取材ってのは失敗することもあるの
いやー、冒頭からこんなこと書くのは気が引けるんですが、実は今回予定してたネタが取材失敗しちゃいましてねぇ……。
この高橋さんが審査員をつとめる珍発明展らしいのですが……
以前、デイリーポータルZでも記事にさせてもらい、イベントなどにも出演してもらった
珍発明家の高橋さんが「笑爆発明展」という、珍発明ばかりを集めた展覧会をやるっていうので、それを取材して記事にしようとしてたんですよ。高橋さんをはじめ、全国から珍発明家の人たちが集まって、珍発明をドドーンと展示するっていうんですもん、超・面白そうじゃないですか!
きっとこんな珍発明品がいっぱいあるんですよ!
で、その「笑爆発明展」を見に行くために栃木県の小山まで行ったんですが、着いた時にはもう終わってましてね……。イヤ、別にボクが遅刻してったとかじゃないんですよ! 17時までやってるって聞いてたから、15時過ぎくらいに会場に行ったのに、すでに展示物は片付けられガラーンとしててたんです。
看板も取り外されていました
あまりの出来事にボーゼンとしていたところ、珍発明家の高橋さんがフラフラ歩いてきたので捕まえてどーいうことかと問い詰めたところ「ああーっ、あんまり人来ないから早めに片付けちゃったー」とのこと。う……ウソーん!? いくら「早めに」といっても、予定より2時間近く終わらせちゃうなんてアリ? しかも、取材に行くって伝えてたじゃないのッ!
だいぶ早すぎますよ!
わざわざ小山まで出向いて収穫ナシで変えるわけにはいかないので、片付けた珍発明品たちをもう一回出して見せてもらおうと「いやー、せっかく東京から来たんだからなぁー……ちょっとくらい発明品が見たかったなぁー……2時間もかけて来たわけだからなぁー……」などと人情に訴えかける作戦でアピールしたものの、珍発明家さんたちの心にはまったく響かず、結局トボトボと手ブラで帰ったわけです。
悲しかったなぁ~、この帰り道
その後、代替企画の取材もやったのですがそっちもイマイチ面白くなかったんですよ。……ということで今回はお休み! ってわけにもいかないので、ちょっと前に行ったスポットの紹介に企画を変更させてもらいたいと思います。いやいや、手抜きじゃない、手抜きじゃないって! コレはコレで面白かったからさぁ!
へんてこなプラム園へ!
さて(気を取り直して……)今回紹介するのは、群馬県にある某プラム園。要は、プラム(すもも)狩りを楽しむことができる施設なんですが、「○○狩り」なんてどー考えてもファミリー向け、せいぜいカップルで行くのが普通という、完全なるリア充向けのスポット。
なんでそんなところに30代独身野郎が単身で乗り込んだのかというと。
まあお察しの通り、ちょっとへんてこなプラム園なんですよね
「バラエティ広場」「プラム狩り」「うさぎと遊ぼう」あたりのキャッチフレーズはまだ分かるんですが、一番上にどんな文字よりも巨大に、しかも飛び出し書体で書かれた「恐怖の洞窟」というフレーズが気になってしかたない。
プラム園と洞窟になんの関係があるっていうんだい!?
看板代わりの謎のオブジェにも……
うっすらと「恐怖の洞窟」の文字が
さて、到着しました「プラムの国」!
入園料は大人700円・子ども500円
色んな遊びができるようです
園内でのプラム食べ放題にくわえ、プラム一袋のおみやげ付き、さらに恐怖の洞窟、バラエティ広場等が遊び放題とはこりゃーお得! ……なのかどうかよく分からないけど、とりあえず入園!
この案内図で全貌を把握できる人はいるのだろうか? 矢印の場所が「恐怖の洞窟」っぽいんだけど、何がなんだか……
園内はファミリー連れがワイワイとプラムを狩っていて、やはりおっさんひとりというのはかなり浮きまくり。
「まあ、ボクの目当てはプラムじゃなくて恐怖の洞窟だから」と、今にも崩れてしまいそうな心をタイトロープダンサー状態でギリギリ保ち、プラム園のおっちゃんに「恐怖の洞窟ってどこにあるんですか?」と聞いてみることに。
「じゃ、案内すっから」とスタスタ歩き出すおっちゃん
「この辺の木が狩り時かなぁ~?」
「ほれ、美味しそうでしょ」
「恐怖の洞窟」の場所が知りたかったのに、なぜか食べ時のプラムを選んで皮までむいてくれたおっちゃん。
「じゃ、あとはそのナイフで皮をむいて食べてね! 帰りにはビニール袋に入る分だけお土産にしていいから」
……と言い残し、ナイフとビニール袋を渡して帰ってしまった。
確かにプラムは美味しいんですけどね……
あ、あの「恐怖の洞窟」は……。
仕方ないから、園内にちょこちょこ配置されている看板を頼りに自分でさがすことにしますか。
手作り感あふれすぎだよ
このマーク、お葬式でよく見るアレですよね
おっ、ここがバラエティ広場かな? 楽しそ……
うっ……
これはダーツコーナーかな……板、ボロボロです
この手の、何かに併設された遊戯施設のお約束通り、設置する時には気合いを入れたと思われるものの、その後のメンテナンスは全然してなさそう……というパターンですな。
まあ確かに、屋外に設置されているこういう施設のメンテってすごく大変そうですからねぇ。
このすべり台、よく見たら……
道路に設置されてるガードレールだ!
そういわれてみるとこの柱も……
バスケのゴールもガードレールで作られている!
またこのバラエティ広場が手作り感あふれまくり……なのはまだいいんですが、どこから入手してきたのか、やたらとガードレールが素材に使われているのが気になります。
ガードレールって個人で買えるモンなんですかねぇ?
さらに第2プラム園に向かう道もすごかった
ザ・手作りの橋! ……怖ええっ
そして、遂に見つけました「恐怖の洞窟」入口。もうアヤシサしか感じねぇ!
ショボくて怖い洞窟
血がしたたってるわりに丸文字なので妙にかわいらしい入口
さて、いよいよたどり着いた「恐怖の洞窟」ですが、コレがまた他の施設に輪をかけて手作り感丸出しなんです。
入口、明らかにカーテンだもんなぁ
ちょいちょい貼られている注意書きが
恐怖心をあおる……!?
「恐怖」というよりはマヌケ感のただよっている入口ですが、これだけ注意書きをされていると多少警戒心もわいてくるというもの。……それでは中に入ってみましょう。
うわ、真っ暗……
リアルに地面に穴を掘って作られた洞窟のため、中はホントに暗い! ……ということで、ここから先はフラッシュたきまくりで撮影しております。脳内で「本当は暗い」と思って下さいね。
「洞窟大明神」なる謎の仏像が飾られていました
「洞窟内の安全を祈願し、心を込めてお祈りをして下さい。あなたが無事に洞窟より戻ることが出来ますよう願っております。ではさようなら! 園長」
「ではさようなら!」って……!
鏡貼りの不気味な通路を抜けると……
何かいるーッ!
そして足下にも誰かいるーッ!
まあ、こうやってフラッシュを点けた状態で見ると、ただ単にマネキンの首が転がってるだけなんですけど、薄暗い中にいきなり生首が転がってると、コレがなかなかのビックリアイテムに変貌するんですよ。
ほら……
要はこの「恐怖の洞窟」ハンドメイドのお化け屋敷ということのようです。
基本的にありものを転がしてあるだけだし、明るくしちゃうと大して怖くないんですが、ほぼ真っ暗な中を歩いて行っていきなりコレを見ちゃうとなかなか心臓に悪い! ビクビクしながら進んでいきましょう。
うッ……なんかガラクタに埋もれたマネキンが
矢印にしたがって進んでいくと……
ギャーッ!
大変なことになっております
コレもフラッシュたいちゃうとわりと台無しなんですけどね……下半身はどうした、下半身は!
コレもおそらくマネキンに怪物のマスクをかぶせただけだと思いますが……
き……気持ち悪いよう
ドラム缶の中に沈められたマネキンの首&手
壁に埋め込まれたマネキン
ヒーッ! オソロシイ……
コレなんか、ただ単にマネキンの首を吊しただけなんだと思いますが、まったく手入れをしなかったおかげで(?)不気味な汚れっぷりに。
野外の遊戯施設の朽ち果てっぷりはちょっと悲しい気持ちにさせられましたが、お化け屋敷の場合は朽ち果てたおかげで気持ち悪さがアップしております。
そして、地獄の金八先生といった風貌のオバケ(?)も
何を「自由に御利用下さい」というのだ……
生き物がいっぱい!?
洞窟の中というシチュエーションゆえのナチュラルな真っ暗っぷりと、おそらく放置しっぱなしのせいで薄ら汚れたマネキンたちで、金のかかった遊園地のお化け屋敷よりも気持ち悪さがアップしている「恐怖の洞窟」。さすが「恐怖の」と銘打っているだけはある!
さてさて、続いてのコーナーもなかなか衝撃的です。
え……「生き物がいます」だって!?
うわーっ、ヘビ! ……もちろん作り物ですが
クモーッ! こちらも当然作り物
えーっと、えーっと……カラスかな? 糸で吊されてグルグル回っていました
ま、このあたりまではまだ「生き物がいます」コーナーとして許容できるのですが……。
ゴリラ!? ワンちゃん? い……生き物だけどさぁ
ば……バックスバニーッ!
フランケンシュタインの怪物はさすがに生き物枠ではないんじゃないでしょうか。だって死体から生み出した怪物だし……
あまりにも幅広い「生き物」の解釈に脳がクラクラしてきましたが、ここまで見てきて、どーもデジャヴ感覚というか、どっかで見たことある感がムクムクとわいてくるんですよ。
ここに来たのは間違いなくはじめてのハズだけど……。
あ、ガマ洞窟だ
プラムの国
ガマ洞窟
プラムの国
ガマ洞窟
プラムの国
ガマ洞窟
うーん、やっぱノリが似てますよね。
個人レベルで、ありものを使ってお化け屋敷を作ろうとすると、似たような感じになるってことなんでしょうか?
それにしても床屋の練習用マネキンの使い勝手のよさときたら……。おそらく、練習後のマネキンが安く手に入るんでしょうね。
生き物がいっぱい!?
まあガマ洞窟のことは置いといて「恐怖の洞窟」をさらに探検していきます。
ここまで色んな気持ち悪~いオブジェを見せつけられてきましたが、その中でも一番ビックリさせられたのがコレです!
自転車のペダルと足……?
壁に貼り付けられたゴミ袋(?)がちょっとめくれてて、そこから足が……。なんじゃこりゃ、とのぞき込むと。
いきなり足がペダルをこぎだしたーッ!
意味はまったく分からないけど、とにかくビックリした!
すごいイキオイでこぎまくり
ボロッボロのオブジェが洞窟内に放置されているだけのザ・アナログなお化け屋敷かと思っていたら、いきなり電動でガッショガッショ動き出したからホントにビックリしましたよ……。
さて、思いの外巨大だった「恐怖の洞窟」探検も終わりが近づいて参りました。洞窟の最後にはこんな仕掛けが!
「洞窟とお別れです、握手をして下さい」とは……?
あ、壁から手が……うわぁ~
こういうの知ってるよー。後楽園遊園地(おじさんは未だにこう呼んでしまう)のお化け屋敷とかで見たことあるよぉー。握手しようと手を伸ばしたらグワーッてオバケが出てきたりするんでしょ? そーでしょ!?
おそるおそる手を差し伸べたところ……
何も起こりませんでした
なんだそりゃ!
とにかく、ここまで来ればあとは出口から外に出るだけ……とはいかないのがこの「恐怖の洞窟」。
だって、やたらと注意書きがされているんだもん
衣服を汚したくない人は引き返せと……
出口が狭いから太りぎみの人は気をつけろと
とにかく衣服は汚れ、デブは気をつけなければならないような出口らしいのですが……。
確かに
どーしてこんな作りにしてしまったのか!? と思わずにはいられないほど狭い出口。大人だったらはいつくばって、ほふく前進状態じゃないと出られそうにありませんよ。こりゃあ確かに服は汚れるし、デブは引っかかっちゃいそうです。
ボクもできれば避けたいような出口なんですけど、引き返すとしたらまたあの気持ち悪い通路を延々と帰らなければならないわけで……。仕方ないのでニジニジと身をよじりながらムリヤリはい出すことに。
ホワーッ、なんという解放感!
あの悪夢のような洞窟から一歩外に出たら、またニコヤカ家族がワイワイとプラム狩りに興じている空間へ。この温度差、ちょっと対応しきれないですよ。
それにしても、こんなサワヤカなプラム園の片隅にどーしてあんな悪夢洞窟を作ってしまったのか? おっちゃんに聞いてみたところ、
「この辺は近くに果樹園が多いからね、差別化するために面白い遊び場を作ろうと思ったんだよ。子どもたちも喜ぶでしょ?」
確かに、ものすごーく差別化されたおかげで、ボクのようなロンリー30代でも来てみようという気になりましたからね。……でも子どもたちが喜ぶってのはどーなんでしょ? あんな洞窟にひとりで入ったらトラウマになりますよ!
「うーん、やっぱり泣いちゃう子も結構いるけどね……」
ほらー、やっぱり! その子、今頃トラウマになってると思いますよ。
そして最後に、コレだけは聞いておきたかった質問を。
やっぱり、偶然似ているだけのようです
プラム、あんまり食いませんでした
周りの果樹園との差別化という点では、他にこんなプラム園あるわけないので間違いなく成功してはいるんですが、「この差別化はファミリー向けか?」という疑問は抱かずにはいられませんでした。……ボク的には嬉しい差別化なんですけどね、ボク的には。
だって、あの洞窟で気持ち悪いオブジェを見まくってから外に出たら、ちょっと気分悪くてプラムを食べる気にならなかったですから。……あ、逆に「食べ放題」といっておきながら、気持ち悪いものを見せつけて食欲をなくし、あまり食べられないようにするという作戦だったのでは!? うーん、やっぱりファミリー向けの作戦じゃないなぁ。