特集 2012年9月2日

海と富士山頂を24時間以内に往復するマラソン大会

田子の浦の海岸。ここから富士山頂まで走って戻ってきます。24時間以内に。
田子の浦の海岸。ここから富士山頂まで走って戻ってきます。24時間以内に。
8月の頭に海と富士山の山頂を24時間以内に往復するマラソン大会に参加してきました。

今回はその大会のレポートです。暑くて景色が良くて楽しい大会でした。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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高低差3776m、走行距離112kmのマラソン

今回参加した大会は「2012 第10回 富士山頂往復マラニック」という大会です。静岡県富士市の田子の浦の海岸から富士山頂まで走り、再び田子の浦まで24時間以内に戻らなければなりません。走行距離は112㎞。高低差はおよそ3776m。多分日本で一番の高低差のある大会です。
この格好で富士山頂まで走ります。海岸辺りは気温30度ぐらい。頂上は10度以下になります。
この格好で富士山頂まで走ります。海岸辺りは気温30度ぐらい。頂上は10度以下になります。
スタート時刻は8月4日の18時。田子の浦をスタートしたら富士宮駅や浅間神社横を通過して富士スカイラインを走り、富士宮口から富士山頂へ。下山は同じルートか宝永山側かを選択して下り、5合目から再び富士スカイラインを走って元の道を戻ります。

より大きな地図で 富士山頂往復マラニック を表示
大体こんな感じのコース。
スタート地点に集合。例年は灯台の所からスタートですが、工事の関係で今回は少し高いところから。
スタート地点に集合。例年は灯台の所からスタートですが、工事の関係で今回は少し高いところから。
今回の参加人数はおよそ100人。このうち半分ぐらいしかゴール出来ない。
今回の参加人数はおよそ100人。このうち半分ぐらいしかゴール出来ない。
この大会ではスタート地点での荷物の預かりはありません。コースの途中に着替えなどを預けることも出来ません。水や食料の補給が出来るエイドはコンビニ以外無いので、水や食料も自分で持って走ることになります。
遠くに見える富士山。あの頂上まで走ります。なかなか近づかない。
遠くに見える富士山。あの頂上まで走ります。なかなか近づかない。
走る最中に必要の無い着替えや靴等を駅のコインロッカーに預ける人もいますが、数が少ないので私は全て持って走ることにしました。

それではスタートです。

補給が大変

浅間神社では夏祭り中でした。第1チェックポイント。この辺りでスタートから15kmぐらい。まだ都市部。
浅間神社では夏祭り中でした。第1チェックポイント。この辺りでスタートから15kmぐらい。まだ都市部。
最終のコンビニでは戻ってくるまでの水と食料を調達。水3リットルと食料各種。こんなに持って走る人はあまりいません。
最終のコンビニでは戻ってくるまでの水と食料を調達。水3リットルと食料各種。こんなに持って走る人はあまりいません。
スタートから暫くは街の中を走ります。20kmほど走るとコンビニは無くなり、25kmを過ぎると自販機も無くなります。利用する人もいないような場所なので。
8月のレースはとにかく暑い。暑さで走るのが嫌になってくる。
8月のレースはとにかく暑い。暑さで走るのが嫌になってくる。
女性ランナーの方々は、どなたも終始元気に走っていましたよ。
女性ランナーの方々は、どなたも終始元気に走っていましたよ。
私の場合、走っている最中にかなりの水を飲むので最終コンビニで調達する水、食料も多くなります。他にも走り終わった後の着替え、防寒具、雨具、医薬品、ライト、携帯、バッテリー各種、カメラ、三脚等を持っていたので、荷物はかなり重い。量っていないですが、10kg近くあったと思います。
スタートから36km。富士スカイラインの料金所跡付近で私設エイドを出してくれている方がいました。助かりました。ありがとうございます!
スタートから36km。富士スカイラインの料金所跡付近で私設エイドを出してくれている方がいました。助かりました。ありがとうございます!

ひたすら登り坂。そして渋滞。

25kmを過ぎると街路灯も無くなり森の中。ライトを手に走っていきます。
スカイラインから見る街の灯り。あの光の端から走ってきた訳です。
スカイラインから見る街の灯り。あの光の端から走ってきた訳です。
5日4時15分。第5チェックポイント、富士山五合目に到着。大体50kmぐらいの位置、ご来光はもうすぐ。
5日4時15分。第5チェックポイント、富士山五合目に到着。大体50kmぐらいの位置、ご来光はもうすぐ。
そして、夜が明ける少し前に富士山五合目に到着。富士宮口の登山道入り口までは舗装道路ですが、ここからは岩や砂ばかりの登山道となります。もちろん富士山頂を目指しているので、スタートからここまでほぼ全部登り坂。ここから先も急な登り坂です。
夜明けだ。トップランナーの人はもう下山し始めている頃。
夜明けだ。トップランナーの人はもう下山し始めている頃。
まだかなり元気。地上より若干涼しくて走りやすい。いや、もう走れる角度じゃない。
まだかなり元気。地上より若干涼しくて走りやすい。いや、もう走れる角度じゃない。
登山道に入りしばらく上がると夜が明けました。制限時間内にゴールするにはちょっと厳しい時間となってきました。先を急ぎます。
山頂はもうすぐ。
山頂はもうすぐ。
登山道も7合目を超えてくると岩場をよじ登るように進む所が多くなります。空気も薄くなる。

そして、ある程度予想はしていたのですが、この辺りで登山者の渋滞にはまりました。無理に横から抜くのは危険なので流れに合わせて進むしかありません。山には色々な速度で楽しむ人がいるので、遅い所では遅い速度に合わせます。

そんな感じで少し時間をとられながらも頂上までたどり着きました。
頂上到着!でも一番高い所は向こう側に見える剣ヶ峰。そして、この後海まで戻らないといけない。
頂上到着!でも一番高い所は向こう側に見える剣ヶ峰。そして、この後海まで戻らないといけない。
富士山の一番高い所は3776mの剣ヶ峰。頂上には前の晩から待機してランナーを迎えてくれる方々がいたので、そこに荷物を置いて最高峰へ向かいます。
遠くに見えるのは多分スタート地点。またあそこまで戻るのか。
遠くに見えるのは多分スタート地点。またあそこまで戻るのか。
富士山最高峰の石碑に並んでの記念撮影は長い行列が出来ていたので、石碑の撮影のみ。
富士山最高峰の石碑に並んでの記念撮影は長い行列が出来ていたので、石碑の撮影のみ。
そして、5日8時50分頃に剣ヶ峰に到着。ここが日本で一番高い場所です。実は富士山頂に来たのは初めて。初登頂がこのマラソン大会となりました。
火口スゲー!
火口スゲー!
登頂成功!さあ、急いで海まで帰るよ!
登頂成功!さあ、急いで海まで帰るよ!
さあ、ここから田子の浦の海まで戻ります。

急げ!急げ!

富士山頂を出発したのは5日9時半近く。18時までに田子の浦まで戻らなければリタイアとなります。残された時間は8時間半ほど。下りばかりですが56kmの距離となります。
頂上の神社付近は登ってきた人、これから下山する人などが混ざり、この時間でも大勢の人がいる。
頂上の神社付近は登ってきた人、これから下山する人などが混ざり、この時間でも大勢の人がいる。
下山道は登ってきた富士宮口を下るか、宝永山側に迂回するルートを選択できます。登りの渋滞があったので、比較的人の少ない宝永山側を選択。しかし、この選択は失敗でした。人は少ないものの凄い砂利道。ランニングシューズ内に激しく小石や砂が入り非常に痛い。思うように進めません。

それでも残り時間が少ないので、とにかく急ぎます。
延々と続く砂利道。
延々と続く砂利道。
しかも、この日開催されていた富士登山駅伝大会とコースがかぶる。選手が通る時には横に避けてしばし停止。
しかも、この日開催されていた富士登山駅伝大会とコースがかぶる。選手が通る時には横に避けてしばし停止。
急げ、急げ!
急げ、急げ!
スカイラインに出た。時刻は12時。走り続ければまだ間に合うか?
スカイラインに出た。時刻は12時。走り続ければまだ間に合うか?

一歩及ばず

下りは出来るだけ走り続け、なるべく休憩も少なくして進んでいきました。しかし、第11チェックポイント。スタートから97km地点。浅間神社の所まで戻って来たときには時刻は17時10分。残り時間は50分。残り距離は15km。

全く疲労していない時でも時間内ゴールは厳しい時間と距離です。この時点で主催者に電話でリタイアの連絡をいれました。これにてレースは終了。ゴールするには1時間ほど時間が足りず。着替えを全て持っていたので、最寄りの温泉施設に行き着替えてそのまま東京へ帰りました。

来年は時間内に海まで戻ってやる!
ゴールの部分が空白の記録記入表。来年は全部埋めてやる。
ゴールの部分が空白の記録記入表。来年は全部埋めてやる。
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