特集 2013年2月21日

どこまで新宿?

タカシマヤが新宿じゃないって言われても、新宿だよねえ。
タカシマヤが新宿じゃないって言われても、新宿だよねえ。
新宿駅南口のタカシマヤは、実は渋谷区千駄ヶ谷なので行政的には新宿じゃない。でもあそこって「新宿」だよねえ。

そんなふうに、行政的な区割りと、頭のなかにイメージとしてある街の範囲は違う。しかも一人一人違う。

みんなの思う街の範囲はどんななのか、新宿について聞いてみました。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:豆腐に醤油をかけるが、どちらも大豆だ

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

どこまで新宿と思うかを聞いてみた

どこまで新宿と思うかを聞いてみた


似たようなことは、当サイトライターの大山さんが「どこまで東京?」という記事でやっている。

これがあまりに面白いので、同じことをいろんな街のくくりでやってみたかったのだ。どこまで新宿?とか、どこまで横浜?とか。

なので、仕組みをつくった
なので、仕組みをつくった
なので、そのための仕組み(どこまでこの街?)を作って、いろんな人にどこまで新宿と思うかを教えてもらった。
当サイトライターのべつやくさんや、
当サイトライターのべつやくさんや、
西村さんなどなど
西村さんなどなど
それにTwitterでもお願いしたところ、たくさんの人に答えてもらえた(ありがとうございます)。一部を抜き出すと、こんな感じ。
東は末広亭あたりまで。南は小田急線が境界線で、紀伊国屋新宿南店は気分的に飛び地。(Tomさん)
東は末広亭あたりまで。南は小田急線が境界線で、紀伊国屋新宿南店は気分的に飛び地。(Tomさん)
東新宿は新宿だが、大久保に近づくと大久保になる。四谷四丁目のモスバーガーの向こうは新宿。十二社も新宿。(林さん)
東新宿は新宿だが、大久保に近づくと大久保になる。四谷四丁目のモスバーガーの向こうは新宿。十二社も新宿。(林さん)
実感としてはこんな感じ。大久保や百人町は新宿じゃないし、代々木は代々木。(味噌maxさん)
実感としてはこんな感じ。大久保や百人町は新宿じゃないし、代々木は代々木。(味噌maxさん)
ぱっと見ただけでも、大きさや形が全然違うのが分かる。

そしていろんな人のコメントを見ていると、「紀伊国屋は代々木なのか問題」「歌舞伎町は独立国家か問題」などが見えてきて面白かった。次のページでくわしく紹介します。
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まず全体像

みんなの思う新宿を重ね合わせた
みんなの思う新宿を重ね合わせた
みんなの思う新宿の範囲は少しづつ違う。

でも、意見が共通して色が濃くなっている部分は確かにあり、その境目で面白いことが起きてるということが分かった。一つずつ見てみよう。

紀伊国屋は代々木なのか問題

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新宿を南へ行くと、どこかで代々木になる。ただ、その境の気持ちが昔からよく分からなかった。何しろあっという間に代々木になるし。

この問題に対して、紀伊国屋新宿南店は新宿であるという意見と代々木であるという意見がぶつかっていた。

「紀伊国屋は新宿」(kaorunさん)
「紀伊国屋までは入る。」(クリハラさん)
「紀伊国屋新宿南店は気分的に飛び地。」(Tomさん)



分かる。ぼくもあそこは新宿だと思う。だってタカシマヤと通路で繋がってるもんね。一方で否定する意見は手厳しい。

「紀伊国屋は代々木。」(古賀さん)
紀伊国屋は新宿にあらず?
これもまあ分かる。タカシマヤと繋がってるっていっても、空中でかろうじてだ。しかも同じブロックには代々木の象徴ドコモタワーがあり、代々木と言われてもやむを得ない。

紀伊国屋は新宿における町田であるのかもしれない。

小田急線の踏切=国境説

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一方、駅の西側に関しては踏切の向こうが代々木という認識で一致しているようだ。

「小田急の踏切までが新宿という感じです。」 (タケシさん)
「小田急線の踏切までは新宿。」(林さん)


ここまではサザンテラスが続いていて新宿の延長という感じだが、踏切を渡ると背の低い建物が並び、雰囲気が確かに変わる。

ただ、行政界的には甲州街道を渡った瞬間から実は代々木2丁目なのだ。これが市民の求める行政との乖離というやつだろうか。

西は十二社通りと山手通りまでの2つの勢力

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西の端は、都庁の向こう側、十二社通りまでという意見が目立った。

「西はパークタワーまで。十二社は十二社であり、新宿ではない。」 (べつやくさん)
「初台は新宿だけど十二社は違う。」(atupさん)


十二社は静かな住宅街で、超高層の西新宿のイメージとはがらっと変わる。ここを境とするのは確かに納得だ。
真ん中を南北に走るのが十二社通り
一方で、もっと西の山手通りまでが新宿だとする意見も多かった。

「西参道、角筈の交差点越えて山手通りの中間くらいまでが新宿かな」(ryさん)


これは、新宿に住んでいる人に多かった。つまり、新宿を知っている人ほど、高層ビルが立ち並ぶところだけが新宿というイメージではないということかもしれない。

その他の意見

北の端については、歌舞伎町の先からグラデーションのように大久保になっていくという意見が多かった。歌舞伎町は独立国家で新宿と思えないという意見も。

東の端は、四谷四丁目の交差点のあたりという意見が目立った。

「四谷四丁目のモスバーガーから新宿になる」(林さん)
ここから新宿が始まる
面白いのは、駅が強い影響を持つということだった。

「西武新宿はぎりぎり新宿」(べつやくさん)
「南新宿は新宿って感じがするけど、近くの代々木はnot新宿」(焼肉まつりさん)


歌舞伎町は歌舞伎町であって新宿じゃないという人でも、西武新宿駅は急に新宿に戻るという人もいた。やっぱり駅の名前の持つ力は大きいと思うのだ。
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行政界的にはどうなのか?

ここまで、みんなの思う新宿を見てきた。比較のために、行政的にはどうなのか?を見てみよう。新宿区新宿1丁目~7丁目まで。泣く子も黙る純新宿である。
新宿1丁目~7丁目
これはいかにも駅の東側に寄り過ぎている。歴史的にはこっちが新宿の中心で、新宿駅は街のはずれに作られたという経緯があるとはいえ、ぼくたちのイメージとは違う。

ではここに歌舞伎町1~2丁目と西新宿1~8丁目を加えてみよう。
新宿+西新宿+歌舞伎町
南口方面がばっつりカットされていることを除けば、だいたいイメージに重なるんじゃないだろうか?

「いやでもこれ新宿の全部でしょ」と思った人は、もしかして北新宿1~4丁目を忘れていたりするかもしれないので要注意だ。

残された問題、街のスキマ

「どこまで新宿?」については一応ここまでで分かったことにしよう。ぼくが夢想するのは、こんなふうにして「どこまで原宿?」「どこまで渋谷?」のようにあらゆる街が一つの地図に重なって行くことだ。

すると、そこには街の間のスキマができるんじゃないかと思うのだ。そこを調べたい。それがぼくにとっての残された問題である。

たとえば渋谷と恵比寿について見てみよう。次の地図は、ぼくの思う渋谷と恵比寿の範囲だ。
渋谷と恵比寿
真ん中のあたりに、渋谷でも恵比寿でもない、街のスキマが残されている。実際、明治通りのこの辺を渋谷のつもりで歩いていると、いつのまにか恵比寿についていた、みたいなことがあってよく分からないのだ。

しかし、以前住んでいてよく知っているという当サイトライターのべつやくれいさんによると


「東交番までが渋谷。そこから先は恵比寿」

という厳然たる区別があるそうで、つまりそれは単にぼくがその街について無知だからということなのかもしれない。知れば知るほど街のスキマは埋まるのか?そうでないのか?今後も見極めていきたい。

まとめ

「どこまで新宿?」を集計していて分かったことをまとめたい。

1. 街の範囲は、住んでいるか知っている人ほど広くなる。
2. 駅はその街の起点、中心である(例:新宿駅を囲まない人はいない)
3. 違う街の名前の駅は斥力として働く(例:代々木駅を囲んだ人はいない)

なお、今回の企画のために作った「どこまでこの街?」では引き続きみなさんの投稿をお待ちしています。新宿に限らず、ぜひみなさんの住んでいる街について、どこまでこの街だと感じるかを教えてください。
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