金八ロケ地の近くに気になる店が……
『3年B組金八先生』のロケ地として有名な堀切。
ドラマ中にもよく出てくる堀切駅
歩いていると思わず「贈る言葉」や「人として」を口ずさみたくなってしまう例の土手はもちろん、ドラマ中にしばしば登場する通りやガード、さらには生徒の家や学校まで(ま、学校はかなり雰囲気が変わっちゃってますが)金八ファンなら「あっ、ここ見たことある!」とコーフンしまくり必至な、まさに金八テーマパーク状態の街なのだ。
あの土手
通称「金八通り」
このガードもよく出てきます
舞台となった学校はだいぶ様変わりしているが……
『金八先生』を愛して止まないボクは、ちょいちょいこの辺りを訪れて坂本金八気分にひたっているのだが、今回紹介したいのはもちろんドラマのロケ地ではなく、金八巡りをしている最中に見かけた気になるハンバーガー屋さん。
店構えからしていい味を出している……というか、ちょっとアヤシゲなお店で、結構前から気にはなっていたものの、金八スポットに気を取られて入ったことはなかったので、今回、いよいよ取材してみようかと……。
こんな感じで行きそびれていました
この店、やってるのか?
この手のお店を取材する時、あらかじめ電話して取材依頼をしておく場合と、とりあえず直接行ってみてその場で「取材させて~」と頼んでみる場合とがあって、その時々でふさわしいと思われる対応をしているんですよ。
こういう場合は直接行った方が話が早いですね
で、今回の場合は事前に電話しておいた方がいいかなと判断し、電話番号を調べてかけてみたところ……なんと「現在、使われておりません」とのアナウンスが。え、潰れちゃったの、あの店!?
「面白スポットは一期一会」という言葉もあるように(ボクが作ったんだけど)、変わったお店とか観光地って、ちょっと目を離してるスキに潰れちゃうケースも多いの。だからこそ、気になったら即・行っておくべきだったのに……。
ああーっ、やってもうたー! またひとつ気になる面白スポットを見逃してしまったーッ!
こちらも気付いたら潰れてた「蒲郡ファンタジー館」うう……一期一会
ショックのあまり半日くらい寝込んだ挙げ句、それでも諦めきれず、とりあえずお店がどのような状態になっているのか直接見に行ってみることに。
すると……こんな状態になってました。
うわ、廃墟……!?
実は、ウェブマスターの林さんが2004年に「
ごはんにあうハンバーガーはどれだ?」という記事でこの店の外観写真を載せていたのだけれど、8年経つとお店ってこんなに風化してしまうもんなのか!
在りし日の姿
カラフルな看板も今はもうナシ
コレは確実に潰れてるでしょ。
看板は完全に朽ち果て、お店自体もボロボロ。そして店内は真っ暗。
店内は漆黒の闇に包まれている……
うーん、いくらなんでもこれで営業しているワケが……あ。
え……営業中?
これまた随分とボロボロな「営業中」なる看板が地べたに転がっている。
いやいや、この「営業中」の看板自体が朽ち果てて、ここに転がっているだけだろう。……と思いつつ、入口のドアに手をかけてみると……あ、開いてるぞ!?
店内は昼間とは思えない薄暗さ
入口は開いていたものの、店内のあまりの暗さに、この段階でもまだ「潰れて空き家となった廃屋がドアが開けっ放しのまま放置されている」という可能性を拭いきれずにいたのだが、その暗闇の中にうごめく影が!
「いらっしゃいませ~」
ウワーッ! び、ビックリしたぁ~……って、よく考えてみりゃお店に人がいたって何もビックリする要素ないんだけどね。そのくらい、潰れてる感がビンビンに漂いまくっていたということですよ。
いやー、いくら経費削減っていっても、こんなに店内が暗くっちゃ、お店がやってないと思われちゃうんじゃないですか? そういえばエアコンも……。
「経費削減だからね、つけてないよ」
どうりで店内が異様に暑いと思った。それじゃ、まさか電話が通じなかったのも?
「削れるところはドンドン削っていかないとね。電話回線も解約しちゃった」
いやいやいや、問い合わせの電話が通じなかったら、フツーは潰れたと思われちゃいますって!
今時、一個100円でやっていくのは大変でしょうねぇ
しかしなぜ、ここまで経費削減を徹底しなければならないのか? それは、創業した17年前からのメインメニュー「立石バーガー」の値段が100円だから。
確かに大量生産しているであろうチェーン店ならともかく、一個一個手作りしているハンバーガーを100円で売り続けるのにはかなりの経営努力が必要そうだ。
「材料費がドンドン上がってるからねぇ、大変だよー」
物価もかなり変わっているだろうし、ちょっとくらい値上げしてもいいんじゃ……と思ってしまうけど、頑なに値段を守り続けているのには、やはり「子どもでも気軽に買えるように」とか、理由があるんだろうか?
わりと「なんとなく」みたいです
味わい深過ぎる自動販売機で買い物
ま、何にせよ潰れてなくてヨカッタヨカッタ。それでは早速、ハンバーガーを食べてみるとしよう。
「来るのはじめてでしょ? だったら外の自動販売機を試してみたら?」
自動販売機!
そうそう、お店の安否にばかり気を取られていたけど、もともとここが気になっていたのは、店先にすごーく珍妙な自動販売機が設置(?)されていたからなのだ。
その自動販売機がこちら。手作り感あふれかえりすぎ!
このフォントも実に味わい深い……
そして「出ない時、押して下さい」というボタンも気になり過ぎる!
「自動販売機?」と妙に自信なさげなところも含めて、ツッコミ所がありまくりなこの自販機。
果たして本当にハンバーガーを買えるのか……と半信半疑のまま100円玉をチャリーンと投入してみると。
ボトッ!
おおっ、出てきたー!
無事、購入成功!
衝撃の手動自動販売機?
……しかし、明らかに店長が手作りした工作にしか見えないこの「自動販売機?」。よくもまあ、こんなにちゃんと動作するもんだ。
お金が貯まる部分の構造、こんな感じなんですよ。どんな仕組みになってるんだ!?
一体、どんな仕組みになっているのだろうか? まさか、店長さんが手でボトッとハンバーガーを落としてるわけじゃないですよねぇ?
釣り糸で!?
そ、そう言われてみれば、お店の中の色んなところに釣り糸が張り巡らされているのだ。
見づらいけど、こんな感じ
で、カウンターの中にあるリールにつながっているのだ
確かに、手でハンバーガーを落としているわけじゃないけど、すさまじくアナログ&手作業な装置!
「コインが落ちる音を聞いて回すからさぁ~、10円玉を入れられても動かしちゃうんだよ~」
この自動販売機、もちろん店長さんがトイレとかに行っている時は作動せず……全然「自動」販売機じゃないよ!
そして、この「自動販売機?」一台だけではなく、他にも沢山キテレツな自動販売機が設置されているのだ。
次のページではその自動販売機たちをバンバン紹介しちゃうぞ!
手わたししてくれる自販機
まず目に付いたのは、この「自販機・手わたし」と書かれた、この状態でもかなりのインパクトがある自販機。
コレにお金を入れると……
バターンと扉が開いて、手袋に掴まれたハンバーガーが! まさに手わたし!
しかし、夜道を歩いててコレが開いたり閉じたりしていたらビックリして腰抜かしちゃうと思うよ。ホラー!
歌う自動販売機!
そしてこちらは「ロイヤル立石バーガー」なる、ゴージャス版のハンバーガーを買うことができる自販機。
お値段は何と300円! 通常版の3倍という、ブルジョアジーのみが食べることを許される高級品だ(まあ、それでも大した値段じゃないけど)。
こちらの自販機はお金を入れると……
歌とともにハンバーガーが登場するのだ!
う、うん……意味はよく分からないけど、ちょっと嬉しい。
さて、この自販機はどんな仕組みになっているのかというと。
裏にラジカセがくっついているだけ!
釣り糸を動かすのに合わせて、このスイッチを入れているのだ
気球がハンバーガーを運んでくる!?
気球的自販機……
さて、お次はこちらの自販機。気球のカゴの中にハンバーガーが入れられており、お金をいれると気球がスーッと下りて運んでくれるという寸法!
……なのだが、釣り糸が絡まっちゃったのか気球が上手く動かなくて、店長さんが自ら動かしてました。
「あれー?」って……
あー、出てきた出てきた
食パンをキャッチせよ!
ハンバーガーではなく、食パンの自販機
最後は番外編。お店の側面に設置されている食パンの自販機。
お金を入れると……。
食パンが転がってきた!
あ……
お金を入れると食パンがゴロゴローッと転がってくるのはいいんですが、そのまま地面に落下! た……食べ物だよ。こんな自動販売機アリ!?
一応「上手いことキャッチしてね」というゲーム感覚の自販機みたいですが……
味を押し出すべきだよ、この店!
珍妙な自動販売機の数々に大コーフンし、思わず大量のハンバーガー(と食パン)を買い込んでしまったけれど、肝心の味の方はどうなのだろうか?
ザ・食いしん坊の食卓
スタンダードな「立石バーガー」(100円)
自家製のバンズに手作りハンバーグをはさんだメインメニュー「立石バーガー」。具はレタスだけと至ってシンプルな構成ではあるものの、コレが美味しいの!
バンズがパサパサしてなくて美味し!
肉も、ファーストフードのチェーン店で主流の牛肉100%……的なものではなく、あいびきでフワフワした感じの柔らかいハンバーグ。
コレが100円というのは、やはりかなり無理しているのでは? イヤ、買う方としては嬉しいけど。
そして300円の高級品「ロイヤル立石バーガー」
ハンバーガーで300円という値段は特に安いという印象はないものの、さすがに具も豊富だし、ハンバーグもひときわ大きくホントに美味しい! 変な自販機とかなくても日常的に食べに来たくなるくらい。 店長さん、コレは味を前面に押し出していけば、もうちょっと値段をアップしたとしてもフツーに美味しい店としてやっていけますよ!
なのにどうしてこういう内装にしちゃうかなぁ~。ボク的には好きだけど、一般受けは……
そして、なんすか「助けてボード2012」って?
ちなみにコレは「みんなが困ったことを書いて、助け合いのきっかけになれば」というハートフルな理由で設置した伝言板らしいんですが、「意図を理解してもらえなくて、何故かみんな七夕みたいに願い事を書いちゃうんだよね」とのこと。
さらには来店記念のストラップまで!
「来店記念」と言ってるわりには、付いているのはパンダだったり亀だったりと「立石バーガー」には関係ないものばかり。
こういう工夫はいいですから、もっとハンバーガーの味をアピールしていきましょうよ……。などと思っていたところ、非常に気になる貼り紙が。
い……一日店長ができる!?
「あんまりお客さんも増えないし、色々やってみようと思って募集してるんだけど、まだ誰もやりたいっていう人いないんだよね」
確かに、一万円を支払って働くって、若干意味の分からない部分もありますが……。
よーし、オレ店長が経営を立て直しちゃうぞ!?
……というわけで一日店長やります
「将来は珍スポットのオーナーになりたい」という夢を持っているボクにとって、一日だけとはいえ、こんなに変わったお店の店長になれるなんて、まさに夢のような話! その日程は、
2012年9月9日(日)
ボクは開店の11時30分~夕方くらいまではいる予定です。みなさんのご注文に応じてクイックイッと釣り糸を操作しようかと思っておりますよ!
さらにボロボロに朽ち果てた看板も自由なデザインで描かせてくれるということなんで、ライブペインティング的なこともやれたらやろうかなーと。
ただ、普段の感じだと全然お客さんが来なくて超・ヒマそうなので、是非ともみなさんご来店を! お店の照明がギラッギラに点けられるくらい儲けさせて下さい!
●立石バーガー
東京都葛飾区堀切3-17-15
【電話番号】 03-3695-9133
【営業時間】11:30~適当
【定休日】水曜日
場所は
この辺! 最寄り駅は「堀切菖蒲園」です。