13種類の漬物集めました
というわけで、コロカル編集部のクリエイティブディレクターである滝戸ドリタさんと、デイリーポータルZ編集部から代表として古賀が今回も漬物を集めてきた。2人合わせて13種類がそろい踏みだ。
漬物の雰囲気を損なわないようにとはりきった結果二人で割烹着を着ることに。左:デイリーポータルZより筆者の古賀、右:コロカルより滝戸ドリタさん
漬物を前に私は口のなかによだれがたまる一方だが、上の写真を見るとドリタさんはすっかり目の瞳孔が開いているのが分かる。
二人ともおちつけ。
ドリタ「コロカルは『ローカルを学ぶ・暮らす・旅する』がテーマのサイトなので今回も私は地方の漬物を通販で集めてみました」
と、気を落ちつけてドリタさんが繰り出してきたのは長野、群馬、秋田、山形の漬物たち。
たとえば群馬の「玉ねぎたまり漬け」。パッケージの写真は一見普通のようであるが、こんな状態の玉ねぎ見たことない
山形からは「すいかの子っこ」というスイカのぺそら漬け。スイカも気になるが、「ぺそら」が分からな過ぎる
ドリタ「偶然かもしれないのですが、今回通販したところはどこもやたらにおまけしてくれたんです。メロンの浅漬け買ったらおまけにもう一袋くれたり」
ほう。そういえば以前、漬物を取り寄せたら買ったものと同量くらいのおまけを一緒に送ってもらったことがある。どうなっているのだ、漬物業界。
漬物に対してアグレッシブ、デパ地下
そんなドリタさんに対し、私はデパ地下で漬物に目を光らせてきた。
以前からデパ地下の漬物はどこか挑戦的だと思っていたのだ。
梅干しキムチ 100g 630円! それにしても梅干しのキムチって漬物を漬けてるということか
渋谷のデパ地下漬物店で人気No.1だという、トマト浅漬け
日常どまんなかのスーパーとは違い、デパ地下は「ちょっといつもは買わないものでも買おうかしらね」的なテンションの高さがあるだろう、食に対してほんのちょっとだけアグレッシブなのである。
漬物界ではトマトが断続的にブレイク中?
それにしても漬物のテナントでトマトの漬物(上の写真)が人気No.1だというのには驚いた。
どうもここ数年、漬物界ではトマトを漬ける流れが以前以上に加速しているらしい、と、情報をくれたのはカメラマンの山口徹花さんだ。
コロカルと連動での写真投稿企画も今回で3回目。山口さんは前回の
紙パック編に続き今回も美しい写真を撮りに来てくれた。なんと頼もしい。
今回も写真がきれいだと思ったら、プロが来てくれていたのでした。しかも、私んちに!!
京都の老舗の漬物屋さんには、うっかりトマトを漬け床に落としたら美味しかったそれ以来人気商品に的な伝説もあるらしいという話も聞かせてくれた。
うん、「うっかり○○したらおいしくて商品化!」。これが出たらその流行は間違いない、みたいなところあるよね。
居間にこれほどまででかい三脚が立つ日が来るとは(三脚がでかすぎて小柄な山口さんは背伸びをして撮影していた)
さて、味だ
では、そんなゆるゆると流行中らしいトマトの漬物から食べてみよう。
古賀「この青いトマトの浅漬け。これすごい。なんていったらいいんだろう。ぜんぜんトマトじゃない」
ドリタ「おいしいですね! 白菜ときゅうりが合わさったような」
古賀「あ、そうか、白菜か。そう思うと気分よく食べられますね。トマトだと思うとびっくりする!」
味は白菜。どうだ、想像つかないだろう
古賀「あとトマトの漬物はもう一種類ありました。完熟トマトとショウガの甘酢漬けです。買う時に甘酢をかけてくれてました。漬かった上にまだ足すという」
ドリタ「うわあ、見てるとつばがたまる」
デパ地下のサラダのコーナーで発見も、立派な漬物だ
ドリタ「あ、美味しいですね。酸っぱい。からい」
古賀「汗出るなあ。これ漬物というよりサラダかなあ。マリネっぽい。自分でも作れそう」
そういえばマリネは漬物に入るのだろうかと調べると、マリネという言葉がフランス語で「漬ける」という意味だそうだ。
なんだもう、おしゃれだなあ。
ということで、今回の投稿はマリネのような洋風の浅漬けもエントリーOKとします!
パリめ……
うなるウリ科
それぞれに持ち寄った漬物は偶然にも13種類中3種類がウリ科の野菜であった。
ドリタ「かぼちゃ、メロン、スイカは漬物としては珍しいなと思うのですが、全部ウリ科なんですよね。きゅうりの仲間」
古賀「ああ、そうかそうか」
まずはかぼちゃ。生で漬けてある
ドリタ「かぼちゃの甘味がない?」
古賀「うん。それこそきゅうりみたいですね」
ドリタ「かぼちゃのウリ部分が全面に出てる」
古賀「かぼちゃってウリだったんだなあと思わされますね」
おや、ということはこれもしかしたら続くメロンとスイカも全部きゅうり味ということだろうか。続いてメロン、いってみましょう。
きゅうりだったらどうしようと思いながら食べるメロン
ドリタ「いや、全然違いますよ味。メロン! メロンだ。これ、静岡のものなんですよ(ドリタさんは静岡育ち)」
古賀「わあ、あはは。メロンだ。メロンですね。甘い」
ドリタ「甘味が嫌な感じじゃないですよね。これもっと食べよう。切っていいですか」
ちなみにこのメロンの漬物、静岡で名産のクラウンメロンを育てる際に間引きしたものを使って作っているのだそう。
余ったから漬ける、この流れも漬物業界のあるあるだ。
続いて山形は尾花沢市のスイカの「ぺそら漬け」である「すいかの子っこ」
ドリタ「ぺそら漬け、というのは江戸時代に最上川、日本海を経由して関東や関西に野菜を持っていくときに荷崩れしたのを知らず、川水や海水に浸かったまま献上してしまったのがはじまり、だそうです」
「ぺそら漬け」は方言で水が染み込む事、柔らかくなる事の総称である「ぺそら」が由来だそうだ。で、この漬物の生産地の尾花沢市では薄くスライスしたすいかっ子と牛肉を乗せた「尾花沢牛ラーメン」を絶賛推しだし中だそうである、とドリタさん。
急にとうとうと解説し出したドリタさん。軽くろくろも回す予習ばっちりぶり!
古賀「見た目が奈良漬みたいなんですが、酒粕で漬けたわけではないのですね。においも奈良漬っぽいなあ……からっ!」
ドリタ「わあ、からい。これはからい。でもすごくあと引きますね」
メロンは漬物になっても甘かったが、スイカはからかった。漬物になって人生が分かれた両者である。
続いては秋田が誇る漬物、いぶりがっこ!
いぶりがっこは肉なのではないか
古賀「かおりすごい! ……そしてこれ、うん、当たり前かもしれないですがむちゃくちゃ美味しい。かおりは強いけど、味は暴力的ではないですね。うわあ、ただただおいしい。これ上等のじゃないですか」
ドリタ「高いものではなかったですよ。でも、うん。おいしい。かおりもすごい」
古賀「いぶりがっこってデフォルトでこれくらいのパフォーマンスがあるのかな」
いぶりがっこはナラや桜等の木で燻煙し乾燥させる。
秋田の天候的に天日での乾燥が難しいことから燻煙が考え出されたのだそうだ。
で、この燻製のかおりなのだ。
古賀「あ、ねえねえ、これだんだんソーセージ食べてるみたいな気持ちになりませんか」
ドリタ「わかる!」
会場ではこれもはや肉といっても過言ではない、といった空気になっていた。
肉だ
キムチのやりたい放題
さて、続いて古賀がデパ地下で仕入れてきたキムチ勢。買ってきたのは先に写真をご紹介した梅干しキムチとキムチにんにくである。
店頭にはさらに明太子キムチやらさきいかキムチやら、ノールールなキムチがいろいろと売られていた。キムチがそんなに自由だとは。
梅干しキムチには、なにしろごはんでしょう
古賀「おお、甘い?」
ドリタ「……甘い? ……ほんとだ、甘いですね」
古賀「酸っぱいというより甘い。酸っぱくて当たり前、辛くて当たり前って思って食べるからかすごく甘く感じる」
ドリタ「梅干しなんだけど、梅干しが遠いかな。キムチが勝ってる?」
梅干しという漬物をキムチとしてまた漬ける。結果的にキムチが梅干しを負かせた的な風情があったが、おいしい。
続くキムチにんにくはどうだ
古賀「あれ、なんだろう和風な感じがする。ああ、これも甘いなあ。梅干しとか沢庵がどんどん甘くなってるって聞いたことありますが、キムチも甘くなってきてるのかな。もともと甘いものなのか」
ドリタ「 キムチのあの海鮮の味がしますね。ちゃんとしてる」
余談だが、私の実家にはこういった小さなにんにくを食べる習慣がなかった。小学生のときに、同じクラスのいけてる女子がスーパーの前でしそにんにくの漬物を食べていたのを見て、なぜか「す、進んでる……!」感じたのを覚えている。
続いては……ハト?
タイの漬物は缶がハト
古賀「ハトですな」
ドリタ「はい。いや! 違う、ハトじゃないんです中身は。タイ菜の漬物です。デイリーポータルZといえばハトなのかなと思って買ってきました!」
古賀「(ウェブマスターの林がハト好きなだけなんだけどな……)あ、ありがとうございます。……うん、キャベツの漬物という感じかなあ」
ドリタ「キャベツとセロリがまざったような。これ、なんだろう。なんなんだろう。おいしいけど」
ピジョンブランド。「ハト印」みたいな感じだろうか
考えてみると、漬物は酢が多いこともあってか缶詰というのはあまり見たことがない。そして中身は野菜なのにパッケージがハト。どこもかしこも異国である。
今回はぜひとも、こんな海外の漬物の投稿もお待ちしておりますよう!
玉ねぎは全国的に漬けられがち
と、海外に向けた目線をもう一度日本にもどそうか。玉ねぎの漬物である。
群馬産、味噌の上澄みである「たまり」でたまねぎをまるごと漬けたもの。玉ねぎまるごとがまっ茶色なのは結構なインパクトがある。
煮てあるわけではない、漬かっているのだ
古賀「においは酸っぱいけど、あ、わあ、おいしい。つけ汁に砂糖は入ってないのに甘いなあ。玉ねぎの甘さって漬けても出てくるんだ」
ドリタ「全国的に玉ねぎって丸ごと漬ける文化があるみたいなんです。味噌とか」
古賀「あ! わかったぞこれらっきょうだ。味、らっきょうですね。甘酢で漬けたわけじゃないのに、ふしぎ」
なお、ドリタさんは玉ねぎをたべるとお腹を壊す(!)体質だそうで、この試食は欠席であった。なんと。
すし、という名の漬物
東北が本気出した、花ずし
さて、ここへきて変化球もいっておこうか。秋田の「花ずし」である。茄子の中に食用菊、唐辛子、餅米を詰めて麹に漬け込んだもの。
ナスに花と米を詰める。そして、漬けるのだ。
なぜだ。
人にまず「なぜ」と思わせる漬物である。
とりあえず、見る
ドリタ「…あっ、からい!」
古賀「しょっぱい! これ漬物が本気出してきた感じする」
ドリタ「秋田すごい、やっぱり東北すごいですね」
古賀「でも、でも、しみじみ本気で美味しいですね。すごくいいものだなあ。いいものだなあ。(と、全員に水を出す。やはり相当しょっぱい)」
まだあります! TVなどでもたびたび紹介されているという、確かにフレッシュなザーサイであるという感想だった「フレッシュザーサイ」。山口さんの手腕で彫刻のようである
ほおずきの、あの中の実! こんなに集まってるとこ、子供のころの私に見せてやりたい
パンが漬かってても驚かない
いぶりがっこに思わず肉を感じたり、梅干しとキムチがガチンコで戦っていたり。改めて漬物に感じ入るところのあった今日であった。
最後にドリタさんと今後何か自分で漬けるとしたら何を漬けようかと話していたのだが、豆、豆腐、芋……何を上げても概ねすでに料理として存在するからすごい。
古賀「まだ漬けられていないもの……。麺? パンか。漬けたらぼろぼろになっちゃいそう」
ドリタ「ベーグルなら大丈夫じゃないですか」
古賀「ああ、輪切りにしてね…って、ほんとに?!」
どなたか、ベーグルを漬けたことがある方がいたらぜひご応募ください!
投稿は #tsukemono_dc をつけてTwitterへ!
と、いいますわけで! 投稿企画「漬物だョ! 全員集合!」をどうかどうか、よろしくお願いいたします!
投稿方法
1・写真とコメントは ハッシュタグ #tsukemono_dc
をつけてTwitterへお寄せください
2・投稿はコロカルの
こちらのページに一覧で表示されます
3・投稿期間は 6/28 午前11時~7/4 午前11時 です
4・著作権等の詳しい事項も
コロカルの企画ページに記載しております
漬物という調理法のとんでもない幅のひろさをみんなで感じよう! ご投稿お待ちしています。
(応募期間は終了しました。たくさんのご投稿ありがとうございました。集まった漬物写真の
一覧を公開中です!)