釜谷ハワイにも非常にいい地獄がありました
そもそも観光資源として「地獄」にニーズがあるとはまったく思えないのですが、なぜかお金を持ってる変わったおじさん(おばさん?)て地獄を作りたがるんですよね。お金持ちとなるまでの過程で色々と思うところがあり「現代っ子に地獄の怖さを教え込んで世直ししなくては!」的な使命感に燃えちゃってるんですかね?
で、そんな「怖さを教えてやろう!」というパッションがほとばしりまくった結果、過剰にヒドイ表現の地獄が完成し、珍スポットと化してボクのような好事家を喜ばせてくれてるわけですが。
とはいえ、さすがにパッションに導かれるまま採算度外視&ノープランで地獄を生み出しているわけでもなく、温泉やリゾート地など黙っててもお客さんがやってくる場所の近くに作ることによって、メイン観光のついでに怖いもの見たさで訪れる顧客をゲットしているケースが多いんですけどね。地獄にも立地戦略が必要な時代なんですなぁ。
有名な「伊豆極楽苑」があるのもリゾート地ですから
今回紹介したい「地獄」もご多分に漏れず、遊園地やプール、ショッピングモールが一体となったテーマパーク・ラグーナ蒲郡や、愛知県下有数の古湯・三谷温泉などからほど近く、おそらくその辺の観光客がついでに訪れることによって成立していると思われる地獄です。
アピール過剰で意味不明に
ウッ……「珍」のニオイしかしない!
「大秘殿」なるド派手な看板がドーンと掲げられているわ、鳥居が立ってるわ、狛犬がいるわ、観音様や仏像もいるわと、パッと見の情報量が多すぎて地獄なのか寺なのか神社なのかワケの分からないことになっております。
さらに、看板などを細かく見ていくとますます混乱しそうですよ。
日本一お料理の神様奉安?
女人願かけ・おなご寺
開運必勝……
チベット・ラマ教の秘仏!?
とにかく人生相談から心霊写真、金縛りまで解決!
「色んな御利益があるぞ!」「色んなスゴイものが展示されてるぞ!」とゴリ押しアピールが強すぎるあまり、結局何の施設なのか、どんな意図で作られたものなのかサッパリ分からなくなってます。
この「日本一大洞窟延命十界めぐり」というのがメインのようです
あーだこーだと色々書いてありますが、要はこの「十界めぐり」をすれば色んな御利益を受けたり、色んなスゴイものを見ることができるってことなんでしょう。お目当ての「地獄」もこの中にあるみたいです。
それじゃさっそく、十界めぐりに行きましょう!
……と思ったんですが「十界めぐり」をする洞窟の外にも気になり過ぎるものがいっぱいあるんですよ
たとえばこちらは十二支をイメージした菩薩様らしいのですが
猿顔菩薩……キモイ!
馬面菩薩……昔『リンクの冒険』てゲームにこんな敵いたよね
ニワトリ菩薩……楳図かずお先生の名作『14歳』に出てくるチキン・ジョージ博士だッ!
さらに気持ち悪いイノシシ菩薩
なんだか猟奇的なワンワン菩薩
そして唐突に乃木将軍の像が
な……なんで、どーかしている十二支菩薩に混じって乃木希典将軍(明治天皇の後を追って殉死したことで有名)の像が!?
もうね、この手のスポットでは「どうして!?」とか考えた方が負けなんですけどね。それにしても半人半獣と明治の忠臣というのはアヴァンギャルド過ぎる組み合わせ!
……気を取り直して、今度こそ十界めぐりへゴー!
この階段を下ると洞窟の入口なのですが……
この階段を下ると洞窟の入口なのですが……
ま、またしても色々あり過ぎ
一瞬「今日は休みなのかな?」「もう潰れちゃったのかな?」という考えが頭をよぎりましたが(この手のスポットでは結構よくあることなんですよ)、上の建物にある受付でお金を払わないと入れないようになっているようです。
扉が開きました!
意味はよく分からないけどとにかく怖いぞ
オートマチックで扉が開いた「十界めぐり」の洞窟。
足を踏み入れてみると……。
壁面がコンクリで固められた、完全なる人工洞窟ですな
写真はストロボを使用して撮ってるので、実際はもうちょっと薄暗くて雰囲気もあるんですが、それでも「荘厳な霊場」というよりは「ビミョーな遊園地のお化け屋敷」的な雰囲気がビンビンに漂っております。
で、こんな感じの通路を進んでいくとところどころに……。
黄金の子ども×3
何、コレ!?
こういう像が設置されているのです。
この像スポットが十ヶ所あるから「十界めぐり」ってことなんだと思いますが、造型がぶっ飛んでいる上に解説文などもないため、何を表現しているのかはイマイチ分からず。
ブルース・リー師いうところの「考えるな、感じろ!」ってヤツでしょうか。……ということであまり深く考えずに感じていきたいと思います。
わー、腕に何かぶっ刺さってマスヨ!
理由は分からないが身もだえる人
さっそく「地獄」がはじまった! という感じがしてきましたが、だったら最初の金ピカ子どもは何だったんでしょうか?
ネロとパトラッシュをあの世に連行した天使的な表現だったのか? ……天使は地獄に連れてかないか。
全身緑になってぐったりしている人
あ、ツノ生えてる
地獄って、鬼が人間を責めて苦しめる場所だと思っていましたが、鬼がぶっ倒れてるって一体どういうこと?
……感じていきましょう。
こちらも鬼だと思うけど……
どうしてパンツの中に手を突っ込んでいるの? 何してるの、ねえねえッ!?
……感じてください。
意味は全く分からないが、とにかく気持ち悪い。真っ黒&血を流した人
足下には生首がゴロリ
造型もカラーリングも、わりとざっくりしているんですが、薄暗い中にいびつな像が転がっている様はすんごく気持ち悪くてゾワゾワしちゃいます。
そして極めつけは……。
なんかものすごいのが来た! 足下には腕を切られた女性(?)が転がってます
なんという怖ろしい顔!
この人は「摩醯首羅天」……要は破壊神として有名なシヴァ神らしいんですけど、シヴァ神ってこんな発情期のオランウータンみたいな顔してましたっけ?
また、こんな怖ろしい顔なのに武器がショボイというのも気になるところ
足下にいる子鬼(?)も完全に目がイッちゃってます
地獄の次は極楽……?
こんな気持ち悪い「地獄」的な像ばかりが続くのかと思いきや、そういうわけでもなく。
こーんな感じの
エロティックな仏様もいたり
なんだか愉快なお面が壁に貼られていたりもします
この金ピカ、壁に貼り付けてからスプレーしたと見えて、壁もちょっと金になっちゃってますね
仏様が妙にハイカラなよだけかけをしている違和感
あ、ヴァレンチノだ
落っこちてるの、この人は? 髪が逆立っております
洞窟を抜け、ちょっと広い空間に出ました
ドキドキゾワゾワさせられた洞窟も終わりかなと思ったら……。
しめ縄・ドクロ・裸の人・仏像の首・金ピカの人……本日ナンバー1ショック!
3メートルはあろうかという巨大壁画! ……と、その周りによく分からないオブジェ群。
おそらく地獄の恐怖的なものを表現しているんだとは思いますが、あまりの強烈なインパクトに脳の処理能力がおっつきません!
アク強すぎな壁画の脇に、こんな像があるのもまた意味不明……本日ナンバー1フェロモンの「裸弁天」!
この人だけちょっと他とタッチが違ってますよね
フーッ……やっと外か……
まだまだ続く不思議展示
脳が疲れる洞窟を抜け、ようやく明るい外界に出れたのですが、地上にも色んなワケの分からない展示がてんこ盛りでした。
ここの住職さんのコレクションらしいんですが……雑多すぎ!
通路に所狭しと民芸品っぽいコレクションが
かと思えば、イイ顔したおっさんの巨大な壁画
カツオを小脇に抱え、巨大なハマグリを持ったジワジワと笑える面白い顔のおっさん。
この人が「料理の神様」磐鹿六雁命ということらしいです。サイズはなんと10メートル×8メートル。スゴイ! ……けど、どうして唐突に料理の神様が?
脇には、料理の神様フィギュアが大量に並べられていました
「運」と書かれた太鼓。叩かれすぎて「運」がグッチャグチャになってます
さらに、歴代総理大臣の肖像画が……なぜ!?
歴代……といいつつ、最新の総理が竹下登なんですけど。昭和までの首相ってことなのかな?
中には描きかけの人も……。服だけ雑
鈴木貫太郎に至っては首だけしか描かれていません。どういう順番で描いたんだろ、この肖像画?
そして、巨大な達磨大師の絵も
その脇には西洋風の盾&武器
「歴史資料館」と書かれたお城
たぶんボール紙製
逆光で見づらいですが、大量の聖徳太子像が……
洞窟内もかなりメチャクチャではありましたが、まだ宗教世界的な統一感はありました。
一方、地上の展示はホントにジャンルがバラバラで、ただ単に住職さんの好きなものを並べているだけという感じが……。
カラオケや
漫画コーナーも完備しています
ラインナップが定食屋っぽい
まねき猫の型?
お土産コーナーにあった「祈祷済み無病パンツ」というのが気になります。祈祷パワーで医者いらずになれるんだとか
振り幅の広すぎる展示で脳が疲労しきってしまい、フラフラしていると、受付のおばちゃんが「疲れたでしょー、お茶でも飲んでいって」とお茶を持ってきてくれました。
せっかくなので、どうしてこんなにバラバラなジャンルのものが置かれているのか質問してみたところ……。
すべてのものは宇宙につながっている、だからすべてのものはひとつ……。
こんなコンセプトで、地獄も鳥居も鬼も仏も歴代総理もカラオケも、ジャンルや宗派の分け隔てなく展示しているということらしいです。
うーん、納得! ……はできないですけどね。
イヤー……すごいものを見ました
建物脇の階段を上がると
こんな展望台になっています
地下洞窟で色々なものを見過ぎたので、展望台に上がったらメチャクチャ爽やかな気持ちに!
ちなみにこの建物、屋根がドーム状になっているのですが……
この建物、実はもともとプラネタリウムだったらしいです。住職さんがプラネタリウムを買い取って、寺(?)に改造したんだとか。
どーしてプラネタリウムを寺にしようとしたのッ!? あ、宇宙つながりか?
脳内をのぞいたかのような体験でした
世界観やコンセプトがキッチリ一貫しているテーマパークも楽しいですが、世界観もコンセプトもジャンルもブレブレ、整合性は作った本人にしか理解できない……というタイプのスポットもいいもんです。
それって、作ったおっちゃんの脳の中をのぞいているような作業ですからね。他人の脳内をのぞいてクラクラする体験ってなかなかできないですよ。
今回、残念ながらここを作った住職さんには会えなかったんですが、住職さんは他にも愛知県内と岐阜県で同じような珍寺を運営しているんだとか。そっちにも近いうちに行かなくては!
延命山 大秘殿
愛知県蒲郡市三谷町鳶欠14番地
【電話番号】0533-68-2130
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】年中無休