長崎名物トルコライスの最新事情を、本場・長崎よりお届けします。
トルコライスとは、1枚の皿にカツとピラフとスパゲッティが乗った食べ物。カツはハンバーグになったりステーキになったりすることもある。ピラフも焼き飯になったり。様式が決まってるようで決まってない、わりと自由。そして長崎名物。ちなみにいわゆるトルコ共和国はあまり関係なく、長崎でガラパゴス的に普及してる食べ物である。
トルコライスについては以前にも記事に書いたが(⇒ 「
トルコライスのすべて」)、今回は最近の長崎の情報をお届けしたいと思う。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。
前の記事:針尾の無線塔がやばすぎる
> 個人サイト 長崎ガイド
「出島内外倶楽部レストラン」のトルコライス。
「レストラン ニュー小浜」のトルコライス。
「コロッケ(=店名)」のトルコライス
「カフェ・ド・シェル」のトルコライス。
「きっちんせいじ」のトルコライス。
と、トルコライスは実にたくさんあるわけだが、今回はその中から比較的新しい話題3つを紹介したいと思う。
本格フレンチのトルコライス
先日、当サイト・ライターの玉置さんが
取材で長崎に来られた時、
「トルコライスはどこがおすすめですか?」
と聞かれた。シンプルだが白熱教室のテーマにしてもいいくらい悩ましい質問である。
悩みながらふと、玉置さんが手に持っていた「るるぶ」を見せてもらった。すると、
あれっ!
なんと私の茶飲み友達且つトルコライス専門ブログ「
トルコライスマニアックス」の作者・神崎さんがおすすめを書いているではないか。なので、
「ああ、それ見て行けば間違いないですわー。」
と答えておいた。
2日後、玉置さんが次のように
ツイートしているのを発見。
るるぶに載っていた中から、ブラッスリーイトウというお店を選んだようだ。喜んでくれたようで嬉しい(ほぼ私は何もしてない&食べたことないが)。たしかにここは
トルコライスマニアックスでも絶賛されていて、私も行きたいと思っていたところだ。
…というわけで行って来た。
長崎は市内中心部、中通り商店街の一角にある。
何年か前に一度、飲み会の2次会で来たことがあったが、かなり本格的なフランス料理の店だったのを覚えている。トルコライスは比較的最近になって出し始めた。
「ブラッスリー・イトウ」のトルコライス (ランチタイム1,365円)
パスタ部
ピラフ部
カツ部
野菜も温野菜・生野菜とたっぷりついてイイ感じ。
ランチタイムで1,365円、ディナーだと1,680円という値段は、600~800円台が中心のトルコライス界の中ではわりと高い方。が、カツは長崎県産豚ロースカツレツ、ピラフは茂木産の海老が乗ったピラフ、サラダも温野菜と生野菜がたっぷりと乗っていて、満足度は非常に高い。たしかにこれは「想像を超える味」だった。
食後にはコーヒーも付く。
シェフの伊藤さんご夫妻。
伝説のトルコライス
お次はちょっと変わったお店。
その名も「おでんと石ころの店 ゆう」。
かなり変わった店名だ。
「おでんと小料理」、「おでんと焼酎」とかならわかるが、
「おでんと石ころ」だ。
「石ころ」のインパクトから、私の仲間内ではすっかり「石」だけで通じるようになっている。
外観はなかなかおしゃれなお店なのだが…
中に入るとこう!
ドアを開けるといきなり「おでん」の暖簾と赤ちょうちん。ログハウスのおしゃれな外観とのギャップがすごい。
しかもこれでトルコライスって一体どんななんだ?!…という感じだが、なんとここは名店・レストラン金子のトルコライスを伝承されたところなのだ。
レストラン金子とは…
レストラン金子とは、2008年1月に閉店した長崎にあったお店で、トルコライス好きの間では伝説化していた。
惜しまれながらも閉店した「レストラン金子」のトルコライス
ゴマ油を使ったチャーハンスタイルと、こんもりと立体的な盛りが特徴的。
当サイトライターの三土さんが長崎に来た時もそこを案内した。
が、残念ながらマスターの体調悪化のため閉店。
そのレストラン金子のトルコライスを受け継いだというのがこちら。
「おでんと石ころの店ゆう」のトルコライス(700円)
パスタ部
ピラフ部
カツ部
金子のマスターから直々に、一ヶ月間みっちり教わったそうで、再現度は非常に高い。そしてうまい!
聞けば、
・当初金子のマスターとは全然面識なかったが、厨房の工事をした業者さんのつてで紹介してくれた。
・教わる前に「面接」があった。
・トルコライスのみならず、ハヤシライスやカレーも教えてくれた。
とのこと。それで最初はおでんだけの予定だったのが、予想外の今のような展開になったそうだ。
店主の白石さん。
ちなみにおでんも相当うまいらしい。
こちらのブログを読んで食べに行きたいなーと思っていたが、行くとついトルコライスを頼んでしまってそれ以外のものをまだ食べたことがない。(ちなみに夏場はおでんはやってないそうだ)
店名にある「石ころ」は天然石のこととのことで、店内にはアクセサリー類がいろいろおいてある。「実家が時計屋なので」とのこと。
「石ころ」の謎解明。アクセサリー類がいろいろ置いてある。
おでんの店だが、外にはトルコライスの幟が立ち並んでるという不思議感。
字体すごい。
お店データ
おでんと石ころのお店 ゆう
長崎市中里町1680-3
TEL:095-865-9033
一周してトルコライスに
3つめは何度も記事で書かせて頂いている長崎は大村にあるレストラン・ハワイ。
レストラン・ハワイ。
ここはパフェが470種類以上もある上にピザ、スパゲッティ、丼ものとメニューも豊富。が、なぜかトルコライスは今までなかった。
何度かマスターにトルコライスは作らないんですか?と尋ねてみたものの、コストや手間などの点から難色を示されていた。
丼(どんぶり)+ドリア
ピザ+丼 (写真はそのご飯部分)
「レストラン・ハワイ」のハワイアン・トルコライス。 (ハワイもトルコも関係ないあたりがすごい)
ピラフ部
パスタ部
カツ部
最高値のトルコライス
ついにできあがったトルコライス、値段はなんと2,500円。私が知る限り最も高いトルコライスだ(値段が高くなってしまったことについてはマスターもだいぶ気にされていた)。
が、さすがにその中身はすごい。
具材がたっぷり入ったチャーハンスタイルのライスには、カレーに溶き卵を混ぜた独特の味わいの「たまたまミート」がかかっており、さらにその上に長崎産豚肉を米油で揚げたカツ。どのパーツもうまかったが、パスタ部分は最も不思議なおいしさで、後で聞いてみたところ、
・イタリア格付けNo.1のデルヴェルデを
・エキストラバージンオリーブオイルで炒め、
・しょうが焼き名人の秘伝のタレでもって味付け
したもの、とのこと。しょうが焼きの味付けのパスタとか、言われないとわからないだろう。カレーに使ってるガラムマサラもインドから直送のものとのことで、かなり独特の香り。シーフードも付いてる。それらが皿の上で混じり合い、もう「ワ~~~ッ!!」って感じ。
他にもいろいろ、ちょっと書ききれないくらいポイントがあったが省略。強烈なインパクトのトルコライスだった。(
男パフェで食べた「貴族」を思い出した)
かなり満腹。
ボリュームはかなりあり、相当満腹になった。
もっともこれは、取り皿が付いてきて二人でシェアして食べてもいいもの、とのことだったが、
「いえ!ひとり1皿ずつで!」
と言ってシェアせずに食べたからというのもある。
(ミスター・トルコライスの神崎さんと一緒に訪れた)
店の入り口には神社ができていた。ますますカオスになっていくハワイ。
マスターの山口さん。
昔のガイドブックと今のガイドブック
ところで、1ページ目に出てきた「るるぶ」だが、それについて少し思うところがあった。
るるぶ紙面より
最近のガイドブックには、こんなふうにバーン!!とトルコライスが見開きで載ってるのが当たり前になったが、数年前はまるで違った。
私がまだ長崎に住む前、1998年のマップル。
トルコライスの扱いがものすごく小さい!
私が観光客として訪れていた頃のを見ると、当時のガイドブックにはトルコライスのことがほとんど載ってない。
トルコライス自体はその頃から(もっと昔から)長崎ではメジャーだったが、長崎名物として全国に知られるようになったのはここ10年くらい、ネットの普及によってローカルフード情報のグローバル化が進んでからだ。
ではトルコライスがウリのお店はどんな風に紹介されるのかな…と思って見ると、なんの説明もなくさらりと「トルコライスが名物」と書いてあったり、「幾つもある長崎名物のひとつ」みたいな、モヤッとした書き方で書かれていた。
久しぶりにその頃のガイドブックを読んでみたら、
「そういえば昔(それほど昔でもないが)のガイドブックってこういう書き方だったなぁ…」
と、紙面の構成の懐かしさと内容自体の懐かしさにしばらく読み耽ってしまった。