特集 2012年9月11日

サンタが仕入れるおもちゃはこれだ!2012

サンタが重点をおいて仕入れるおもちゃとは
サンタが重点をおいて仕入れるおもちゃとは
世の中にいるクリスマスプレゼントを待つ子ども。その膨大な人数を考えると、9月のいま、サンタはそろそろ準備を始めなければならない頃だろう。さて、今年はいったいどんなおもちゃを配ろうか。悩むところじゃのう。

と、そんなサンタの悩みに答える展示会が行われた。その名も「クリスマスおもちゃ見本市」である。

2012年、サンタはどんなおもちゃを仕入れようというのだろう。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:クリームチーズは既にチーズケーキであると主張する

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

プレゼントのおもちゃ、浅草に大集合

「クリスマスおもちゃ見本市」は東京玩具人形問屋協同組合が主催するおもちゃの展示会だ。

浅草の東京都立産業貿易センター台東館で今年は9月5日から6日の日程で行われた。
矢印の部分の文字が実際見るとでかくて面白い。浅草においでの際はぜひごらんください
矢印の部分の文字が実際見るとでかくて面白い。浅草においでの際はぜひごらんください
クリスマスでおもちゃ! という気満々で来場したからか、9月にツリーが出てきてもまったく違和感がなかった
クリスマスでおもちゃ! という気満々で来場したからか、9月にツリーが出てきてもまったく違和感がなかった
サンタ姿のスタッフさんにも動じなかったぞ
サンタ姿のスタッフさんにも動じなかったぞ

年末商戦仕様の展示会です

おもちゃの展示会といえば「東京おもちゃショー」が有名だが、この「クリスマスおもちゃ見本市」は名前のとおりクリスマス、平たくいえば年末商戦に向けて特化した展示会だ。おもちゃ業界の関係者やプレスがひしめく本気度の高さである。

サンタでいうと、末端サンタ(子の親)ではなく元締めサンタ(メーカー、卸業者、小売など)が多く集まっているわけだ。

各ブースやフリースペースではしきりに商談が行われていた。プロのサンタ同士の真剣勝負、それがこの見本市なのである。
そんな元締めサンタの頂点に立つサンタのみなさま(開会式に列席の組合理事関係者や台東区長)。人間としての迫力がサンタというよりレザボアドックスだ
そんな元締めサンタの頂点に立つサンタのみなさま(開会式に列席の組合理事関係者や台東区長)。人間としての迫力がサンタというよりレザボアドックスだ

プロが選ぶクリスマスおもちゃトップ10

さて、そんなプロ同士がぶつかりあう展示会で注目のおもちゃランキングが発表された。

「プロが選んだイチオシのクリスマスおもちゃ」トップ10だ。

あまたあるおもちゃの中から事前にプロがピックアップしたおもちゃの中から、これまたプロが投票で決定したランキングである。

去年までは会期中に投票を行っての事後発表だったそうだが、今年は事前集計で見本市初日に結果を知ることがでるようになった。

この結果こそまさに本稿タイトルである「サンタがもっとも仕入れるおもちゃ2012」、ではないか。
事前に配られたという投票用紙
事前に配られたという投票用紙

まずはざっとそのトップ10を紹介してしまえ

ランキングは男の子向けおもちゃ、女の子向けおもちゃ、知育・幼児向けおもちゃ、ゲーム、その他の5ジャンルに分けて発表されていた。

もったいぶらずに一気に各ジャンルベスト1を発表しようじゃないの。
エントリーおもちゃは会場入ってすぐのコーナーに展示されていた
エントリーおもちゃは会場入ってすぐのコーナーに展示されていた
男の子向けおもちゃ 1位 「変身ベルトDXウィザードライバー」<br> 毎年人気の仮面ライダー変身ベルトの2012年版
男の子向けおもちゃ 1位
「変身ベルトDXウィザードライバー」
毎年人気の仮面ライダー変身ベルトの2012年版
女の子向けおもちゃ 1位 「Tamagotchi P's」 <br>あの“たまごっち”の最新版
女の子向けおもちゃ 1位
「Tamagotchi P's」
あの“たまごっち”の最新版
知育・幼児おもちゃ 1位 「アンパンマン 英語もしゃべるよ おしゃべりいっぱい ことばずかんDX」 <br>乳幼児向けでは鉄板中の鉄板キャラ、アンパンマンの知育おもちゃ
知育・幼児おもちゃ 1位
「アンパンマン 英語もしゃべるよ おしゃべりいっぱい ことばずかんDX」
乳幼児向けでは鉄板中の鉄板キャラ、アンパンマンの知育おもちゃ
ゲーム 1位 「宝探しアドベンチャーTORE! 魔宮攻略GAME」 <br>日本テレビ系の人気番組がボードゲーム化されたもの
ゲーム 1位
「宝探しアドベンチャーTORE! 魔宮攻略GAME」
日本テレビ系の人気番組がボードゲーム化されたもの
パズル・雑貨・その他 1位 「ミミクリーペット」 <br>人間の言葉をまねして喋ってくれるというペットおもちゃ
パズル・雑貨・その他 1位
「ミミクリーペット」
人間の言葉をまねして喋ってくれるというペットおもちゃ

仮面ライダー、たまごっち、アンパンマン

あれ、どれも意外に見覚え、聞き覚えがある。2012年の人気おもちゃ今年33歳になった私の記憶と地続きであった。

正直おもちゃ業界はとんでもなく進歩して、いまどきのサンタは進化に進化を重ねて何がなんだか分からなくなっているようなおもちゃを仕入まくっているのだろうとばかり思っていた。

確かに進化はびしびし感じるが、まったく分からないほどではない。というのも、最近のおもちゃのヒットトレンドとして「かつての大ヒット商品の最新型、復活型」というのがあるらしい。
メーカーのブースでは復刻おもちゃの代名詞、野球盤も大きなスペースで展開。ドラえもんのキャラが空き地で野球……!
メーカーのブースでは復刻おもちゃの代名詞、野球盤も大きなスペースで展開。ドラえもんのキャラが空き地で野球……!
サッカーゲームは「ドライブキック強化で浮き玉ができるようになった」という進化が
サッカーゲームは「ドライブキック強化で浮き玉ができるようになった」という進化が

そのほかのおもちゃキーワード2012

とはいえ、復活型のおもちゃばかりが売れているわけではない。

スマホやタブレットを意識した「高機能、本物志向」のおもちゃというのももちろん台頭してきているそうだ。

そのほかの今年のおもちゃキーワードとして、時勢的に家族や友達など大勢で楽しめる「絆意識系」、デパートやスーパーに置いた筐体との「連動おもちゃ」なども熱い。
半分大人をターゲットにした「ハイターゲット&エイジレス」おもちゃも依然大人気
半分大人をターゲットにした「ハイターゲット&エイジレス」おもちゃも依然大人気
脈々と続く「変形」ブームも続行中。このロボットの顔、○のところが目だと思ったら、下の赤い部分が目だそうです
脈々と続く「変形」ブームも続行中。このロボットの顔、○のところが目だと思ったら、下の赤い部分が目だそうです
ウルトラマンは「卵型に変形する」という意外な進化をとげていた。力士だ
ウルトラマンは「卵型に変形する」という意外な進化をとげていた。力士だ

「孫へ」「甥っ子へ」目線を変えておもちゃを選ぶ

と、早くもざっくりしたクリスマスおもちゃの流れはつかめてしまった。実は今日の記事はここからが本番なのである。

クリスマスのおもちゃ、というと他シーズンより「プレゼント」の比重が高くなってくるだろう。

もらうのは子どもでも、あげるのは大人である。そして大人には立場や下心があるわけだ。

「子どもが欲しがるおもちゃ」をよそに「子どもにあげたいおもちゃ」というのもまたある。

さらにいうと、「自分の子どもにあげたい」と「孫にあげたい」もまた別なはずだ。もっと言えば「姪っ子、甥っ子に」「友達の子どもに」も選ぶ目線が変わってくる。
孫にあげたい、に特化したポップも多々見かけた。「孫へ」というおもちゃジャンルだ
孫にあげたい、に特化したポップも多々見かけた。「孫へ」というおもちゃジャンルだ

3人でおもちゃを選んでいきます

ここからは「祖父母」「親」「おじおば」「友人」などいろいろな人の気持ちになって各ブースのおもちゃを見ていこう。

ここまで筆者である古賀だけでレポートしてきたが、より多くのおもちゃを取り上げるべく、ここから当サイトのライター西村さん、大北さんにも加わってもらうことにした。
メンバー紹介、女の子に大人気のTV番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」に出演の福原遥さんと誕生日が一緒のライター西村まさゆき(手前)(以下敬称略)
メンバー紹介、女の子に大人気のTV番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」に出演の福原遥さんと誕生日が一緒のライター西村まさゆき(手前)(以下敬称略)
自身の2歳の娘が人形に「わたしお父さんきらいなのよ~」と喋らせていることを気に病むライター大北栄人(右)
自身の2歳の娘が人形に「わたしお父さんきらいなのよ~」と喋らせていることを気に病むライター大北栄人(右)
眉間のほくろの除去手術を行うも根深く残りいまだにほくろから解放されない編集部 古賀及子(左)
眉間のほくろの除去手術を行うも根深く残りいまだにほくろから解放されない編集部 古賀及子(左)
3人がそれぞれ「祖父母」に「親」に「おじおば」に「友人」にと立場を勝手に変えておもちゃを選んでいこうと思う。

まずは、孫へのプレゼントから選んでみようか。

クリスマスに孫にあげたいおもちゃを選ぶ。初めての体験である。
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迫り来る「遊びじゃないんだぞ」

いざおじいさん、おばあさんの気持ちになっておもちゃを選ぶとなってあたりを見回すと、自分が孫を持ったことがないからかちょっと体験したことのない高揚感である。

「よーっし! よちよち歩きのかわいい孫さにクリスマスプレゼント贈るべーよー」

と勇んで会場ブースに足を踏み入れた。のだが。
お盆商戦昨年対比122%!
お盆商戦昨年対比122%!
すみわけで複数購入を促進!
すみわけで複数購入を促進!
パブリシティの継続とWEBページの随時更新!
パブリシティの継続とWEBページの随時更新!
そ、そうだった。今日の見本市はメーカーや卸問屋と小売業者ががっぷり四つで年末商戦に向けての仕込を行うビジネスの戦場でもあるのだった。

会場のレイアウトは消費者の高揚を約束するポップや実績のアピールなどでかなりのあげあげムードである。年寄りの真似して丸めた背が伸びた。

プロのビジネスの邪魔にならないようにヨボヨボ進もう。
顔はめパネルの設置で効果的なターゲット集客が可能に
顔はめパネルの設置で効果的なターゲット集客が可能に

でかいおもちゃをあげたいんだ孫に!

なお、「孫」と一口で言ってもいろいろだろう。0歳の孫がいれば45歳の孫だっていると思う。年齢層によって選ぶべきおもちゃもまちまちだ。

ここは各メンバーが任意で「孫」の年齢層を設定しておもちゃを選ぶことにした。

まず「あっ! これ!」と声をあげたのは西村だ。
アンパンマンの運転席のおもちゃ
アンパンマンの運転席のおもちゃ
聞けば、今は7歳になる息子さんが、幼児のころクリスマスに祖父母から送られたものとほぼ同じものらしい。

「ぼくは東京住まいなんで家が狭いんですけど、親は地方で住宅が広いからか、でかいおもちゃくれるんですよね」

確かに大きなプレゼントというのは子どもには無条件で嬉しいだろう。さらにアンパンマンという鉄板キャラクターを投入である。おじいちゃん、おばあちゃんとしては間違いなさ100%のプレゼントだったのではないか。
アンパンマンのおもちゃは数社が入り乱れて発売しており大混戦の様相。顔つき的にネクストステージへの突入を思わせる商品もあった
アンパンマンのおもちゃは数社が入り乱れて発売しており大混戦の様相。顔つき的にネクストステージへの突入を思わせる商品もあった

おじいちゃんの趣味を語りたい

そんな西村、さて自分ならばどんなプレゼントを孫に贈りたいのか。

「やっぱりこれかな」と選んだのはドラえもんのボードゲームであった。

「『おじいちゃんが子どもの時からやってるアニメなんだぞー』つって話せたらいいじゃないですか」
ドラえもんの日本地図のボートゲーム
ドラえもんの日本地図のボートゲーム
西村は大の藤子・F・不二雄先生ファンでさらに地図好き。自身の趣味のすべてを詰め込んだともいえるこのゲームで孫と遊ぶというのだ、老後、輝かせすぎである。

自分ではない、孫を輝かせたいのだ

一方の大北はというと、西村とはちょっと違う切り口でおもちゃを探していた。

「もうね、孫を見たいんですよ。輝く孫を」

自分はもうどうだっていいという語り口だ。
選んだのは、マイク尽きのキーボードのおもちゃ
選んだのは、マイク尽きのキーボードのおもちゃ
「これで歌って踊る孫を目を細めて眺めたいです。最高じゃないですか」

大北のおもちゃを見つめる目には完全に未来の孫の姿が映っているように見える。

「このおもちゃちょっと大きすぎてうちだと置く場所がないんですよ。でも孫になら……、孫になら迷わず買える。輝いていて欲しいから!」
孫を思って頬もゆるむ
孫を思って頬もゆるむ
大北が「これも良い!」とふるえていたマイクスタンドとインカムのおもちゃ
大北が「これも良い!」とふるえていたマイクスタンドとインカムのおもちゃ

欲しがるものを素直にあげて人気を獲る

自分の老後を輝かせたい西村と、孫を最大限に輝かせようとする大北。そんな二人を横目に私はどうか。商品を見てもどうもいまひとつピンとこない。

イメージでしかないが、祖父母のプレゼントは親よりも自由度が高いように思う。経済的にも気持ち的にも余裕が違うといえばいいだろうか。だから、逆にいうと何でも買えてしまうのだ。選びようがない。

私がおじいさんであれば、作戦としてはやはり「孫のいうがままに買う」そうして孫の人気を獲る。これにつきるのではないか。
プリキュア全員! といわれれば、力(お金)の限り買える人数買ってやり
プリキュア全員! といわれれば、力(お金)の限り買える人数買ってやり
「ダンボール戦機」のおもちゃ! といわれれば、「なんだろうそれは」と思いながらいわれたとおりに買ってやる
「ダンボール戦機」のおもちゃ! といわれれば、「なんだろうそれは」と思いながらいわれたとおりに買ってやる
ちなみに「ダンボール戦機」というのは、衝撃を吸収する「強化ダンボール」を戦場としてロボットを戦わせるというストーリーらしい。

大北に言わせると「子どものおもちゃって、『なんでダンボール?!』っていう『なんで?!』の要素が多い」のだそうだ。
毎年入手困難になるほど人気の仮面ライダーのベルト、今年のは「シャバドゥビ~」と音が出るのだ。シャバドゥビ。「なんで」である
毎年入手困難になるほど人気の仮面ライダーのベルト、今年のは「シャバドゥビ~」と音が出るのだ。シャバドゥビ。「なんで」である

自分の子どもにあげたいプレゼントとの差

いきなりおじいちゃん、おばあちゃんの目線になってのプレゼント選びからはじめてしまったが、現実としては西村、大北、古賀3名とも孫はいない。実際いるのは小さな子どもである。

ここで今年のクリスマス、今度は「子ども」にあげたいと思うおもちゃもピックアップしてみた。

孫にあげるおもちゃとの違いはあるのか。
大北が選んだのは「はじめてのシルバニアファミリー」
大北が選んだのは「はじめてのシルバニアファミリー」

シルバニア……良い!

シルバニアファミリーはエポック社の動物のフィギュアのおもちゃ。ミニチュアの家や小物も充実していて私が子どものころもあこがれのおもちゃだった。1985年に発売して以来続くヒット商品だそうだ。

これを見たとたんに「良い!」と背筋を伸ばしたのは大北である。2歳の娘さんへのプレゼントとしては迷いなくこのシルバニアファミリーと決めていた。

「心穏やかで優しい子どもに育ちそうじゃないですか。森の仲間たちに囲まれて」
見るだけで心温められている2人
見るだけで心温められている2人
しかし選んだのは家の中でも一番小さなタイプ。

「だからね、うちは狭いんですよ。でかいお家は……置けないんですよ……」
現行での最上位版「カーポートのあるあこがれのお家」を見て軽く泣いていた大北である
現行での最上位版「カーポートのあるあこがれのお家」を見て軽く泣いていた大北である
もし相手が孫であったら親の制止をふりきってでもでかいお家を買ってしまうかもしれない。

が、後々の収納、清掃、部品の紛失とそれに伴う手配などを考えるとそうもいかないのが親のプレゼント選びなのだろう。
エポック社の受付コーナーにあったシルバニアファミリーの福引。これもたまらない!
エポック社の受付コーナーにあったシルバニアファミリーの福引。これもたまらない!
続いて西村が選んだのは、レゴブロック
続いて西村が選んだのは、レゴブロック

うちはレゴ一択と洗脳しています

西村が7歳の息子さんに選んだのはレゴブロック。

これはこの見本市の取材に入る前段階の話でも出ていたセレクトだった。

「うちはもう息子には洗脳してあるんです。何かにつけて“レゴな”って」
そしてレゴのスターウォーズの大きな模型を見てまた大北「うちには置く場所が……」となげく。うん、うちもだよ
そしてレゴのスターウォーズの大きな模型を見てまた大北「うちには置く場所が……」となげく。うん、うちもだよ
今年は全世界で女の子向けのレゴ「レゴ フレンズ」も発売されたそう。そんなことになっていたのか
今年は全世界で女の子向けのレゴ「レゴ フレンズ」も発売されたそう。そんなことになっていたのか

規格は絶対的に揃えなくてはいけない

西村がレゴにこだわるのにはもちろん理由がある。

「ブロックっていろいろ種類があるじゃないですか。混ざるとなんだか分からなくなっちゃうし、ピースも増やせないでしょう」

そうなのだ。ブロックはつなげて遊ぶおもちゃ。規格が違うとつながらない。子どもの遊びが成長するについれてブロックで作るものも大作になり、新たにピースを足すこともままある。

のだが、西村は「うちはうっかりいちどうっかり“ダイヤブロック”に手を出しちゃった」ことがあるというのだ。そりゃ一大事だ。
日本製ブロックの雄、ダイヤブロック
日本製ブロックの雄、ダイヤブロック
「でも、レゴはもうレゴで買うことに決めたのでダイヤブロックはあきらめたんです。ただ、今自分で欲しいのはナノブロックなんですよねえ」

ナノブロックは、ダイヤブロックのメーカーであるカワダが2008年に投入した新商品でキャッチコピーは“世界最小級ブロック”。とんでもなく小さいブロックだ。
ナノブロックで作った作品。うん、確かにかわいい……
ナノブロックで作った作品。うん、確かにかわいい……
レゴでふんばる西村家に他社ブロックからの攻勢がかけられつつある。5年後くらいに最終的なブロックのシェアがどうなったか聞いてみたい。
なお「自分が欲しいもの」を選び始めてしまうと際限がないので全体的に自粛した(写真はうっかり古賀自身が欲しくなったトランスフォーマー)
なお「自分が欲しいもの」を選び始めてしまうと際限がないので全体的に自粛した(写真はうっかり古賀自身が欲しくなったトランスフォーマー)
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おもちゃで学ばせたい下心

さて、最後にのこった私はというと、ここでもやはり迷っていた。

実際のところ上げたいのはガチガチの知育系おもちゃである。
くもんの「スタディクロック」。これで時間がわかるようになって欲しい!
くもんの「スタディクロック」。これで時間がわかるようになって欲しい!
私は子どものころもろもろの覚えが遅かったところがあるのだ。とくに時計がなかなか読めるようにならずに難儀した。

出た!「自分の子どもにはそういう思いをさせたくない」やつのアレ、である。

孫へのおもちゃが「輝いている子どもを見たい」がための投資なのであれば、子へのおもちゃは「できなくて困る子どもは見たくない」ための保険という部分もやはりあると思うのだ。
これもいいなあ。見た目も妙にかっこいい「くもんの日本地図パズル」
これもいいなあ。見た目も妙にかっこいい「くもんの日本地図パズル」
しかし、さすがにクリスマスのプレゼントに時計の勉強のおもちゃというのもやりすぎだろうか。受け取った子どもにしょんぼりされてしまっては本末転倒である。

ちなみにさきほどレゴを強く推していた西村も、本心では「トランプとかかるたとかで遊んで欲しいんですよね」といっていたのだった。

そういう、親があげて満足するおもちゃと子どもがよろこぶおもちゃの兼ね合いをじりじりと検討するのも親のおもちゃ選びなのだろう。
結局、子に向けて選んだのはこちら
結局、子に向けて選んだのはこちら

男の家には“らきゅう”があるんだ!

時計のおもちゃは置いておいて、子どもに買うべく選んだのは上の写真のブロックのおもちゃ。ここのところ5歳の息子が騒がしく欲しがっていたものである。

「男の家には“らきゅう”があるんだ!」

だから買ってくれ、とまでいわれていたのだが、そもそも“らきゅう”がなんだかわからずにいた。男の家にあるおもちゃ? なんだ?
あ、「LaQ」と書くのか!
あ、「LaQ」と書くのか!
ひらべったいパーツのブロック。これが、LaQ……!
ひらべったいパーツのブロック。これが、LaQ……!
この“LaQ(ラキュー)”、レゴとはずいぶんちがった形状のブロックで、曲面や球体を作ることができるという。パーツはかなり小さいが、これを幼稚園くらいの子どもが器用に組んでいるのは見たことがあった。

どこか海外のおもちゃかと思いきや(西村も存在は知っていたが、なぜかフランス製だと思い込んでいた)、奈良県のメーカーが国内で作っているのだそうだ。

曲面や球体が作れる、小さくても子どもが使える、幼稚園や保育園でも採用、奈良県発の国産などなど、親としても文句のいいようがないおもちゃが見つかってしまった。

「男の家にはLaQがあるんだ」との息子の発言とはうらはらに、女の子にも人気があるそうですよ。
奈良の吉野のメーカーということで「後醍醐天皇の模型を作っては」と提案する大北と、面食らう担当の方
奈良の吉野のメーカーということで「後醍醐天皇の模型を作っては」と提案する大北と、面食らう担当の方

甥っ子、姪っ子へのプレゼントは籠城戦で

さて、しがらみだらけの子へのプレゼント選びを終え、ここからはまたお楽しみだ。

続いて甥っ子、姪っ子へのプレゼントを選びたい。

労せず孫のようにかわいがれる甥っ子、姪っ子といえば、もう犬、猫、甥、姪と言ってもいいくらいの「ザ・かわいい」存在なのではないか。

3人の選者たちはどうするだろう。まずは大北だ。

「ものすごく無難に木のおもちゃ、海外のデザイナーが入ってそうなの……ですかね」
確かにきょうだいがこれを持ってきたら親としてもうれしい
確かにきょうだいがこれを持ってきたら親としてもうれしい
木馬が大きすぎなら、小さめの木のおもちゃもいくらでもある
木馬が大きすぎなら、小さめの木のおもちゃもいくらでもある
「とにかく負の感情を持ってもらいたくないから、徹底的に攻めに行きません。籠城戦です」大北の口からそうきたか、という宣言である。

姪っ子、甥っ子は当たり前であるが自分の「きょうだいの子」。気心が知れているだけにもうウケは狙わなくてもいいし、親族として親心さえあるからセンスの良いものを持っていて欲しい。

なるほど姪っ子、甥っ子へのプレゼントというよりもその親、きょうだいへのプレゼントとしての比重を置く考え方だ。

対して西村は親よりも子どもを喜ばせる作戦に出た。
やっぱりアンパンマン
やっぱりアンパンマン

小当たりできたらもうバンザイ

「ちょうど今年の3月に甥っ子ができたんです。で、まだお祝い贈ってないんで、いまどんなもの贈ろうかちょうど悩み中だったんですよ」

といって選んだのは、実際にいる甥っ子というモデルが立っていたこともあって乳児向けのアンパンマンのおもちゃだ。

「無難にアンパンマンのおもちゃとかがいいかなあ。乳児だとアンパンマンって、嫌いな子は居ないのでハズレることはないですよね。」

さらに大当たりすることもそんなにないかもしれないけれど、小当たりしてくれたらおじさんとしてはもうバンザイ、ということだった。こちらもやはり攻めるよりは守る選び方だ。
では、こんなのはどうだろう「ハッピーチュチュチュリボン」
では、こんなのはどうだろう「ハッピーチュチュチュリボン」

踊れ姪っ子

続けて古賀が選んだのは子供向けのTV番組「おはスタ」との連動おもちゃ、「ハッピーチュチュチュリボン」。

新体操のリボンをおもちゃ化したものだ。見るなり、そうだ、その手があったじゃないか! と一瞬でガッテンしてしまった。

リボン競技といえば、私の時代でだってみんなの憧れの的だった。それがおもちゃになっているのである。そりゃあ女の子たち、振り回したいだろう。
かわいい姪っ子が踊る予定が、おっさんが踊ってしまった「楽しいですよ、これ」
かわいい姪っ子が踊る予定が、おっさんが踊ってしまった「楽しいですよ、これ」
理論としては「輝く孫が見たい」と同じだが、祖父母世代には「おはスタ」は分からないかもしれない。こうなったらおじちゃん、おばちゃんがプレゼントするしかない。

踊る姪っ子をきょうだいや父母と一緒に目を細め眺める。クリスマスを越えて正月がやってきた。そんなおめでたさである。
甥っ子へはドキドキ系ゲームで一緒に遊んで票を稼ぐ方向で!
甥っ子へはドキドキ系ゲームで一緒に遊んで票を稼ぐ方向で!
さて、プレゼント選びもいよいよ佳境だ。

最後に友人の子どもへのプレゼントを選んでみよう。
同行3名をうならせた衝撃のおもちゃがここへ来て登場
同行3名をうならせた衝撃のおもちゃがここへ来て登場
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木のおもちゃは「友達の子どもへ」派

3人のプレゼンターもいよいよ息が切れてきた。いよいよ親族の枠を飛び出し、プレゼントが向かう先は友人の子どもへというところまで来てこれが最後のプレゼント選びとなる。

まずは西村。友達の子どもにクリスマスプレゼントを贈ることになりました。どうする?
西村、ここへ来て木のおもちゃをセレクト(写真はフランスのメーカー「DJECO(ジェコ)」のもの)
西村、ここへ来て木のおもちゃをセレクト(写真はフランスのメーカー「DJECO(ジェコ)」のもの)
さきほど甥っ子や姪っ子に大北が選んだ木製のおしゃれなおもちゃを、西村は友人の子どもに当ててきた。

「やっぱり友人には『いいセンスしてるわー』って思われたいですよ。だからヨーロッパ、できれば北欧系の木のおもちゃを選びます」

確かに、友人の子どもへともなるといよいよ子ども以上に大人(友人)を喜ばせたい思いの比重も高くなってくるだろう。

「自分がBRIO(スウェーデン王室御用達との触れ込みの高級おもちゃ)のをもらって『これは……』って黙らされたんですよね。それもあって」
こちらはドイツの「Hape(ハペ)」。ジェコとかハペとか、名前もかっこいい
こちらはドイツの「Hape(ハペ)」。ジェコとかハペとか、名前もかっこいい
一方、さきほど甥っ子や姪っ子に木のおもちゃをあげて一足先にいい顔をした大北はどうするか。

「西村さんと同じですね。友人ならなおさら木のおもちゃです」

やっぱり守りに入ってきた。
こちらもドイツから積み木の「HEROS」
こちらもドイツから積み木の「HEROS」

友達の胸を借りてでも贈りたい

しかし、悩んでいる様子もある。

「今日すごいおもちゃ見つけたんですよ。これをどうしたものかと……。もう勢いで、石川くんに贈っちゃおうかなとも思うくらいで」

石川くん、というのは当サイト編集部員、石川のことだ。大北とは学生時代からの付き合いで以前はサイトでも「ざんはわ」名義で共同で記事を書いていた。

親友クラスの友人と言ってもいいだろう。そんな石川の胸を借りて贈りたいプレゼントとは。
「リカちゃん くるくるかいてんずし」!
「リカちゃん くるくるかいてんずし」!
なんと、あの着せ替え人形のリカちゃんの回転ずしセットのおもちゃがあったのだ。

おもちゃには「なんで」が多いと言ったのは大北だったが、ここまでの「なんで」があるとは。「なんでリカちゃんが寿司職人に」大北だけでなく、これには3人ともにざわめきを隠せないところがあった。

大北は職人のリカちゃんばかりでなくボックスシートに座る家族にもまた目を奪われたようである。

「だって、回転すしのボックスシートでかっこいいお父さんが嫁の肩抱いてるんですよ」

これは買わいでか、である。
かっこいい!
かっこいい!
ちなみに「回転ずし」というのはおもちゃ界では珍しくないモチーフのようです
ちなみに「回転ずし」というのはおもちゃ界では珍しくないモチーフのようです
ちなみに、実際編集部の石川には子どもがいるのだが、男の子なのだった。

大北の気持ちの高ぶりは西村、古賀の両名でいさめておいたことを付記しておきます。

まだあるんだ! というおもちゃを

思いもよらぬリカちゃんの勇姿を目撃し、もうあとは白目で帰宅してもいいくらいの衝撃を受けたのだが、衝撃受けっぱなしで終わっては今日の夢見が悪い。

「友人の子に贈りたいプレゼント」を最後まで紹介しておこう。

3人目の選者として私が選んだのはこれ、ホッピングだ。

そう、あのホッピングが(言い方は失礼になってしまうけれど)「まだあった」のだ。
隅っこにではあるが、展示されていた
隅っこにではあるが、展示されていた
乗って飛び跳ねる、それだけのおもちゃなのになんであんなに人気があったのか。私が子どものころ(とすると15年~20年くらい前か)はみんな、夢中、というよりもなにか当然のように日々乗って遊んでいた。

近頃街では見かけなかったが、まだ新品として販売されていたのだ。

値段も2,079円と、友人の子に贈るには相手に気も使わせない価格ではないか。

友人の子と遊んで、友人とも「なつかしいねえ」なんて一緒に遊べたら、すごく平和じゃないかと思ったのだ。
その隣には「スポーツ竹馬」が。竹馬は時を経て「スポーツ」になっていた
その隣には「スポーツ竹馬」が。竹馬は時を経て「スポーツ」になっていた

「欲しい」「だめ」を一人で繰り返す

クリスマスのおもちゃ、ということで子どもに贈ることを前提としておもちゃを選んでみたが、とにかく「自分が欲しい」「子どもにあげたい」「友達にあげたい」と、なにかにつけて買う前提で脳が働くのが怖かった。

おもちゃの訴求力、すごいのだ。

おもちゃ屋といえば「欲しい」と泣く子どもを「だめ!」と引っ張る親の姿がマンガ的なお約束でもあるわけだが、その攻防を一人頭の中で繰り返した取材であった。

なにしろクリスマスまでまだあと3ヶ月のいま、末端サンタの活動の前に元締めサンタたちはもりもりに働いておられましたよ。よしこい、クリスマス!
西村カメラには歩くと口がぱかーっと開くスリッパの写真が大量におさめられていた。相当欲しかったんだろうな……
西村カメラには歩くと口がぱかーっと開くスリッパの写真が大量におさめられていた。相当欲しかったんだろうな……
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