とは言え、原液のままだとさすがに濃すぎる感じがしたので、牛乳を少しだけ足した。
この企画のおかげで今年の夏はこれが飲めて嬉しい
この企画のおかげで今年の夏はこれが飲めて嬉しい
表面がテカテカしていかにも甘そう
表面がテカテカしていかにも甘そう
表面がかりっと仕上がった
表面がかりっと仕上がった
火を入れると甘い香りが強く漂った。まるで子供のころ飲んだかぜ薬のシロップみたいな、強烈に甘いにおいである。

そして、ひと口かじってみると、これまでとはまったく違う食感。表面がかりっとして、中がもちもちしている!

ああ、これはうまいっす。甘さの中にカルピスらしい酸味もあって、とても爽やかなヨーグルト味のパン。ひょっとしたらノーマルのフレンチトーストよりおいしいかも。

コカコーラ

満を持しての登場は、僕がもうほとんど中毒と言ってもいいコカコーラ。よくネットで見かける、コーラの中にどのくらい砂糖が入っているか、という恐ろしい画像で砂糖の量は折り紙付き。それにコーラ独特のスパイシーさと酸味がいいアクセントになるんじゃないかと思った。
僕は1.5リットルをアマゾンで箱買いしています
僕は1.5リットルをアマゾンで箱買いしています
しっかり浸した
しっかり浸した
焼くとほかと変わりなくなる
焼くとほかと変わりなくなる
熱したフライパンに載せると、たちまちコーラらしいスパイシーな香りが立ちのぼった。これはきっと期待できる!そして僕にとって新しい朝食ができるに違いない。

というわけで意気揚々とかじってみる。...あれ、コーラさんなんだかすごく甘さ控えめになってません...?

これまで出てきたオレンジ、グレープ、いちご牛乳などと同じく、甘さは遠くにぼんやりと佇んでいる感じ。コーラの風味はあるけど、コーラたるアイデンティティはまったくない。なに僕はフレンチトーストにアイデンティティとか言ってるんだ。

ひょっとして、もう少し煮詰めた方が良かったのかも知れない。

飲むヨーグルト

カルピスの成功に気を良くして、ここで冷蔵庫の中にあったヨーグルトと牛乳を混ぜて、飲むヨーグルトとして緊急参戦。

せっかく作るので、砂糖もやや多めに混ぜて、じっくり味を調節した。
これに砂糖と牛乳、卵を混ぜた
これに砂糖と牛乳、卵を混ぜた
浸すというより塗り込んで焼いた
浸すというより塗り込んで焼いた
ヨーグルトはどこへ消えた?
ヨーグルトはどこへ消えた?
特に香りは立たなかったけど、ひと口食べて驚いた。

ヨーグルトの酸味がしっかりしている。そしてものすごく濃厚、だけどやさしい甘さ。フランスの片田舎でおばあちゃんが秘伝のレシピで作りました、というくらいおいしい。たぶん熱でガゼリ菌もビフィズス菌も死滅してるだろうけど。

これまで新しいフレンチトーストを探して、何種類もの甘い汁にパンを浸してきたけど、圧倒的にこれがいちばんいい。もうこれ以上はないだろうと思える完成度の高さだった。

だけどまだやめられない。次が自分の中のメインイベントなのだから。

レッドブル

最近外国勢が相次いで襲来してきた栄養ドリンク界、その中でも特にドロリと甘いレッドブルを選んでみた。僕はF1好きなので、自分が買った代金のうちの何パーセントかがF1チームの運営にまわされて、車の部品やドライバーのギャラの一部になっているんじゃないか、という繋がりを感じてしまう。
翼をもらった感覚はあまり味わったことないけど
翼をもらった感覚はあまり味わったことないけど
キッチンにレッドブル臭が充満
キッチンにレッドブル臭が充満
果たしてエナジーフレンチトーストの味は
果たしてエナジーフレンチトーストの味は
あれだけ甘いレッドブルも、フレンチトーストにするとやっぱり甘さ控えめになり、逆に酸味は余計に目立つようになった。

粉砂糖をかけたら、一瞬、でもこれおいしい!と思ったけど、ふた口目に気のせいだと思い直した。

何だろう、もう小麦粉も砂糖も牛乳も存在しなくなってしまった未来、発達した科学技術を駆使して生み出された、理論上はフレンチトーストになるもの、という感じ。舌に残った後味の中に、明らかに砂糖や卵などとは違う、科学の味を数種類感じた。

これはきっと好き嫌いが分かれる(2:8くらい)。フレンチトースト界のドクターペッパーと言えるだろう。でも僕はもういいです。

残るべきものが残っている

何種類かの甘い汁でフレンチトーストを作ってみたけど、おいしい、と思ったものは既に誰かがやっていて、おいしくなかったものは誰もやっていないか、あるいはネット上にもほとんど痕跡が残っていなかった。

やっぱりレシピは残るべきものだけが残っているのだ。
最初に作ったのがおいしくなくて固まった
最初に作ったのがおいしくなくて固まった

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主催者が「またやるの?」と言うイベントもそうないと思う
主催者が「またやるの?」と言うイベントもそうないと思う
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