北千住のまるかやというお店で出している
うずらの玉子を殻ごと出している店は、北千住にある「まるかや」という、生ホッピーを出す串焼き屋さん。
以前たまたまこの店に入り、殻ごと焼かれるうずらの玉子という驚くべき料理の存在を知って、再度取材のために来店した次第である。
北千住駅の西口を出て、適当な路地を歩いていたら出会いました。
北千住っぽい素敵なお店です。
室蘭の一部にあるメニューらしい
うずらの玉子を殻ごと串焼きにしたメニューを、この店では「うずらの玉子室蘭焼」と呼んでいる。
生のうずらの玉子を串に刺して焼き、そのまま殻ごと食べるのだ。
初めて見たとき、「え!」って思った。
店主が室蘭出身なのかと話を聞いてみると、別にそういうわけではなく、前にススキノの居酒屋で飲んだとき、殻つきのまま焼かれたうずらの玉子が「室蘭焼き」という名でメニューにあり、それを参考にしたのだとか。室蘭発、ススキノ経由、北千住着。
室蘭といえば、焼き鳥が鶏肉ではなく豚肉だという話を聞いたことがあるが、うずらの玉子が殻つきだという話は初耳だ。
室蘭ではなく、ススキノで出会ったメニューらしいです。
この店のメニューに加えるにあたって店主が調べたところ、室蘭でもうずらの玉子を必ず殻ごと焼くという訳ではなく、そういう店も中にはあるという程度らしい。それでも室蘭焼きとしてお勧めしてしまう店主はおおらかだ。
この店を訪れた室蘭出身の人がこれを食べて、「こんなの初めて食べるよ!」といったとか。とてもいい話だと思う。
本当に殻ごと焼いています。
海外の日本料理屋で焼きそばを注文したら、蕎麦を焼いたものが出てきたなんていう笑い話がある。
これもそういうノリの料理だったら面白いのだが、きっと室蘭のどこかに本家となる店が実在するのだろう。
生ホッピーのクリーミーな泡が素晴らしい。
これがうずらの玉子の室蘭焼きだ
室蘭焼きは他の焼き物と同様にタレと塩があるそうで、せっかくなので両方注文してみた。
しばらくしてやってきた室蘭焼きは、なにか店に騙されている感がある、不思議なオーラを放っている。
手前がタレ、奥が塩。どうしても殻を剥きたくなってしまう。
この料理を初めて作った人は、殻を剥くのがさぞ面倒くさかったんだろうなと思いながら、久しぶりの室蘭焼きを口に運ぶ。
シャリシャリと歯にあたる玉子の殻。一瞬違和感を感じるが、すぐに食べて大丈夫なんだと思いなおす程度の歯ごたえ。
玉子の殻というと、どうしても固い鶏の玉子の殻をイメージしてしまうが、うずらの玉子の殻はそのサイズに比例して殻が薄いため、噛めばちゃんと潰れてくれる。なんとなく自分が強くなった気になれる。
歯ごたえとしては、川エビのから揚げとか、魚の骨せんべい程度といったところだろうか。
一口目はちょっと緊張しますが、すぐ慣れます。
エビフライの尻尾が好きな人なら、気に入る食感だと思う。
塩とタレで食べ比べてみると、まず玉子に塩は当然の組み合わせなので、まったく違和感なしなのだが、そこにザリザリとした殻の歯ごたえが加わるのがおもしろい。茹で玉子と薄焼きせんべいを一緒に食べているみたいな感じ。
それに対してタレはというと、淡い味の玉子に甘めのタレが掛かることで、なんだか新食感の和菓子でも食べているような気分になる。誰かにこれがなにかを教えずに、目隠しをして食べさせたい。
他の料理と並べると間違い探しみたいになるが、別に間違っているわけではない。
この殻つきに慣れてしまうと、殻なしのうずらの玉子を食べたら物足りなく感じてしまうと思う。私はとても気に入った。食べていてなんとなく、こんなことをしていいのだろうかと背徳感を感じるあたりがいい。
殻の歯ごたえが嫌だったり、殻を食べるというのが生理的にダメだったりする人も多いと思うが、個人的には応援したい食文化だと思う。本当に室蘭の食文化なのかは知らないけど。
ギンナンは殻つきじゃなかった。
室蘭焼きを出すだけあって、豚のモツ類もおいしかったです。
玉子を生むピッコロ大魔王。
殻ごと食べる室蘭焼きは、歯ごたえの楽しさが勝ちすぎて、うずらの玉子の中身の味がよくわからないけれど、私はこの室蘭焼きが好きだ。
八宝菜や中華丼の玉子が殻つきだったらどうかと思うけれど、串焼きは殻つきがいいと思う。